賢者な英霊(仮)はとにかくヤりたい(真顔) 作:おき太さんかわゆい
第5特異点『イ・プルーリバス・ウナム』編第2話です
ここに来て漸く賢者さん視点にもシリアスさんの到来である(開幕からシリアスとは言ってない)
……この作品にシリアスさんいたの!? とか、シリアスさん生きてたんですか!? とか、突っ込んではいけない(無言の腹パン)
何とかギリギリセーフで8月中にもう一話投稿できたぜ……
あと、今更ながらこの作品を短編から連載に切り替えました(遅い)
もう途中からまるで短編じゃなかったですしね
それではどうぞ
それはこの俺、
そんな数ある技の1つ。
────秘技・
これは技名通り、眼力だけで性的対象を絶頂させる技、即ち究極の視姦だ。
この技の最大の特徴は、宝具ではなく単なる技術な為、いくらでも連射が可能な点だな。
けど、便利ではあるもののそこまで万能でもない。
まず対象範囲はそれなりに広いが、性的対象として見れない相手にはまるで効果を発揮しない。
当然、視界に入っていなければ影響されない。
不感症のような相手にはそもそも効かない。
さらに神性やそれに準ずるスキルを持つ者、または神霊よりの存在が相手だと、効果が薄れてしまう、または弾かれる。
そして、エクストラクラスの中には俺が扱う全ての
だから使う相手は常に選ぶ必要がある。
ただの雑魚ならほぼ迷いなしに使える技だが、今までは禁じ手ってことで封印してたしね。
正直、エレナママに使ったのは賭けだったんだぜ?
サーヴァント相手に事前情報も無しに使用するのは、ちょいとリスクが大きいし。
スキル・二次元シミュレーションを行使して正確にエレナちゃんの霊基を把握していれば問題なかったんだろうけど、そんな暇あの時は無かったしな。
……いやまあ見イキばっかしてる最中に把握しておけば、もっと早く使えてたんだろうけどさ(ゴミじゃねーか)
あ、ちなみに1回の視姦に就き1射出することになるデメリットもあるぜ?(※ただ見イキしてるだけです) だからあんまり連続行使したり多くの相手に使うと、
当然、エレナちゃんに
エレナママってば、あの体型が妖艶極まっててめちゃシコだから仕方ないよね☆
……話は変わるけどさ、股間は常にパンパンに膨れ上がってるし、バックからパンパンしたいよね(出荷不可避)
えっ? 騎乗位派? 背面座位派? いやこの二つのどっちかならってことなんだが……駅弁スタイルこそ志向? 口以外ノーサンキュー? でっかいおっぱい夢いっぱい? ケツ以外興味なし……お前らはいったい何を言ってるんだ……?(お前が言うな)
おかしいよ、ブラザーに変態しかいないんだが(類友ですねわかります)
誰が類友だし!?
心外だわー! そこまで俺、変態じゃねーし!
全人類の中から見たら俺レベルの変態なんて中の上……中の下くらいだし! …………あ。
でも、人理焼却の影響でまともに生き残ってる人間ってカルデアにしかいないんだっけ……?
となると? 現在時点での全人類ってのはカルデアの生き残りだけってことになるのか?
…………………………やだー! この中だと俺の変態性が浮き彫りじゃないですかー!?(今更並感)
い、いや! 諦めるのはまだ早い!
カルデア職員の中にも、俺を超えるかもしれない変態がいるのはリサーチ済みなんだ!
ソイツの名はミスター・ムニエル! ……なんか美味そうな名前だよな(腐ってやがる)
違うわ!? 料理の名前だから美味そうっつったんだよ!
そうじゃなくて! そのムニエルって奴はなんと業の深いことに『男の娘』が大好きな男性職員なのさ!
……お前もやん? ちゃうちゃう! 俺は女の子も普通に好きだから! 守備範囲が広いだけだから(弁明になってない)
ムニエル氏は『男の娘』のみに多大なる
そこまで俺はハイレベルじゃないやい!
あ? 白昼堂々と見イキしたり宝具とはいえブッカケかます時点で、変態チャンピオン間違いなし?
馬鹿野郎! ただでさえ童貞の頂点に君臨してるのに、変態の玉座なんざに座りたかないわ!? そんな不名誉な二冠とかマジで勘弁してくれ!(これが
二冠ってそういう意味じゃねーから! つーかそれだとグランドクラスを2枠持ってるみたいだし!
そんな大それたサーヴァントじゃねーよ俺。それ以前に童貞で変態のグランドサーヴァントとか、グランドクラスの恥さらしも良いとこだっつーの!
えっ? 既にサーヴァント全体で見ても恥さらしじゃねーか、だって?
ハッハッハッ、またまたご冗談を!(自覚なし)
俺がいつ恥を晒した?(破廉恥決定)
誰が破廉恥だし! 恥ずかしいことなんざこれっぽっちもしてないのに心外だわ!(うわぁ……)
ハァ……つーか俺はなんでセルフツッコミを心の中とはいえ、律儀にやってんだか、無駄に疲れたぞ(ご苦労様でーす☆)
…………おちょくられてる感半端ないなこれ。
で、結局どっち派なのさブラザー共は(しつこい)
…………は? そもそもヤッたこともないくせに体位の話とかナニイってんの? だと……。
それは禁句だろうがチクショウめ!!(号泣)
クソッタレが! もういいよ、話を戻す!
…………そんで元々なんの話してたんだっけ?
ああ! 俺の視姦技術におけるリスクの話だったっけ?
まあ何はともあれ、結果的にエレナちゃんを
その後はカルナにエレナを盾にして交渉を持ちかけ、俺達を拘束せず自由なままにしろ、代わりに王様とやらには会いに行ってやるし今は敵対するつもりもない、だから手を出すなってことで、妥協してもらった。
元々俺達を捕らえることにそんなにノリ気じゃなさそうだった大英雄カルナ相手に、指示を出していたエレナを人質にして交渉する策は、想定通り有効だったしな。
カルナの目というかスキルには、恐らく相手の本質的なものを見抜く力がある。
俺が約束を違えるような男ではないとわかったんだろうよ。
………………スキル・秘蔵の封印ちゃんと機能してるよね?(震え声)
いやさ、あんまりにもすんなり想定通りにことが進みすぎたもんだから、思わずカルナに質問しちまったんだよ。
『……やけに我の提案をあっさり承諾したな。どういうつもりだ?』
って。
そしたらさー、うん。
『……アヴェンジャー、確かにお前は何かしらの邪悪な野望を抱えているようだが、オレの眼をもってしてもそれが何なのかまではわからなかった。だがわかったこともある。お前はそれをしない』
『……何を根拠に?』
おかしくない? 秘蔵の封印は機能してるのはわかる。
それなのに邪悪な野望があることまで見抜くってどういうことよ!?
