賢者な英霊(仮)はとにかくヤりたい(真顔)   作:おき太さんかわゆい

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こっそり予約投稿……時間でお察し

前回のあらすじ
賢者の股間にリリィの宝具が直撃した。全身大爆発した。ついでに我慢していた腸の激流が加速し、肛門も大爆発した(比喩)

今回の内容
溜めてたモノが出た。作品が生まれた

そんな訳で第5特異点『イ・プルーリバス・ウナム』編第5話始まります
※茶色い食べ物や白い飲み物を摂取しながら読むのはご遠慮下さい


美術界に激震走る(除名)

 

 

 

 

 

 

 

 何故かリリィの聖剣から放たれた光が、賢者さんに命中し爆発した。

 

 

(どうしてこんなことに……! これではエックス師匠と修行を始めたばかりの頃、黒髭殿に向けて宝具を放つ特訓をした際の失敗と同じです。わたしがあの時、宝具を使ってなければこんなことには……)

 

 

 しかし、悔やんだところで起きてしまった事態は変えられない。

 今の彼女にできることは賢者の無事を祈ることくらいだった。

 

 

 

 

 

 しかして連鎖的な爆発が収まると、そこには直立不動で君臨する賢者のアヴェンジャーの姿が。

 

 

 

 

 

 良かった! 最初にその感情が来たのも、見たところ五体満足だったからだ。

 

 

(で、ですがダメージを負ってない訳ではないはず! いや、ダメージを負っていようと無かろうとわたしが攻撃してしまったのは事実。まずはちゃんと誠意を込めて謝らなくては!)

 

 

 許される許されないの問題ではない。

 故意に間違った訳ではないとしても、自分のしたことは罪に値する。

 だから最低限謝罪をしなくては騎士以前に人間失格だと、彼女は考えていた。

 その上でお詫びの気持ちに賢者への償いとして、リリィは自分にできることならなんでもする所存だった。

 ……そう、そのつもりだった。

 

 

「け、賢者さん大丈夫でしたか? ごめんなさい! もちろんわざとではないんですが、本当に申し訳ありません……! 何かお詫びを……? ……賢者、さん?」

 

 

 リリィは急いで駆け寄り平謝りをしました。

 けど、あまりにも賢者からの反応が無いので、チラッと上目遣いで見てみたのだ。

 そしたら、

 

 

「……そんな、賢者さんが立ったまま死んでる……!?」

 

「い、いや先輩。流石に死んではいないかと! 死んでいたらカルデアに戻っているはずですし。立ちながら気絶はしてるみたいですが……って賢者さんが気絶!?」

 

「あわわわわ……!?」

 

 

 ど、どうしましょう!? リリィの内心は瞬時に大パニックに陥った。

 最初から倒れていたならもう少し冷静でいられたのかもしれない。

 もちろん心配は大きくなるが、宝具の直撃を受けたのだからそれくらいは想定の範囲内だったのだ。

 しかし、平然と立っていたので心配よりも安堵の気持ちが勝っていた。

 なのにまさか立ったまま気絶してるという事態。

 これもある意味上げて落とすというやつなんだろうか?

 

 

「患部を即刻治療しましょう」

 

「い、いや待てナイチンゲール! ()()も確かにくらっていた気がするが、賢者に無断ではまずい。余も同じ男として勝手に()()を露出させるのは看過できん!」

 

「離して下さいラーマくん。一刻も早く治療をするべきです」

 

 

 リリィが慌てていて目を逸らしている間に、ナイチンゲールが賢者に治療を施そうとしているのを、ラーマが羽交い締めにして止めていた。

 いったい何故? あの状態の賢者さんを治療することは間違っていないはずなのに、と彼女は思った矢先。

 

 

「ラ、ラーマの言う通りだよ! というか女としても見過ごせないかな!? その、いくら治療とは言っても、賢者さんの……ゴニョゴニョを、勝手に出すのはちょっと……ね? わ、私の礼装でもある程度なら回復は可能だし! ここはひとまず任せてよ」

 

 

 顔を赤らめたマスターまで介入した。

 

 

(ゴニョゴニョ……? マスターは何を……)

 

 

 指を差した先を見れば賢者の下半身……股の間? 男性の股の間。……選定の剣から放たれた光は、何処目掛けて直撃していたように見えた?

