幼馴染みの女の子   作:サンデイクローズ

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もの凄い遅れて申し訳ないです。
あと今回頭使って書いてないので変かもしれません。

お気に入り1000件突破ありがとうございます。


春休み最終日

春休みにつかさとゆっくり話す機会は今のところあの日だけで、あれからは引っ越し作業に追われていた。つかさも手伝いに来てくれていたりしたから会わない日はほとんど無かったんだけど。やっぱり二人っきりで過ごす時間も欲しくなるんだよな。

 

 

 

「はい、それじゃあ来週から山崎君には私が担任の2年3組に編入してもらう事になります。よろしくね」

 

「よろしくお願いします、秋吉先生」

 

ようやく引っ越しの荷物を片付け、泉坂中学校への転入手続きに来られたのは翌週に入学式を控えた月曜日のことだった。

今は俺が編入することになるクラスの担任の先生との顔合わせをしていた。今は転入手続きも終わって、母さんと秋吉先生が制服の事とかこれから必要になる物の話をしていた。

泉坂中学は公立中学にしては珍しくブレザーが制服になっているらしく、時間のある時に学生服屋に行くことが決まった。学ラン好きだったんだけどなぁ。

 

気が付くと、母さんと先生の話は終わっていて帰ることになっていた。

 

「来週からこの子の事よろしくお願いします、秋吉先生」

 

「はい、お任せください」

 

「それじゃあ、失礼しますね」

 

「それじゃ先生来週からよろしくお願いします。失礼します」

 

 

 

学校からの帰り道、何を思ったのか母さんにつかさと学生服を買いに行って来いと言われた。

 

「引っ越しのお手伝いに来てくれて助かったし、りょーくんもいっぱい頑張ってくれたしデートぐらい行ってきなさい?最近つかさちゃんと二人きりになれなくてちょっとストレスだったでしょ?」

 

「そんな分かりやすかったかなぁ。じゃあお言葉に甘えて出かけてくるよ。けどそんな急に都合つくのか?」

 

「つかさちゃんのお母さんにはもう話してあるから大丈夫よ。そうねぇ、学校が始まる前の日曜日に行ってらっしゃい?」

 

 

何故かノリノリな母さんにその日は引いていたが、日曜日待ち合わせ場所の公園に着くと中学の制服を着ているつかさが待ってくれていた。つまり母さんは俺とつかさに制服デートをさせる気だったという事なんだろう。

 

「遅いゾ!涼太」

 

「えぇー。一応5分前に着いたんだけどな。……それよりあれだ、それ中学の制服だろ?」

 

「おっ、よく気がついたねっ!お義母さんから制服で行ってあげてって言われたから着てきたの!何気に初披露?」

 

「相変わらずお義母さん呼びなのな……。そういや女子はセーターだけでもいいんだっけ?」

 

「うーん、男子も出来るんじゃなかったかなぁ。でもやってる人居ないから出来ないのかも。……ってそんな事より言う事あるでしょ!」

 

「ん、言う事……?おはようつかさ。今日はよろしくな!」

 

「ちっがーう!そしてなんでそんなに爽やかに言うかな。もっとほら、あたしのこと見てどう思ったかとかそういうの!」

 

「あぁ、なるほど。……中学の制服めっちゃ似合ってると思うぞ。まぁ今のとこ一番かわいいのは夏祭りの時のつかさだけど」

 

「一言余計っ!……今度また着てやるんだから」

 

「なんか言ったか?」

 

「何でもないっ!それより早く行こ?」

 

相変わらず笑顔で右腕に抱き着いてくるつかさ。……この表情が一番好きってことは言わない方が良いだろうな、調子に乗りそうだし無自覚なのが一番良いし。

 

 

つかさに引っ張られること15分、学生服を売っている店に着き学生服一式をとりあえず買い揃えた。

 

「よしっ、それじゃ着替えちゃお?」

 

「やっぱそうなるのか……。すいません、試着室借りていいですか?」

 

「奥の試着室、好きに使っていいから。チョット広いから二人で入って着替えさせて貰うのもできるからねぇ。おっと、婆はこれから町内会の集まりあってしばらく留守にするからね。……それじゃあお二人さん仲良くね〜」