まあ、俺のこのスキルは拒絶感情によるところが大きいからかもしんないけど、にしたってカルナ……アンタの眼力どうなってんだ……。
(※カルナに対する拒絶感情は90%。ちなみに偽ソロモンには激しい同族嫌悪をいだいている為オーバー300%)
『お前はマスターとその仲間を守るためにやむなく
『それは────』
────確かにできた。
何せあの究極の視姦攻撃に予備動作なんてほぼいらない。
実際、二次元シミュレーションでの算出結果には全員で生き残る策として答えは出ていた。
しかし、まだあの時点での俺は
『お前が真の外道なら最初から手段は選ばない。傷付けることも厭わないだろう。だがお前は躊躇う。そしてそれはお前が抱える野望についても同様だ。お前が内心で何を思っていようと、その野望の成就を他ならぬお前自身が邪魔をする。それが良心なのか、はたまた咄嗟に体が反応するだけなのかそこまではわからんがな』
『…………』
いやちょっと!? さらっとなんか俺にとって不吉な予言染みたことを告げるのやめてくれます!?
実質それ俺にとって死刑宣告に等しいんですけど!? 言外に卒業不能って言われたようなもんじゃん!?
『しかし、お前は一度決めたことは最後まで守り通す男だろう? たとえ記憶を失っていたとしてもだ』
『……さぁな』
そりゃ、守る質だけどさ。
俺自身がガチで決めたことに関しては。
でもね? それが俺の卒業の邪魔になるようなことなんだとしたら破りたいんじゃが……。
しかも俺が忘れてるのに、俺はその何かを律儀に守ってるってのか? ……つーかなんで俺が知らないことまで見抜いてるんですかね。
『……故にお前は約束を反故にしない。反故にする時はこちらが約束を破ったり、やむを得ない事情が生じた場合に限るだろう。それだけで信用に値する』
『……そうか』
てな具合で信用を置いてくれてるのよね彼。
そんな信用嬉しかないわ!!
つーか、見抜き過ぎだろ! ……あ、もちろん見抜き(意味深)じゃないのよ?(申告不要)
そんな訳で、交渉自体は思い通りにいったはずなのに、むざむざと格の違いを見せつけられた感パナイせいで、何故か何かに負けた気がするまま、今は王様とやらの根城までカルナに案内してもらってる真っ最中だ。
うん? みんな(エレナ含む)は仲良く気絶してるから、一人一人に元の弾力を保ったままの白濁光を用いた、空中浮遊式マットレスモドキに乗せて運んでるぜ(元となった材質知ったら発狂しそう)
当然、臭いは無いぞ。あくまで感触だけ元のアレのままにしてるだけだからな(それはそれで汚い)
あ、もちろんこのマットレスモドキは俺が自在に操れる上、エレナちゃんが寝てるのだけは粘着性も元の状態を保たせてるから、とりもちの役割を果たしてくれるぞ。
一応人質だからね。この対応は仕方ないよね☆
……いやーそれにしても、眠ってる女の子達見て邪な気持ちも湧いたけど、一緒に眠ってるエミヤを見て、冷静になったわ。
この局面で不用意に触れて大賢者モードとか笑い話にもならねぇしな。
あと、そんな輸送手段を見ていたカルナになんか妙に感心されたんだが、あれは嫌みかね?
お前、もっととんでもないことしてんじゃねーか。
目からビーム放ったり、周囲一帯を蒸発させかねない炎を纏った槍を投擲してきたり。
特に俺は、秘蔵の封印越しに本質に近い情報を覗かれるなんて初めての経験だったってのに(初体験並感)
ハァ、やだわーもう。乙女の秘密を暴くな・ん・て(急なオネェ)
…………気持ち悪ッ!!(自滅)
茶化し方を盛大に間違えたぜ、吐きはしなかったけど、えずきが止まらうえっぷ……。
クソが……一つ間違ったら
……一度落ち着こう。幸いオカズならいっぱいいるし。
さて、最初は誰でシようか(最低な精神統一法)
まず候補に挙がるのは俺のマスター、藤丸立香ちゃん。
このカルデアに来て初めてのオナネタ相手であり、未だにトップスリーに食い込む程の愛用のオカズだ(※彼にとっては褒め言葉です)
ずっと思ってたんだけどさ、カルデアの制服デザインした人って変態じゃない?(迷推理)
いやだって、あんな胸が強調されるようにベルト付いてるとかアカンでしょ。あんなもん男なら誰だってガン見するわ。
その上、立香ちゃんの趣味なのか魔術礼装の仕様なのかは知らんけど、黒タイツ着用よ? 上も下も隙が無さすぎじゃろ。あ、もちろん胸派尻派みたいなフェチ的な面の隙の無さね? 立香ちゃん自体は若干無防備というか、隙だらけなとこあるし。
まあ、何が言いたいかと言うと、カルデアの制服のデザイン考えた奴マジグッジョブ(同じ穴の狢)
他の礼装もスケベだよね? カルデア戦闘服なんか体の線出まくりやし、魔術協会の礼装なんかへそチラしてんのよ? んでアトラス院はメガネ! はもちろんのこと、あんな短いスカートに横スリット入ってるとか控えめに言って最高だよな。つまり総じて全部エロいってことだが(身も蓋もない)
絶対カルデア職員の何人かは、隠れて立香ちゃんで抜いてると俺は確信している。
まあ、それくらいは許してやるよ。溜まる気持ちは俺にもわかるし、俺は寛大だからな。
しかし、露骨に見せびらかしてきたり、立香ちゃんに迫るような輩はナイチンにしてやんぜ!!
前者はモロチンの野郎だな! また
後者が現れたら……その時はどうしてやろうか?
