1人の男と武士娘の川神学園   作:龍仁

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4ヶ月以上空いてしまいました。
本当に申し上げございません。
描こうという思いはあるのですが、就職の準備の為書く時間が取られてしまいました。3月には車の教習所も行っておりました。15日は大阪で研修がありました。そしてその後就職会社の入社式等があり、その後にはもう社会人として働いております。現在進行形です。
ですが、社会人になってもちょくちょく書いて投稿しようと思っています。

長文申し訳ございませんでした。



15話

 あの後、警察が家に到着し小雪の母親は連行されて行った。連行される母親を見ていた小雪はどう思っていたのだろうか...それと同時に救急車が到着し小雪を病院へと運んで行った。

 警察も救急車も全部親父が手配してくれたそうだ。そして小雪の母親は勿論有罪、親権を剥奪された。

 

 小雪が入院している病院は川神市1番規模が大きな病院【葵紋病院】で入院している。あの日以来俺は毎日小雪のお見舞いに行った。その見舞いの際に知り合った二人の男の子と出会った。

 

葵 冬馬(あおい とおま)井上 準(いのうえ じゅん)、冬馬は葵紋病院の院長の息子で跡取りで、準の親はこの病院の副院長その経由で小さい頃からの仲らしい、因みに準は冬馬のことを"若"と呼んでいる。

 

「小雪」

 

 目の前にある扉を開きベッドの上にいる小雪へと近づいていく。

 

「あっ、タツキ...」

 

「龍樹君」

 

「よおっ、龍樹」

 

「よっ、冬馬、準」

 

 3人に軽く挨拶をしながら近くの椅子に座る。

 

「今日も来てくれたんだね」

 

「当然だ、身体の調子はどうだ?」

 

「トーマや準が教えてくれたんだけど、もう少ししたら退院出来る程まで治ってるって」

 

「ハイ、順調に回復していますよ」

 

「それでね、タツキ。僕ね新しいお母さんが出来るんだよ」

 

「新しいお母さん?」

 

「実はな、小雪の母親となってくれる女の人がいるんだよ」

 

 準から話を聞かされる。

 確かにその話は俺としては嬉しい話だ、小雪の事を想ってくれている人が居るのならそれでいい、だけど、実際小雪はどうなんだ?

 

 笑顔でいる小雪だけど、本当は悲しいのではないのだろうか?

 

「そうか、小雪はうれしいか?」

 

「えっ...」

 

「どうなんだ?」

 

「………」

 

 俺の言葉に間を開ける小雪。

 

「半分かな?」

 

「………」

 

「嬉しさと悲しさ、同じぐらいにね」

 

 何を想っての言葉なのかは小雪にしかわからない。

 小雪の心中は小雪にしかわからない、それは当たり前。今の小雪は新しい母親ができる事を喜んでいるのは確かなのだ、だが、それと同じで悲しいものを感じた。

 

 ーーー()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 たとえ虐待されても彼女は母を想う気持ちは強かった。大好きだった、愛して欲しかった...温もりを感じたかった。

 

 虐待を受けてる内にもう、自分では想っては居なくても心の何処かで思っていたのかもしれない。

 

 

 ーーー()()()()()()()()と……ーーー

 

 

「……嬉しいけど……やっぱり悲しいよ…」

 

 雪のように白い頬を伝う一つの雫。

 それは止めたくても止められないものだった

 

「小雪...」

 

「……」

 

「……」

 

 泣く小雪を見つめる龍樹、冬馬、準。

 

 やはり無理をしていたらしい、今の俺がしてあげられる事は———

 

 

 

「小雪」

 

 俺は優しく抱きしめる

 

「吐き出せ、全部....辛いものを....」

 

 そして優しく頭を撫でる

 

「………ぅっ」

 

「此処には俺たち以外誰も居ないから...」

 

「そうですよ、溜め込む必要なんてありません」

 

「素直になってもいいんじゃないか?」

 

「タツキ...トーマ...準....」

 

 余程我慢していたのか声が少し震えがちだ。

 小雪は優しいから、優しいからこそ傷付きやすい。裏切られるというのはやはり辛いもの、まして自分の母親に。

 

「うわあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」

 

 俺の胸の中で大きく泣き叫ぶ小雪。

 

「うあ"あ"あ"あ"あ!!!えぐっ....僕...僕!」

 

 嗚咽ながらも言いたい事を言い出したい様な感じが伝わってくる。

 

「愛して欲しかったよ!………いらない子だって言われて...本当のお母さんなのに!………大好きだったのに………愛されてなんかなかった!………悲しいよぉ〜」

 

