尖閣諸島決戦 VS中国軍【空母いぶき】   作:カカシ

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やはり対潜戦闘は最新型を持つあきづき型に任せるべきですな


第十章 第5護衛隊群VS「遠征102・103」

4月27日

中国時間12時30分

北京

朝陽区朝陽門南大街2号

中国外交部(外務省)

 

程「お待たせしました、酒井大使」

 

程「おや、駐在武官の方もご来訪とは穏やかではありませんな」

 

中国外交部副部長

程朝旭

 

酒井「穏やかではないのは貴国の方ではありませんか」

 

在中国特命全権大使

酒井彰

 

程「当方はこれまでの主張を行動に移したまでです」

 

酒井「ほう・・・・貴方方が領有を主張していない与那国島、多良間島が中国軍によって占領されている事実をどう釈明されるのか?」

 

程「それは戦術上の問題で国防部の意見を聞いてみなければわかりませんな」

 

酒井「ならばなぜこの席に国防部の関係者が出席していないのはなぜか?」

 

程「本日は外交交渉ということで外交部の人間が出席しているわけです」

 

酒井(このことを話しても埒が明かんようだな)

 

酒井「では本題に入りますが」

 

酒井「昨日の政府声明において、占領している多良間、与那国を占領しているが速やかに日本側に引き渡す用意があると明言している、その手順を話し合いたい」

 

程「世界に発信したように我が政府は占領した2つの島を日本側に速やかに引き渡す用意があります、しかしその前にこの交渉で明確にしておかなければならないのは」

 

程「魚釣島(ティアオユータオ)は中国固有の領土だという歴史的事実です

 

程「日本側がその事実を認めるならば、今日にでも軍を撤退させ引き渡します」

 

酒井「・・・・魚釣島を含む尖閣諸島は、中国が領有権を主張し始めるはるか以前」

 

酒井「中国が領有権を主張し始めるはるか以前の1800年代から日本の領土であり」

 

酒井「中国の主張は根拠が全くありません」

 

程「どうやら大使閣下は現状を理解できていないようですな」

 

参事官「中国は沖縄を中国領と考えているのか?」

 

参事官「明言してもらいたい」

 

程「よろしい。我が国は琉球と歴史的に親密な関係にありますが、現在のところ琉球は日本の領土と考えています」

 

酒井「であるならば、中国軍は我が日本の沖縄県内である与那国島、多良間島を不法に侵略し占領していることを認める・・・・と?」

 

程「現状はそうであるかもしれないが、人民解放軍の作戦結果であり、短期的なものに終わるでしょう」

 

程「我が政府は与那国島、多良間島を引き渡すつもりですが・・・そのためにも日本は魚釣島(ティアオユータオ)を我が国の領土であることを認めるべきである」

 

酒井「それは認められない・・・・」

 

酒井「あなた方は占領した2島を引き渡すかわりに国境の現状変更を強要しているということか!?」

 

程「我が国は法律に明記されている領土の実効支配を目指しているだけです」

 

程「ですから、2島引き渡しのために本日こうして交渉しているのです」

 

程「ただ先程、人民解放軍情報部おり連絡がありました」

 

程「すでにあなた方もご存知であると思われますが」

 

程「貴国と我が海軍の大規模な空戦があったとのことです」

 

程「結果がどうあれ、貴国の出方次第では今後の交渉が難航するのではと・・・危惧するところです」

 

酒井「・・・・・・・・」

 

 

同日

日本時間13時50分

総理官邸

 

国土交通大臣「交渉に応じる用意があると世界に発信しておきながら、これは交渉に臨む態度ではありません!」

 

総務大臣「一方的な宣言にすぎない!」

 

垂水「予想はしていたが、やはり平行線か・・・・」

 

外務大臣「ですが総理!中国の本音が引き出せました!」

 

外務大臣「一歩前進かと!」

 

垂水「外務省には引き続き交渉を粘り強くお願いしたい」

 

外務大臣「はっ!」

 

 

 

 

 

通信「北緯24.30、東経130.24の洋上!中国軍パイロットを一名救助!」

 

通信「収容し帰艦します!」

 

砲雷長「群司令、中国軍パイロットを一名ですが救助です!」

 

涌井「おかしいものだな・・・」

 

涌井「体に血が流れているのを実感した、そんな気分だ」

 

涌井「よく脱出してくれた・・・・」

 