え? 長い? まだ語り足りないんだが……はいはい、わかりましたよ。次な次。
マスターの一番のパートナー、マシュ・キリエライト。
屈指のオカズ率、不動の第一位(最低) いやだって一番彼女と一緒に戦闘出てるんだから自然とそうなるでしょ?
マスターは基本後方で指示だけど、マシュの直ぐ近くが戦闘での俺の定位置だし、
マシュのスタイルはまさしくパーフェクトマシュマロボディだ。あの体付きはズルい。
人によっては凶器に匹敵する。俺は狂喜乱舞したぜ。
第一、マシュに力を貸した英霊が与えた格好がまずいよね。彼女の高い魅力をさらにはね上げてんだ。
とにかくエロい! 完全にドスケベ衣装やん。どこの英霊か存じませんがありがとうございます! やっぱり父親の血は争えませんね!
特に鎧なしのレオタードみたいなインナー姿なんか、もうナニをするためでしかないようなお姿だし。
初めて見た時は思わずガッツポーズからの、股間のビルドアップからの、チャージショットをしたことは記憶に新しい。
彼女がシミュレータを使った自主練する時によくその姿になるんだよなー、いやー眼福眼福。
うむ? 何故自主練でしかしない姿を見たことがあるんだって?
何回かマシュの特訓に付き合って上げてるからさ。
報酬はその姿と彼女の汗の香り、上気した顔を見たり嗅いだりできるだけでお釣りが来るってもんよ。
さらに美味しいのは彼女がデミ・サーヴァントであり普段はメガネと白衣に黒ストという、一粒で二度美味しい格好してることだな。
…………あれ? なんか独りオカズ品評会みたいなことしてたら、落ち着いて来ちゃったぞ? 逆に我が息子は直立不動のバッキバキだから緊張状態に入っちゃったがね。
よし! ここで止めるのも気持ち悪いし、リリィちゃんについても語ろうか(もうやめい)
アルトリア種の中で唯一の純真無垢なエンジェルセイバー、アルトリア・リリィ。
可憐って言葉がここまでしっくり来る少女もなかなかいないと思うよ、うん。控えめに言って天使だよね。
アルトリア種はみんなオカズだが、その中で最も背徳感を覚えるのが彼女だ。
良いよね背徳感……エロいことをする場合に限っては興奮を与えてくれる最高のスパイスだよな。
天使な彼女を妄想内で汚すのは極めて快感!
特にお気に入りの妄想は、両手を拘束して吊るしながらやる辱しめプレイだな。
清純なリリィだからこそ映えるシチュエーションだ。
あと、衣装が良いよね衣装が。まさに姫騎士って感じで。
基本的にいらんことしかしないあの引きこもり夢魔もたまには良いことするよな。
あの服装選ばせたのアイツみたいだし。
まあ、ヤリチンだから俺はアイツ嫌いだけども。
「フォウフォウ!」
ん? おや? この白いモフモフって。
「……キミは無事だったのか、フォウ」
「フォウ!」
マシュの盾の裏にでも隠れてたのか?
平然と出てきたなコイツ……てか、さっき頷いてたような。
あ、そういえば! フォウにはそりゃ人間に比べて俺からの拒絶感情なんざほぼないに等しいから、秘蔵の封印が上手く働いてない感じなのか。
え、にしたって俺の考えてることがわかったの?
知性ある変わった
つまり。
「もしかしてキミ、マーリンのこと知ってて、その上嫌いなのかい?」
「フォウフォウフォウ」
激しく頷いてるゥゥ!!
まさかの意気投合である。
同士がこんな近くにいたとはなー。
「……フォウ。キミとはカルデアに帰還してから、じっくり我が自室で語り合いたいものだ」
「フォーウ、フォウ」
俺は彼のちょこんとした前足と握手を交わした。
フォウくん。お前とはカルデアで初の本音で語らえる友人になれるかもしれないな。
思いっきり愚痴を言い合おうぜ! 俺もアイツとは同じボッチとして、何かと変な縁が……まあ、この話も含めてカルデアで話すか。
だから今は。
「マスターやマシュを見ててやってくれるか?」
「フォーウ!」
良いお返事と共に彼女達の元に駆けてったな。
いやー、利口だねフォウくんは。
カラーリングがあの人でなしとそっくりなのに、中身は似ても似つかないぜオイ。
獣より劣る人間性ェ……。
そういやあのクズボッチって今はナニしてんだ?
世界は人理焼却なんて大変な事態になってる訳だが……いや予想は簡単だわ、相変わらず妖精郷でニートしながら悪趣味な観察してんだろうなー(遠い目)
ハァ……見た目だけなら俺の好みだってのに、声もあれだが人格がクソ過ぎて、なんて残念なんだ(おまいう)
俺達のこともずっと見てるんだろ? 俺は秘蔵の封印の効果で見られてないだろうけど…………待て、だとするとマスターとかマシュのことも常に見てるってことだよな……。
……野郎! まさか俺の許可なく立香ちゃんとかマシュの着替えやらお風呂時のモロ全裸やら千里眼で見てんのか!?
フッフッフッ……マーリン顔貸せや、今度会ったら屋上に来いよぶっ飛ばしてやっから!!(……擁護不能)
クソが! なんかイライラが募ってきたわ!
あんな奴のこと思い出すんじゃなかったぜ……おかげで嫌な可能性も思い付いちまったし。
…………しゃーねぇか、リリィとは別の天使でも見て落ち着……────────ッッッッ!!!???
目を向けた件の別の天使、クリミアの天使ことナイチンゲールさんが、無機質な赤い目で俺を凝視してるんですけど!? 思わず目が合っちゃったんですけど!?
めちゃくちゃ内心キョドってるが流石は秘蔵の封印。バッチリいつもの仏頂面だ。
だがここで無視するのもおかしいので、おずおずとだが声をかけることにする。
「………………目を覚ましてたのか」
「ええ。つい先程」
えぇ……その体勢のまんまで普通に返答かいな。
ホバー移動式白濁マットレスで横になったままの彼女から、赤い眼光が突き刺さるんじゃが。
まるで監視カメラのようだ。
ぶっちゃけシュールな絵面だが、なんか恐い。
「現在の状況をお教えいただけますか?」
「……ああ」
お、おう……寝そべったままなんスね。
もしかして婦長、マットレスモドキの感触気に入っちゃった感じ?