 

 

(…………っ!? ~~~~っ! そ、そういうことでしたか! それは確かに、その、マスターやラーマさんの意見が私には正しいように感じます。わたしが攻撃してしまった手前、治療をしてもらいたいのはやまやまですけど、殿方のアソコを、勝手になんて……あわわ)

 

 

 これ以上考えると顔から湯気が出そうになっていたので、リリィはその思考を打ち切る。

 

 

「いえあの彼が失神する程です。余程の傷を負っているはず。であれば私が治療を施すのは道理。患者を目の前にして放棄するなど私の存在意義に関わります。ですからラーマくん、いい加減離して下さい」

 

「だから! せめて賢者が目を覚まして許可を得てからにしろと言っているだろう!?」

 

「悠長に待っていろと? 怪我が想定以上に酷かったらどうするのです? 即時治療をさせなさい!」

 

「わー!? だから私が回復させるから! マシュ! リリィ! ラーマと一緒に婦長を抑えてて! お願い!」

 

「わ、わかりました。リリィさんも一緒に……お顔が赤いですけど大丈夫ですか?」

 

「……はっ!? すみませんすみません! はい、わたしにお任せを!」

 

 

 思考を打ち切った、というよりも停止していたリリィがマシュの呼びかけで再起動を果たす。

 

 

(う、狼狽えている場合じゃありません! わたしが招いた事態なんですから、少しでもお役に立たないと……!)

 

 

 そう思いナイチンゲールを抑える役目を全うしようとした直後のことだった。

 

 

 

 背後に凄まじい威圧感がのしかかってきたのは。

 

 

 

 リリィはいきなりのその重圧に、ナイチンゲールを目の前にして、思わず膝をついてしまった。

 正直、何が起きたのか皆目見当もつかない状況。

 

 

 

「えっ……」

 

 

 

 思わず漏れた、というのがしっくり来るマスターの声が聞こえ、リリィは恐る恐る振り向く。

 そして、視界に飛び込んできた光景に絶句する。

 

 尻餅を着いているマスターの目の前に立つ賢者。

 彼の全身から神々しいまでのオーラが迸っていたのです。

 無意識に気圧される。

 畏れをいだき体が勝手に跪きそうになる程の圧。

 人が不用意に近付くことは許されない。

 そう思わせる圧倒的な存在感が、賢者のアヴェンジャーから溢れ出していた。

 

 

『立香ちゃん大丈夫かい!? 急に君のメンタル面の数値が大幅に変動したんだけど! 何が起きてるのかな!?』

 

「ッ! ド、ドクター……賢者さんから立ったまま膨大な魔力が溢れて近寄れません!」

 

『ど、どういうことだいマシュ? もう少し状況を詳しく説明できるかい?』

 

「ですから! 賢者さんが立ったまま気絶してしまったのでマスターが治療しようとしたところ、その行為を遮るようにして賢者さんの全身から神々しい魔力が出てきたんです!」

 

『なんだそりゃ!?』

 

 

 未だ尻餅を着いたまま呆然としているマスターの代わりに、マシュが説明をする中、リリィも動けずにいた。

 不甲斐ないと内心思ってはいても、賢者を中心にして溢れる目にはうっすらとしか見えずとも感じ取れる莫大な気配が、リリィの体を阻害していたのだ。

 

 賢者がこの特異点に来てから纏うようになったどす黒い魔力。

 あれも脅威自体は感じる。

 しかし今賢者が纏うその気配は、脅威というより……思わず逃げ出したくなるような、それでいて平伏したくなるような……何か高次元の存在を目の前にしてるような錯覚を覚えるのだ。

 何の心構えも無しに目を逸らすのは危険……というよりは失礼だと、リリィの『直感』まで働く事態。

 

 

(…………マスターもラーマさんもナイチンゲールさんも……あれ?)