艦橋員「副長、やりましたね!捜索を粘った甲斐がありました!」

 

新波「・・・艦橋よりCIC、秋津艦長」

 

秋津「秋津だ」

 

新波「艦長、スピーカーを切ってヘッドセットでお願いします」

 

秋津「わかった」

 

ヘッドセットをつける秋津

 

秋津「聞こう・・・」

 

新波「救助した中国軍パイロットは法的に捕虜となります」

 

新波「捕虜となれば、国際赤十字が身柄照合を求めてきます。いずれ佐世保か呉、横須賀に送ることになります」

 

新波「それまでの仮収容は旗艦「いぶき」だと思います、が中国軍パイロットの眼に本艦内部を触れさせることは避けなければなりません」

 

秋津「当然だな」

 

新波「従って、仮収容はDD-118「ふゆづき」に指示したいと思いますが、許可を」

 

秋津「その判断に任せる!」

 

新波「は!」

 

 

潜水艦「たつなみ」

 

通信員「通信受領、アンテナ収容します!」

 

深町「針路2-8-5、速力そのまま!深度500!」

 

深町「メインタンクブロー!ダウントリム10度!」

 

速水「深度500につけ!」

 

 

 

通信員「深町二佐、朗報です!」

 

02:00

中国軍パイロット一名救助

DD「ふゆづき」に収容

 

速水「自衛隊にとって捕虜第一号・・・歴史に刻まれますね」

 

深町「ふん、次は何だ?」

 

中国時間

01:30

北京において中国外交部との交渉が開始された

今後の交渉に影響する戦闘は極力回避されたし

 

速水「!?」

 

深町「防衛出動がかかっても戦うなと来たか・・・・何を言っているんだか」

 

深町「だがどうやら・・・・回避しろと言ってるようだがやるなとは言ってないようだ」

 

速水「やるつもりですか!?」

 

深町「相手がやればな」

 

 

 

深町「おいソナー、現場はラッシュか?」

 

南波「ラッシュどころじゃありませんぜ、艦長」

 

南波「米、露だけではなくて韓国、台湾」

 

南波「さらにベトナム、オーストラリア!北朝鮮も!」

 

南波「どの艦も機関停止で聞き耳を立てています!」

 

深町「情報収集に熱心に・・・・ご苦労さんと言いたいな」

 

ソナー手「10時の方向、距離5000、深度400」

 

ソナー手「僚艦も探知です」

 

深町「こりゃパトロールの「せとしお」か?」

 

深町「加瀬一佐がここまで出っ張るとは熱心なこった」

 

深町「いいか!ここは琉球海溝の近くだ、そこまでの間に決着をつけてくるはずだ」

 

深町「よく見張っとけ!」

 

南波「艦長、そんなこと言ってる間に来ました!」

 

深町「なんだ?潜水艦か?」

 

南波「ビンゴです。ノイズ照合の結果、中国潜「元級」遠征103号です!」

 

南波「鳥島沖で我々に挑んだあいつです!」

 

ソナー手「方位3-2-0、距離12キロ!真っ直ぐ艦隊に向かいます!」

 

ソナー手「速力12ノット、深度500!」

 

ソナー手「艦隊との距離、13キロ!」

 

深町「1艦だけで特攻でもする気か?」

 

南波「おいおい・・・マジかよ!」

 

南波「魚雷発射管すでに注水!発射口は開口!」

 

深町「こいつは撃つぞ・・・・」

 

深町「魚雷発射用意!1番2番装填!データは前方の元級をインプット!」

 

速水「艦長、先程の通信が見えてなかったんですか!?」

 

深町「馬鹿野郎、これはあくまでも脅しだ!元級の目の前で自爆させる!」

 

通信『こちら魚雷発射管担当!魚雷発射準備できました!』

 

深町「1番2番魚雷・・・」

 

南波「待ってください!」

 

深町「なんだ!?」

 

南波「おいおい、マジかよ!・・・・元級、魚雷発射!」

 

南波「このコースは・・・・「いぶき」を狙っています!」

 

深町「なに!!」

 

深町「ならば魚雷を・・・・」

 

ソナー手「艦長!せとしおに動き!」

 

ソナー手「これは・・・・遠征103に直撃コースです!」

 

深町「なんだと!?」

 

 

護衛艦「いぶき」

 

ソナー手「元級の魚雷発射音確認!速力15ノットで接近中!」

 