確かに婦長以外はまだ気持ち良さそうにグッスリ眠ってるしな。
これが人を駄目にするマットレスか……(種汁の感触)
まあ、ここまでの経緯を話すくらい寝そべったままでも問題ないし、軽く説明するとすっかな。
「────という訳だ」
「なるほど……そういうことでしたか」
簡易説明を終えても未だ寝そべったままな婦長。
気に入ったんですね? 喜んでる表情にはとても見えないけども。でも体はリラックスしてるように見えるし。
ただし凝視は現状維持。
恐いって! 何なの? 何か言いたいことがあるならさっさと言って欲しいんだが!?
……クソッ! スキル・二次元シミュレーションでも婦長の狂化が強すぎて思考が読み取れねぇ! これだからバーサーカーは困る!
っと、これはケルト臭……? お! 先頭で道案内してたカルナが戻ってきやがったぞ?
「……すまないが、敵だ。オレ一人でも蹴散らせるが、それは周りの被害を考えなければの話だ。つまり────」
「協力した方が良いんだろう? 手早く済ませるぞ。この程度の連中ならマスターを起こすまでもない」
「……私も手伝いましょう。ケルトの戦士を粛清します。徹底的に。病原菌は殺菌しなければ!」
お! なんか名残惜しげに漸くナイチンさんも起き上がったか。これであのシュールな光景はおしま……凝視は続けんの!? もう何なのさ! 居心地が悪いってレベルじゃねぇんだが!?
まあ、今はわらわら集まってきた敵を屠ることに集中して気を紛らわすかね。というか戦闘には集中して下さいよナイチンゲールさん?
つーか、やっぱりケルト兵か……! それとコイツらみんなオッサンの外見なのになんで女の匂いが染み付いてんだ? しかも全員同じ女の匂い……スキル・二次元シミュレーション演算開始────完了。
ははーん? コイツら全員一人の女に生み出された量産型か。そしてその女ってのは恐らく十中八九サーヴァント。
…………この匂いを漂わす女のサーヴァント。
もしや俺が警戒する天敵の
予測が外れてくれると助かるんだが、な!
強烈に重そうな、周囲にあまり響かない打撃音。
俺はケルト兵が槍で突撃をかましてきたので、最小限の動きでそれを避け顔面にクロスカウンターをぶちこんだのだ。
その後直ぐ様性剣を展開し、伸縮自在かつ鞭のように扱える光の刃を用いて、ケルト兵を一掃しにかかった。
それは唐突だった。
今まで無言で見ていただけのナイチンゲールが。
まさかの戦闘中に話しかけてきたのは。
「賢者のアヴェンジャー。少しよろしいですか?」
「……なんだ? こんな時に」
「ずっと視診させてもらっていましたが貴方。皆さんには上手く隠しているようですけれど、かなり心を病んでいますね。私の目は誤魔化せませんよ」
「…………なんのことだ?」
目の前のケルト兵を容易く性剣で斬り伏せ、平静を保ったふうを装いながらも、俺は焦りを覚えていた。
ギクリとしたのだ。
表情には出ていないはずだが、今までで一番の警鐘。
正直マシュ達が未だ気絶してる上、戦っているケルト兵とは若干距離が離れているからこそ、内心の動揺もそこまで酷くないのが幸いか。
モロチンの千里眼など恐るるに足らず。
スキル・秘蔵の封印は絶大だ。
俺が拒絶さえすれば必ず秘密を外には漏らさない。
……いやまあ、ついさっきカルナの眼力には多少情報漏らされたけどさ。でも真相にまでは辿り着かれてないし、ヤバい洞察スキル持ちなのも間違いないから奴は例外だろ。
そう、カルナはあくまで例外なのだ。
にもかかわらず、ナイチンゲールは俺の本性に感付いたというのか……!? 二次元シミュレーションで算出した感じだと、そんな秘蔵の封印を破るようなスキルを彼女は持ってないはずだぞ!
つーかさっきから凝視されてると思ったら、視診だったんかい!
いや、だが心を病んでいる? 俺の本性が病んでいるように見えるってことか?(ある意味病気だろ)
てか何処が病気だし! 健康優良児そのものじゃん。男が女を求めるのは本能だろ? 俺は本能に多少忠実なだけだ(多少……?)
「……もしや気付いていないのですか? 自分が病んでいることにすら。……いえ、貴方は目を逸らしているだけです。向き合いなさい」
「…………」
俺が目を逸らしている? うん? なんか俺の本性のことではないっぽいな。でも向き合えって言われてもなんのことだかさっぱり────
「病状まではわかりませんでした。ですが貴方が病気だということ。あなた自身が抱える病に向き合わなければ、治らないということだけは、私が直接貴方を見て確信しています」
────職業柄なのか知らんけど、何なのその直感力というか洞察力的なの……カルナはまだ仕方ないかって思ったりもしたけど、ナイチンゲールさんに関してはスキル関係なしに秘蔵の封印をすり抜けてんの? どうなってんだよマジで。
「私が嫌いなものは『治せない病気』と『治ろうとしない患者』です。貴方は恐らく後者。
拳銃をケルト兵に容赦なく発砲しながら、一切のブレもなくナイチンゲールは俺にそう告げた。
視線は常に俺に合わせたまま、だ。
片手間に処理されるケルト兵ェ……。
それよりも。
事実から目を逸らす? ……………………もしや、そういうことなのか?
よく俺の心の声に反応してかとんでくる補足のような毎度声の違う言葉の数々。
魔神柱を初めて見た時に頭に流れ込んできた謎の意思。
モロチンが帰っていった後に頭に何故か刺さっていた二つのブーメラン。
そして、時折とんでくる毎度同じ声による辛辣な台詞。
あれらは幻聴ではない? あの謎の意思はもしや何処か別のとこから直接流れてきた? ブーメランを投げつけてきた『誰か』がちゃんと存在する? 全部、俺の脳内ファンタジーが作り出したセルフツッコミだとずっと
「……貴方が何を考えているかまでは窺い知ることはできませんが、何かに気付いたようですね。その調子で向き合って下さい。そうすれば私も本格的に治療ができます」
「……………………………………善処する」
「どうやら想定より症状は軽そうですね」
ケルト兵の扱いがかなり雑ではあるが、ちゃんとお互い仕事はこなしていた。
でも……マジか。まあ、実際今無意識に思い込もうとしていたことを自覚したから、間違っては無さそうだけど。
えっ、じゃあ何? 俺が語りかけてたブラザーって、俺が勝手に作り出した脳内フレンズじゃないの?(気付くの遅すぎワロタ)
…………完全に馬鹿にされたね今。
つーか複数の笑い声まで聞こえるね……もしや俺の中にいるのか? いや誰が?
