たとえばこんな緑谷出久   作:知ったか豆腐

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おもったより早く書きあがったので

2017/10/04 投稿


いずく魔性天女 その2

 『上鳴電気の日記』

 

 3月1X日

 今日、雄英からの合格通知が届いた。

 封を開ける瞬間メッチャ緊張した。マジで。

 オールマイトが映し出されてマジびっくり。親友に連絡したら高校は違っけど、お互い合格してた。

 明日お祝いっつーことで遊びに行くことに。

 

 3月1Y日

 親友と駅で合流して街をブラリ。

 途中、可愛い子がいたのでナンパ。なんでか知らないけどその子に目が惹かれた感じがしたんだよなー。これって運命感じね?

 話しかけてみたらうまくいって連れの金髪の女の子も一緒に遊びに行くことに。

 そっちは親友と話してて、俺は緑の髪のミクモちゃんって、子と主に話してた。

 ミクモちゃん、ヒーローのファンなのか俺が雄英に合格したって話したらすげえ食いつきよかった。やっぱり、雄英の名前はすごい!

 最後は連絡先も交換できたし、俺も高校デビューの前にリア充デビューできそうだぜ。

 

 3月2A日

 ヤッホーゥ! ミクモちゃんとデートの約束をしてもらったぜ。

 明後日が楽しみ! がっかりさせねーようプラン考えておかないと。

 しかし、楽しみだ。ウェイ!

 

 3月2C日

 ミクモちゃんとデート。満足してもらえたみたいだ。

 何て言うかかなり脈ありな感じ。デートの最後に毎日メールする約束もしたし。

 あと、相性がいいのかしんねーけど、メッチャ話しやすい子なんだよな。

 話を聞くのが上手というか……ついつい、いろんなこと話しちゃうぜ。

 明日から交換日記的な感じでメールのやりとりだ。

 

3月31日

 今日で春休みも終わりだ。明日から高校生。寂しいようなワクワクするような。

 うーん、なんとも言えない気持ちだ。

 まぁ、雄英に通うって考えるとワクワクのほうが強いな。

 ただ、ミクモちゃんとはなかなか会えなくなるのは寂しいかも。

 と、思ってたら、ミクモちゃんもそうみたいで、「電気くんとなかなか会えなくなるのは寂しい」って電話で言ってくれた。

 お、おれもだぜー!

「お互い高校生活のことを伝いあえるといいね」

 とか、可愛すぎか!

 

4月1日

 入学式……のはずが、いきなり個性把握テストがあった。

 担任の相澤先生マジヤバい。「最下位は除籍」って言ってたけど、本当に除籍しちまうんだもんなぁ……

 クラスメイトの名前を覚える暇もなく一人いなくなっちまった。

 なんかやっていけるか不安だ。

 ミクモちゃんの励ましに癒される。

 「いきなり除籍なんて酷い」って怒ってくれる優しい子だからか、相澤先生のことが許せないみたいで、先生のことをけっこう聞かれた。

 ミクモちゃんの中で相澤先生がすごい悪い人になってて、俺のことかなり心配してくれた。嬉しい。

 ただ、これからお世話になる先生のことを悪く言われるのもあれだったのでちょっとフォローしておいたけど。

「目の個性なのにドライアイで長い間使えないのはもったいないよな」

って、冗談っぽく言ったら最後は笑ってくれたし。すこしはイメージアップできたかね?

 

 4月2日

 初のヒーロー基礎学の授業。オールマイトの授業だ。

 憧れのヒーローが授業を見てくれるなんて夢みたいだな。

 ミクモちゃんもかなり気になったみたいで、詳しく話をしたり。

 クラスメイトの個性の話とかもしてたら、けっこう遅い時間になっちゃったぜ。

 うーん、予習がヤバいかも。

 

 4月X日

 クラス委員を決めるのと、マスコミの乱入騒動があった。

 雄英バリアが破られて一時的にパニックになったけど、飯田のおかげですぐに収まったからよかったぜ。

 しっかし、オールマイトの注目度はすごいな。

 ミクモちゃんも気になるみたいで、オールマイトの授業についてはけっこう熱心に聞いてくるんだよね。

 次の授業はいつかとかけっこう聞いてくるし。……オールマイトに嫉妬しそう。

 

4月1Y日

 今日も授業が大変だったな。とくにヒーローの法律関係。

 あーもうちょっと勉強しておかないと。

 俺としては体を動かすほうが得意だからなぁ。

 明日のヒーロー基礎学が楽しみだぜ。毎回思うんだけど、よくあんなデカい施設を用意してるよな。明日は災害救助の授業らしいしどんなことするんだ?

 

 

 

==========

 

ーーーーヴィラン連合 アジト

 

「明日は救助訓練……か。情報に間違いはなさそうだね」

「やるじゃないか。やっぱり使えるなおまえ」

 

 携帯を弄りながらメールを確認していた出久が死柄木に手に入れた雄英の情報を伝えると、死柄木は笑みを浮かべ称賛の言葉を贈る。

 その様子に出久も妖艶に笑みを浮かべ尋ねる。

 

「それで? 計画は実行するの?」

「当然だろ。おまえのおかげで生徒の個性もプロヒーローの個性も分かっているんだ。攻略本もあってチート対策もあるならヌルゲーもいいとこだ」

 

 出久が偶然出会った雄英入学生との接点を皮切りに、ヴィラン連合は雄英高校、ひいてはオールマイトへの情報収集を行っていたのだ。

 上鳴のような無自覚な裏切り者だけでなく、変装し別人に化けて雄英高校生に接触し、持ち前の個性で支配下に置いた人間もいくらかいる。

 

「じゃあ、明日から雄英高校に通う必要はないですね? 最初は楽しかったけどだいぶ飽きちゃったのです」

「お疲れ様。トガちゃん」

「アリガトです。イズクちゃん!」

 

 入学生に化けてトガによる潜入調査も行っている。

 準備は完璧。

 明日、雄英高校は血を見ることとなる。

 

「ウフフ、楽しいね。やっぱり好き勝手できるのは心地好いなあ」

「そうだね、イズクちゃん。もっと楽しい世の中になってほしいものです」

 

 危険な少女たちの笑い声が闇夜に響く。

 




上鳴君と出会ったのは本当に偶然です。
ああ、一番ナンパしちゃいけない相手をナンパするとは、上鳴君、きみってやつは……

まぁ、60億分の1を引き当てたどこかの誰かさんに比べればましなんですが。


次回こそアンラッキー

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