Outsider of Wizard   作:joker BISHOP

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第二十章 "TEMPEST " (前編)

誰もいない静かな廊下に一人、窓から射す夕日の明かりに照らされた生徒の姿があった・・・

 

「どうやら彼らは相応しくないかもしれません。もはや今後に期待は出来ないかと思われます。」

彼は一人で喋っている。

 

「しかし何も問題はありません。これからも俺とエメリアで任務は続行します。エメリアだけでも従わせます。」

 

彼は、片手に持った手鏡に向けて喋っているようだった。

そしてその手鏡から、何者かの声が返ってきた。

 

「状況はわかった、ロドリューク・ライバン。彼ら、そして君とエメリアとでチームが二つに分かれたとなぁ。しかし彼らが期待できるかどうかは私がこれから決める。」

「では、どうするつもりです?放っておけば任務の邪魔になりかねない。」

 

その生徒、ロドリュークはまた鏡に言った。

 

「そうだな・・・どんな事をしようとするか、一応見張るとしよう。」

また鏡から声が聞こえた。

 

「ならば俺とエメリアで・・・」

「頼もう。だがまずは、私が直接彼らと話して、正式にグロリアになる価値があるかどうか確認しようではないか。それまでは、君とエメリアには特別な任務を実行してもらいたい。」

「ありがとうございます、テンペスト。何であろうと任せてください。」

ロドリュークが言った。

 

「よし。では、君にはこれよりある人物のサポートを頼みたい。」

 

「わかりました。詳しく聞きましょう。」

 

その後も、彼はしばらく手鏡に向かって会話を続けていた・・・・

 

そんな時に、夕日が全く当たらない所で・・・・

 

「ウィルクス・ウィッチクラフトアカデミー・・・・なかなかなの名門校のようだな。」

 

マックスが『魔法全史』を開いて見ていた。そして彼と向い合うようにエレナが座っている。

彼女をこの地下隠れ家に連れてきてから、マックス達の知らない間に何があったのかを一通り聞いたところだった。

 

「良い学校へ入学して、どうしてグロリアなんかに気が傾いたんだ・・・話を聞いた所、俺達とほとんど似通った生き方をしてきた事がわかったが、選択が全くもって逆になるとは・・・何か特別な理由があるのか?」

 

「あたしにはないわ。ただ、あなた達とは逆の組織の人間が近づいて来たからこうなったのだろうね。デイヴィック達は違うみたいだけど。」

 

エレナは続ける。

「デイヴィックとリザラ、そしてロドリューク三人の親は、もともとグロリアだったと聞いたわ。」

 

「そうか。グロリアに招待されるわけだ。そして親の後を継ぐってわけか・・・」

マックスは本から目を離した。

「じゃあ、君とロザーナ・エメリアはグロリアとナイトフィストの戦いに何も関係してなかったわけか。」

 

エレナは静かにうなずいた。

 

「それじゃ、俺達が学校の皆にバレないように遊んでいた感じでグロリアの任務をやっていたと?」

マックスの近くに立つディルが言った。

 

「話が本当なら、そういうことになるわね。」

ソファに座るジェイリーズが言った。

すると、ジャックが・・・

「俺はわからなくもない。俺達のような周囲に溶け込めない人間は、とことんアウトサイダーな運命に巻き込まれるんだ。実際、俺達だってナイトフィストという謎の団体の仲間になっている。」

 

彼の言葉を否定することは誰もしなかった。

 

思えば、ナイトフィストについてはサイレントから説明された事しか知らない。

詳しく知りもせずに自分達は組織の仲間入りをしたわけだが、実際に他のナイトフィストの人間と会って話をしたこともない。どんな事をやってきたのかもわからない・・・・

 

「考えてもみれば、俺達も君と何も変わらないのかもな。」

マックスはエレナに対する不信感が薄れていくのを実感した。同時に、さっきまでの不信感は同情へと変わっていく。

 

だが、まだ話していることが全部嘘であるという可能性は無視できない。されど警戒はし続ける必要があるとマックスは考えていた。

 