こりゃ、なんか色々と俺が今まで『普通』だと思って生きてきてたことに『間違い』がてんこ盛りな気配が……。
俺自身の真実を、俺が把握してないって事態にまで発展したとなると……秘蔵の封印で『過去の俺』が色々と拒絶してる可能性まで出てきたんだが。
うーん……いったん保留にしよう。
今は戦場だし。
でも、これはどちらにしろ『真実』とやらと向き合う必要が出てきたかな……。
「本来なら一刻も早く貴方を治療したいところですが、患部は複数。こういう状況では
「……いや、あとは自力で治すさ。我の病状は何となくだが理解した。キミのおかげだナイチンゲール」
会話をしながらも互いにケルト兵を斬り刻み、撃ち殺す。
「……そうですか。ですが念のためベッドの上でお休みになられた方がよろしいかと」
「大丈夫だ。そこまで我は軟じゃない。精神力は相当なものだと自負しているからな」
でなきゃ、500年以上も異空間に引きこもって、オナりながらボッチ生活してな…………あ?
ちょいと待った。
俺って記憶が色々と磨耗してるのは確かなんだが、500年までは間違いなく数えてたんだ。
だが
これってどういうこと……?
何とも言えない気持ち悪さを感じながらも、俺は最後のケルト兵を性剣で串刺しにしたのだった。
――――――――――――――――――――
一人の
彼は独りだった。
なのにたくさんいた。
矛盾している。
一人しかいない彼の中に入りきらない程の『誰か』。
明確な姿もなければ声だって聴こえない。
けれど、思念だけは伝わってくる。
──ヤらせろヤらせろヤらせろヤらせろヤらせろヤらせろヤらせろヤらせろヤらせろヤらせろヤらせろヤらせろ。
──女、女、女、女、女、女、女、女、女、女、女、女、女、女、女、女、女、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ、オンナ。
──抱きたかった、入れたかった、突っ込みたかった。
──捨てさせろ、捨てさせろ、お前と一緒に捨てさせろ。
──神なら叶えろよ願いを、無念を晴らさせろよ。
──イきたい、イきたい、イきたい、イきた────
『うるさい! 黙れっ!!!!!!!!!』
────思念が止んだ。
青年の叫び声によって。
『オレは、お前らの無念を晴らす為に神になった訳じゃ断じてない! オレはオレのモノを捨てたいが為に、今まで生きてこの座にやって来たんだ! なのになんで意志が弱かったから死に果てたお前らみたいな負け犬が、オレが現れた途端チャンスとばかりに魂だけで舞い戻ってきてんだ!? そんだけの意志力がありゃオレ程じゃないにしても、オレより下の同胞くらいにはなれたはずだろうが! だってのになんで今更戻ってきやがった!? オレに取り憑くためだけに! わざわざ神に手が届いたオレに追い出されないよう集合意識のような魂の塊になってまでして!! お前らの尻拭いをオレがしてくれるなんて都合の良いこと考えてんじゃねぇよ!!!!』
──うるさいうるさいうるさいうるさい!!
──神の名を得たのなら我らの願いを叶える義務がある!
『そんな義務なんざありゃしねぇ!! 勝手にオレの中に居座っておいてそんなルールを作ってんじゃねーよ!! さっさとオレの中から出ていけ!!』
──我らの無念を叶える気がないならばその身を差し出せ!!
──そうだ!
──いい加減に抗うのをやめて差し出せ!!
『うるせぇ!! テメェらなんざに差し出したら片っ端から女子共を私欲のままにヤろうとするだけだろうが!』
──無念なまま死に絶えた我らの悲願『◼◼を捨てさせてくれなかった世界への復讐』。それを叶えようとしていったい何が悪いと言うんだ?
『そんな考えの奴らにオレの体の主導権をくれてやる訳ねぇだろ! 動物と変わらないどころか、動物以下じゃねーか。ヤるだけヤッてポイ捨てするテメェらと、つがいとして共にいようとする動物。動物の方が余程利口だ。捨てられればなんでも良い、捨てた後の先のことをまるで考えていない。捨てることが目的になっちまってるテメェらに、捨てる資格がある訳ねーだろうが!!』
──フン、貴様は捨てようと思えば捨てられたくせに捨てなかった。何をそこまで頑なに抑え込んでいるのか理解に苦しむぞ。
──そうだ。あらゆる世界で最も◼◼を捨てるのが容易かったはずのお前が、◼◼の頂点に君臨するなど訳がわからない。……まあ、常に流れ込んでくる我ら以外の◼◼達の欲に抗える、その異常な精神力があるからこそ◼◼◻◻◻に選ばれたのだろうがな。
──ハッ! 俺らがもし◼◼◻◻◻だったら獣に即刻なってたぜ! お前だって成りたくて◼◼◻◻◻になったわけじゃねーんだろ? だったら体を明け渡せ。その役目俺達が代わりに担ってやっからさ!
「……いい加減耳障りだ。失せろ。オレはお前らみたいに私欲まみれになるつもりはない。オレはオレが捨てたい時に捨てる」
──…………ならお前は何故捨てたいのだ?
『は? 何故ってそんなもの決まって────え……いや。待てよ、そんなはず……そんなはずは! 嘘だろ……まさかそんな…………なんでオレは、捨てたかったんだ……?』
青年の記憶は長い時間の中で磨耗していた。
だが、それ以上に流れ込んできた名も知らぬ『誰か』の大量の記憶と時間。
それらに抵抗し続けて自分を保っていた彼も、元々持っていたはずの大事な記憶が欠落していることには今の今まで気付けなかったのだ。
『……………………封印する』
──な、に?
『オレもテメェらもまとめて封印する。これ以上の記憶の磨耗と欠落を防ぐために永久に封印してやる。その間にオレの元の記憶を再構築する』
──そんなことをすれば、どうなるかわかっているのか!?