 

 ………裏切られるなんて、辛いよな。

 恐らく親に会う機会は...いや...もう二度とないだろうな。

 

「……なあ、小雪」

「ヒグッ...えぐッ...なに?」

 

 今の小雪は以前の俺によく似ていた。

 たとえ境遇が違えど一人になった時の孤独と不安と悲しみが波のように押し寄せてくる。

 

 俺も、親父と出会ってなかったら死んでいたのかも知れない。手を差し伸べてくれなかったら生きていなかったろう。手を差し伸ばしてくれたからこそ、俺は身に起きた境遇を受け止めて今の俺が有るのだから。

 

 そして今この時、差し伸ばさなきゃいけない。

 

「一人で抱え込まないでくれよ、辛かったら辛いって言えばいいんだよ、助けてくれるから、手を差し伸ばしてくれるから」

 

「………うん」

 

「友達なんだからさ」

 

「っ!!!………ありがとう」

 

「龍樹君だけじゃありませんよ」

 

「俺達も頼ってくれよ」

 

 冬馬と準がそう応える。

 彼等も小雪の力になりたいと思っているようだ。

 

「トーマ...準...ありがとう!」

 

 嘘偽りのない純真無垢の笑顔。

 うん、やっぱり小雪は笑顔が似合うな。

 

「よかったな、小雪」

 

「ユキ...」

 

「ん?」

 

「僕のこと、ユキって呼んで、トーマも準も」

 

「…わかった、ユキ、これからもよろしくな!」

 

「よろしくお願いします」

 

「よろしくな」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ○○

 

「親父、ちょっといいか?」

 

「なんだ?」

 

「いやちょっと質問なんだけどさ、氣を回復に生かす事って出来るのか?」

 

「出来なくもないが...どしたんだ急に?」

 

「あの時、小雪を助けた時にさ酷い怪我をしてた時に何も出来なかった自分が悔しいんだ...」

 

「………」

(自分の事より相手を迷わず優先する意思、少し心配したが杞憂だったな、もしそれが出来るようになったとしても、己の心に慢心が出来てしまうと思っていた)

 

「そうか、だがこの技はかなりの難易度高いぞ?」

 

「それでもやるさ、守れるのなら」

 

「…そうか」

 

 少しゴツゴツした手で俺の頭を撫でてくる。親父の手は鍛え抜かれた事がわかる手だった。その大きな手は何処が落ち着くような気がし、むしろ心地よかった。

 

「なんで撫でるんだ?」

 

「いや、つい嬉しくてな」

 

「?」

 

「それと、今度 川神院に行くからな」

 

「川神院に?なんか用事でもあんのか?」

 

「まあな、お前は百代ちゃんと話でも稽古でもしてたらいいさ」

 

「わかった」

 

 

 

 

 

 

 

 ○○

 

 —––———川神院

 

 川神院の朝はとても早い。

 そんな中、1人だけ、朝からテンションが高いものがいた。

 その者は川神鉄心の孫であり、女の子でありながらバトルマニア(戦闘狂)

 

「ふ〜ん♪ふふ〜ん♪」

 

 —————川神百代だ。

 

「百代がこんなに朝早くから起きてるなんテ、今日は雨でモ降りますかネ」

 

「ルーよ、気づかぬか?」

 

「何をですカ?」

 

「今日何があるか思い出だしてみぃ」

 

「今日...ですカ...」

 

 鉄心の言葉にルーは考えた。

 百代が機嫌がいい訳を。

 

「………今日は、龍樹君ラが来ますネ」

 

「ピンポーン!正解じゃ!」

 

「なるほど、百代龍樹君とまた戦えるかラ、朝から機嫌がいいんですネ」

 

 百代の機嫌をそう考えたルー。

 合ってはいる、合ってはいるが、少し違う答えが帰ってきたルーに対し鉄心は肩で息をした。

 

 

 

ーー数時間後

 

 

 

「おおーい、鉄心、きたぞ」

 

「ホッホ、よくきたのぉ、刃、龍樹君、ハク」

 

「刃殿、龍樹君いらっしゃイ、よくきたネ」

 

「どうも、鉄心さん、ルーさん」

 

「ワン!」

 

川神院に到着した刃と龍樹。

そしてそこにーーー

 

「龍樹いいぃぃぃ!!!」

 

物凄い勢いで近づいてくる百代だった。

 

「なんかデジャブだわ」

 

「 龍樹!久しぶりだな!」

 

