白猫プロジェクト ─メビウスの悪魔─   作:はまーん

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フェアリーテイルは原作読んだことないので全く分からないですが、エルザ姉さんとウェンディちゃんがやって来ました☆


そして、たまたま単発をしたらオスクロル閣下が来てくれました!( 厂˙ω˙ )厂うぇーい
なお溜まったジュエルは消化しきっちゃいました……。


守護天使の握り飯講座!wi☆th悪魔殺し

「んむ……もぐッ……もぐッ……もぐッ……」

 

 

ユウキは自宅で昼ご飯を食べている。メニューはおにぎり三つ(鮭、昆布、塩むすび)、野菜ジュース、冷凍食品の肉だ。

今日の予定は特に決まっておらず、適当にギルドに行って依頼を受けようかと考えていた。

 

 

 

ドンッドンッ

 

 

 

「?」

 

 

 

すると、玄関から扉を強くノックする音が聞こえた。

ユウキは手をつけようとした残りのご飯と箸をいったん置いて、誰が来たのか予想しながら訪問者を迎えに行った。

 

 

ガチャリッ

 

 

そして、戸を開けると……

 

 

 

 

「よお、テメェが例の<メビウスの悪魔>か……?」

 

 

 

 

そこにはいかにも悪魔みたいな格好をした男が睨みをきかせて立っていた。ユウキは、いやいや悪魔はお前だろ、と思ったが口には出さなかった。

 

 

 

「……まあ、そうだけど。誰から聞いたの?」

 

 

 

「赤髪に聞いたら教えてくれたよ。それより、俺と遊ばねぇか?」

 

 

 

「遊ぶッて、何して遊ぶの?」

 

 

 

「そりゃあテメェ、ヤるんだよ。」

 

 

 

「は?」

 

 

 

「間近で見るとピリピリ伝わってくるぜ、テメェの中に潜む強大な力がよ。それを抑え込むなんて勿体ねぇと思わねぇか?」

 

 

 

「……。」

 

 

 

いきなり訪問してきて何を言ってるんだコイツは?とユウキは思っていた。しかし、相手が漂わせている殺気を感じ、これは冗談ではないとも思った。

 

 

「解き放ってやろうじゃねぇか、さあ!勝負といこうぜ!」

 

 

 

「うおぉぉぉぉい!!レイイィィィィィィィィン!!!」

 

 

 

「ん?」

 

 

 

すると、遠くの方から荒々しい女性らしき声とこちらにドタドタと走って近づいてくる音が聞こえた。物凄い勢いで迫ってくるので、ユウキは多少警戒をするが、ふと目の前の男を見るとやれやれといった表情で溜め息をつき、音のする方角を見ていた。

 

 

 

「あのクソ天使……、来んなっつったのに……。」

 

 

 

「レイィィン!!やっと追いついたぞ!!」

 

 

 

砂煙を巻き上げながらズサーッと玄関の前で急停止をしたのは、背中に羽根が生えていて頭の上に輪っかのある、まるで天使のような容姿をした女性だった。しかし、天使の姿と相反するその言動と表情に、ユウキは面には出さなかったが多少戸惑っていた。

 

 

「…………。」

 

 

「クソ天使、なんでついて来たんだよ!」

 

 

 

「だって、レインは私がいなかったら何しでかすか分かったもんじゃないからね!私がしっかり見守ってあげないと!」

 

 

 

「いつからテメェは俺の保護者になった!?」

 

 

 

「保護者ではなく相棒です!言うなればコンビです!」

 

 

 

「なった覚えはねぇぞ!」

 

 

 

目の前で天使と悪魔が口喧嘩をしている……。

その様子を見て、何故かおいてけぼり感のあるユウキはさらに戸惑っていた。

 

 

(…………なんだこれ?)

 

 

その視線を天使の方は察したのか、ユウキに気付いて挨拶をしてきた。

 

 

 

「あ!ごめんなさい、放置する気は無かったんですけどね!」

 

 

 

「……まあ、大丈夫……。」

 

 

 

「あ、自己紹介がまだでしたね!私はルカと言います、守護天使です!こっちはレイン、悪魔です!今は冒険家もやっていまして、口は悪いですが結構腕が立つんですよー!」

 

 

 

「………………。」

 

 

 

「あ!貴方のことはアイリスさん達から聞いております!<メビウスの悪魔>ことユウキさん!この話を聞いたらレインがいてもたってもいられず勝負を挑もうとしておりましたので、私はそれを止めるべく参上した次第に…………、ってなんで扉を閉めようとするんですか!?なんでそんな、いかにも面倒な奴らだなみたいな顔で見つめるんですか!?ちょっと待ってくださーーーい!!」

