尖閣諸島決戦 VS中国軍【空母いぶき】   作:カカシ

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ここから原作とは少し変わっていきます・・・まだ微妙な差だけど


第一章 「いぶき」

尖閣上陸事件より一年後の9月25日

コードネーム・ペガソス

新型護衛艦「いぶき」就役

 

海上自衛隊に新編成された第5護衛隊群旗艦として

初の演習航海のため、鳥島沖へ向け横須賀基地を出航し

現在その演習中である

 

群司令は前あたご艦長の涌井啓治

いぶき艦長は空自から海自に転属するとともに昇級した秋津竜太一等海佐

そして副長兼航海長は新浪歳也

 

DDV-192 航空機搭載護衛艦「いぶき」の対空兵器は、他の護衛艦に比べ少なく

近接防空ミサイル「SeaRAM」と近接防御火器システムCIWS「ファランクス」のBlock1Bのみ

 

そのため艦隊防衛は随伴する

 

あたご型ミサイル護衛艦「あたご」(DDG-177)

こんごう型ミサイル護衛艦「ちょうかい」(DDG-176)

ゆきなみ型ヘリコプター搭載護衛艦「みらい」(DDH-147)

あきづき型汎用護衛艦「ふゆづき」(DD-118)

たかなみ型汎用護衛艦「さざなみ」(DD-113)

そうりゅう型潜水艦「けんりゅう」(SS-504)

やまなみ型潜水艦「たつなみ」(SS-602)

 

 

以上の艦に委ねられている

 

第5護衛隊群、鳥島沖での初の慣熟訓練は

明日に予定された艦長会議に向け

昼夜を徹して行われていた

 

 

『日本はそのつもりでも、東南アジアや中国はどう思うか!』

『軍事衝突を起こしかねんぞ!』

『もし戦争になったら、あんたはどう責任を取るんだ!』

 

沢崎「・・・」

 

沢崎勇作

アジア大洋州局参事官

インドネシアジャカルタ勤務から本省に戻った

 

沢崎「野党も大甘だが、首相も一年前の尖閣上陸事件で命拾いをしたな」

 

沢崎「あれがなかったらこんな追求ではすまい・・・」

 

高見沢「沢崎、7時に官邸だ」

 

高見沢「首相用のブリーフィング資料を整理しとけ」

 

沢崎「はい」

 

 

 

 

首相官邸

 

沢崎「いぶき就役に対するASEAN諸国の反応は各国で異なります」

 

沢崎「ですがどの国の報道も一面トップで記載されていました」

 

沢崎「ある国は「中国に対抗すべく日本は選択した」」

 

沢崎「ある国は「旧日本海軍の亡霊、現世に蘇る」」

 

沢崎「などです」

 

沢崎「問題は中国政府です」

 

垂水「うむ・・・」

 

沢崎「先の尖閣での護衛艦への対艦ミサイル6発発射は中国政府は「現場が勝手にやったことであり我々はそれを望んでいない」と公表しました」

 

沢崎「その中国政府に対し、我が国が「いぶき」就役が半年前倒ししたのは中国政府の発表を信じない・・・と」

 

沢崎「世界に向け公表したも同じです」

 

垂水「・・・・」

 

沢崎「総理、やはり過剰な反応をしたのではありませんか?」

 

垂水「沢崎くん、内調の話では上陸した3人は工作員であり、公表もせぬが証拠もあると言っている」

 

垂水「いぶき就役を早めたのは日本として当然の対応だと考えている」

 

沢崎「・・・総理、今年に入って中国海軍の動きが激しくなっています」

 

垂水「新型空母2隻か、防衛相から報告は入っておるが・・・今年のはじめに試験航海に出たと」

 

沢崎「いえ、すでに訓練を終え、青島基地に帰投したと」

 

垂水「・・・・訓練を早めに終えたか」

 

垂水「性能と装備は遼寧や他の中国側の空母を上回ると聞いているが、まさか一年もかからず訓練を終えたか」

 

垂水「数年前に就役した雲南型航空母艦2隻は南海・東海艦隊に既に配備されてるが、ついに北海艦隊にも旧型の遼寧に加え2隻の新型空母を配備した・・・か」

 

沢崎「これは、明らかに「いぶき」に対応した動きです」

 

垂水「・・・ところで沢崎くん」

 

沢崎「はっ!」

 

垂水「君は省内でペガソス計画に反対派だったのかな?」

 

沢崎「・・・・今も慎重派と申しておきます。」

 

垂水「忙しくなると思うが、期待している」

 

沢崎「はっ!・・・・・」

 

 

 

翌日

鳥島沖

 

「あたご艦長、浦田鉄人一佐到着!」

 

浦田「・・・・」

 

「みらい艦長、梅津三郎一佐到着!」

 

梅津「すまないな・・・」

 

「たつなみ艦長、深町洋二佐到着!」

 

深町「おう、ご苦労さん」

 

その日、第5護衛隊群各艦長が旗艦「いぶき」に集合

演習航海初の艦長会議が開かれる・・・

 

秋津「我が「いぶき」にようこそ」

 

 

 

 

新波「演習第1クールを終え、各艦の報告が出揃ったところで」

 