「ようし。とりあえず今は、君と俺達とは敵対していないということで決まりだ。もし今後、君がわずかでもグロリアに心が傾き、俺達を裏切るような事があれば・・・わかっているな。」

 

マックスはエレナを一直線に見て言う。

 

「わかってるわよ。」

エレナは少々向きになって言った。

 

「だが、俺達に協力することで君への疑心を消していくことができる。そうすればあるいは、君が完全に俺達の仲間として認めることもできるかもしれない。」

 

マックスは続けた。

「これから君には、色々なチャンスをやる。裏切らなければ、望むならばナイトフィストの味方にもしてやれるかもしれん。」

 

「本当だったのね・・・」

エレナが初めてわずかに微笑んだ。

「リザラ達が言ってたことは当たっていた。あなた達に出会えば助けてくれるだろうって・・・」

 

「俺達は悪魔じゃないからな。理由があればとりあえず聞くさ。」

ディルが言った。

 

「そうだ、早速教えてほしいことがある。」

そう言って、マックスは椅子から立ち上がって壁の方に歩いていくのだった。

 

そして壁に掛けられた黒縁の丸い鏡を取り外すと、それを片手に戻って来る。

「これで確認してもらいたいことがある。」

 

マックスは鏡に手を触れて、とある見たい場所の光景を想像した。すると・・・

 

「鏡が・・・鏡じゃなくなるぞ。」

後ろでディルが興味深げに見ていた。マックスも同じく心が踊った。

 

見ると、鏡に写るのはこの部屋とマックス達の姿ではなくなり、全く別の光景がそこに写し出されているのだった。

 

「確かにこれは使えるな。」

 

それは、セントロールス旧校舎の六階廊下に設置した、ボーラーが見ている光景だった。

廊下の端には、あの操られた警官が一人立っている。

 

マックスはエレナにも鏡面を見せて言った。

 

「これであの学校のいたる所を監視できるわけだが、ここに一人で立っている警官がいるだろ。」

 

エレナは、この光景を初めて見るような様子だった。

 

「この警官、どうも正気じゃないらしい。彼に関して何か知らないか?」

マックスは、何らかの情報が聞き出せるのではないかと期待した。

だが・・・

 

「ちょっと待って、どういう事?」

 

「実は、この警官は何者かに服従の呪文で操られているんだよ。そしてその術者は、どうやらここから先のエリアに人が入らないよう見張らせているみたいだ。

俺達は、これにはグロリアが関わっていると考えている。もしかしたら、君の仲間の誰かの仕業じゃないかともね。」

 

マックスは迫った。

 

「知らないわ。警官の事なんか何も知らない。デイヴィック達も何も言ってなかったわ。」

「そんな・・・本当だろうな?」

「嘘じゃない!」

彼女はむきになった。

 

「わかった、落ち着け。となると・・・・やっぱり黒幕・・・」

「黒幕・・・?」

エレナは、呟いたマックスの言葉が気になった。

 

「ああ。俺達がそう呼んでる、グロリアに入ったセントロールスの生徒だ。俺達と初めて敵対した人物でもある。でもその姿を現したことが今まで一度もない。ずっと他人を駒として使っている奴だよ。そいつがどんな奴かも君に聞かないといけないな。」

 

すると、エレナは誰の事かピンときたようだ。

「それってまさか、初めて魔光力源の場所を発見した生徒・・・」

 

「やっぱり知ってるのか!詳しく教えてくれ!」

マックスは再び心が踊った。しかし・・・

 

「それが、あたし達も会ったことがないのよ。」

「何だって?・・・・」

マックスはまたがっかりする。

 

「話だけしか聞いたことないから、正直あたしは、そんな人物が本当にいるのか疑ってたわ。でも、まさかあなた達も知ってたなんて・・・」

 

ということは、その生徒とエレナ達とは全くの別行動だったと確定した・・・・

 

マックスは考えた。

どういうことか・・・なぜそんな事になっている?

一緒に作戦を実行させた方が、絶対に効率が良いはずだが。

そもそもなぜ黒幕は一人、単独行動しているのか?

