とりあえず、ネモ、ノア、オスクロル、ルビィ、ユキムラ、セツナ、レイン、そしてティナ、茶熊学園入学おめでとう!!
昨年と半分以下の入学者数なんですが、何としても当てたいキャラたちなんじゃよ。
ここに、一人の勇者がいる。
「ふごぉぉー…………ふぐぁぁー……」
名はソアラ、類稀なる勇者の素質を持って生まれし者。
「んんぅ…………ぐぅぅ…………」
年齢は15歳とまだ若いが、いずれはこの世界を明るく照らす光となるであろう力の持ち主である。
「ふぐぁぁー……………ふごぉぉ…………」
…………しかし今は、宿で盛大にいびきをかいて寝ているただの少女である!!
…………………………
………………
…………
「え?ソアラちゃんを最近見かけない?」
「そうなんです。それで、今からソアラさんが宿泊している宿に足を運ぼうと思いまして……。」
「;」
ギルド支部の前で話をしているのは、赤髪、アイリス、キャトラ、そしてオスクロルである。
赤髪達はこれから複数の仲間と一緒に依頼を遂行しようとして、ギルド支部の前で仲間と待ち合わせをしていた。二人と一匹が最初に到着し、残りのメンバーを待っていようとしたら、オスクロルがギルド支部の建物からソワソワと落ち着かない様子で出てきたのだ。時間に余裕はあったので、気になった赤髪達はオスクロルに声をかけ事情を聞いた。
オスクロルは冒険家として依頼を受ける傍ら、ギルドの職員としても仕事をしている。以前は<デパーチア>で勇者育成の依頼をギルドから嘱託され、魔王としてその職務をこなしていた。旅路に設置する罠と魔物の配置の考案、武器屋に納品する武具の入荷手続き及び交渉、村人との勇者の行動を誘導する流れの打ち合わせ、勇者育成のための魔王達の会議への参加、多岐にわたる激務を彼女はなんとかこなしていたのであった。その仕事ぶりと職に対する姿勢、魔王とは思えぬ美貌、彼女自身の良すぎる人柄をギルドに買われて、現在はギルドの一員としても働いている。
だが事の発端は先日、魔王として最後に育成した勇者ソアラの冒険家実績をふいに見てみると……、
ここ二週間、空白であった。────
「それで気になって、今からソアラの止まってる宿に押しかけようというわけね。」
「はい。ソアラさんのことですから、恐らく今頃は宿でぐっすり寝ていると思うので。」
オスクロルが困った表情でキャトラの問いに答える。彼女からすれば最後に育てあげた(?)勇者なのだから気になってしまうのは当然と言える。
しかし、当の本人は「大丈夫っす、大丈夫っす。心配ないっす、心配ないっす。」と言うものの、宿を視界に捉えれば吸い寄せられるように宿屋に向かい、そこだけが安住地帯であるかのようにベッドに入り、睡眠という存在が人の形を纏ってこの世に舞い降りたかのように熟睡するような人間だ。赤髪達も二人を知らない仲ではないので手伝おうかと考えたが……。
「私達もこれから依頼があって、仲間を待っているのに、どうしましょう……。」
「;」
「いえいえ、いいんですよ。お手伝いをしてほしくて話をしたわけではないので、皆さんはお仕事を優先して下さい。」
アイリスが悩みながら言うとオスクロルは笑顔で自分達の仕事に取り組むよう促した。しかし、オスクロルもオスクロルで人が良すぎるため、変にソアラを起こしても同じことを繰り返すだけなのではないかと赤髪達は心配した。
どうしたら良いものかと考えたその時、三人と一匹に近づく者が現れた。
「あれ、赤髪達、どうしたんだ?」
「!」
それは赤髪達が待ち合わせをしていた仲間の一人であるユウキだった。
「あ、ユウキさん!」
「なんか悩み事?これから仕事に行くのに。」
「それがねユウキ…………、あっそうだ!」
キャトラが閃いたかのように声をあげた。ふいに他の四人はキャトラに目線を向けて疑問符を頭に浮かべたような顔つきをする。
すぐさまキャトラは不敵な笑みを浮かべ、ユウキを見つめる。そして、ユウキに力強く言葉を掛けた。
「ねぇユウキ!今日はオスクロルの手伝いをしてあげて!」
「……ん?」
…………………………
………………
…………
「すいません、予定を変更してまでお手伝いをさせてしまって。」
「いいッて、気にしなくて。」
ユウキとオスクロルの二人はソアラが寝ていると思われる宿屋に向かっていた。
ユウキはキャトラの頼みを断らずにオスクロルの手助けをすることにした。本来は依頼を遂行してお金を貯めておきたいところであったが、飛行島の主でもある彼らには世話になっていたため断る理由はなかった。なにより極度のお人好しで心配性である彼らがその場に来たとはいえ自分を頼ってくれたのでユウキは嫌な気がまるでしなかったのだ。
「とりあえず、そのソアラッて子を宿屋から引きずり出せばいいの?」
「できれば説得して、自分から足を運んでくれるといいんですけど。」
「大変だなアンタも……。」
「いえ……、あ!申し遅れましたね。私はオスクロル・ラス・カサスです。以前は魔王をしていましたが、今は冒険家をしています。」
「俺はユウキ、俺も冒険家をしてる。昔は色々やッてたけど。」
(魔王……?)