新波「いよいよ明日0600より第2クールに入ります」

 

新波「これまでのところで、反省点、問題点があればご意見をどうぞ」

 

瀬戸「・・・・」

 

清家「・・・・」

 

「ふゆづき」艦長 瀬戸斉明 二等海佐

 

「さざなみ」艦長 清家博史 二等海佐

 

浮船「問題は中国の動きだ!」

 

「ちょうかい」艦長 浮船武彦 一等海佐

 

浮船「ココ数年、尖閣諸島を巡る中国艦艇の挑発行動は激しくなっている」

 

浮船「向こうの狙いは明白だ」

 

浮船「中国政府が設定した第一第二列島線の突破!西太平洋の支配権確立にある」

 

浮船「そうなれば日本は東シナ海上空の制空権・・・いや航空優勢さえ失いかねないことになる」

 

浮船「皆、その危機感を持って訓練にあたっているが、それを防ぐ使命は我々にあると言っていい!」

 

滝「問題は海中も同じ!ここ数年、中国の潜水艦は雑音の魂じゃねえんだな!」

 

滝「キロ級、元級の動きはアクティブソナーを使わない我々のパッシブ能力では捉えきれなくなっているのが現状!」

 

滝「彼らが宮古水道を自由航行するのも時間の問題と言っていい」

 

滝「中国の潜水艦は原潜含め約80隻!」

 

滝「これを止める海自潜水艦は現有22隻!」

 

滝「日本の領海を守るための潜水艦の数が足りねえよ」

 

深町「いずれにしろ中国の潜水艦の物量には勝てない・・・が」

 

深町「だがな、ないものねだりをしても空から潜水艦降ってくるわけはない」

 

深町「だから今までより高い練度を維持するしか手はない!」

 

浦田「皆、危機感を持って訓練に臨んでいるようで結構だ」

 

浦田「ただ私が危惧するところは、我が第5護衛隊群が旧海軍の空母機動部隊の復活とはしゃぐ気分があるということだ」

 

浦田「忘れてはならない、我々は日本海軍ではない。専守防衛を順守する」

 

浦田「海上自衛隊だ」

 

浦田「ところで秋津一佐、いぶき新任艦長として」

 

浦田「我が第5護衛隊群、どのような艦隊でありたいとお考えか?」

 

浦田「忌憚のないご意見をお聞かせ願いたい」

 

新波「・・・・」

 

秋津「・・・・アジア最強!」

 

浦田「!」

 

浦田「これはまた妙なことを!我々は日本を守る護衛艦隊だ」

 

浦田「アジア最強とは一体どういう意味だ?」

 

秋津「アジアを守らなければ、日本は守れないということです」

 

浦田「それは、もし中国が力で出てきたら力で叩くということか?」

 

秋津「たとえどんな国が戦闘を仕掛けてきたとしても」

 

秋津「武には武で応えるのが我々の指名でしょう」

 

浦田「・・・・」

 

梅津「まあよかろう、軍事衝突など絶対にあってはならんが」

 

梅津「わが国土、国民のために命を賭ける覚悟がなくては」

 

梅津「我々は自らを軍人とは呼べんでしょうな」

 

秋津「・・・・・」

 

新波「・・・・・」

 

 

外務省

 

沢崎「高見沢局長、見てください」

 

高見沢「データか」

 

沢崎「はい、尖閣諸島近辺の中国艦船の動きですが」

 

沢崎「このところ海警も漁船も全くありません」

 

高見沢「ほう・・・」

 

高見沢「沢崎、これは「いぶき」就役の抑止力かもしれんぞ」

 

沢崎「だといいのですが・・・・」

 

沢崎(これはいぶきの抑止力ではない)

 

沢崎(これは新たな動きの予兆ではないか?)

 

沢崎(新たな動きの・・・)

 

 

続く

 




兵器・人物解説

深町洋
第2潜水隊群第4潜水隊所属「たつなみ」艦長
言動はともかく練度の高さを買われ第5護衛隊群に
「やまと」事件を起こした海江田とは同期

梅津三郎
第1護衛隊群第5護衛隊所属「みらい」艦長
みらいの練度の高さを買われ第5護衛隊群に

ゆきなみ型ヘリコプター搭載護衛艦
新88艦隊のために建造されたイージス搭載護衛艦
支援ヘリコプターMV/SA-32J「海鳥」を搭載しているためDDG(ミサイル護衛艦)ではなくDDH(ヘリコプター搭載護衛艦)である
あたご型が経費削減のためトマホーク巡航ミサイルやESSMの導入を後日装備としあくまでも艦隊防空艦としたため、日本で唯一のトマホーク、ESSM搭載イージス艦である
VLSはMk41を29+61セル装備、当初は後部VLSがMk48であったが改修により今に至る

やまなみ型潜水艦(二代)
おやしお型の次に建造した潜水艦
機関はディーゼルエンジンのままだが電池がリチウムイオン蓄電池に変わっている
四隻建造後、計画変更によりそうりゅう型が建造されることになったため四隻で打ち切られた
なお初代やまなみ型は二隻であったが二隻とも波乱な人生を送って廃艦となっている

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