『今のオレではなくなるが、それでも「俺」であることには変わりない。断じてテメェらではないんだ。「俺」なら捨てたいという意志は残っても、テメェらによって増幅した激しい欲求があろうと、誰彼構わず女子共を襲うケダモノには成り果てない。そうなるとオレは「俺」を信じてる』
──やめろやめろやめロヤメロヤメロヤメロ!!
──我らの意識がないままもしも捨てられたら、我らは感覚だけで成仏してしまう!
──いや、それどころか卒業でなくとも感覚だけは流れてくるのだとしたら……ただ果てるだけで目的を達成せずして、我々は完全に成仏してしまうのでは……。
『だろうな。意志力が弱いからテメェらは
──嫌だ嫌だいやだイヤだイヤダ!
──そんな死に方は嫌だ! 人間ですらない! ただの細胞に成り果てて死ぬなど!
──こんなことになるなら、戻ってこなければ良かった!
──無念のまま死んだ方がまだマシだった!
『後悔するのが遅いぜ。「秘蔵の封印」最大出力! 誰にも知られず魂さえも死に絶えるが良い!!』
思念は一瞬にして消え去った。
そして、青年も電源が切れたロボットの如くその場に倒れ伏す。
『彼ら』はこの日、世界の記録から消え去った。
いつなのかもわからないが『彼ら』の痕跡は永遠かもしれない眠りについたのだった。
そして『青年自身』の意識も。
『ん……なんだここ。…………ああ、「俺」の住居か。ぐっ!? 頭が割れるように痛い!! 「俺」はいったい誰なんだ……? 保有する記憶があまりにも多すぎる……「俺」はなんなんだ────────…………まあ、どうでも良いかそんなこと。名なら一応あるしな。神としての名が。そんなことよりさっさとイクか!!』
こうして『彼』は誰に知られることもなく目覚めた。
――――――――――――――――――――
……今のは夢?
「先輩、先輩……!」
「マシュ……? ッ…………頭が痛い……」
あれ?
確か私、賢者さんを一人置いて逃げるなんてやっぱりできないからって、戻ろうとした直後に、槍が降ってきてるのを目撃して、思わず距離的に届くはずもないのに賢者さんに手を伸ばして、それで……そこから記憶がないや。頭もズキズキするし。
「良かった、起きました!」
「無事で良かったです。……マスターだけがなかなか目を覚まさないので心配しました」
「あはは……心配かけてごめんねみんな」
私、やっぱり気を失ってたんだ……なんか変わった感触のベッドってこれ……この色、光ってるってことは賢者さんがよく使ってる光の術かな? こんな応用も利く────!?
「そ、そういえば賢者さんは無事なの!?」
「マ、マスター!? か、顔が近いです!」
「あ! ご、ごめんリリィ」
「落ち着いて下さい先輩! 賢者さんならほら、今はあちらでレディ・ブラヴァツキーと話をしています」
慌てて後ろを振り向けば、浮遊するベッドの上で寝たきりなままのエレナ・ブラヴァツキーと、会話を交わす後ろ姿の賢者さんが。
良かった……何ともなさそう。
ほっと胸を撫で下ろすと、ナイチンゲールさんが声をかけてきた。
「簡単に状況を説明します。宝具の一撃を貴女のサーヴァントが防ぎました。が、その余波だけで賢者のアヴェンジャー以外見事に失神。その後、彼がエレナ・ブラヴァツキーを人質にしてカルナを脅迫。結果、王に会うことになりました。以上です」
「…………………………………………えっ?」
「あのナイチンゲールさん、その説明だと先輩に誤解が……」
「何か問題でも?」
えっ……えっ? 賢者さんがエレナちゃんを人質にしてカルナを脅迫!? ど、どういうこと? しかも結果王様に会うことになったって……えっ? もしかして賢者さんが犯罪者認定されて捕まっちゃうってこと!? え、どうしよう? えっとえっと! と、とにかく賢者さんを連れて逃げなきゃ……!
「それでは端折り過ぎだナイチンゲール女史。仕方がない、私が代わりに一から説明しよう。だからマスター、混乱から立ち直ってくれ。恐らく君が考えているようなことはない。誤解だ」
「……ふぇっ!? ご、誤解?」
「ああ、実はだな────」
割り込んできたエミヤからのフォローに満ちた説明を受けて、私は酷く安心した。
私達を守る為に賢者さんは仕方なくエレナちゃんを人質にして、カルナに交渉を持ちかけたんだってわかったから。
もちろん私は賢者さんが一方的に悪いことをするなんて思ってなかったから、いったんほとぼりが冷めるなり、潔白を証明する為の時間稼ぎとして、賢者さんを連れて逃げようと考えたんだけどね。
「────で、今は拘束はされないものの、条件として任意同行という形で王に謁見しに行くことになった訳だ。理解してもらえたかね?」
「なるほどー、ありがとねお母さん」
「誰がお母さんだ誰が」
流石はエミヤ。
わかりやすく簡潔に説明してくれた。
少し離れた場所にいたのに、ナイチンゲールさんの発言を耳にして、わざわざ説明しに来てくれる辺り、この面倒見の良さはお母さんでしょ。
「相変わらず君というやつは。……まあそれはいい。それよりも先程は流石に肝を冷やしたぞマスター。いきなり逆走し出すんだからな。……やはり賢者か?」
「えっと、うん。ごめん。でも、賢者さんに無茶な殿をさせておいて、マスターの私がただ逃げ延びるなんて……どうしてもしたくなかったんだ」
賢者さんがあのとんでもない大英雄、カルナの足止めをしてくれた。
私達が離脱する時間を稼ぐために。
頭ではマスターである私が生き残りさえすれば、ここでサーヴァントの賢者さんがやられたとしても、カルデアに帰還するだけだってわかってた。
でも心の奥底では、また賢者さんに頼り切りなまま、背中を向けるのが、諦めるのが、逃げ出すのが、たまらなく私は嫌だったんだ。
ロンドンでの覚悟を無駄にしたくなかったから。
私自身は戦えはしないけど、それでもマスターとサーヴァントは運命共同体だと思ってる。
サーヴァントがいくら替えのきく『兵器』なんだとしても、心がある彼らを蔑ろにして、自分だけ傷付かずにのうのうと生き延びるのは我慢できなかった。
私は魔術を扱う者としては未熟も未熟。
支給された魔術礼装や令呪が無ければ、サポートさえまともにできない技量不足の落ちこぼれ。
マスターとしては不甲斐ないことこの上ない。
でも、それでも。
賢者さんが私を唯一のマスターだと認めてくれた。
それだけで私のやる気に火を付けるのには充分だった。
天才なんかじゃないからマスターとしての実力を急には伸ばせない。
だから私は自分が今すぐにでもできることを探した。
答えは簡単だった。
マスターは司令塔、結局は最終的にサーヴァントの力頼りになる。
だったらサーヴァントひとりひとりと交流して、彼ら自身を知ることが重要だと思ったんだよね。
有名な伝承や噂に踊らされず、個々人と真正面から向き合って、その上でサーヴァントの意に沿えるように努力する。
まずは信頼を勝ち取って仲良くなる。
どうせ私に彼らを『兵器』として見て扱うなんて、土台性格的に無理だし、必然的に犠牲を出して戦うなんて選択をわざわざ取ろうとも思えない。
なら、もっとサーヴァントのことを知るために、情が湧くような方法を取ったって問題ないって考えたんだ。
サーヴァント個々人を知ることができれば、何ができて何が苦手なのか、何が得意で何をしたいのか、それらをもとに戦術を組み立てる。
そして何よりサーヴァントひとりひとりを大切にしたい。
その気持ちが、私が掲げるマスターとしての誇り。
だからそう思うきっかけをくれた賢者さんを見捨てる真似なんて、できるはずもなかったんだ。
まあ、実際は助けなんて必要なかったみたいだけど……。
「ハァ……賢者を君が心配するのはわかるが、そういう時こそ令呪を使いたまえ。こちらから向かわずとも、逆にこちらへ賢者を強制的に呼び戻せば済んだことだろう?」
「あ」
私はエミヤに言われて、ハッとなり右手の甲を見た。
そこには当然、三画未使用の令呪。
お、おかしいなー? 冷や汗が出てきたよ?