指令を出している人物は必ずいるはずだ。指令先もエレナ達とは違うということなのか・・・

 

「君達に任務を与えている人物は何も言ってなかったのか?」

 

「魔光力源を発見した生徒がいるらしい、とだけ言っていた。だから、もしその生徒と出会ったらサポートしてやるようにと言われたわ。」

エレナは言った。

 

「そうか。黒幕の指令先は違うということか。ちなみに、君達に任務を与えている奴の名前は?」

マックスは質問を続ける。

 

「本名はわからない。テンペストと名乗ってるわ。」

「コードネームというやつか。」

 

操られた警官も、黒幕の事もわからない。マックスは次に何を聞こうかと考えようかしたその時、急にディルが口を開いたのだった。

 

「ちょっと待った、今テンペストって言ったな?」

 

「どうしたんだディル?」

マックスは後ろを振り返って言った。

 

「テンペストって名前、近頃どこかで聞いた覚えがある。」

 

そしてディルがそう言った直後に・・・

「思い出したぞ。」

「ジャック、お前まで何だ?」

 

マックスは、テンペストがどうしたのか全くわからなかった。

だが、ディルとジャックはそのコードネームを知っていて当然なのだ。

 

「マックスとジェイリーズもその人物に会っている。でも二人は名前を知らなくても不思議じゃない。」

しかし、実はマックスはその名をジャックから聞いていた。

 

「君達が初めてサイレントと出会って、ここへ連れてこられた時の事を思い出すんだ。あの時に、俺とディルは別の男に連れてこられた。その時に、君達もここでその人物を見ているはずだ。」

 

マックスは初めてサイレントと出会い、ここでナイトフィストやグロリアに関する事を聞かされた記憶をたどると、ここにサイレントともう一人の男がいた光景を思い出すのは容易だった。

 

「ああ、もう一人いたのは知ってるが、それが・・・」

 

「俺とディルの前に現れたときに、確かにテンペストと言った。」

「そうだ!その時に聞いたんだった。間違いない。」

ディルもそう言う。

 

これはどういうことか・・・

 

「そう言えば、あの後でお前からそんな話を聞いた気もするが・・・だとしたらどうなってるんだ。お前とディルをここへ連れてきた男はサイレントと同じ、ナイトフィストの人間のはず。それが、魔法学校の生徒をグロリアに招いた人物と同じだっていうのか・・・」

マックスが言った。

 

「偶然コードネームが被ったと考えられなくもないが、可能性は低いだろ。」

ジャックが言った。

 

「誰か、そのテンペストって男の顔を覚えてない?あたしもいたのは覚えてるけど、顔までははっきり見てないのよ。」

ジェイリーズが言うように、マックスも全く同じだった。

 

「俺は、また見れば思い出すだろう。でも会う機会がない。そもそも、俺達に任務を与えて何度か会っているのはサイレントだけだ。あの男は俺達といっさい関わってないじゃないか。」

 

「ジャックの言う通りだ。俺達のサポート担当はサイレントがやっている。すると、テンペストはこっそりグロリアの活動をしていると考えることができるな。」

マックスは言った。

 

「じゃあ、テンペストがあの後ナイトフィストを裏切ったと言うのか?」

ディルが言った。

 

「現に、デイヴィック・シグラル達に指令を出しているのはテンペストと名乗る人物だ。その可能性は十分にある。今度サイレントに会ったときは、テンペストに関する事を聞かないといけないな。」

 

そして、鏡の中の光景が変化したことに気づいたのはこの時だ。

 

「おい、見ろ!誰か来てるぞ!」

ディルが机上の鏡を指差して言った。

皆は鏡面を同時に見て、最初に反応したのはエレナだった。

 

「デイヴィックとリザラ!」

 

この展開は全く予想していなかった。

見ると、さっきまで警官一人が立っていた廊下にデイヴィックとリザラが現れているではないか・・・

 

「あの二人が警官と接触している・・・」

マックスは鏡を持った。

すると、鏡面から微かに声が聞こえたのがわかった。

 

「ボーラーは音も拾うのか。優秀だ。」

更に観察を続ける。

 

