Outsider of Wizard   作:joker BISHOP

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新章-第三幕 因果

夕日・・・それはいつも変わらずいい光景を見せてくれる。

 

窓の外からは、車の行き交う音が微かに聞こえてくる。それ以外はいたって静か。

 

部屋の片隅から徐々に薄暗いオレンジ色に染まり、夕日は更に落ちていく。

 

この光景をずっと見てきたんだ。まだ誰も仲間がいなかった時からずっと変わらず好きだ。

だからこの光景を味わっていると、同時に過去の事も思い出してくるものだ・・・・

 

ああ・・・今まで一体、何のために何をしてきたのだろうか・・・・

 

またか・・・またこの感覚。そう、この感覚だ。

絶望だ。これで何度目なのか・・・・

 

まず一度目は考える必要もない。それは14年前に訪れた。自分に与えられた大きな運命・・・

 

そして次は何だ?

ずっと一人だった。仲間はいなかった。

誰も仲間がいなかったから、誰とも何も話さなかったっけな・・・・

 

だから毎日、毎年、ちっとも面白い事なんて無かった。それが次の絶望か・・・?

 

ただ友達がいなかっただけか?

違う。自分だけ違ったからだ。この世界では自分ははぐれ者だから・・・

 

何故だ?何故この世界に、何故ここに自分はいるんだ?

ずっと同じ疑問を、ただ抱き続けた。それしか出来なかった・・・

残念なことだ・・・・

 

だがある日、似た人間を見つけた。

似た者同士を見付けるということは、希望が生まれるということだとその時知った。

 

更に仲を深め、話を聞けば聞くほど同じ境遇にあるということもわかった。

これでどれだけ自分の心が救われたか・・・・

死んでいた感情が蘇り始めた瞬間だった。

 

自分に始めての仲間ができてからというもの、少しずつではあるが今までの生活が消え、楽しみというものが生まれた。

 

希望が生まれ、生きていく楽しみが生まれる。

時々仲間とチームを組んで遊ぶ、という生活もやがて当たり前の日常となってきた頃だった・・・

突然、その時は訪れた。

 

もう頭の中から消えかけていた14年前の事・・・

それと直接向き合う出来事があの日起こった。

サイレントという男が、自分の知りたかった事実を持ってきた。それから人生は大きく変わったんだ・・・・

 

何となくで生きてきた毎日は一変した。

仲間と時々遊ぶだけでいいと思っていた毎日は消えた。

 

運命が動きだす感覚を覚えた・・・

 

更に仲間も増えた。

より多くの似た者同士と接し、言葉を交えることで、自分に欠落していたあらゆる感情が出来上がってきた。

 

このままこの流れを信じ、頑張れば良い将来が形作られると思った・・・

 

しかし今はどうだ?

自分は今どういう状態だ・・・?

 

自分が信じて頑張った結果、事実に裏切られて台無しだ・・・

 

事実・・・それは特別な感情を抱かせてくれた人間が敵だった事だ。

 

今でも忘れていない。あの顔・・・雰囲気・・・一緒にいる空気・・・・

彼女と二人でいる時は、ジャックとも、ジェイリーズともディルとも違う。特別な感じだった。

 

よく覚えているあの表情も言葉も・・・全て嘘だったんだ。

まんまと騙されていた・・・・

 

これが現実だ。

信じて頑張った結果がこれなんだ。

これからどうすればいい・・・どうしろと言う・・・

 

「結局、俺の行き着く先は絶望だ・・・」

 

マックスは一人、沈み行く太陽に照らされた部屋でため息をついた。

 

あらゆる感情を抱き自分の気持ちに正直になれるようになった彼は、負の感情もかつてより感じやすくなっていた。

改めてレイチェルの件を思い返し、それと同時に過去の不幸も思い出した結果、負の感情を抱き続けるループへと陥ってしまったのだ。

 

そして何も出来ずにこの日も夜を迎えた・・・

 

 

日が上ってからの事だ。

 

マックスは今、沈んだ気分のままベッドに転がっている。

別に眠いわけではない。当然、ぐっすり眠れたわけでもないが。

 