 

 

話が長くなりそうな予感をしたユウキは、面倒くさくなったのでいったんドアを閉めようとした。ルカはそれを阻止しようと力いっぱいドアにしがみつく。レインははぁーっと大きな溜め息をついていた。

 

 

 

「クソ天使があまりにもウゼェから仕方ねぇだろ。」

 

 

「失礼な!私は積極的なコミュニケーションをとろうとしただけですよ!」

 

 

 

「ていうか、俺昼飯がまだ途中なんだけど、とりあえず食べ終わッてからでいい?」

 

 

 

「あ、お昼ご飯の最中だったんですか!それは申し訳ありま…………。」

 

 

 

突然、うるさく思うほど騒いでいたルカが静止した。そして、ユウキの方をじぃーっと眉間に皺を寄せて見つめ始めた。

 

 

 

「んんー?」

 

 

 

「……あの、なに?」

 

 

 

 

「……口元に海苔……、そしてご飯粒……もしや、お昼は握り飯を……?」

 

 

 

「にぎり……、あぁ、おにぎりか。<たまたま>買ッてたやつが残ッてたから<適当に>作ッて食ッてたんだけど。」

 

 

 

「………………なぬ?」

 

 

 

ユウキがそう答えると、ルカは顔を伏せて拳を力強く握りプルプルと身体を震えさせ始めた。レインは不機嫌な様子で耳に指を突っ込んでいる。

 

 

 

(あ、この様子じゃクソ天使のヤツ、多分うるさくなりやがるな……。)

 

 

 

「…………<たまたま>?、…………<適当に>?」

 

 

 

「え?なに?」

 

 

 

「……にぎりめしをおおおおおおおおおおおおおおお!!!ぅあまくみるなあああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 

 

「!?」

 

 

 

すると、ルカは顔を上げて全身に力を込めて大声で叫んだ。腹の底から喉元を伝って湧き出す声に、近くの建物、地面、身体、空気、ありとあらゆる物質が反響し震えるのを感じるほどだった。

 

 

 

(予想的中、指突っ込んでても聞こえやがる。)

 

 

 

「貴方は握り飯を!!いや、食事そのものをなんだと思っているんですか!!ただ腹に入ればいいという訳ではないんですよ!!」

 

 

 

「えぇ……。」

 

 

 

「ご飯は身体のエネルギーとなる源であると共に栄養摂取のために必要不可欠なものです!!全身にエネルギーを供給し、その日の身体のパフォーマンスを向上させるための大切なものなんです!!」

 

 

 

「…………。」

 

 

 

「それを更に高めてくれるのは握り飯さんなんです!!パンやパスタといった小麦粉で作られた消化しやすい食べ物とは違って、握り飯は消化が遅く腹持ちがよく満腹感もある素晴らしい食べ物なんです!!それを<たまたま>!?<適当に>!?食事を!!握り飯さんをなめていると言っても過言ではありません!!」

 

 

 

 

「…………。」

 

 

 

「どうやら貴方には握り飯さんの素晴らしさを一から理解してもらう必要があるようですね!!ならば私が、ユウキさんのための握り飯講座をぉ!!」

 

 

 

 

「え?」

 

 

 

「開いたらーーーい!!!!!」

 

 

 

ビシッと人差し指をユウキに突き付けてルカが高らかに叫んだ。レインは相変わらず耳を塞いでおり(ルカの話は嫌でも聞こえてくるが)、ユウキはキョトンとした表情をしていた。

 

 

 

 

「…………とりあえず、残りの昼飯食ッていい?」

 

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

 

……

 

 

 

 

 

────そして、後日……、

 

 

 

 

ユウキ、ルカ、そしてレインの三人はエプロンを身につけてヘレナがよくパイ作りに使っている厨房にいた。ルカはヘレナに事情を話して 、この厨房は今日一日貸し切っている状態だという。

そして、厨房の外の扉の隣には何故か<握り飯講座御一行様>と書かれた立て札が貼られていた。

 

 

 

 

「おいクソ天使、なんで俺までこんな茶番に付き合わなくちゃいけねぇんだ。」

 

 

 

「レインは料理が得意ということで今回は私のサポートということで!それと、握り飯さんの素晴らしさを再確認するいい機会だとおもうんだけどなぁ?」

 

 

 

「ちっ、んどくせぇ……。」

 

 

 

ルカがこの講座のために用意したとされる食材を準備しながら言う。完全にとばっちりを受け半ば強引に連れてこられたレインも不機嫌にはなりつつも、手伝いとして食器類や調理器具の手入れをしていた。一方、ユウキは椅子に腰掛けて肘をついてその様子を見守っていた。