 

そう言いお婆さんは姿を消してしまった。このなんとも言えない空気どうしてくれんだ。

 

「涼太がして欲しいなら……その……」

 

なぁんで顔赤くしていらしてるんですかつかささん?……いやだから無言で引っ張るなって。そして試着室に押し込められる。確かにさっき制服を試着した所よりも広いな、二人入っても余裕がある。

 

「うぅ……ホントにやらないとだめ?」

 

「いや、何でやろうとしてたんだよ。ほら、とっとと着替えるから外出とけって」

 

顔を真っ赤にしたつかさを試着室から出し、着替えを始める。

ズボンを履き替え、ワイシャツを着てネクタイを付けようという時に再びつかさが入ってきた。

 

「いやいや何で入ってきてんの?」

 

「お手伝い?ってナイスタイミング!ほら、ネクタイ貸して?」

 

「何がナイスなのか教えて欲しいんだけど」

 

「いいから、いいから!……んっ、出来た。バッチリ!」

 

「バッチリってお前、この至近距離は流石に恥ずいって」

 

胸元でつかさが笑ってるこの状態は色々とやばい状態なんだけど、つかさ姫はそんなことお構い無しにじゃれついてくる。ネクタイの結び方で遊ばなくてもいいだろうに……。

 

「ねっ、今キスしてって言ったらしてくれる?」

 

ネクタイで遊んでいたと思ったら胸に顔をうずめてそんな事言うのはずるいんじゃないかなぁ。

 

「お前って昔からずるいよな。……俺が断らないって分かって言ってんだから」

 

「だって涼太だから……で、答えは?」

 

「……顔、上げろよ」

 

 

 

「涼太って結構カッコつけ?」

 

「うっせバカ」

 

流石にあのセリフはクサかった。つーかなんだよ顔上げろよってあぁもう滅茶苦茶恥ずかしい!ノリと勢いは身を滅ぼすだけじゃねぇか!

 

「でもカッコイイからずるいよね、涼太も」

 

「は?」

 

「だから!あんなくさい台詞言っても変じゃないって言うのが変!ってこと!」

 

「えぇー、あれアリ?じゃあ気が向いたらまた言うわ。恥ずかしいからお前にしか言えないけど」

 

「むっ!あたし以外に言っちゃダメ!って言うか他の子に言ったら浮気だよ?」

 

「俺が誰か落ち込んでる人を励ますことが隕石が頭に当たる確率であるかもしれねぇだろ」

 

「ほぼ0じゃんそれ。……相変わらず友達作るの苦手なんだー」

 

「うっ……。しょうがねぇだろ読書が趣味とかいう小学生居なかったし、男子からは俺だけ女子にモテるとか言う理由で一方的に嫌われてるし。女子は女子で話しかけるだけでキャーキャー言って逃げてくし」

 

「……その不幸風自慢まだ聞かないとダメ?早く喫茶店行ってパフェ食べたいんだけど」

 

「じゃあ今のクソつまんない話はパフェ代ってことにしてもうちょい続けてやろう」

 

そう言うとつかさの顔がみるみる不機嫌になっていく。おっ、覚悟を決めたな、じゃあ喫茶店に行こうか。

 

 

「できる限り早く、あと迅速に終わらせてねっ!……あっ、ジャンボパフェ一つとココア二つで!」

 

速攻ジャンボパフェ(単価1600円)を迷わず注文するつかさちゃんが怖かったので昔話はやめておくことにしました。

 

「じゃあ次、あたしの番ね!」

 

「アッハイ」

 

「涼太が転校してから告白してくる男子がホントに呆れちゃうぐらい増えて毎日大変だったかな。昼休みはもちろん放課後も告白されて、放課後なんて家に帰れるのが5時になったりしたこともあるんだよ!信じられる?しかも話に聞いたぐらいであたしに会ったことも無いような奴から告白されるの!」

 

今まで溜まってた鬱憤を晴らすかのようにパフェを崩していくつかさ。最初は穏やかな話し方だったのに火がついてしまったのだろう徐々にパフェの姿が無残になっていく。

 

「それで中学に入ったらもっと大変だったの!全っ然しらない先輩はもちろんひどい時なんか他校の男子まで告白に来るんだよ!?もう訳わかんないし、あたしはアンタ達に興味ないんだって叫びたくなるよ」

 

ん?急に話をやめて俺の方見てるんだけどなんだ、顔になんか付いてるか?