ここで目線がベッドの斜め下に向いた時に、何かが目に入った。

よく見ると、そこに置いていたバッグの開いた口から微かに光が点滅しているのが見えたのだった。

 

マックスはのろのろと起き上がり、床に置いていたバッグの中をあさった。

そして中に入れたままにしていた携帯電話を掴み上げた。

 

携帯電話を開いた瞬間、何が起こっていたかに気づいたのだ。

 

「ジャック・・・ディルにジェイリーズも・・・」

 

バッグの底に沈んだままになっていた携帯電話には、何件もの着信がたまっているのだった。

 

負の記憶の渦から一瞬我に返った彼は、急いで一件ずつ調べてみた。

中にはいくつかのメールも届いている。内容はどれも、マックスを心配したり今後の活動に関するものがほとんどだ。

 

だが最後に届いていたジャックからのメールの内容は少し違っていた。

 

「よし、早速招かないと。」

メールを確認したマックスは、すぐさまジャックに電話をかけるのだった。

「家に来ようとは・・・本気で心配させてしまったな。」

 

時を同じくして、彼の家から遠く離れた所で・・・・

 

静かで広々とした空間。

そこらじゅうには物の残骸が散らばっている。

それら残骸の上を、じゃりっ、じゃりっという足音を立てながら移動する一人の男がいる。

 

横を見ると、大きくガラス壁が割れていて、外から風がもろに入ってきていた。

 

そんなこの場所は、最近グロリアの奇襲を受けたロンドンのビルの最上階、ナイトフィスト情報管理所である。

 

そしてあの事件後、今日再びこの場を訪れている男はサイレントだ。

 

彼は立ち止まると、辺りをキョロキョロ見渡した。

手には杖を常に持ち構えている。

 

何かを確認したのか、またゆっくり足を動かす。

歩きながら彼の視線は下の方を向いている。

 

しばらく歩くと、残骸が重なり積もった所でまた立ち止まった。

下を向いたまま、ゆっくりとその場を見渡す。

その動きは、まさしく何かを探しているような動作に見える。

 

同じような事をしていると、別の方向から足音が近づいてきた。

 

音に気づいたサイレントは一旦作業を止め、振り向いて口を開いた。

 

「そっちはどうだった?何か取り漏れは無いか?」

 

サイレントが言う先には、外れたドアからこのオフィスに入ってくる若い男の姿があった。

 

「最近の調査報告の記載途中の本が数冊転がってました。それだけです。」

 

「そうか。重要な内容か?」

サイレントが言葉を返す。

 

「いえ、最近これといった情報は無かったんで。」

「ならば放っておいて構わん。他の部屋は?」

「三人がかりで全ての部屋を捜索中です。他の部屋でも今のところ回収すべき重要な書類は無いみたいです。」

「了解だ。引き続き頼む。」

 

会話は手短に終わり、男はオフィスから出て行った。

 

どうやら、サイレントとその他数名のナイトフィストの人間が、このフロア全部の部屋で同じ作業をしているということらしい。

 

サイレント自身も書類関係の物を探しているのだろうか・・・

 

その時、彼のスーツの裏から小さくアラーム音のような音が鳴りだした。

彼は左手をスーツの内ポケットに突っ込んで、その音の鳴る物を取り出した。

 

手のひらサイズのそれは、楕円形の手鏡だった。

杖をスーツにしまうと、右手を手鏡の鏡面に軽くかざした。

すると音は止まり、同時に鏡に写る自分の姿が消えて、全く違う背景と人物の姿が写し出された。

 

「ザッカスか。」

サイレントは手鏡に写る人物に言った。

 

「今から時間あるか?」

鏡の中から声が聞こえた。

 

「情報管理所に取り残した重要なデータが無いか調べている最中だが。」

「それが終わってからでもいい。後で私達ととある隠れ家に集合してもらいたいんだ。」

「詳しく聞こう。」

「新しい行動仲間とちゃんと話し合いたいんだよ。君も含めて、互いの情報交換も踏まえてな。」

「なるほどな。例の魔法学校の生徒達の事か。もうすぐ引き上げるとしよう。」

「話が早いな。では時計塔の隠れ家で待ってるぞ。」

「わかった。私も彼らとは会って話をしたかったところだ。」

 