「お話は、伺っています。ユウキさんは<メビウスの悪魔>……なんですよね?」
ほんの少しだけパッと目を見開いたユウキだったが、すぐにいつものクールな表情に戻る。
「なんだ、知ッてたんだ。」
「少し前にキャトラちゃん達から貴方が飛行島で生活をしていることは聞いていました。」
「もう少し口を硬くしてくれよアイツら、人のプライベートをなんだと思ッてんだ。」
「あはは……、……私が魔界にいた頃からその名は有名でした。<メビウスの悪魔>、<闇>を穿つために絶対的で強大な力という呪いを授かり、悪魔へと変貌した人達。」
そう語り始めるとオスクロルは顔を少し俯いたまま立ち止まった。ユウキもそれに遅れて気づき、同じく足を止めてオスクロルの方を見遣る。
「当時この話を聞いて少し恐怖心を抱きました。人であることを捨ててまで<闇>を葬り去りたいという気持ちに、でも同時に疑問に思うこともありました。なんでそうまでして力を得たいと思ったのか、<闇>を滅ぼしたいと思ったのかって。」
「…………。」
「烏滸がましいとは分かっています。けど、機会があれば教えていただけませんか?もっと知りたいんです。何故あなた達はそこまで<闇>と戦おうとしたのか、力を手に入れたいと思った理由を……。」
伏せていた顔を上げてオスクロルはユウキの瞳をじっと見つめた。一瞬の間見合っていたが気持ちが強く篭った紅色の瞳に耐えかねたのか、ユウキは目線をオスクロルから外した。
「んー、いいけどさ、なんでそんなに知りたいのかなーって。」
「え?」
「いや、ここに来て色んな奴に会ッたけど、アンタだけじゃなくて皆俺自身じゃなくて悪魔としての俺を見たり聞いてきたりするんだよ。」
「それは……。」
「もちろん俺が珍しい奴だッて分かッてるけど、何もそんなに聞いてこなくてもいいんじゃないかッて少し思ッてて……。」
(あ、初対面とはいえ流石に言い過ぎた。悪いことしたな…。)
目の前のオスクロルが悪いわけではないのだが、愚痴まがいの文句をオスクロルにぶつけてしまっていることにユウキは遅れて気付いた。オスクロルはいきなり愚痴を聞かされて戸惑っているのか少し困っている表情だった。こういう時にどうすればいいのか分からないユウキであったが、流石に一言謝っておくべきだろうと思ってそれを口にしようとした。
「知ってほしいんですか?あなたのことを。」
「──────」
開いた口が塞がらないとは今のことを言うのだろうか。一言「ごめん」と言おうとした口はそれを発しようとはせずに、起こった出来事が受け止めきれないと言わんばかりの証拠となってしまっていた。
「……あの、えっと……?」
まるで心の内を見透かされたかのような言葉に、ユウキは少しの間思考と身体の両方が停止していた。久しく忘れていた世界が止まっているような感覚。忘れていたかった自分だけ世界と切り離されているかのような精神。
「ユウキさん?」
「……ごめん、オスクロル。今は宿屋に行こう。」
「え、あの、ユウキさん!?」
足早に歩を進め始めたユウキにオスクロルは戸惑いながらも後を付いて行った。
何故一瞬ユウキが硬直していたのか分からない。もしかしたら今のは嫌われるような発言だったのではないかと思っていたオスクロルだったが、本来の目的はソアラの説得であったことを思い出し、今はそちらを優先しようと気持ちを切り替えた。
「……オスクロル。」
「はい?なんでしょう?」
「……時間があッたら話す、お前の知りたいこと……。」
「……はい、いっぱい教えてくださいね。昔のユウキさんも、今のユウキさんも。」
オスクロルは一瞬嫌われたと思っていたが、遠回しに話をしようという彼の言葉に内心ホッとして笑顔で返事をした。<メビウスの悪魔>とは関係のない、彼自身の話もたくさん聞いて、私のこともいっぱい話して、彼と少しずつ関係を築いていこう。そう意気込むオスクロルであった。
一方でユウキは、そんなオスクロルの気持ちを理解してくれるようななにげない言葉と何でも受容してくれるような態度にほんの少し安心感を抱いた。
うぃーっす、お疲れ様でしたー(自分に言ってるw)
まさかこんなに色んな手続きがあるなんて思ってなかったのじゃー!しんどいー!
転職勇者のファナちゃんめっちゃかわいくないですか!?
おせニャン見て一目惚れしたんですけど、なかなか来てくれなくて辛いですw
上半期に来てくれれば茶熊入学も夢ではなかったかも!?