 

そしてその現場では・・・

 

「何なんだあの警官は・・・誰が何の目的でここに立たせてたんだろうか。」

デイヴィックが警官の横を通過しながら、小声で言う。

 

「ロドリュークか、魔光力源を発見したもう一人の仲間が服従の呪文をかけたのか・・・もしくはあの四人。いずれにしても、この先には警備員を入れたくない理由があったということね。」

隣を歩くリザラが言った。

 

「まさかエレナではないだろうし・・・待てよ、魔光力源があるって可能性は?」

「あり得るわ。確かめるよ。」

二人はそのまま、旧校舎六階の廊下を進む。

 

その途中でデイヴィックが再び話しだす。

「出来れば来てほしいけどな・・・・」

 

リザラは何の事なのか、すぐに察した。

「エレナが決めることよ。人の人生を邪魔してはいけない。ロドリュークみたいに。」

「わかってるよ。ただ、仲間が減ったもんだなぁと思って・・・」

「まあね・・・」

 

そして二人が一番奥の部屋に近づいた時、驚くべき偶然が起こった。

 

「君達、こんな所に来ていたか・・・」

 

その声は突如として、二人の背後から聞こえたのだった。

二人は瞬間に立ち止まり、くるりと振り向いて杖を構える。

 

「あなたは・・・何でここに・・・」

デイヴィックは、杖を持った手を下げて言った。

 

「その素早い反射神経はさすがだな、デイヴィック・シグラル。」

 

一方マックス達も、この光景を鏡ごしで目の当たりにしている。

そして二人と向かい合う男の顔を見るなり、エレナが真っ先に反応した。

 

「この人よ!これがテンペストだわ。」

続けてジャックが・・・

「ああ、間違いない。俺が知るテンペストもこの男だ。まさか今確認できるなんて・・・」

 

なんと、デイヴィックとリザラの元へ現れたのはテンペストと名乗る男であった。

ここで早速、ジャック達とエレナ達が知るテンペストが同一人物であるということが判明したのだ。

 

「そうか。やっぱりこいつは裏切りだ。」

マックスは更に鏡面に集中した・・・

 

"テンペスト"・・・・歳はサイレントと同じぐらいで、長い髪をオールバックにしている。

 

「実は、今日は用事があってここへ来たのだが、偶然君達と出会ったついでに、色々と話したいことがある・・・」

 

彼は二人に近づきながら言った。

 

「ああ、何の事かはだいたいわかっている・・・」

デイヴィックが言った。

 

「察したようだな。君達に何があったのかは彼から聞いた。」

「ロドリュークの奴か・・・」

デイヴィックが呟いた。

 

「だがその事について私は特に問題視してはいない。私が気にするのは今後の事だ。」

 

彼は続ける。

「君達が今後、どれ程の行動を起こしてくれるか。それから、もう一人の仲間の姿が無い事も気になる。」

 

デイヴィックは言葉を選んだ。

 

「エレナは・・・今は別の場所にいる。魔光力源を探したり、他にナイトフィストの人間が潜入してないか確かめてるのだろう。」

 

「一人だけでか・・・どういう意図でそうしている?」

 

テンペストの言葉に、デイヴィックとリザラは返す言葉が思いつかなかった。

 

「まぁいい。だがひとつ言っておくと、君達が魔光力源を探す必要はもうない。」

 

「どういうことだ?」

デイヴィックが言った。

 

「知っての通り、仲間の一人によって魔光力源は既に発見されている。今後は、魔光力源に関する任務はその人物に任せることとした。」

 

鏡の向こうの会話は続いた。

 

「君達には別の任務を与える。まずひとつが、ナイトフィストに味方するこの学校の生徒を排除することだ。見つけ次第、容赦するな。」

 

「ああ、それなら既にわかっている事だ。」

デイヴィックが言う。

 

「加えて言うならば、彼らに味方する者も攻撃対照だ。無論、君達の仲間が裏切ったとして、彼らの側につこうものなら同じくだ。」

 

それは、今のデイヴィック達の状況を見透かしたような言い方だった。

 