そして話し終えた時、手鏡は普通の鏡へと戻っていた。

 

「さて、噂に聞くグロリアになるはずだった子供達は如何なる働きをしてくれるだろうか。」

 

彼は手鏡をポケットに戻すと、がっぽりと空いたガラス壁から空を眺め、独り言を呟くのだった。

 

「もっとも、マックス以上の逸材はおらんだろうが。なにせ彼の息子だ。なぁ・・・ギルマーシス・・・」

 

それから間もなくして、彼はこの場を立ち去るのだった。

 

サイレントがザッカス達の待つ時計塔へ動いている時、マックスの家には一人の客が到着する頃だった・・・・

 

 

二階の寝室の入り口から、玄関のチャイムの音が聞こえた。

 

マックスははっとして、今まで仰向けになっていた体を飛び起こさせる。

 

今はテイルは買い物に出かけていてる為、玄関を開けに行くのは自分しかいない。

だが面倒くさそうに嫌々ながら歩いていく必要は一切無いのだ。

今、チャイムを鳴らしに来たのが誰かはわかっているからだ。

 

マックスは自分の部屋から駆け出して階段を高速で駆け下り、玄関へ一直線に走って行く。

こんなに階段を急いで下りたのはいつ以来だろうか。

 

鍵をカチャリと外して取っ手をひねり、玄関を押し開けてみると、やはりそこには彼がいたのだった。

 

「悪いな。返事遅くなった。」

マックスがドアを支えながら言う。

「出てきた第一声がそれか。面白い出迎えだ。」

マックスの顔を見ると微笑み、少年は言った。

 

「とりあえず上がれよ。」

そう言ってマックスは彼を部屋に案内したのだった。

 

軽く床の足場を片付けて、マックスは自分のベッドに腰かける。

 

「この椅子にでも座ってくれ。」

マックスは彼に机の椅子を向けた。

 

「ああ。」

ベッド横の机の椅子に腰かけると、彼は話し始めた。

「最後に来たのはいつだったかな?少なくとも、今年はまだか。」

「だな。高校に入学してからは一回しか来てないはずだ。そして久しぶりに家に来た理由はわかってる。」

 

マックスの言葉の後、椅子に座る少年は本題へ入った。

「ここ一週間ぐらい、皆心配していたぞ。電話も出ないってな。」

 

マックスはうつ向き、少し経ってから静かに喋りだした。

「すまなかった・・・・皆には悪いことをしたと思ってる。それも、肝心のリーダーが・・・」

 

「俺にはお前が何を考えているのか、大体の事はわかる。だから深く責めるようなことは出来ない。」

その少年、ジャックは真剣な眼差しで言葉を続けた。

「だがこれだけはわかっていてもらいたい。俺達は単にチームで、お前が単にチームリーダーというだけの関係じゃないことをね。」

 

これにマックスは何と返していいか思いつかなかった。

 

ジャックは彼の気持ちを読んで再び話し始める。

 

「信じていたのはお前だけじゃない。俺達全員が彼女を信じていたんだ。皆、残念な思いをしている。」

「でも、俺にとっては・・・」

「ああ知ってる。特別な存在だったんだろ。」

ジャックはマックスの言葉の続きをすかさず言った。

 

「まったく・・・お前は本当に察しがいいな。」

「それなりの付き合いだからな。だからお前の気持ちは俺達の場合とは違うんだとわかってるよ。だがさっきの話の続きだ。俺達にとってはお前が特別な存在なんだよ。だから聞く。お前にとって、俺達チームのメンバーはどんな存在なんだ・・・」

 

こんな事をジャックに言われたことは初めてだ。

 

マックスは彼の予想外の質問に、一瞬戸惑いを感じた。だが彼の言葉を改めて自分に問いただすと、こんな簡単な答え・・・もちろんとっくに決まっていた。

 

「今さら考えるまでもない。俺は・・・お前達がいたから・・・お前達と出会ったから救われたんだ。チームがあるから俺は過去の辛さも乗り越えてきた。チームがあるから楽しめた。チームだけが俺の居場所だったからな・・・・」

