魔法少女リリカルなのは~魔王の再臨~   作:シュトレンベルク

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最近Reflectionを見て感化されたので、Reflection要素が混ざってきます。(Dominationでどうなるか分からないので、独自設定になりますがご容赦ください)


訂正Domination×→Detonation〇


指輪回収・2

 急激な天候変化とその後始末。人の領域では到底叶いようもない程の事柄を為しても尚、ソロモンの魔力は衰える事を知らなかった。常時移動型の結界を張りつつ、近付いてくる原生生物を相手取っている。常人であれば魔力切れは愚か、死んでいてもおかしくない程の魔力を消費しているにもかかわらず、である。

 

「殿下、少し休憩を挟んだ方がよろしいのでありませんか?」

 

「どうした?お前が疲れたというのなら、そうしても構わないが」

 

「いえ、これまで殿下は大量の魔力を消費なされた筈です。魔力総量的に問題はなくとも、疲労の方は溜まっておられるでしょう?ここで一度休憩を挟んだ方が良いのではないでしょうか?」

 

「そういう意味か。であれば、無用の心配だ。この程度の魔力消費であれば、昔に良く経験していた。神殺しをなした時にはこれ以上の、それこそ体内で生産される魔力が消費に追いつかないような状態も経験した。この程度であればまだまだ平気だ。しかし……そうだな。少々、鬱陶しくなったな」

 

 そう言うと、ソロモンは右腕を上げた。それと同時に右腕に膨大な魔力が蓄積され始めた。何もかもを薙ぎ払わんと言っているかのような一撃に、チンクは言葉も出なかった。周囲に光の粒子が生まれた事にも気付かず、ただ何人も近づけない領域に立つソロモンをじっと見つめていた。

 

「――――星の光よ」

 

 その光輝は太陽の如き麗らかな光だったのか、それとも月の如き荘厳な光だったのか?チンクには理解しきれなかった。しかし、分かる事がたった一つだけあった。それは、これが決して一個人で再現されて良い物ではないという事だ。

 何もなかったのだ(・・・・・・・・)。ソロモンが腕を振り下ろした先には、木々の総てが消滅している上にいたであろう原生生物も粒子に還った。その輝きはまさしく神の権能か星の輝きだ。近付く者総てを抹消させる絶対強者のみが、超常の存在だけが振るう事を許される力だ。

 

「で、殿下……」

 

「…………ふぅ。これで連中も離れていくだろう。それに多少は歩きやすくなった。良い目印にもなっただろうしな」

 

 それだけの事をしたにも関わらず、ソロモンは息を切らせる事もなく単純に理屈を述べるように言ってのけた。彼にとっては、これほどの事をしても尚負担にすらなり得ないのだ。力を絶対視していた古代ベルカ時代において、これほどの傑物がいたのなら……確かに現人神として扱われるだろう。

 世界を制する力を持った存在だ。平伏せない方がおかしい。敬わない方がおかしい。絶対視しない方がありえないだろう。たとえ、どれだけ人という枠組みから外れた存在であろうとも。人々に恩恵を齎し、外敵を滅ぼし、誰にも負けない王であるのならば、受け入れて然るべきだったのだろう。

 

 しかし、その価値観は現在の価値観にはそぐわない。その理屈はまさしく、ソロモンの力に相応しく神代の考え方だ。ソロモンは理想によって力を揮うのではなく、力によって理想を作り出す。管理局という絶対正義が相対すれば、確実にぶつかり合う定めを持っている。そして恐らく、ソロモンはそれを良しとする。理想を力で作り上げるのなら、それはソロモンの望むところだからだ。

 弱者の理想は強者の暴論に蹂躙されるのみ。ならば、強者の暴論は世界の真理となり得る。ソロモンはそれを実行する事のできる人間だ。神々の権能を揮い、その力とソロモン自身が持つカリスマに魅了された強者を従え、一時代にその名を刻み込んだ存在だ。管理局など、ソロモンにとっては眼ではない。ただ理由がないから、争わずにいるというだけに過ぎない。

 

 戦おうと思えば、ソロモンは情け容赦なく殺す。管理局に勤めている者が子供であろうと大人であろうと、情け容赦なく殺していく。何故なら、彼はそういう時代に生きていたからだ。生け捕りなど生温い、完膚なきまでの殺し合いを経験してきたのがソロモンだ。彼が戦うのなら、きっとそこには塵一つ残らぬ戦場となるだろう。チンクはその姿を容易に想像できた。

 

「……そろそろか」

 

 ソロモンは斬り裂いた方角とは真反対の方向を向き、その方向をじっと見つめていた。その瞳は蒼く輝き、まるで深海の底にいるかのような感覚をチンクは感じた。そしてチンクもその方向を向くと、そちらから五つほどの光がこちらに向かっているのを感じた。

 その中で最も早かったのは、蒼色の閃光だった。その輝きはチンクの知っている輝きに酷似していた。その輝きは今は基地にいないあの人物の物と瓜二つと言っても良いほどに似ていて――――ソロモンはその輝きに、本当に懐かしい物を見るかのように眼を細くした。

 

 蒼色の輝きは物凄い速度でソロモンたちとの間にあった距離を駆け抜け、先程の落雷の如き速度で地面に着地した。そしてソロモンとの距離を詰めきると、土埃が舞った。その土埃が消えると、そこには膝をついている水色の髪の少女がいた。

 

「相変わらずの速さだな、雷極の残滅女帝(スラッシャー)。いや、紫天の守護者たる今はレヴィだったか?壮健そうで何よりだ」

 

「陛下。お目覚めから即座にお目通り願う事ができなかった事、ごめんなさい」

 

「良い。俺も貴様も、かつての役目とは別の存在だ。俺は王ではなく、貴様もまた俺の守護を任じられた騎士ではない。ならば、お前が謝る事は筋違いという物だ」

 

「しかし……」

 

「まぁ、落ち着け。俺たちには俺たちの目的がある。しかし、その前にこの世界の現状を把握しておかなければならない。どこか落ち着ける所へ案内してもらいたいんだが、良いだろうか?この世界の住人よ」

 

 ソロモンは初代雷極の残滅女帝(スラッシャー)にして、現紫天の書の守護騎士たるレヴィ・ザ・スラッシャーと対話しつつ、丁度到着した四人の内二人に向かって話しかけた。天真爛漫という言葉が相応しいレヴィが見知らぬ男性に跪いている姿に困惑を隠せなかった。

 共にいたもう二人――――レヴィと同じく紫天の守護者たるシュテル・ザ・デストラクターとロード・オブ・ディアーチェが跪いている姿に、困惑は加速した。そんな三人にソロモンはやれやれという表情を浮かべながら肩をすくめ、チンクもまた微妙な表情を浮かべていた。

 

「立て。かつて俺が頼りとした守護騎士たちよ。お前たちがそのような態度を取るようでは、話が一向に進まない。かつての俺と今の俺は違う。お前たちが真に俺の事を気遣うと言うのなら、遜った態度を取るのは止せ」

 

「しかし、陛下……」

 

「くどい。俺はもう、ソロモン王ではない。ただのソロモンでしかない。それを理解したのなら、過去のソロモン王に恥じない存在であると言うのならば、これ以上見苦しい姿を俺に見せるな」

 

 ソロモンは王であった頃にした事に間違いはないと思っている。それは殺した者たちに申し訳ないとか、そんなありふれた理由ではない。ただ単純に、自分が従えた騎士たちと共に歩んだ道に間違いはなかった、と思っているだけに過ぎない。どれだけの死骸を積もうとも、その道に間違いなどありえないと信じているだけだ。

 ソロモンは元々、その程度の器の持ち主だ。世界を変革させる事も、世界を救世する事も、ソロモン如きの器ではない。だからこそ、その歩んだ道に後悔はない。自分の為した事は、その時自分ができうる最大の選択だったと、ソロモンは思っているのだ。それが王としての道を歩むと決めた自分が、最大限守らなければならない誓いだと思っているが故に。

 

「……かしこまりました。度重なる無礼、何卒ご容赦ください。ソロモン様」

 

「だから、俺は……いや、いい。好きにしろ、紫天の守護者。お前たちに俺の思想を押し付ける事こそ、俺の傲慢だ。最早、前世の柵とは離れた我らだ。お前の為したいように、やりたいように……自由に生きろ。俺にはそれ以上の事は言えないのだからな」

 

 ソロモンは王ではないと公言して憚らない。ソロモン王は既に死に絶え、ここにいるのはソロモン王と同じ肉体と魂を持っているに過ぎない別人だと、そう認識しているからだ。ソロモン・アクィナスという人間は最早何処にもいないのだと、そうソロモンは考えているのだ。

 しかし、生前の癖は早々抜ける物ではない。自分は王ではないと認識しながらも、王として命令している事に今の今まで気付けなかったのだから。まったく、自分も何と言うか間抜けだなとソロモンは思っていた。自分(ソロモン)がその程度でしかなかったという事に、今の今まで気付けなかったのだからどうしようもない。

 

「えっと……よろしいでしょうか?」

 

「ああ、すまない。こちらから呼びかけておいて放置した無礼、何卒ご容赦いただきたい」

 

「い、いえ、それは大丈夫です。それで、あの……あなたは王様たちの知り合いという事で良いんでしょうか?」

 

「知り合い……まぁ、確かに。俺と紫天の守護騎士たちは知り合いだ。俺の名前はソロモン。こちらの少女の名前はチンクという。もし良ければあなた方の名前をお聞かせ願えるだろうか?」

 

「えっと、私はアミティエ・フローリアンです。こちらは妹のキリエ・フローリアン。それで、えっと、ソロモンさん?この星には一体何の御用で……?」

 

「これはご丁寧にありがとう。この星にはちょっとした失せ物探しに来ただけです。しかし、思っていた以上の魔力濃度だ。原生生物の群れも正直鬱陶しくなってきていましてね。本気になればどうという事はありませんが、その場合はこの周辺一帯を焦土と化す事になってしまう。

 それは俺の本意ではない。まぁ、要するに援軍というかサポート役が欲しかったんですよね。ご助力いただけるのであれば、この星を元に戻すための力になろうと思っているのですが、いかがでしょう?」

 

「あなたにはこの星の現状をどうにかできるって言うの?」

 

「原因の排除くらいは。感知してみたところ、この星には膨大な力が二つ存在している。紫天の守護者がいるという事は、一つはエグザミアだろう。指輪と対抗できるほどに強大な力を制御している事、流石としか言いようがない。しかし、星の魔力を使っている指輪相手に持久戦など長く続く物ではない」

 

 エグザミア。それは紫天の守護者が守る永遠結晶の名前だ。ソロモンが魔力を操作する力に長けた者なのであれば、エグザミアは生命力を操作する力に長けた物。人間にとって必要不可欠とも言える生命力操作の力は一部の者を除けば、相当に危険な代物だ。しかし、操る事が出来るのであれば、それはとても強力な力となり得る。

 

「星の魔力を使った滅びか……エグザミアでもこれをどうにかする事は叶うまい」

 

「あなたは……何を知っているのですか?」

 

「俺は知っている事しか知らんよ、アミティエさん。中々に厄介な相手がいるという事もな」

 

 そう言った瞬間、ソロモンの瞳が蒼色に染まった。そしてその輝きが消えると、すぐさま背後を振り返った。それと同時に竜巻にも等しい何かがソロモンたちを襲った。突如現れた脅威に対して、アミティエもキリエも唖然としていた。対処しようとした瞬間にはもはや手遅れと言った距離に迫っていた。