「ああ。わかっている・・・・」

デイヴィックは答える。

 

「ようし。では次に、この階に近づく者は例え誰だろうと見逃すな。」

テンペストは言った。

 

「ということは、あの警官を操って見張らせているのはあなただったのか。」

 

「いいや、やったのは私と共に行動しているパートナーだ。だがそう指示したのは私だがな。そのパートナーが、この先の部屋を時たま使うことがあるのだ。だから誰にも邪魔させるわけにはいかん。もちろん、君達もここから先に行かせることは出来ない。」

 

「同じグロリアの仲間なのに?」

ここでリザラが口を開いた。

 

「そうだ。誰かがこの廊下に近づけばすぐにわかるよう仕掛けを施してある。どこからでもこの場所を監視できるのだ。今も私のパートナーがこの状況を見ているかもしれない。」

 

彼は天井付近を見上げてそう言ったのだった。

 

そしてこの言葉を鏡ごしで聞いたマックスは、ジャック、ディル、ジェイリーズと顔を見合わせた。

 

「今あいつが言ったこと、ボーラーを意味してるように聞こえたのは俺だけか?」

 

「いや、俺も同じく。」

「あたしもよ。それに上を見渡していたわ。」

どうやらディル以外の二人もピンときていたらしい。

 

「すると俺達が仕掛ける前に、既にこの廊下にはボーラーがあったということになる。それもテンペストの仲間が仕掛けて、監視している・・・待てよ!」

 

この時、マックスは重大な事に気づいたのだった。

「俺達がボーラーを仕掛けに来た時に、見られていた可能性がある!」

 

「もしそうだったら、テンペストが言う行動仲間とやらが俺達を消そうとしてくるのは間違いないぞ。これから学校に入るのも難しくなるんじゃないか?」

 

確かにディルの言う通りだ。

テンペストは例えグロリアの仲間だろうと、あの旧校舎六階廊下に近づかせたくないようだ。

ならば、ナイトフィスト側の俺達があの場所を探っていた事を知ったら絶対に俺達を消したいはず・・・

テンペストの耳に入るのも時間の問題だろう。

 

マックスは色々と嫌な展開を想像した。

 

鏡の中から再び声が聞こえる・・・

 

「では、今後の活躍に期待しているよ。もしどこかでライバン達と出会ったならば、まぁ仲良くしてやってくれ。」

そう言って、テンペストは二人の横を通って廊下を進んだ。

 

廊下を歩きながら、彼は言う。

「言った通り、君達もここから先へは立入禁止だ。是非とも守ってくれよ・・・」

 

 

夕日はだいぶん沈み、空が深く暗いオレンジ色に染まってきた頃・・・

 

デイヴィックとリザラは二人、セントロールスの屋上にいるのだった。

 

「あの男は何を考えてるのか・・・・」

デイヴィックが呟く。

 

「ただ、ひとつだけわかった。彼はあたし達に重要な事を隠しているわ。」

リザラが言った。

 

「だなぁ。それにエレナの事もある・・・・今度の指示には、完全には従えないな。」

 

オレンジの光が二人を照らし、床に長い影をつくる・・・

その影を見下ろしながら、デイヴィックは考えた。

 

「テンペストが何をしているのか、俺達は知る必要がある。任務を実行するのはその後だ・・・」

 

 

一方、テンペストはというと・・・・

 

「あとはあの四人が邪魔をしなければ・・・なぜ魔光力源に近づいた。マグル界で育ち、マグルの学校にいる人間が、どうやってあれを知った・・・・?」

 

薄暗いどこかの部屋で、誰かと一緒にいるようだ。

 

「まぁいい。私達の計画をサイレントは知らない。あの四人・・・マックス・レボット達は駒が何とかしてくれると期待しよう。私達の、長年の計画は必ず成し遂げられるさ。」

 

「そうね・・・」

部屋の椅子に座る誰かは、静かに言った。

 

「あとひとつだ。あとひとつの魔光力源さえ見つかれば、私達の時代が始まる。」

 

 

 

 

 

 




リザラ・クリストローナ

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デイヴィック・シグラル

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