 

マックスの暗く沈んでいた気分に、少しずつ光が戻ってくる。

 

「チームでなら、どんな事でも成し遂げられる・・・そんな事を言ったのも俺だったっけなぁ。まったく、俺はまだまだ駄目リーダーだ。」

 

「かもな。普通なら・・・」

ジャックは続ける。

「でも・・・俺達のチームではやっぱりリーダーはお前じゃないと、しっくりこないんだなぁ。お前がいないとチームは完成しない。これは俺達が甘えているだけの事かもしれないけど・・・・でも、いつも通りのお前がいないと、皆寂しい思いをするし自信も保てない。特に・・・俺はな。」

それは、彼のずっと思っていた本当の気持ちだった。

「俺はこの一週間くらいで、そう感じた。」

 

普段、あまり自分の感情を見せずクールな彼がなかなか言わないような事を聞き、マックスは思わず心が熱くなってきて・・・

 

「やれやれだ。俺はバカなんだろうなぁ・・・」

「ん・・・?」

「ここまでリーダーの事を考えてくれる仲間がいるってのに、俺は自分の目の前の感情にだけしか目が向かず、ただ悪い事しか考えられない頭になってたからだよ。」

「理論思考のお前がねぇ。」

「言われてもしかたないな。」

 

二人の顔には、同時に笑みが浮かんだ。

 

「俺にはチームの仲間がいる。俺は一人じゃないということを忘れてはいけないな。でも、俺にとってレイチェルが特別な存在だったのは間違いない。初めて知った感覚だったんだ。だから・・・よく説明できないけど、とても悲しくなって・・・」

 

「言いたいことはわかるさ。俺にも、そういう対象が居るからな。」

ジャックが言った。

 

「初耳だな。まさかお前が認めるような女子があの学校にいると言うのか?」

 

マックスが真顔でそう言うと、ジャックは笑いながら言った。

「そうか、ピンとこないってことは今まで気づいてなかったのか。」

「だから初耳だと言ったろ。まあお前が気に入るということは悪い人間じゃないんだろうけど。」

 

「さぁ、どうだろう。少なくとも普通ではないってことさ。」

そしてジャックは本題へ切り替える。

「その話はまた今度ということで・・・もしお前にその気があるなら、そろそろチーム活動を再開しないか?これからすぐにという訳じゃないが、まぁ全てはリーダーであるマックス次第だ。」

 

マックスは自分自身と彼、そしてディルとジェイリーズ、更に今や協力仲間となったデイヴィックと彼のチームメンバーの事まで思い浮かべた後、考えはすぐに決まった。

 

「動こうじゃないか。仲間達が可能なら今からでもな。ここで一人もじもじしてるのは終わりだ。大事な魔力が付かなければカッコウも付きやしない。」

 

彼のその台詞を聞いたジャックは、彼がいつものマックスに戻ったのだと確信したのだった。

 

「うちのリーダーは戻ったようだな。そうなると俺もやる気が戻ってくるもんだ。早速あとの御二方に連絡しよう。それで、何をするつもりなのかな?」

「とりあえず皆で集まりたい。話はそれからだ。」

 

そんな会話を交わす二人の姿は、まるでまだナイトフィストとグロリアの存在を知らなかった頃、暇潰しに魔法でイタズラをして遊んでいた時に戻ったかのような雰囲気だった・・・・

 

マックスの心が再び立ち直ってきたその頃、もう一つのチームも良い雰囲気のやり取りを行っていた・・・

 

 

「なるほど。君達がこうなるに至った経緯は良く理解した。」

それはサイレントだった。

彼と、ナイトフィストのザッカス、それに仲間のライマンとマルスの四人は、四人の子供と向かい合って椅子に座っている。

 

そして四人の大人と四人の子供が集うここは、イギリスに数多く点在するナイトフィストの隠れ家の一つ、ロンドンの時計塔裏である。

 

サイレントはザッカス達とここに集まり、少年達と会話している所だった。

 

「だから、俺達を救ってくれたザッカス達とマックス達に恩返しをする為にも、俺達はナイトフィストとしてグロリアと戦う道を選んだんだ。少なくとも、俺は考えを変える気はない。」

