そして感想を見てみると、自分の作品が楽しんでもらえていることを嬉しく思っています。中にはつまらない、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが面白い作品にしていこうと努力しますのでこれからもよろしくお願いします!
それでは「空閑悠一は波乱から逃げられない運命である」長いタイトルですがどうぞ!
現在A組の悠一と深雪以外の生徒は全員二人を見ている。特に男子は深雪と話している悠一に嫉妬と怨念を込めた眼差しを送っているが、本人はそれどころではないため気づいていなかった。
「えーと司波さん、どこでそれを聞いたの?」
「私のことは深雪と呼んでください。教えてくださったのは七草会長です」
「(ちょっと真由美さん!?何言っちゃってんの!)」
「それで、何故断ったのですか?」
深雪からの威圧に悠一は少々顔をひきつっていた。
「(ここで嘘言ったところですぐにバレる、まぁ本当のこと言っても信じてもらえるかどうか…………)」
「俺は答辞とかそういう人の前に立ってすることが苦手だから真由……七草会長に無理言ったんだよ」
「…………本当にそれだけですか」
深雪が顔を近づけて言う。二人の距離は鼻があたりそうなくらい近かった。この場に達也がいたら間違いなく
「本当だ…………後顔近い……」
「あ、すいません」
気づいた深雪は少し顔を赤めてすぐに離れた。
「嘘ではないようですね。ごめんなさい、疑ってしまって」
「気にしないから大丈夫(とりあえず真由美さんには何か仕返しをしておこう……)」
「くしゅん! う~、誰か私の噂でもしてるのかしら」
三年の教室に可愛らしいくしゃみが響いた。
A組に予鈴がなり皆席につく。しかし前の席にいる雫は悠一をジーっと見つめながら「嘘ついてたんだ」と言った。
「すまん、あまり目立ちたくなかったから」
「試験の時に既に目立っていたから意味ないと思うけど」
「…………返す言葉もないな」
「まぁ、悠一さんなら納得したし、いいけど」
「ありがとな」
「その代わり私とほのかに放課後何か奢って」
「……わかった」
悠一は普段からクレジットカードを持ち歩いているため金銭的には問題どころか使い道があまりないため高校生の買い食いレベルでは懐を痛めることはない。
担当の先生が教室に入ってきたのでそこで会話は終わった。
その後も普通に授業を終え、昼休みは達也たちとの衝突を避けるため一人屋上で持ってきておいた弁当を食べていた。ちなみに悠一は自炊、家事もなんなくこなす。
そしてあっという間に放課後、ほのかと雫と一緒に帰ろうとしたが、忘れていたため、お馴染みの達也たちとの衝突現場に居合わせてしまった。
A組の森崎とE組の美月が言い争っていた。
悠一はそれをほのかの隣で見ている。
「(止めたほうがいいんだけど、タイミングがない……)」
美月は森崎たちの理不尽な行動に堪忍袋の尾が切れたようで
「いい加減諦めたらどうなんですか?深雪さんは達也さんと一緒に帰るといっているんです。あななたちが口をはさむことじゃないでしょう」
「(いや、美月さん?正論だけど言い過ぎじゃ…………)」
「いったい何の権利があって深雪さんと達也さんの仲引き裂こうとするんですか」
「(その言い方だと二人が兄妹ではない別の関係に聞こえるんだけどね。深雪も顔赤らめてるし)」
悠一は声に出さず美月にツッコむ。
「僕たちは司波さんに用があるんだ!」
A組のモブ男言う。名前?知らん。
「そうよ!司波さんには悪いけど、ちょっと時間を貸してもらうだけなんだから!」
A組のモブ女が(以下省略)
その後も言い争いがどんどんヒートアップして、美月がブルームが一体どれだけ優れているのだと言ってしまう。
「(知ってはいたけど美月さん、こいつらにそれは禁句)」
「だったら教えてやる!」
