リサ「ワトから送られてきた猫の動画見ながら言っても説得力そんな無いよ?」
友希那「にゃーんちゃーん。ふふっ…可愛いねー♪」
友希那父「episode23、暖かい目で見守ってくれ」
リサside
「んんっ…ん〜、あ〜よく寝た☆」
アタシは身体を起こして背伸びをしながらベッドから降りる。そのままタンスから今日着る服を取り出し寝間着を脱いで着替えていく。
「ん…ちょっとだけ胸キツくなったかな?また新しい服買おっかなぁ〜?モカとかヒナどっちか時間空いてないか聞いてみよっと☆」
着替えを終えて階段を降りていく。朝ごはんを食べ終えてアタシは部屋に戻る。
「えっと今日のバイトは…無し!」
バイトのシフト表を見てないことを確認する。
「さ〜て、ヒナかモカ誘って買い物行こっかな〜☆」
アタシはヒナに電話をかけてみる。
「あっ、もしもしヒナ?」
『やっほー♪どしたのリサちー』
「あー、うん。今からちょっと買物行くんだけどさ、ヒナも来る?」
『あー、あたし今日は麻弥ちゃんとお仕事あるんだー。ごめんね〜』
「そうなんだー。あたしこそゴメンね、無理に言っちゃって」
『大丈夫だよー!!今度時間空いてたら一緒に行こーね!』
『日菜さん!そろそろ時間ッス!』
電話の向こうから麻弥の声がした。やっぱり忙しいんだな。
『はーい!じゃあリサちー!ばいばーい!』
そう言ってヒナは電話を切った。
「モカは大丈夫かな……?さっきシフト見た時オフってなってたし」
次はモカに電話してみる。
『もしもし〜、リサさん?どうしたんですか〜?』
「あっ、モカ!ちょうど良かったぁ、今日時間空いてる?」
『今日ですか〜?これからバイトですよ〜?』
予想してない返答にアタシは戸惑いながら質問する。
「え?今日はモカもオフだったんじゃないの?」
『実はぁ…』
話を聞くと代わりに出て欲しいと言われたらしい。なんでモカだけなのか聞いてみたら、店長曰く、『来れなくなったやつの代わりに青葉さんに頼む。ついでにレジで寝ないように監視しながらな』ってことらしい。モカはその後電話を切ってすぐにバイトにむかった。
その後はひまりにも連絡をいれたんだけどイチャイチャっぷりが電話越しに伝わってきて慌てて電話を切っちゃった…あの二人にはもうベストカップル賞を与えてあげたいよアタシ。
「はぁ、仕方ない。1人でちょ〜っと出掛けてくるかな♪ 」
和都side
今、俺は友希那に付き合わされ一緒にSPACEにいる。なんでこんなことしてるかと言うと電話で、
『どうせ暇でしょ?だったら私の自主練に付き合って貰いたいわ』
と言われてこの始末。まぁ暇してたことには変わりないんだが。
「ふぅ…どうだったかしら、和都?」
「前よりも良くなってるぞ、ってかそれ新曲だろ?曲名決まってんのか?」
「一応は、ね……」
俺はさらに興味が湧いたのか友希那に近づく。
「っ!?」
「なぁ、教えてくんねぇか?」
「だ、駄目よ…次のライブまで待ってほしいわ…」
友希那は目を逸らす。流石にネタバレはマズかったか…
「ちぇ…わーった。しょうがねぇから次のライブまで待ってやるよ」
「一体どの目線で言ってるのかしら…」
「ん?幼馴染の目線じゃねぇの?」
俺の言葉に友希那はため息をついて準備をする。
「お?また練習すんのか?付き合うぞ?」
「助かるわ。じゃあさっきはベースやってもらったから次はドラムパートをやってもらえるかしら?」
そう言われて友希那から新曲のドラムパートの譜面を渡される。ひと通り目を通してドラム椅子に座りスティックを持って準備する。
「準備できたかしら?」
「んな事聞くなよ。OKに決まってるだろ?」
「ふふ、聞いたのが野暮だったみたいね…じゃあ、いくわよ…!」
あのあと俺と友希那は何回かセッションをした。帰る時に友希那は「感覚を掴めたからいけそう。私はこのまま延長して練習していくわ、無理に付き合わせちゃってごめんなさい」ということでSPACEに残って練習している。俺は昼食を済ませてふらふらしている。
「家に帰ってもすることねぇからな。いや、やることあるかもな…って、アレは…」
立ち止まって買い物帰りのリサを見かける。なんかやけに機嫌良さそうだな。ちょいと話しかけてみるか。
「リサ!」
リサside
「リサ!」
買い物帰りに声を掛けられる。振り向くとワトが駆け寄ってくる。
「ワト!どうしたの?」
「いや、ちょっと友希那に頼まれごとされてその帰りだ、リサは買い物か?」
「そうだよ〜♪」
「へぇ、いいもん買えたか?」
「中々いいものがありましてな〜♪」
アタシは胸を張ってワトにドヤ顔する。
「よかったじゃねぇか。あ、そうだ。リサ、このあと時間あるか?ちょっと相談したいことがあるんだよ…」
「ん?全然いいよ?おねーさんが聞いて上げようじゃないですか♪」
ワトに案内されてレストランに連れていかれる。でも…ワトがアタシに相談したいこと?な、なんだろう…?