 

少年、デイヴィック・シグラルはサイレントを一直線に見て力強く言った。

 

「その目、マックスに似てるな。いいだろう。君達が本気でナイトフィストの道を選びたいと言うのなら、もう誰にも止められんよ。これからに期待するとしよう。」

サイレントはデイヴィックと、彼の横に列なるリザラ、エレナ、ロザーナを順に見ながら言った。

 

「ありがとう。そう言われると助かるぜ。」

デイヴィックが誰よりも嬉しそうな表情で言った。

 

そしてサイレントが再び話す。

「では信頼の証として、君達の今後の活動の為にもなるよう私達が大きな情報を掴んだ時にはそれを提供しよう。そしてもし君達が何か情報を掴んだときは、私達にも共有させて欲しい。」

 

「ああ、もちろんだとも。」

「交渉成立だな。」

 

すると、デイヴィックが早速質問した。

 

「サイレント、あなたにずっと聞きたかった事があるんだ。」

「何かな?」

「ずばり、マックス達が今まで何をしてきたのか。特にマックス・レボットの事が気になるんだ。」

「ほう、彼の事がねぇ。なかなか勘が良いな。」

 

サイレントはデイヴィックに何かしらのセンスを感じ取りつつ、彼の要望に切実に答えるのだった。

 

「元々私はマックスの事を知っていた。だから時が来れば声をかける事はとっくに決めていたんだ。」

「そう言えば、ザッカスからマックスの親父さんと仲が良かったって聞いた。やっぱり、親父さんは14年前グロリアに・・・」

デイヴィックが言った。

 

「ああそうだ。私は救うことが出来なかった事を今でも悔やんでいる。だから、マックスだけは・・・彼の子だけは救ってやると14年前のあの日に決心して以来、私はずっとあの子を見守ってきたんだ。」

 

「えっ?14年前からずっと・・・」

デイヴィックがやや驚きの顔を見せた。

 

「そうさ。セントロールスに入学するよう仕向けたのは私だからな。」

 

それを聞いたデイヴィック達全員が驚きを隠せなかった。

驚くのは、サイレントの隣にいるザッカス達も例外では無さそうで・・・

 

「そうか・・・そういう事だったのか!ギルマーシスと仲の良かった君があの子を・・・」

それはザッカスだった。

 

「君らも知らなかったか。あの子をセントロールスに導いた者を。」

 

するとデイヴィックが口を挟んだ。

「ちょっと待ってくれ!セントロールスに導いたとか、話についていけてない。いったいどういう事なんだ?」

 

そう言った直後、ザッカスが口を開いた。

「この際だ。この子達には教えてもいいだろう。」

 

「そうだな。実際、マックスにも時が来れば伝えようと思っていた事だ。」

サイレントはそう言って、次にデイヴィック達を向いた。

 

「君達も不思議に思ったことだろう、なぜ魔法使いがマグルの学校にいるのか・・・」

「ああ。だいぶ謎だな。」

「答えよう・・・ナイトフィストは、14年前の被害者の子供を秘密裏にグロリアから護る為、そして出来れば我々の組織に招き仲間を増やす為の活動を、あらゆる都市でやってきたのだ。魔法学校もその活動対象の場だ。だがそんな場所は魔法界だけではない。マグル界でもいくつかの学校を被害者の子供の保護施設として選んで、あらゆる手を使って特定の学校に入学させ、ナイトフィストの人間が密かに見守ることにした。その内の一つがバースシティーのセントロールス高校なのだ。」

 

「・・・そんなカラクリが・・・」

デイヴィックは予想もしていなかった事実に衝撃を隠しきれなかった。

 

「じゃあ、マックスの仲間もナイトフィストの誰かに・・・」

今度はリザラが口を開いた。

 

「だろうな。私以外のナイトフィストの者があの手この手でセントロールスへ入学させたということだ。しかし不思議な縁があるな。彼ら四人の被害者がバースシティーに揃い、セントロールスに入学させられ、そのセントロールスには魔光力源なる物が隠されていたんだからなぁ。」

 

更に、話は深いところへと展開する・・・・

 

 

 

 


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