森崎が銃のような特化型CADを美月たちに向けようとするが
「ストップだ、森崎」
大声ではないが威圧を込めた悠一の声で森崎が止まる。
「さすがにそれ以上はやりすぎだ」
「黙っていろ空閑!こいつらに俺たちが優れていることを教えて…
「法律破ろうとしているやつが何を言ってるんだ」
悠一が呆れるように言う。レプリカは内部通信で「ユーイチのその言い方もあまり良くないが」というが悠一は「わかってるが、少し黙っていてくれ」と返した。ちなみに悠一の今の状態は生身だが、レプリカと内部通信は出来る。
「森崎、お前のように自分が一科だと誇りに思うのは別にいい。プライドもある程度は必要だ。たが俺たちが一科と呼ばれているのは魔法力だけだ」
「魔法力が優れているということは俺たちの方が強いということだろうが!」
「けどお前さっきそのまま発動しようとしていたら、そのCADそこの警棒持っている人に弾き飛ばされるところだったぞ」
その言葉にエリカが驚いた。確かにエリカは警棒で森崎のCADを弾くつもりだったがまだ警棒を取り出そうとしていたところであり、自分の実力による結果を悠一に言われると思わなかったからである。
「俺たちは魔法力はこいつらより上だが、実際の戦闘になるとこいつらの方が動けるぞ」
「……だが!」
「だがもくそもねぇ、俺たち魔方師に一番必要とされているのは魔法力じゃない、いついかなる時でも自分の力を十分に発揮し己の役割を果たす意思だ」
誰も悠一の言葉に反論の意見を述べる者はいなかった。
「まぁ、俺もそんなに人に言えた立場じゃないが、こういうことはもうすんなよ」
「さっきからそちらの二人の会長さんが厳しい目でこっちを見てるからな」
少し離れたところに風紀委員長の渡辺摩利と生徒会長の七草真由美が悠一たちを見ていた。
「……ここで言い争いが起きてると連絡があって来たんだかな」
悠一が二人の近くに行き。
「このようなことはもうしませんのでどうかここは見逃してもらえませんか」
悠一は頭を下げて言う。
摩利はしばし悩むが
「見たところ魔法も発動してないようだし今回は不問にしましょ、摩利」
以外にも真由美の援護。これには悠一も驚く。
「……しかしだな」
すると達也と深雪も近づき
「今後このようなことにならないようにしますので、お願いします」
「私からもお願いします」
二人も頭を下げると後ろにいた全員も頭を下げ始めた。
「わかった、ただし同じようなことがあれば今度こそ説教喰らってもらうぞ」
「ありがとうございます」
悠一は再度頭を下げる。
渡辺と真由美が戻ろうとするが、渡辺が悠一と達也を見て
「悠一君には明日昼休み生徒会に来てもらいたい、後そこの……「司波達也です」達也君も深雪さんと一緒に来てもらいのだが」
ここで断るのも悪いと思った三人は了承した。
後で気づくがさりげなく名前で呼ばれている三人である。
「あ、悠一君ちょっと来て」
真由美がチョイチョイと手招きする。
そして背伸びして悠一の耳元で
「一つ、借し作ったからね」
と囁いた。
「え、ちょ!」
「ふふ、また赤くなってる。もしかして耳が弱点だったりして。それじゃぁまた明日」
真由美が離れていくと悠一はその背中を見つめながら思った。
「小悪魔みたいじゃなくて本当に小悪魔だよ、あの人は」
「なぁ、真由美」
「なに?」
「絶対惚れてるだろ、悠一君に」
「な、ななな、そんなわけないないわよ!」
「落ち着け、日本語がおかしくなってるぞ」
「それに、摩利だって名前で呼んでいたじゃない!」
「別にいいだろうそれくらい」
「摩利こそ惚れたんじゃないの?」
「何を言っているんだ!私にはシュウがいる!」
……こうして風紀委員長と生徒会長の言い争いは生徒会室に着くまで続いた。
最後の悠一と真由美の会話殆どデジャブでしたね……
それでは次回もお楽しみに!