「それでワト、相談してたいことって?」
アタシがそう聞くとワトは真剣な目でアタシを見る。
「わ、ワト?そんなに見つめられると…ちょっと恥ずかしい…」
「あ、悪ぃ…実は相談したいことっていうのは…」
男子の相談ってことは…恋愛相談とかかな?いやいや、ワトに限ってまさかそんなこt
「………紗夜のことなんだ…」
「!?」
アタシの予想は的中した。そしてワトはそのまま話し始めた。
「この前俺ん家でネトゲしただろ?…俺、あの時紗夜に『どこか行きたいところに連れてってやる』って約束したんだよ」
「あ、もしかして相談でそれの事だったの?」
アタシがそう聞くとワトは「最後まで聞いてくれ」との事だったので最後まで話を聞く事にした。
「……あ、そうだワト。その行く日って決めてるの?」
「………」
「…………ワト?」
ワトは遅れて頷いた。
「行く日はもう紗夜から連絡が来ている……3月20日だ…リサ、その日はなんの日かお前なら知ってるよな?」
アタシも頷いて答える。
「………紗夜の、誕生日」
「そうだ…」
…なんか、ワトの言いたいことがわかってきた気がする…
「俺決めたんだ。その日紗夜にプレゼントを渡して……」
和都は一拍間を置いて僅かにだが頬が赤くなってる。そして…アタシが考えてること………ワトが言おうとしていることが的中した。
「紗夜に…"告白"しようと思うんだ」
「………」
やっぱりか…誕生日の時点で薄々気づいてたよ…アタシが心の中でそう思ってるとワトは話を続けていった。
「初めて会った中学時代はギターを一緒に弾く位しかないなって思ってたんだ…けど、Roseliaで一緒にいる時とか出掛けたりしていくとさ…なんて言ったらわからないんだけど…紗夜の事を必要以上に意識しすぎちまうんだ。練習したりいる時間が増えていく事にそれが確信に変わったんだよ…俺は紗夜が好きなんだなって…って、リサ?おい、き、聞いてんのか?」
「へっ!?う、うんっ!!も、勿論聞いてるよっ!?」
アタシは慌てて何とか取り繕う。
「だったらいいんだけどさ…紗夜に何あげれば喜んでくれるかわかるか?あ、フライドポテト以外で頼む」
「んん〜難しいな〜…でもさ、ワトが考えて一生懸命用意したプレゼントなら喜んでくれると思うよ?しかも告白するんでしょ?そんな弱気じゃあ紗夜にフラれちゃうよ〜♪」
アタシがそう言うとワトはスッキリしたのかいつものワトに戻る。
「そっか…そうだよな。さんきゅー、リサ」
ワトはそのまま勢いよく店を出ていった。それからアタシは軽く食事して家へ帰った。そしてそのまま部屋に戻る。
「ワトが紗夜に告白かぁ〜。いやぁ、上手くいくといいなあ……」
アタシはベッドにダイブして枕に顔をうずめた。
「……あれ?なんでアタシ…泣いてるんだろう?」
お、おかしいなぁ…な、なんで?ワトと紗夜の事……お、応援してる筈なのに…なんで、こんなにも……涙が止まらないの?
