とある転生屋敷しもべ妖精の努力話   作:零崎妖識

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本日二話目。


ポッター夫妻、ロングボトム夫妻

1980年八月一日。俺は普段は作らないグリフィンドールモチーフ・ケーキを持ってリリーの出産祝いに出席した。悪戯仕掛け人も喜んでくれたし、ハリーも嬉しそうだった。やっぱり子供は天使なんだろう。可愛いは正義と言うが、それがよくわかる。

もう一つ。ダンブルドア校長に信用された。シリウスが名付け親になるのはなんとなくわかるだろうけど、詳しい名前までは普通わからないからだな。

翌年、ハリーに誕生日プレゼントをあげた。体にぴったりと合うブレスレットだ。これには、ジェームズ達にあげたネックレスよりも強い守護の魔法をかけてある。このままでは、リリーの『愛の守護』がハリーにかからないから、代わりに守ってあげれる物が必要だった。その上で、ヴォルデモートを一時的に破滅させられる物が。

 

約三ヶ月後。十月三十一日の真夜中。俺はゴドリックの谷に居た。セブルスが泣きながらポッター夫妻の家から出て来るのを見計らって、俺はその家に入った。

玄関に横たわるジェームズの身体を触り、かろうじてではあるが息が有るのを確認する。やはり、防ぎきることはできなかったか。リリーも似たような状態だった。

二人に渡したネックレスには、彼らの身体の周りだけ、魔法光線に光の性質を付与する魔法がかかっている。さらに、光を曲げる魔法も。これで死の呪文の光線を捻じ曲げて助ける予定だったのだが……ヴォルデモートの死の呪文は強すぎて、死にはしないまでも最低でも一年は目を覚ますことはないだろう。

驚いたことに、ハリーにはちゃんと『愛の守護』がかかっていた。ハリーのブレスレットには光の反射を付与していたんだが……要らなかったかもしれない。俺は、ただ好奇心に満ちた目で見つめて来る彼の頭を撫で、ブレスレットの機能を封印して、夫妻と共にホグワーツへ〈姿くらまし〉した。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

彼らをマダム・ポンフリーに任せたのち、重大なことに気がついた。ロングボトム夫妻のことを忘れていた。急いで魔法具を作り、ダンブルドア校長に渡しに行く。

今回作ったのはイヤリングだ。ネックレスやブレスレットだと取り上げれるかもしれないが、イヤリングならそう簡単には取り外さない……はず。

ただ、急いで作ったからちゃんと機能するかが心配だ。付与した効果は、ゲームで言う『精神汚染耐性』。これで、廃人になることはないはずだ。

 

 

危惧していたことは現実となり、ロングボトム夫妻は廃人となってしまった。ただし、社会復帰は可能かもしれない。

精神汚染耐性はちゃんと機能したようで、リハビリを続けていけば植物状態から復帰する可能性がある、と聖マンゴの癒者達は告げた。


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