ソナー手「魚雷2本、左舷10時の方向に接近!艦隊との距離8キロ!」

 

秋津「「いぶき」より全艦へ!対潜戦闘用意!」

 

秋津「全力で魚雷回避せよ!」

 

新波「魚雷に正対!取舵40度!」

 

艦橋員「取舵40°!」

 

 

秋津「「いぶき」より「ふゆづき」瀬戸艦長へ、魚雷への対抗策を!」

 

瀬戸「了解!」

 

瀬戸(最新鋭の汎用護衛艦がいる艦隊に対潜戦闘挑むとは物好きなこった・・・)

 

瀬戸「ジャマー投下!」

 

魚雷員「ジャマー投下!」

 

投射型静止式ジャマー

あきづき型にて初採用になった新たな対潜防御兵器

敵の魚雷が近づくとFAJと呼ばれるものを海面に発射し

発射されたFAJは海面を浮遊しながら妨害音を発し

敵の魚雷のセンサーを狂わせることができる

 

瀬戸「よし・・・・右舷デコイ発射」

 

魚雷員「右舷デコイ発射!」

 

自走式デコイ(MOD)

こちらもあきづき型にて初採用にとなった対潜防御兵器

FAJによりセンサーを狂わされた敵魚雷に向けて発射し誘爆を誘う

 

 

 

甲板員「「ふゆづき」デコイ発射!」

 

甲板員「2本敵魚雷に向けて航走中!」

 

新波(食いつけば向こうの魚雷は囮を追いかける・・・何秒か時間が稼げるはずだ)

 

 

 

南波「「遠征103」回避操艦!転舵しつつ、アップトリムです!」

 

南波「「せとしお」同方向に合わせアップトリム!」

 

ソナー手「コース変わらず!接触まで1分!」

 

深町「加瀬の野郎は横須賀からの指示をギリギリで守ろうとしてやがる・・・・・」

 

深町「各国の潜水艦が見てる中で派手にやるな・・・・」

 

南波「衝突します!」

 

深町「・・・・・」

 

 

 

 

 

 

潜水艦「けんりゅう」

 

滝「エンジン音拾えるか?」

 

ソナー手「・・・・・エンジン音探知!「せとしお」「遠征103」ともに動いています!」

 

ソナー手「針路変わらず!」

 

滝(5メートルの深度差、おそらく「せとしお」は「遠征103号」のセールに乗り上げたようだ)

 

滝(両艦とも沈没はまぬがれたが・・・相当なダメージを・・・・)

 

滝(もはや潜水艦として使い物になるまい・・・・浮上して基地へ帰投するだろう)

 

ソナー手「両艦離れます!「遠征102」はアップトリム!」

 

ソナー手「浸水がある模様!浮上します!」

 

滝(「せとしお」は「いぶき」第5護衛隊群をこの「けんりゅう」と「たつなみ」に託し)

 

滝(海自潜水艦の技量、底力)

 

滝(そして・・・闘い方を見せた!)

 

 

 

 

護衛艦「いぶき」

 

ソナー手「魚雷、デコイに誘爆!どうやら誤認した模様!」

 

ソナー手「2本とも爆発した模様!」

 

涌井「よくやった・・・・訓練の成果だ!」

 

 

艦橋員「やりました!副長、これで魚雷はどんと来いですね!」

 

新波「10・・・・いや60本向かってきた時・・・・そう言えるかだな」

 

艦橋員「・・・・・」

 

 

 

水測員「艦長、探知した衝突音ですが「けんりゅう」ではなく「せとしお」です!」

 

水測員「「せとしお」が艦隊を守ろうと動いたものかと思われます!」

 

秋津「守ろうとしたのは我が艦隊だけではない」

 

秋津「交渉を壊す戦闘を回避せよとの・・・訓令もだ」

 

秋津「我が身を守る戦闘と戦争との間に明瞭な一線を引かんと・・・な」

 

秋津「だが中国潜はもう1艦いる・・・「遠征102号」と「103号」」

 

秋津「2艦は作戦行動を共にしていた。遠征102号は必ず」

 

秋津「近くに潜んでいる!」

 

 

対潜ヘリ<<「遠征103号」浮上します!>>

 

対潜ヘリ機長「見ろあの艦橋を・・・・あれでは潜航は無理だ」

 

涌井「そのまま見送れ」

 

対潜ヘリ機長「了解!」

 

続く


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