あんまり前を向きたくないなー、下を向いたままでいたいなー、なんて。
チラッと上目遣いで見てみたら、叱ってる時のお母さんみたいな雰囲気を醸し出しているエミヤと目があった。
「……さては令呪の存在を忘れていたなマスター? うっかりし過ぎじゃないかね?」
「軽率でした! 本当にごめんなさい!!」
「まったく。何とか今回は無事だったから良かったものの……君はもう少し自分の身を大事にしたまえ。そもそもだな、君は危機感が色々と足りてない────」
そこからはエミヤからのくどくどと長いお説教だった。
今回は私の判断が悪かったから叱られても仕方がないし、ぐうの音も出ないよ。
私のバカ。相変わらずの未熟者。
途中からエミヤの説教がカルデアの家事全般についての話に脱線したのを機に、私はさっき見た夢について反芻していた。
あれが隠者さんが言っていたこと、だよね?
今朝も、たぶんマシュの過去を夢で見たから、あれも賢者さんの過去だと思う。
夢だったから少しうろ覚えだし、表情は見えなかった。
だけど服装や声は同じだったから間違いないと思う。
でも、夢で見た『最初の』賢者さんも、『その次の』賢者さんも私が知ってる賢者さんじゃなかったんだよね……。
だって口調がまるで違う上、テンションも随分と高かったし。
私が知ってる賢者さんは基本的に寡黙で、喋るとしてもあんなにテンション高くないし、それに賢者さんは自分のことを『我』って言うしなー。
…………記憶が磨耗してたり欠落してるとも言ってたよね?
それでその磨耗を防ぐために意識を封印したって。
じゃあ、今の賢者さんは色々と封印した上であんな感じになったってことなのかな?
それに『最初の』賢者さんの中になんかいっぱい誰かの意識があったのも気になる。
言葉は無かった上、何か意思というか思念みたいなのは感じたけど、何を伝えてるかまでは断片的にしかわからなかった。
でも『最初の』賢者さんに無理矢理取り憑いて、抵抗する賢者さんの体を操って何かをさせようとしていたことだけは確かだ。
まあ、あの夢の通りならそのたくさんの誰かはもういない可能性が高いのかも。
結局、私にとっては疑問の方が増えた感じだよ。
でも、わかったこともあった。
賢者さんが何かの『神』だということ。
捨てたいものを思い出すために『過去の』賢者さんが恐らく眠っているということ。
そして同時に浮かんだ不安。
賢者さんはずっと何かを捨てたいって願ってた。
それはつまり、記憶が再構築されれば『過去の』賢者さんが目覚めるってことなんじゃないのかな? って。
だからこそ不安が過った。
もしも『過去の』賢者さんが目覚めたら『今の』賢者さんはどうなっちゃうんだろう?
私が最悪の展開を想像しかけたところで────
目的地にちょうど到着した。
────それが果たして良いことだったのか、それとも先伸ばしにしたに過ぎなかったのか、今の私にはわからなかった。
――――――――――――――――――――
「あなたには見事にはめられたわ」
エレナママが目覚めた直後、開口一番俺に告げたのがこの一言だった。
って、ハメられた!? えっ! いや俺ハメてはないはずよ? 視姦しただけで!
それとも無意識にハメてたパティーン!?
もしや『いつからお前が童貞だと錯覚していた』的な展開なのか?
いつの間にかエレナママで童貞卒業してたってこと?
なるほど、それならカルナがさっき言っていたことにも納得がいく。
『お前が内心で何を思っていようと、その野望の成就を他ならぬお前自身が邪魔をする』
即ち、もう童貞を卒業してて童貞じゃないんだから、もう一度卒業することはできないってことだな!?
そうか……俺はもう願いを叶えてたのか。
エレナちゃん、キミが俺の鞘(意味深)だったんだ────
「まさかカルナに匹敵する強さのサーヴァントだったなんて。流石に予想外だったわ」
────あっ(察し) そっち?
ハメられたってそっちの意味?(当たり前だろ)
何さ! さっきまでツッコミなかったじゃねーか!?
今頃ツッコミやがって……マジうぜぇ!
俺は婦長に指摘されて自分と向き合う選択を取ることにした。
つまり『過去の俺』とやらが俺自身にかけた秘蔵の封印を緩めるという選択。
いや、実のところ秘蔵の封印がかけられていた自覚すら無いんだけどな?
だが、実際かかっていた。
しかも俺の今の意思力じゃ枷を外しきれない程のロックが。
しかし、幾つかの封印は解かれた。
結果『中にいる奴ら』と『外にいる奴ら』を知覚できるようになったのだ。
そのため『中にいる奴ら』と『外にいる奴ら』を意識し出したせいか、至近距離で大勢の笑い声と笑い声の真ん中に立たされてる感じになってんだが!?
やめろや! 爆笑すんな! うるせぇわ!
ちくせう……いや、わかってたよ。
卒業してたらまずここにいないってことに(泣)
大賢者モードにすらなってない時点でお察しですよ(涙)
それに意識が途切れた覚えも無いしな。
まあ、正直ちょっとホッとしてんだがね。
意識があったのに知らん間に初体験済んでたとか、一種のホラーだろ。
つーか、
女体を拝まずして、感触、匂い、味、快感を堪能せずして、何が童貞卒業か!(欲望駄々漏れ)
しかもエレナちゃんがお相手だってのに艶姿見られてないとか、自殺もんだろそれ。
やり直し要求案件だわ。
よし、今すぐヤろうぜ!(無理です)
俺のマハトマ(意味深)を感じさせてよがらせ、第一の光(白濁)とか第二の光(白濁)を、彼女の霊基に着弾させてやっから!(パイプカット不可避)
じょ、冗談だよ。やだなー(目逸らし)
そんな訳である意味良かったぜ……いや、ヤれてないのは正直な話、残念なんだけどな?
「それよりもあたし、あなたに言いたいことがあるの」
「……なんだ?」
「なによ……これっ……! 起き上がれないどころか動けないじゃない!」
「とりもちだからな。悪いがキミは人質だ。大人しくしてもらおう」
正直、ネバネバマットレスで横になったまま動けないエレナママ。最高だぜ!
何度見イキしたことか。
ん? 今? シてますが何か?(牢獄直行案件)
「…………ま、こっちも強引な手段で捕らえようとしたんだし自業自得、か。よくってよ。当初の目的通り王様には会ってくれるみたいだし。こっちは負けた身だものね、今はあなたの言う通りにしてあげる」
それは……性交の合意と見てよろしいですね?(よろしかないわ)
「それに王様に会って、あなたがこっちの味方についてくれるかもしれないものね」
「……可能性は無くはないな。まだ野蛮なケルト兵を率いてる連中に比べて会話が通じそうではあるし」
だから体でもコミュニケーション取ろうぜ?(1回死のう?)
「カルナと同等の戦力が味方になるなら心強いわね。ねぇ、こっちについて下さらない?」
「………………マスターが決めることだ」
ずるくない? やたらエロくない? 思わず熟考しちゃったわ。あ、もちろんハイアラキ(意味深)も出たよ(最低)
「ふふ、それでも悩んではくれるのね」
「……戦った相手だからって頭ごなしに敵と決めつける程、我の頭は固くない」
股間は硬いけどな!(ドヤァ)
それと美少女の頼みなら一考するに値する。
あ? オッサンなら? 死んでどうぞ(清々しい屑)
「……あと1つ、いいかしら?」
「なんだ?」
おや? エレナちゃんの顔がちょっと赤い?
キュピーン! これはまさか愛の告白!?(病院が来い)
「その、アタシが気絶する前、体が痺れた……というか、気持ちい……ううん、違う! なんか体が変な感じになったんだけど、もしかしてあなたの仕業?」
「断じて違います」
「なんで敬語」
「カルナ、もうすぐか目的地は?」
「うん? ああ」
「ちょっと!」
愛の告白かと思った?(誰も思ってない)
残念! 俺の所業が暴かれそうになったので話を逸らして撤退、でした!(バレなくて残念だわ)
……今の発言した奴、特定して後でボコるわ(やめて)
はい。
城塞に到着したぜ。
アメリカの国旗が並ぶ城塞って、違和感パナイわー、とか思いながら玉座的な場所に案内された。
今から大統王とやらに拝謁するのだ。
待ってる間に、みんなも無事目を覚ましたようで何より、的な会話を交わしていた。
しかして王が姿を現す。
その姿を見て仲間のみんなは一様に絶句していた。
無理もない。
何せ頭部がどう見ても人間ではないのだ。
ドクターロマニもモニター越しにその姿を捉え、現実逃避気味に口を開いた。
『あれー? モニターの故障かなー? クリーチャーしか映ってないぞぅー?』
何!? クリちゃんが映ってるだとっ!?(難聴)
何処だ! 何処にクリちゃんが映ってるって言うんだ! アメコミスーツのライオンしかいねーじゃねぇか!?
ドクターの嘘つき!!(理不尽)
クリちゃんならこの場に5つあるはずだ!
さっさと映すんだよォ!!
「我こそはあの野蛮なるケルトを粉砕する役割を背負った、このアメリカを統べる王────サーヴァントにしてサーヴァントを養うジェントルマン! 大統王、トーマス・アルバ・エジソンである!!」
……クリ…………は? エジソン? あの発明王の?
ハッハッハッ! 何の冗談ですかねー?
どっからどう見てもライオンだよこれ!?
大統王じゃなくて獅子王に改名しろよ!!
えっ? ダメ? 何故に?
うっ! ……ふぅ。
落ち着こう。
どう見てもライオン頭のマッチョヒーローだけど、本人はエジソンって名乗ってるんだから仕方ない。
だが、本当にあの発明王のエジソンなのか、あんなライオン頭では信じがたい(もっともらしいことを言うときは)
よし、証拠に何か作ってもらうとしようそうしよう(嫌な予感しかしない)
エジソン式電動オナホ1つとエジソン式ローター5つオナシャス!(射殺許可求む)
賢者のせいであんまりシリアスしてない件()
そして作者は今更ながら思い出した
元々、この作品を書くまではシリアス路線の作品しかほぼ書いてこなかったことを…………何故、今はド下ネタ作品書いてるんですかね? ……時は人を身も心も醜くする(悲劇)
無駄に話が長いのに、その割りにストーリー進行が遅くてすまぬ!
次回はストーリー急加速予定なんで! ただし更新は暫くかかると思いますんでご了承下さい!
‐追伸‐
今回の夏イベ監獄編見てて、メイヴちゃん目掛けて賢者が股間で生成したチ-ズ(意味深)でホーミング爆撃連発すれば簡単じゃね? というクソみたいなネタを咄嗟に思いついてしまった私は手遅れかもしれない(今更並感)