「………うぅ…わ、ワド………」
アタシの声が漏れていたのか窓をコンコンと叩く音が聞こえる。そこには心配そうにアタシの事を覗き込む友希那がいた。アタシは急いで涙を拭いて窓を開け友希那を部屋に入れる。
「ゆ、友希那?ど、どうしたの?」
「いや…その…窓空いてて、リサの声が聞こえたから…しかも…泣いてたわよ?何があったの?」
アタシはワトと話したことを友希那に全部話した。
「そう…そんなことがあったのね…和都が紗夜に告白…」
「う、うん…」
再び泣きそうになるアタシを宥める友希那。
「…だいたい予想してたわ…」
友希那が発した言葉にアタシは驚きを隠せなかった。
「……え?予想って…友希那はワトから聞いてたの?」
「いえ、聞いてないわ」
「じゃあ…なんで?」
気になってしまいアタシは友希那に聞き返した。
「紗夜と接している時の和都を見てれば嫌でも分かるわ。すごくイキイキしてて大切な人の為に一生懸命になってる。これは紗夜だけに限ったことではないけどね、それに…」
「?」
友希那はアタシの目を見る。
「リサ…あなたも和都が好きだってことくらい分かるわ」
「!?」
突然の友希那のカミングアウトにアタシは戸惑いと動揺を隠すことが出来なかった。それと同時に顔がみるみる紅潮していくのが分かる。
「えぇ!?うそっ!?ちょ、ま、えぇ!?」
うそ?アタシがワトのこと好きだって友希那には言ったことないのに!?なんで!?え!?なんで!?
「ん?"あなたも和都が好きだってことくらい"って言った友希那?」
「えぇ、言ったわよ」
「じ、じゃあもしかして…」
恐る恐る聞くと友希那も僅かにだが頬を染めて頷いた。まさか友希那もワトの事を…
「えぇ…"好き"だって思ってしまったのよ…」
アタシは思わず口篭る。
「でも…私は紗夜が和都と付き合うことになったらみまもっていこうと思ってるわ」
「?」
疑問符を浮かべるアタシに友希那は説明を足していく。
「最初はリサと同じ考えだったと思う…幼馴染としてしか見てなかったんだと思うけど徐々に惹かれていったのね…でも、紗夜といる和都を見ていると自然と負けた気分になるのよ…」
「友希那…」
「和都の告白が上手くいったら2人を見守っていく。ダメだったらその時はその時よ」
「……ねぇ、友希那」
「何かしら?」
間を置いてアタシは友希那の目をじっと見ながら思っていたことを話す。
「……も、もしもの話だよ?アタシがワトと紗夜が告白する前に…アタシがワトに告白してOK貰ったらさ…その時はどうする?」
恐る恐る聞いてしまった。友希那は目を見開いてそれを聞いていた。
「リサ、あなた…」
「……アタシもワトの事が好きなのは紗夜と変わらないしもしかしたら紗夜よりもこの気持ちは負けないかもしれない。だ、だからっ!」
アタシが喋っているのを遮り、友希那はアタシの事をゆっくりと抱きしめた。突然のことすぎて頭が回らない。
「!?」
「……リサ、我慢しないでいいのよ…」
「が、我慢っ!?ゆ、友希那?何言っt」
「……あなた、さっきからずっと涙を堪えてるじゃない」
「……」
アタシはまた口篭ってしまう。
「…それだけじゃないわよね?まだワトへの想いや言葉…たくさんあるでしょ?」
「…うん」
アタシは思わず答える。すると友希那は、更にぎゅっとアタシを抱きしめる。
「…ずっと聞いてあげるわ。だから…あなたの想いを、聞かせてくれるかしら?」
「…うぅ…」
その友希那の言葉でアタシは気が楽になったのかその後はずっと友希那の胸の中で泣きじゃくりながら話を聞いてもらった。
「ゆぎなぁ……あだじぃ…うぅっ…うわあぁぁぁん!!」
「わかってる…分かってるから全部はきだしなさい…」
頭をゆっくりと、優しく撫でてくれる。そしてどんどんとこみ上げてくる悔しさ、辛さ、色々な感情が混ざりあっていく。アタシはそのままずっと友希那に自分の想いをはきだしていった。
友希那side
「すぅ…すぅ…」
あれだけ泣きじゃくって嗚咽を吐き、悔しがっていたリサは落ち着いたのかその後ぐっすりと眠ってしまった。
「全く…」
リサの頭を優しく撫でる。寝ている顔を見てから私はベランダから自分の部屋のベランダに戻る。
「……ワト、頑張りなさい。私もリサもあなたを応援してるわ…」
そう呟き私は部屋の中に戻って行った。
今回は幼馴染2人の回になりました。
次回は正真正銘、紗夜が出てきますのであしからず。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございます!