2017/08/04投稿
トンチンカンな方向に努力を始めた幼馴染。
爆豪はなんとかそれを修正することに成功した。
出久が個性のコントロールができるようになったのだ。
ここまでたどり着くのに並々ならぬ爆豪の努力……
出久にわざとダサい服を着せて魅力を下げさせようとすれば、なぜかその服が学校で流行りそうになり慌てて火消しに走る。
この代償は出久自身に払わせた。
女子どもに「ファッションセンスを磨いてやれ」と生贄に送り出したのだ。
哀れ出久は飢えた獣のごとき女子たちの着せ替え人形に……
その結果は、ファッションセンスが上がり、さらに魅力が上がるという逆効果を生み出したが。
自己暗示を使って個性のコントロールを試みさせてみれば、自分ではなく他人への催眠術を習得しているという結末に。
これには爆豪もキレかけた。どうしてそうなる!? と。
むしろさらに周囲の人間のコントロールに長けるようになってしまうとは誰が予想できよう。
腹立たしいことに自分一人では手に負えないと、同級生で比較的まともな人間を選んで協力してもらおうとした。
結果、協力者の地位を巡って、学校内が半ば暴動騒ぎに。
突発的に起こったバトルロワイアル。日ごろの恨みとばかりに爆豪は集中砲火を浴びてピンチになったり。
かっちゃんが何をしたっていうんだ……
この事件は抹消ヒーローと18禁ヒーローが出動して鎮圧。
軽傷多数も重傷・死亡のない事件として終わる。
災い転じて福となしたのか、原因となった出久の個性のコントロールのために専門家の指導を受けることができるようになったのだ。
この際、事情を語るときの爆豪の顔は救けを求める顔をしていたとかいないとか。
まぁ、紆余曲折あって個性のコントロールができるようになった出久。
完全なオンオフは出来ないが、長時間一緒にいない限り影響はないくらいに効果を弱めることができるようになった。
それでも学校での扱いがそんなに変わらなかったのは、もはや本人の性質だろう。
そんなこんなで、問題が解決したと思ったらまた出久から爆豪に相談が。
「かっちゃん。個性はコントロールできるようになったけど、ヒーローを目指すにはようやくスタート地点にたったばかりだと思うんだ」
「そォだろうなァ」
爆豪、長年の経験からピンとくる。
あ、これはまた厄介なことを言いだすぞ、と。
「だから、僕、これからオールマイトみたいなヒーローになれるよう頑張るよ!」
「いや、無理だろ」
爆豪、即答。二度目の即答ォ!
出久の宣言を一言で切り捨てる。
「どうして!? なんでだよぅ、かっちゃん!」
「あア! うぜえ! いちいち縋りついてくるな! クソあざといわボケが!」
さんざんっぱら、矯正したのに気がつけばあざとい仕草を使う出久。
もはや体に染みついてしまっているのか……
この幼馴染、そういう方面に関しては異常な学習能力を発揮するので困る。
「てめえがどうやってオールマイトみたいに敵を、どんなピンチでも絶対勝てるようなヒーローになれるって言うんだァ!? あアん!!」
「それはそうだけどッ! そうじゃなくて、僕が思うオールマイトは、恐れ知らずの笑顔でどんな困っている人も救けちゃうヒーローだから!」
「んなこたぁ、どうでもいいだろうが!!」
お互いのオールマイト観は置いておくとして、現実問題として出久がオールマイトみたいになれるかと問われれば首を傾げざるを得ない。
相変わらず、個性を活用したヒーローというのが思い浮かばないのである。
「てめえの個性でどうやって人を救けるって? 言ってみろよ!」
「たとえば……災害時に混乱してる人を誘導したりとか!」
「バカ言ってんじゃねえ! 前の学校での暴動の再現になるわ!!」
「大丈夫! 前の経験から対処法は考えてあるよ、かっちゃん」
自信ありげな顔で告げる出久。
悪い予感がするなー。
「ホォ……どうやるんだ?」
「個性で魅了しつつ催眠術で誘導すれば一発だよ!」
「さらっと、何言ってやがる!?」
こともなげに恐ろしいことを口にする出久。
それって、もはや洗脳とか支配とかのレベルのはなしではなかろうか?
しかも、「この間もそうすればよかったね」などと、ほざく超ド級のバカにもうめまいがしそうだ。
つまり、前回の時点でそういうことができるスキルは身に着けていたわけだ。
駄目だ、この幼馴染。早く何とかしないと……。
その後も口を開くたびに残念な方向へとアクセル全開で突っ走ろうとする出久を、爆豪が華麗なハンドルさばきと強引なブレーキでまともな道へ引き戻すことが続いた。
いい加減、爆豪も限界である。最終的にはハンドルを手放した。
「あー! うるせえ!! そんなにヒーロー目指したいなら必殺技の一つでも作ってみろや!」
そう言い捨てて立ち去る爆豪。
なんだか脳内でガードレールに突っ込み爆発炎上する自動車の姿がよぎったが、気にしないことにした。
もう、かっちゃんの胃はボドボドだ!
後日、爆豪はこの時放り出したことを後悔することとなる。
ある日のこと――――
「うわぁ! ヴィランがでたぞー!!」
「気をつけろ! 凶悪な銀行強盗だ!!」
「ヒーローはまだなのか!」
阿鼻叫喚と言った様子の街中で逃走を計るヴィラン。
ヒーローが来た時のために、人質を取るべく一般人に狙いを定める。
たくさん人がいる中でなぜか目についた人物。緑谷出久であった。
「うおおお! 新鮮な人質ィ! 俺の盾になれ!」
出久めがけて突っ込んでくる大柄の男。
たいして出久は逃げることなく、逆に個性を使って対抗する。
「うわあああ、なんだ、この胸の高鳴りはああ!」
キラッ、と擬音が付きそうなウインクをヴィランに投げかけると、ヴィランは胸を押さえ苦しんだ後失神。
理由は興奮のし過ぎ。
出久が己の個性を最大限引き出して放つ必殺技である。
決め台詞は「僕の瞳に恋してる?」だとかなんとか。
視線一つで相手を気絶させるとは、なんとも恐ろしい個性である。
これで男女共に効果があるんだぜ?
後日、この事件のあらましを知った爆豪は、また頭を抱えるのだった。
「どおして……どおしてそォなった、オイ!!」
頑張れ、爆豪。高校受験はもうすぐだ。
出久ちゃん、キラッ!
視線一つで相手はダウン。うーん、恐ろしい個性になったぜ。
次は1/2の体育祭編続き。心操までくらいかな。
キャット? ……展開が思いつかん(汗)誰か代わりに書いてくれてもいいのよ?