 

 

 

(どうしてこんなことになッたんだッけ?俺、なんか流されてる気がするんだけど……。)

 

 

「さて!準備が完了したところでユウキに質問です!」

 

 

 

「え?」

 

 

 

ユウキにビシッと人差し指を突き付けるルカが聞いた。作業を終えて手を洗ったのか指にはほんの少しの水が含まれている。

 

 

 

「握り飯はなにで出来ていますか?」

 

 

 

「(あ、こんなふうに指向けられた時からおかしくなッたんだッけ?)えっと……、米?」

 

 

 

「そうです!お米です!お米がちゃんとしているから握り飯は美味しく召し上がれるんです!逆に言えば、お米がしっかりとしたものでないと握り飯は美味しくなりません!」

 

 

 

「まあ……、そうだな……。」

 

 

 

「ということは、一番握り飯が美味しく仕上がるお米の状態といえば!はい、レイン!!」

 

 

 

「…………チッ……炊きたてのやつ……。」

 

 

 

ルカはレインにビシッと指を突き付け話を振る。レインは小さく舌打ちをして低く答えた。

 

 

 

「そうです!炊きたてのお米が最高の握り飯を作るんです!というわけで♪今回はその炊きたてのお米をご用意しまし……った!」

 

 

そう言うとルカはどこからともなく取り出した大きめの炊飯器をドスッと鈍い音を立てながら厨房の机の上に置いた。既に炊きたての状態になっていて、噴気口から暖かな湯気が出ている。

 

 

 

「……クソ天使、そのバカでかい炊飯器を今どこから出た?」

 

 

 

「細かいことは気にするな♪さあて、次の工程に入るぞぉ!」

 

 

 

「おい」

 

 

 

「握り飯を作るのに必要なのはお米だけではありません!塩と氷水とキレイな布巾が要ります!」

 

 

 

またもやルカはどこからか塩の入った小皿と氷水の入ったボウル、白い布巾を取り出し机に置いた。連続して起こった怪奇現象にユウキは戸惑っていた。

 

 

 

「……この天使は何でもありなの?」

 

 

 

「……クソ天使なら、多分な。」

 

 

 

「そこ!無駄話をしない!まだお米に触ってすらいないんですよ!」

 

 

 

ヒソヒソと耳打ちをするユウキとそれを聞くレインをルカは注意した。完全に独走状態となっているルカに二人はついていくのがやっとである。残念なのは、ルカがそのことにいまいち気が付いていないことであった。

 

 

 

「ですが安心してください!必要なものはコレで全てです!遂にこれから握り飯を作っていきます!」

 

 

 

「……なんか作ッてく前から疲れた。」

 

 

「なに言ってんだ、これからもっと疲れるんだぞ?」

 

 

 

レインはドンマイと言わんとばかりに机に突っ伏したユウキの肩に手を置いた。この厨房内において二人はルカに大いに振り回された言わば同志に近い関係となっていた。

 

 

「むふふっ♪さて、今からお米を握っていくんですが、このままだと炊きたて熱々のお米に火傷してしまいます!そこで、この氷水が必要なんです!手をキレイに出来る上に冷たい水が手の温度を下げてくれて熱々のお米を触っても大丈夫なようにしてくれるんです!」

 

 

そう言うとルカは両手を氷水のボウルに豪快に突っ込んだ。勢いよく入れたせいで辺りに冷たい水が飛び散り、真向かいに座っていたユウキとレインにかかった。

 

 

「ちょッ、つめたッ。」

 

 

 

「……おいクソ天使、テメェは加減ってもんを知らねぇのか?」

 

 

 

「ごめん、つい。では気を取り直して!水のついた手を布巾で拭いて、ごく少量の塩を手につけて!いざ!お米を、握ったらーい!!」

 

 

 

ルカはササッと両手を布巾で拭うと、親指人差し指中指の三本の指で塩を取り手に広げ、炊飯器の蓋を開けてしゃもじを突っ込んだ。そして程よい量の米を取り出し手に乗せてせっせと握り始めた。その表情は荒々しい動作とは裏腹に天使のような優しい微笑みをしていた。

 

 

 

「せっせっせ♪ほっほっほっ♪ふんっふんっふんっ♪」ニギッニギッニギッ

 

 

 

「……ホント、いつも楽しそうに握りやがるな。」

 

 

 

「握り飯を作ってる時はいつだって楽しいぞ!」

 

 

 

(……炊きたてだからか、すッげぇうまそう。)