「よっ、モモ久しぶりだな」

 

龍樹のやさしい微笑みに胸が高鳴り頬を赤らめていく百代。

 

「あっ、ああ!久しぶりだな、龍樹」

 

そして、百代は龍樹の足元にいる1匹の白い動物に気がついた。

 

「龍樹、この犬はお前の犬か?」

 

「ああ、こいつはハクっていうんだよ、ほらハク、挨拶しな」

 

「………」

 

「ん?ハク?どした?警戒してんのか?心配すんな、モモはいい奴だよ。」

 

「………」プイ

 

「うぅ〜龍樹...私はハクに嫌われたのか?」

 

「いや、違うかな、モモと会うのは初めてだからな、動物って云うのは警戒心が強いもんなんだよ、機嫌を損ねない限りその内触らせてくれるさ」

 

人懐っこい動物もいれば警戒心が強い動物もいる。それは自分の身を守るために無闇に己の身を触らす訳にはいかないのだ。信頼しているものは勿論別だ。

 

「うぅー、だといいなぁ」

 

「モモ、川神院の中を案内してあげなさい」

 

「っ!!わっ、わかった!〔龍樹と2人!〕」

 

「百代ちゃん、龍樹のことよろしくね」

 

「はい!任せてください!ほら龍樹、行くぞ」

 

「わかったから、服引っ張るなって」

 

百代は龍樹を引っ張りながら川神院の中に入っていった。

 

「おい鉄心、まさか……あれって……」

 

「お主の考えとる通りじゃよ」

 

「おおーこれはこれは」ニヤニヤ

 

「いや〜若いのぉ〜」ニヤニヤ

 

 

○○

 

「此処が私の部屋だ、ゆっくりしてけ」

 

「お邪魔しまーす」

 

「………」

 

「いいのか?ハクも一緒に入っても?」

 

「ああ、別に構わないさ」

 

「んじゃ、遠慮なく」

 

龍樹はゆっくりと腰をおろす。

挟むようにハクと百代が龍樹の隣に座る。

 

「いや、近いぞモモ!?

スペースあるんだから別にくっ付く必要ないだろ!?」

 

「い、いいだろ!別に!」

 

そう言いながら百代はハクに視線を向けた

 

「ハっ!ハクだって龍樹にくっついてるじゃないか!」

 

「いや、ハクは家族だし普段から一緒に居るのに当たり前だろ」

 

超が付く程の正論言葉に百代は戸惑いを見せる。

 

「うっ...う〜」

 

いや、うーって言われてもな...と心の中で思いながら右手でハクの頭を撫でる龍樹。撫でられているハクは気持ち良さそうに眼を細め尻尾を振っている。

 

「ぐぬぬぬ...(羨ましい!)」

 

羨望の眼差しを向ける百代、その視線に気づいたハクは百代に眼を向け

 

「………」ニヤリ

 

僅かに口角を上らせた

 

「(この犬‼︎今私を馬鹿にした!)」

 

ハクに馬鹿にされた事に憤慨が溜まり始まる百代、そこに————

 

「モモ、何騒いでんだよ」

 

釈迦堂が入ってきた。

 

「ん?お前はあん時の」

 

「ども、釈迦堂さん、お邪魔してます」

 

「よお、久しぶりだな龍樹、所でモモ、お前の声が廊下まで響いてんだよ」

 

「うぅ...すいません」

 

「まあ、別にいいけどよ...おい龍樹」

 

すると釈迦堂は龍樹に振り返り

 

「以前の約束覚えてるか?」

 

「約束?...ああ、一戦やるって云う話ですか?」

 

「ああ、今から殺ろうぜ」

 

字が違う様な気がするんだけどな。

まあ、俺も釈迦堂さんの実力が知りたいしな

 

「俺は構いませんが鉄心さんに許可を取らないといけ「許可しよう」」

 

鉄心さん、あなた何処から出てきたんですか?

 

「鉄心さん、親父との話は終わったんですか?」

 

「うむ、先程な」

 

「龍樹相手してもらえ、これも経験だ」

 

「爺さんの許しが出たんだ、早くしようぜ」

 

「それじゃ、外に行きますか」

 

「龍樹!釈迦堂さんとの試合が終わったら私も一戦交えてくれ!」

 

「ああ、お前とももう一回戦いたかったからな」

 

こうして龍樹達は外へでた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




久しぶりに書くの上手く出来てるのかわかりませんが、自分なりに頑張りました。これからも頑張って続けていこうと思いますので宜しくお願いします。

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