※6/17 一部加筆しました。
ナザリック地下大墳墓
9階層 アインズの仕事部屋
「う~む。」
椅子に一人顎に手を当て悩んでいるものがいた。
椅子に座っている骸骨のこの人物。
この人物の名はアインズ・ウール・ゴウン。
MMORPG『ユグドラシル』のナザリック地下大墳墓の頂点に立つものである。
そんなアインズは1つ悩みがあった。
「仕事が多すぎる。」
そう、仕事が多すぎるのだ。
帝国と良好な関係になれたのだがそのせいでアインズの元に資料だのなんだのが大量に来たのだ。
いくらアインズでも元は人間。
こんな大量な資料は精神的にくるのだ。
骸骨だから精神抑制はできているのだがアインズの精神をゴリゴリ削っていたのだ。
(とにかく仕事が多すぎる。たまには息抜きがしたいものだな。)
アインズは椅子に座っているとある考えが思い付く。
「・・・こっそり人間のいる街に行くか?」
息抜きに人間の住んでいる領地に行きたい。だがこの姿ではやはり無理がある。
以前幻惑魔法で人間の姿を真似たが所詮幻惑触ってみれば幻惑を通り抜けて骨に触れてしまう。
なので幻惑魔法ではいずれバレてしまう。
(人間に変装できなければ意味がないのではないか?)
椅子に座って考え事をしていてもなにも思い付かない。
(なにか願い事がかなう魔法があればな~。
・・・ん?願い事?それだ!!何でこんなの忘れていたんだろう。)
アインズは椅子から立ち上がり、アイテムボックスから(シューティングスター/流れ星の指輪)を取り出し指に嵌める。。
そして準備を整えアインズは超位魔法を唱える。
《ウィッシュ・アポン・ア・スター/星に願いを》
「我が望むのは人間になれる道具を所望すること!」
(いや、本当にください。何でもしますから!)
何かフラグを言った気がするがまあ大丈夫だろう。
『星に願いを』の効果で何もない空中に金色に光る指輪が空中に現れる。
アインズはそれを手に取り、指に嵌めてみるとオーラが発生して、体が骨ではなく人間の体になっていた。
手に肉が付き、触っても幻覚ではないことがわかる。
しかも、匂いも口の中の水分も感じられる。
見た目はこの世界に来る前と同じサラリーマンの時の姿だった。
いけるこれならいけるぞ!
さて、見つかる前にここから出ないと、アルベドに見つかったら何されるか。
~想像~
「人間!?なぜこんなところに!」
「ま、待ってアルベド!」
「下等生物が私の名前を呼ぶな汚らわしい!」
「私の話を聞いてくれ!」
「ええい、うるさい!」
アルベドはバルディシュを構えアインズに振りかざす。
「うわああああ!」
~想像終了~
という感じになる。
あ、やばい人間の状態だから震えが止まらない。
早くこの場から逃げよう。
おっと、その前に書き置きをしなければ。
少しみんなに任せると書いとけば大丈夫だろう。
それにいざとなればアルベルトやデミウルゴスが何とかしてくれるだろう。
さて、それじゃあ今度こそ。
「《ゲート/転移門》」
アインズは魔法を発動して《ゲート/転移門》を発動させようとするが不発に終わる。
「おや?魔法が発動しないぞ?」
アインズは魔法が発動しないことに疑問を抱き原因を探る。
他の魔法を試してみてアインズが気づいたのは先程指にはめたこの『ヒューマンリング/人間指輪』だ。
アインズは『ヒューマンリング/人間指輪』を外して、元の姿に戻る。
そして、もう一度《ゲート/転移門》を発動する。
すると、さっきは発動できなかった転移門が発動する。
「この『ヒューマンリング/人間指輪』を着けると魔法は制限されるのか。」
そして、アインズは転移門を潜る前に魔法を1つ発動する。
《フライ/飛行》
アインズの体は空中に浮かび魔法の発動に成功する。
「第3位階魔法は発動するのか。」
アインズは次は第4位階魔法を発動する。
《サモン・アンデッド・4th/第4位階死者召喚》
しかし、魔法は発動せず。
「人間なの体になると第三位階魔法までしか使えないのか。」
かなりの制限だが人間としてならこれくらいが丁度いいだろう。
そして、この体の実験を終えて今度こそ転移門へと向かうの。
「さて、人間のいる街を堪能するか。」
いざ行かん、とアインズは転移門の中へとくぐる時。
ピシッ
(ん?いま何か音がしたような?
まあ、いいか。)
あまりに小さな変化にアインズは気づくことはなくそのまま転移門へと潜るのであった。
転移門をくぐり、門から出た場所は自分が予定していた帝国の街とは全く違う場所だった。
そこには高い高層ビルが並ぶ建物
通勤の時よく乗った通勤電車。
道路には車が走っており、街には人が行き交っていた。
明らかにその街の光景は日本と酷似していた。
「日本?これは幻覚かなにかか?」
ファンタジーの世界にいたのにいつの間にか日本にいたのでアインズは頭の中がパニックになっていた。
「ん?看板か。なになに?」
ふと視線を逸らすとこの街の名前が書かれている看板を見つけて名前を見る。
「見滝原市?」
絶望の渦巻く街に現れた死の王。
王がこの街で起こすのは果たして奇跡かそれとも・・・。
----------------------
~一方その頃~
コンコン
アインズの仕事部屋の前に来たアルベドは扉をノックする。
しかし、先程からアインズ様の返事がなくアルベドは不思議に思った。
「アインズ様?少々よろしいでしょうか?」
しかしこれも返事なし。
あまりにも変に思ったアルベドはこっそりと中に入ると部屋の中にはアインズ様の姿は見当たらなかった。
「アインズ様、どこかにお出掛けされたのかしら?」
アインズ様が部屋にいないので踵を返して外に出ようとしたとき一枚の紙が目に入った。
「何かしらこれは・・・!?」
アルベドは余りのショックに膝を崩す。
「そんな!?アインズ様、私たちを見捨てられたのですか!?」
書き置きにはこう書かれていた。
『後は任せる』
アインズは"仕事"を任せるだが、アルベドは"ナザリック"を任せると勘違いしてしまう。
アルベドのこの解釈が間違っていると気がつくのは少し後の事。
だがいまはこの手紙でアルベドはあまりにものショックで立ち上がれなかった。
(そ、そんなアインズ様が我々をお見捨てに・・・!?
い、いえ。そんなはずは・・・。
とにかく、これをナザリックに伝えてしまったらナザリックが混乱してしまう。ここは内密にしないと)
アルベドは直ぐ様対策を取るために立ち上がるが余りのショックにフラフラな状態で歩くのだった。
骸骨「で、次はいつ更新だ?」
作者「さあ?┐('~`;)┌」
骸骨「スッ(グラスプ・ハート/心臓掌握)」
作者「うわらば!」