 

「なんだ?なんか付いてる?」

 

「んーん。その時に涼太が居てくれたらどれだけ楽だっただろうって思っただけ。涼太が居れば、あたしが興味あるのは涼太だけ!って言えば解決しそうじゃん」

 

「解決するかぁ?余計こじれるだけだと思うんだけど」

 

そう言うとつかさの顔が呆れたような表情に変わる。……呆れるようなことなんかしたか?

 

「相変わらず自分への認識が甘いゾ!涼太なら昔みたいに周りをコントロールしくれるでしょ?それに、昔もだけど今なんてもっとカッコ良くなっちゃって。だから、そんな涼太と会えてあたしはラッキーだったのかもって」

 

「それを言ったら俺もそうなると思うんだけどな。転校してからもつかさ程可愛い子居なかったしなぁ」

 

俺の言葉が嬉しかったのかその後は喫茶店を出るまでニコニコしていた。

 

 

 

「もう夕方かぁ。もっと涼太と色んなところ行きたかったのに」

 

「引っ越してきたから昔みたいにいつでも行けるんだから良いじゃん」

 

「それはそうだけどさぁ、今まで一緒に居れなかった分遊びたかったなあって」

 

そう腕を抱きしめるように距離を縮めるつかさ。……色々と柔らかい部分に当たって平静を保てないんだけど。

 

「つかさ?」

 

「んふふ〜。手もおっきくなったね、昔は同じぐらいの大きさだったのに。むぅー」

 

「まぁ身長からして伸びてるしなぁ。……今ならお姫様抱っこも出来るぞ?」

 

そう言うと顔を赤くしながらも「家まで送って?」と言われ、短い間だけどつかさを抱っこした。やってから後悔したけど滅茶苦茶恥ずかしかった。近所のおばさんに温かい目で見られたのはホントに辛かった。

 

 

「……ありがと」

 

「どういたしまして。悪ぃな何か。恥ずかしかっただろ?」

 

「ううん。恥ずかしいより嬉しいって気持ちの方が勝ってたから大丈夫!涼太はダメそうだけどね」

 

「よくお分かりで。……それじゃあ次会うのは学校、か?」

 

「うーん、それも良いけどやっぱり昔みたいに一緒に行きたいなって思うんだけど」

 

「それじゃ明日いつもの時間に迎えに来るから。おばさんにもよろしく言っといてくれな」

 

「んっ、了解しました軍曹殿!」

 

少しおどけたように敬礼をしてくる。こんなやり取りも昔は時々やってたんだっけか。

 

「お前、可愛くなったよなぁ」

 

「そう言う涼太はカッコよくなったよ」

 

少しの間見つめあう。一秒、二秒、三秒……だんだんつかさの顔が近づいてくる。もうすぐ唇が触れ合うと言うタイミングで玄関から物音がした。

 

「つかさちゃん帰ってるなら……あらあら、お母さんは退散するわねぇ〜」

 

 

「むぅ、お母さんタイミング悪過ぎ!」

 

「まぁまぁ、落ち着けって。とりあえず今日は解散ってことにするか」

 

「うん。……そうだ、さっきのキスは明日の朝にお預けってことにしとこ!」

 

「いやだからな、ナイスアイディアじゃねぇから。……じゃあまた明日な。ちょい早めに来るから」

 

「うん、分かった!あたし待ってるのは涼太のお陰で得意になったから任せて!」

 

 

そうつかさと別れて自分の家へと帰る。こんなこと言うと大げさかもしれないけれど、夕陽に照らされた道路を見ながら、この道を通って家に帰れる幸せを感じていた。






次回やっと中学転入です。2週間以内には書き上げたいですね…

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