 

 

 冷静になって周りを見回せば、ナイチンゲールだけがいない?

 

 

「なんですかこの障壁みたいなのは。治療の邪魔です。排除します!」

 

(ナ、ナイチンゲールさん!? よくあの賢者さんの目の前に平然と立てますね、凄いです……いやいや、感心してる場合ではありませんでしたっ)

 

 

 ナイチンゲールだけは威圧感をものともせず、いつの間にかラーマからの拘束を逃れ、賢者の真正面に立ちその至近距離から彼目掛けて銃を撃っていた。

 正確には賢者を覆っている謎の力に向けてだが。

 ナイチンゲールの目的は直接触診した上での治療。

 であれば、その障壁染みた謎の力が邪魔なのは本当だろう。

 だが、しかし。

 

 

(だからってあんな近距離から発砲するなんて強引過ぎますよ! 止めなくては!)

 

 

 突然の威圧感に呆けていたマスターもラーマも、いきなりの銃声で流石に気が付いたようだった。

 マシュはロマニと連絡を取っていてまだ手が離せない。

 であればマシュを除いた3人が取るべき行動は決まってくる。

 

 

「離して下さい。私は賢者のアヴェンジャーを必ず治療します。たとえ彼の命を奪ってでも!」

 

「相変わらず無茶苦茶な婦長殿だ! だがその信念は本物」

 

「だからこそ止めます!」

 

「二人とも婦長のことお願い!」

 

 

 そう言い捨てマスターが賢者の元へ再び駆け寄った。

 至近距離まで接近すればかなりの重圧を感じるはず。

 さっきまでその圧を諸に受けて尻餅を着いていたのだから、さらに距離を縮めればどうなるかなど想像に難くない。

 しかしそれでも、マスターはしっかり自分の足で立ち、賢者と対峙する。

 

 

 

 

「……(賢者さん、何がどうしてこんな……これじゃあ、私の礼装の回復魔術なんかじゃ、あなたに届かないよっ)」

 

 

 

 

 か細い声は聞こえても何を言っているのかまでは、リリィの耳に届きませんでした。

 でも、その声と同時におこなった行為。

 それが立香の心情を透けて見せていた。

 

 半透明な壁のような隔たり染みた魔力の奔流に、マスターが固くきつく握りしめた手を叩き付けていたのだ。

 当然びくともしません。

 何せナイチンゲールの銃弾さえ弾いたのだから、マスターの生身の手で破壊できるはずもない。

 

 リリィには藤丸立香の背中しか見えていないから、どんな顔で立っているのかまではわからなかった。

 けど、声色と震えた声で何となく察せてしまった。人前では決して見せようとはしないであろう、歪んだ表情をしていることを。

 

 

(…………わたしのせいで、賢者さんを物理的に傷付けただけじゃなく、立香さんの心まで傷付けてしまいました。胸が痛いです。やはりまだまだセイバーとしては未熟なわたしが特異点に来るべきではなかった……)

 

 

 立香の失意にまみれた後ろ姿を眺めて、リリィが思わず唇を噛み締めてしまっていたそんな時でした。

 

 

「先輩! すみません! 説明と同時に賢者さんの状態がどうなっているかも訊いていて遅くなりました!」

 

 

 今までカルデアと通信をしていたマシュが、立香の元へと一目散に駆けてきた。

 立香は慌てて目の辺りを袖で拭く動作ののち振り向く。

 彼女の顔は、いつものマスターとしての顔とほとんど変わらない。

 一つ違うとすれば目の下が少し赤い気がするくらいか……。

 

 

「ううん。大丈夫だよマシュ。それで何かわかったのかな?」

 

「ドクターやダ・ヴィンチちゃんの見解を述べますと、恐らくその魔力の障壁は賢者さんが無意識下で発揮させる防衛機構のようなものではないか、と」

 

「えっ? ……つまり気絶しても無防備にならない為に発揮してる力ってこと?」

 

『恐らくね。彼が未だどういう英霊なのかは不明だから確証はないけども』

 

 

 リリィは責任を感じていた。

 だから話の通りの場合、聖剣で直接あの障壁のみを、慎重に斬り裂けば問題は解決するのでは? と考えていたのだ。

 

 

「となると賢者さんを治療する方法は……」

 

『目覚めるのを待つか、強引に目覚めさせるか。はたまた強引にその防衛機構のみを破壊するか、だね。……でも最後のはあまりオススメできないかな?』

 

「それはどうしてでしょうか?」

 

 

 そんな思惑とはうらはらに、そこで待ったがかかる。

 防衛機構のみを破壊しようと思っていた手前、マシュの疑問は完全にリリィと一致していた。

 

 

(いったい何故? この手段がダメならわたしが賢者さんにしてあげられることなんて……)

 

 

 しかし、どうしても責任を取りたかったリリィの希望を、ドクターロマンは知らず知らずに容易く打ち砕く。

 

 

『強引に破壊した場合にキミ達に自動で反撃をしてくる可能性や、逆に障壁は賢者くんの魔力によるものだから、無理矢理破壊した場合、彼自身を傷付けないように破壊したとしても、障壁のダメージが彼にフィードバックする可能性が捨てきれないからだよ』

 

「そんな……! だったら呼びかけて起こそう!」

 

「先輩……。言いにくいのですが、ナイチンゲールさんの銃声でもまるで反応がなかったのを見るに、音も遮断されてるかもしれません」

 

「……ッ。それじゃあ賢者さんが自力で目覚めるのを待つしかないの?」

 

 

 何かにすがりたい、という気持ちが見え隠れするマスターの様子を見て、周囲にいっそう重苦しい空気が漂い始めたその時だった。

 

 

 

 

 大統王エジソンに用意してもらっていた通信機がこの場で鳴り響いたのは。

 

 

「これは……エミヤ先輩からの通信ですね。オープンに切り替えます」

 

 

 マシュがパパっと通信機を操作し、この場の全員に音声が聴こえるように変更する。

 

 

「エミヤ先輩どうされ────」

 

『────すまないがそちらの状況を今は度外視させてもらうぞ。前置きは省く。至急応援を要請したい!』

 

「「────えっ?」」

 

 

 マスターとマシュが綺麗にはもったとか、そんなことはまるで気にならない程の切迫したエミヤの叫びが、やけにリリィの耳に残る。

 どうやら不穏な空気はこの場だけではなかったようだった。

 それどころかエミヤ側の方が、余程危機的状況にある可能性まで浮上した。

 これでは現状待つしかない可能性の方が高い賢者のアヴェンジャーのことを、後回しにしなければならないかもしれない。

 いや、エミヤ側が切羽詰まってる時点でほぼ確定に等しいだろう。

 しかしリリィは、それを理解はできても納得ができなかった。

 自分の仕出かした罪をそのままにして、いったん飲み込んで戦いに専念するなんて器用な真似もできると思えなかった。

 そもそもの話、今回の出来事のせいで、エミヤ達の応援に向かったところで自分は役に立てるのだろうか、とリリィの自信は喪失しかけていた。

 

 

 

(…………わたしはいったいどうすればいいのでしょうか)

 

 

 

 いつの間にか滲んでいた視界に写る、未だ目を覚まさない賢者に向けて。

 リリィは心の中でそう呟いていた。

 そして、ハッとする。無意識だが彼に頼ろうとしていた。それを自覚した瞬間、自嘲の笑みが漏れる。それも酷く乾いた。

 

 

(傷付けたわたしが、わたしのせいで目を覚まさない彼に頼ろうとするなんて酷く滑稽ですね……)

 

 

 

 

 

 

 

 こんなわたしなんて────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 純白の少女の心に、影が差す。

 時の経過とともに、彼女の世界(こころ)には、夜のとばりが落ちようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マイサンは死んだ────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────そう思ってしまうくらいには、正直そこら中でのたうち回りたいレベルの激痛に苛まれた。

 

 厳密に言えば俺の股間(カリ)死ぬような(バーンする)惨劇に陥ることは無かった────っぽい。

 

 肛門より漏れた排泄物が外に撒き散らされる大惨事も起きなかった────みたいだ、見た感じ。

 

 

 

 全ては俺の聖域宝具『童帝の神オムツ(ヴァージナル・ダイアパー)』のおかげで。

 

 

 

 いくらオムツだとは言ってもやはり宝具は宝具だ。

 聖剣の光のダメージが貫通したとはいえ、緩衝材の役割くらいは果たしてくれた────らしい。

 それに、こちとら生憎と素の耐久だってA+だ。そんなにやわじゃない。

 だからか、何とかマイサンがお陀仏する展開にはならなかった────ようだ。

 

 ただし宝具(オムツ)の中はある意味大惨事だった────と思われる。

 

 

 

 股間に受けた衝撃で、陰鬱な神気(メランコリー・オーラ)は解除され通常状態に戻ったのだが、その拍子にダメージを受けた股間がエクストリームし、白いのドバァ。

 

 そして限界だった腹も、股間と全身に受けたダメージにより、我慢が利かず肛門が弛み大爆発(比喩) 即ち、茶色いのドバァ。

 

 

 

 おかげで宝具(オムツ)の中身は最初、白と茶のコントラストを描いていたが、それが混ざり合いコーヒーやココアにミルクを混ぜたような色合いとなった(何故その表現を選んだ)

 色合いだけならお洒落(?)だが、元となるのが所詮は前門から出た排泄物と後門から出た排泄物。即ち汚い。

 

 幸いフルバーストレベルの量ではなかった為、臭いにおいが宝具(オムツ)から漏れることは無かった────恐らく。

 

 しかし直ぐ様中身を除去できるかと問われれば話は別で、前も後ろも未だベットリと粘土のようなミルクココア(意味深)がへばりついており、非常に質感が気持ち悪い────たぶん。魔力変換ハリーアップ求む。

 

 

 

 流石の俺もスカトロ趣味は尿までが限界だ。

 すまない、アマデウス。アンタ程の排泄物嗜好家(スカトロジスト)には成れそうにねぇや。

 そこまで性的倒錯者(パラフィリア)って訳じゃねぇしな俺。

 別に俺は童貞の頂点であって変態の頂点ではない。

 その座はアンタにくれてやるよアマデウス。

 

 ……まあ、カルデアで彼と会話したことないけども。

 いやね? 俺の尻を舐めろ的な曲を作ったり、生前の手紙で下ネタとウンチを連呼するような相手を目の前にしたら、変態と変態が共鳴して箍が外れ、俺の本性が社会の窓からこんにちはみたいな展開になるかもしれないから、接触しないように避けてたんだわ(訳がわからないよ)

 

 俺にもよくわからんが、コイツは本能的な面だから何とも……というか無事だったのは『耳元で一人ずつ囁く連中』だけっぽいな。

 ……ん? 『外』の奴らも影響ない感じなのか?

 となると、俺の精巣に憑依してる『中』の連中だけが無事に済まなかった、と。

 

 そりゃあ、諸に聖剣の光直撃したしなぁ(遠い目)

 いつもより頭の中が喧しくないから快適な気がするけど、微妙に落ち着かねぇなこれ。

 慣れって恐いわー、500年以上の付き合いだったから仕方ないちゃ仕方ないかもだけど。

 ……でも、消滅までした訳じゃ無さそうだな。悶絶してる感覚だけは伝わってくるし。

 まあ、結局何一つ失うことなく助かったんだ。

 激痛だけで済んだと考えれば万々歳。

 結果オーライだろ。

 少しは自業自得なとこもあるしな(少し……?)

 

 

 

 ただし、ダメージが酷すぎたせいで宝具(こかん)は一時使い物にならなくなった────らしい。

 

 

 

 コイツは正直笑い事じゃすまねぇ……何せこれじゃあ大賢者モードになっていないにもかかわらず、ロンドンで激おこモロチンと相対した時の二の舞だ。

 あの時と違って1日経たなきゃ復活しないって訳じゃなさそうだが、にしたってアホなミスなのは変わらない。

 まだマシなのは前回と違って、憂鬱の力やその他の準備した力など、今回は他の戦う手段を用意しておいたのが幸いか。

 

 

 こんな状態の時に敵サーヴァントが現れるのはごめん被りたい。つーか連戦も勘弁して欲しいぜ。

 まあ、雑魚は元気百倍になったラーマきゅんがいるし問題ないだろうが……シータちゃんには一目で良いから正直会いたかったなぁ。

 もう今や後の祭り過ぎてどうしようもねぇのはわかってけどさー。

 ラーマきゅんから話を聞かされた時、直ぐに改めてクンカクンカした感じ、シータちゃんはこの特異点から完全に消滅してしまったみたいだし。

 残念無念。

 ウルチンもといベオウルフが邪魔しなければこんなことにはならなかったってのに…………とは言っても怒りに任せて股間を抉り潰すのはやり過ぎた気はするかっ。

 

 

 

 と、まあここまで長々と内心で、やたらと推測混じりな独り言を語ってきた訳だが。

 

 

 それにはちゃんとした理由がある。

 

 

 

 実は今の俺は第5の特異点にはいない。

 いや、厳密には肉体だけ第5の特異点に置いてきた。

 俺は現在、住居宝具で形成している我が異空間に、魂だけで離脱しているのだ。

 

 その、ね? 思った以上に無防備な股間目掛けて聖剣の光が炸裂したもんだから、痛みが俺の許容量を超えるレベルだったらしく。

 

 

 

 [深刻な痛みを伴う致命的ダメージを急所にもらいました。一時救命措置として管理者の魂を緊急避難させます]

 

 

 

 って、システムアナウンス的なのが脳内に流れてきたと思いきや、異空間に意識だけ飛んできていたって訳だ。

 ……そういやこのシステムアナウンスもよくわからんよな。これ何なの? たまに脳内に流れることに疑問すらいだいてなかった過去の自分にツッコミたいわー。

 おっと! 流石に過去の自分に物理的に突っ込みたい訳じゃないからな!?(説明不要) 流石の俺も、ナルシストを極まり過ぎたそこまでの倒錯者になるのは無理!

 まあ、ともかく今までのはこの異空間から、第5の特異点にいる俺を含むカルデア組+現地協力サーヴァントを、意識のみの俺が俯瞰的に見ながらの発言だった訳だ。

 

 

 

 

 ………………(唐突なメンタル賢者モード)

 

 

 

 

 

 うん……さて、これからどうしようか。

 

 

 現場(アメリカ)の俺……というか肉体の俺の状況がその、ね? すこぶるまずいのよな。

 

 

 何がまずいって、直立不動なまま気絶してるのは百歩譲ってよしとするが、仲間達がそんな俺を善意で心配して近付いてきていた。

 

 本来であれば嬉しいことなのだが、問題となる俺の体質上、危機的状況でしかない。

 フルバーストからのテクノブレイク直行案件不可避。

 

 

 

 

 

 

 ……特に婦長にいたっては直接マイサンに治療を施そうとしている。ヤ バ い

 

 

 

 

 

 

 

 だから俺は苦肉の策として、スキル・性神の矜持を全力全開で行使し、無理矢理時間稼ぎをするはめになった。

 

 性神の矜持というスキルは、神性を内包する俺固有のスキルだが、基本的に戦闘時はオートで発揮される。……女性からの軽い接触でフルバーストするのを防ぐためにな。

 いやまあ、第4特異点の時のパイタッチ時は解除してたぜ?