 

 

「まず初めは強く握らずに、米粒同士をまとめるように整えていきましょう!中がふんわり柔らかくなるように作っていくのが極意です!ある程度まとまってきたら手の形を変えて三角形になるように優しく形作っていきましょう!」

 

 

ルカは調理の実況をしながら、慣れた手つきで次々と握り飯を量産していく。握り始めてもうすぐなのだが、既に3個完成させている。

 

 

「海苔を巻いていって、これで!!塩握り飯の完成です!!」

 

 

「……美味そうだな。」

 

 

「でしょでしょ!さあ、どんどん作っていきますよー!次は鮭握り飯を作りましょう!レイン、具材の準備を手伝え!」

 

 

「指図すんなやクソ天使、たくっ……」

 

 

文句タラタラに言うとレインは冷蔵庫にあるたくさんの具材を取り出した。

三人の握り飯作りは日が暮れるまで続いた……。

 

 

 

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

 

……

 

 

 

 

 

「もぐっもぐっ……作りすぎましたね。」

 

 

 

「……全くだ……もぐっもぐっ……」

 

 

 

三人はどんどん握り飯を作っていき、最終的には50個近く握り飯を作ってしまった。かと言って食べないと流石に勿体ないので、三人はその握り飯を今日の晩御飯にして食べていた。

 

 

 

「まあ俺うまいの食べるのは嫌いじゃないし、別にいいけど、もぐッもぐッ……」

 

 

 

「ユウキさん、握り飯も作り方次第で色んな味が作れて美味しいでしょ?」

 

 

 

「……まあ、そうだな。ちょッと侮ッてた。」

 

 

 

「分かってくれてなによりです!感激です!嬉しいです!」

 

 

 

「おいクソ天使、食いながら大声出すな。あと、口に飯ついてるぞ。」

 

 

 

「へ?どこどこ?」

 

 

 

「ここだよ、たくっ」ヒョイ

 

 

 

レインはルカの口についていたご飯粒を指で取り上げた。そして、そのご飯粒をペロリと口に運んでいった。

 

 

 

「あっ//」

 

 

「あ?なんだよ?」

 

 

「え?いや……そのぉ……///流石にそれをされるのは想定外という恥ずかしいというかなんというか……ええっと///」ゴニョゴニョ

 

 

「なに言ってんだよ?」

 

 

「いやぁ、なんでもない!///でも、そのぅ……///」

 

 

 

「いいからさっさと食うぞ、テメェの(握り飯)はうめぇんだから。」

 

 

 

「う、うまっ…!!?///さっきの……アレも……!!?///」

 

 

「あ?さっきの粒か?せっかく食わねぇと(ご飯粒が)勿体ねぇだろうが。」

 

 

「もったいな…!!?///まさか私の味を…!?///うぅっ……レ、レインのバカァァァァァァ!!!///」

 

 

ルカは顔を真っ赤にして厨房なら逃げるように走り去っていった。レインはキョトンとした顔をして走るルカを目で追っていた。

 

 

「なんなんだよ、アイツは。」

 

 

 

「ていうか天使なんだから飛んでいけば良いのに。」

 

 

ユウキは二人のやり取りをスルーして握り飯を食べるのに没頭していた。なので、なんでルカが走り去ったのかは分からない。

 

 

「ったく、それから<メビウスの悪魔>。」

 

 

 

「ん?」

 

 

「俺はテメェとの勝負を忘れたわけじゃねぇからな。今日はクソ天使に流されたが、そこんとこ覚えてとけよ?」

 

 

 

「……勝負は別にいいけど、今は食事に集中させてくれる?うまいのが勿体ないからさ。」

 

 

「……ふん、そうだな。てかアイツの分もたいらげなきゃいけねぇのかよ……。」

 

 

「あ……。」

 

 

そして男二人はただ黙々と握り飯を食べ続けて言った。ルカがいなくなったのでまだ20個ほどある握り飯を食べ尽くさなくてはいけなくなったが……。

 

 

 

余談だが、翌日以降ユウキは握り飯を市販で買うことはなくなり、全て自分で作るようになった。握り飯限定だが、自分で作って美味しいものを料理し自分で食べるということに少しハマっていったらしい。




更新がかなり遅くなってしまいましたね、申し訳ないっす。
(交通事故に巻き込まれて危篤状態だったなんて言えない……)


もうそろそろ茶熊の投票が来る頃かと思うのですが、個人的にはネモノア、レイルカ、レクリネは入学して欲しいなって思ってます!
色々妄想が広がります……へっへっへっ(*´ 艸`)

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