とある転生屋敷しもべ妖精の努力話   作:零崎妖識

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原作に入るまでは、これを優先的に更新します。


レギュラスの救済

悪戯仕掛け人達が四年生になった頃、リリーとセブルスを引き連れて厨房にやって来た。軽食用にプリンを作っていた所だったので、それを渡しておいた。

次の日に、兄が迷惑をかけた、とレギュラスがやって来た。どうやら、シリウスから入り方を聞いたようだ。今度はホワイトチョコレートを渡した。セブルスとリリーの分も含めて。

それから、七人とはよく話すようになった。セブルスは必ず、悪戯仕掛け人達が居ない時にやって来るし、シリウスが来た次の日には必ずレギュラスがやって来る。仕掛け人達とは雑談などをするのだが、セブルスとレギュラスは主に愚痴を聞いてくれと言ってくる。そんなものをただの屋敷しもべ妖精に話すな。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

1976年六月。セブルスが酷く打ちひしがれた状態でやって来た。リリーに嫌われてしまったそうだ。その日はウィスキーを持ち出して、彼の愚痴に一晩中付き合った。俺は屋敷しもべ妖精としては珍しく、バタービール程度じゃ酔えないからな。寮監殿には俺から説明しておくとして、酔い潰れた彼は『必要の部屋』に寝かせておいた。枕元に、リリーと仲直りできるようにチョコレートを置いて。

次の日に、レギュラス救済用に用意しておいた物品が完成したので、レギュラス・ブラックに渡した。一見するとただのネックレスだが、非常時のみ発動する遅延性魔法をかけてある。確か、レギュラスの死因は、分霊箱を守る毒を飲み、その上で亡者に湖に引きずり込まれたからだったはずだ。しかも、あの洞窟は〈姿くらまし〉が不可能。そんな状況下でもちゃんと発動できるように計算した。助かるかどうかはぶっつけ本番となるが、彼の幸運を信じよう。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

1978年。ジェームズとリリーが結婚したとダンブルドア校長から伝えられた。お祝いとして、俺が作ったペアネックレスと特製ケーキを持って行った。上手くいけば、これでこの二人も救われるはずだ。

 

 

翌年、厨房の地下にこっそりと作っていた隠し部屋に、レギュラス・ブラックが現れた。ちゃんとネックレスの効果は現れたようだ。

ネックレスに込めた効果は、移動と〈姿現し〉。〈姿現し〉が可能な位置まで〈体よ動け(モビリコーパス)〉で自動で移動させ、隠し部屋に〈姿現し〉させるというもの。

 

「僕は、これからどうなる……?」

 

「しばらくは絶対安静でございます。それと、世間的には死亡したことにするのがよろしいかと。あなたが生きていると知られれば、『あの人』が襲いに来るかもしれませんので。そうですね……クリーチャーの主人を、レギュラス様からシリウス様に変更、それと、偽名を使うのがよろしいでしょう」

 

レギュラスからクリーチャー宛の手紙を預かり、ブラック邸へ〈姿現し〉する。手紙を読んだクリーチャーは、嬉しさ半分、悲しさ半分といった所だった。レギュラスが生きていて嬉しいが、自分のせいで迷惑をかけることになってしまい悲しい、と。

ついでに、ダンブルドアに俺の事情──転生者であること、この世界のことが本になっていること、その中で死亡した人物を助けたいこと──を話した。余り信用はされていないと思うけど、一つの予言もどきだけしておいた。「ポッター夫妻の子は、シリウスに、ハリーと名付けられる」と。これが当たれば、ダンブルドアも信用してくれるだろう。

レギュラスはダンブルドアの協力のもと、『漏れ鍋』で働かせることになった。魔法で顔を変えて、名前も別のものを使って。




レギュラスに渡したネックレスの仕組み
〈姿現し〉可能かどうか判断→不可能なら可能と思われる方向へ移動→もう一度判断→可能だと判断されるまで先の手順を繰り返す→可能と判断されたらホグワーツ厨房の隠し部屋に〈姿現し〉
この場合、3D(どこへ、どうしても、どういう意図で!)はすでに設定されているため、リスクが少ない。人が〈姿現し〉する場合は直接、行く場所の座標を決める必要があるが、このネックレスはすでに座標を一箇所に確定させ(どこへ)、非常時にのみ(どうしても)、緊急脱出用に(どういう意図で)を設定してある。このため、バラける心配もない。

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