 何せ性神の矜持展開してると感触とかわからんし。

 

 

 もちろん! あのお胸の感触を体感するためだったから、解除したこと自体は後悔してないぜ!!

 

 

 俺が後悔してるとしたら、フルバースト後の大賢者モードが解けた後の戦闘手段を日頃から用意しておかなかったことくらいだ。

 その点については今回は抜かり無しだ。

 いつでも敵の極上の女体をお触りする準備は万端だぜ!(セクハラ上等の変態)

 

 んで、性神の矜持を全力行使ってのは、オート発動じゃなく任意で防御性能を最大出力で使用してる訳だ。

 接触を完全にシャットアウトし、ある程度の攻撃なら無傷で耐えるくらいのな。自動迎撃機能とかは無いがね。

 ……まあ、魔力消費はそれなりにかかるし、モロチンが使ってきた馬鹿みたいな火力の通常攻撃とか、サーヴァントの宝具なんかだととてもじゃないが突き破られるけども。

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………………………あれ? 普通にまずくね?(それな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 頼む! 俺の肉体! 早くそのショック死しかねない激痛を和らげて! はよ!

 あと童帝の神オムツ(ヴァージナル・ダイアパー)! 中身の汚物をちゃっちゃと除去しちゃってくれよな!

 

 そしてマイパーティのみんな! マジで婦長を止めてくれ! 無理矢理俺の神気を打ち破って接触しようとするのは勘弁して!? 治療はしなくて良いんで! たとえフルバーストに耐えたとしても、股間をこんなとこで露出されたら俺の計画は全てオジャンだ。

 

 つーか、股間露出=オムツの中身ドバァ案件。

 即ちオムツの内側に描きし斬新な絵画、作品名『荒れ狂う下り龍──白濁の命を添えて──』を一般公開するはめになる。

 

 これこそまさに芸術は爆発だってやつだな。

 肛門も爆発(比喩)したし、何事もインパクトが必要なんだろうよ。

 

 ハハッ! ある意味対をなす汚い排泄物二大巨頭のコラボレーションを使って、オムツの内側に描くなんて世界でもきっと俺だけに違いない。

 その上そんな作品を一般公開し、なおかつその絵画の一部を描くのに使用した筆(意味深)を見せびらかすなんて、前代未聞なことだろう。

 

 イェーイ! 俺が美術界を塗り替えてやったぜ! オムツの中だけど茶色いのと白いので物理的にもな! 上手くねーわクソが(クソだけに)

 テメェも悪ノリすんなや。こんな話題のせいで、なんか異空間にいるのに臭ってきた気がするつっーの。……頼むぜ我が宝具(オムツ)、中身の魔力変換さっさとオナシャス!

 …………というか言うまでもないけど俺、美術界にケンカ売ってね?(風評被害甚だしい)

 

 

 これは美術界からの追放待った無しですわ(美術界どころか冥界からも追放されるレベル)

 

 

 ……いや、それ以前に中身晒すまでもなく、オムツ履いてる事実を知られた時点で、間違いなく社会的に終わるよね! だから婦長、早まらないで!?

 

 

 

 

 

 

 異空間にいる意識だけの俺は、肉体そのものが無いにもかかわらず、手に汗握っていた。

 まあ、そういう心境にもなる。要は焦りを覚えているからだ。

 だが今は待つ他ない。時に身を委ねるしかないのだ。

 

 

 だから今の俺は────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────息子を固く握りしめるしかやることがなかった(緊張感皆無)

 俺は無力だ。うっ! …………ふぅ。

 おや? ………………魂だけの身で出すといつもの白いのじゃなくて魔力の塊が出るんだな(初体験並感)

 

 

 

 

 




賢者の作品を買い取りたい方は挙手()

今回は約1万字
案の定の分割である、即ちこれは前編
なので次回は後編です
……当然後編の方が内容が酷いのはご愛嬌

分割なため、近いうちに後編も投稿できると思います(たぶん、メイビー)
更新が遅くなった理由は次回の後書きにて

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