 それに対して、ディアーチェたちは一切焦ってはいなかった。その攻撃がどれほどの力を持っているのか、彼女たちは知っている。生前、プログラム体となる以前に相対した事がある。竜の心臓を持ち(・・・・・・・)世界の光を具現化した(・・・・・・・・・・)剣を保有していた王(・・・・・・・・・)。誰にも追随を赦さなかったソロモン王が認めた数少ない王。

 

「騎士王……アーサー・ペンドラゴン」

 

「どうやって蘇ったんだろうね?あの時、殿下に間違いなく殺された筈なのに」

 

「どうでも良い。迎撃態勢を整えよ。ソロモン様のお手を煩わせる訳にはいかぬからな」

 

 

――――最■てに■■ける■(ロ■ゴミニ■■)

 

 

 聞き取れないその声が響いた瞬間、嵐の勢いが激変した。世界を滅ぼす神の威光に相応しい激流へ、ソロモンと同じく神の権能と呼ぶに相応しい領域へ、世界を支配せしめる貴き王の玉座へと至った者へと変化する。かつて彼女らが初めて出会ったソロモン王と同じ頂に立つ者へと、その者は至ったのだという事を彼女たちは理解した。そして、それは――――彼女らの逆鱗に触れるという事を意味していた。

 

「貴様、ふざけるなよ!貴様如きが貴き彼の御方と同じ領域に立つだと!?ふざけるのも大概にしろ!」

 

 紫天の王は彼女らの前に現れた大罪人を赦さない。魔王に認められるのは良い。業腹ではあるものの、彼の騎士王も魔王と同じく世界を平定せしめた、選定者に選ばれた王だ。魔王の同類であると認められなくもない。しかし、それでも、至上の王は魔導の王たるソロモンだけだ。貴き御方であるソロモンと同じ領域に立つなど、認められる筈がない。

 それは同じく紫天の守護者である理の体現者と力の体現者にとってもそうである。彼らが認め欲した主は、世界で唯一絶対にして至上の存在。唯一とはたった一人だからこそ、意味のある言葉なのだ。並び立つ存在など赦せる訳がないし、そもそも認められる筈がないのだ。

 

 たった一人、完全なまでに部外者であるチンクだけが、ソロモンを見ていた。迫りくる嵐を見ているようで、その先にいる発生源に立っている誰か(・・)を見ている姿を。それがどこか懐かしそうで、けれどだからこそ痛ましいと感じているような表情だった。

 それを見た瞬間、ソロモンの身体から先程の天候操作や『星の光』に使用された魔力よりもなお強大な力が吐き出された。それと同時に膨大な魔力が太陽の如き熱量に変化する。ソロモンの肌を舐めながら、現れたソレは――――太陽は荒れ狂う嵐と正面衝突する。

 

 甚大な被害を地表に齎しながら荒れ狂う嵐と太陽。ソロモンは迫りくる被害を防御陣で防ぎきっているが、そのぶつかり合いをどこか悲しげに見守っていた。嵐と太陽は力を使い果たし、先程まで存在した木々は残らず消し飛び地表は大量の爆弾がそこで炸裂したかのように、真っ黒な大地と成り果てていた。

 そして、嵐の発生源であったであろうそこには、白い馬に乗り鎗を構えている白と黒、両方の色に染まった鎧を身に纏う女性がいた。ソロモンにとっては懐かしく、紫天の守護者たちにとっては忌々しい存在。ソロモン王の同盟相手であった騎士王、アーサー・ペンドラゴンの姿がそこにはあった。

 

「……流石だな、ソロモン王。相変わらずそうで何よりだ」

 

「それはこちらのセリフだ、騎士王。しかし、これはどういう事なのかな?貴殿は俺が殺した。確かに核たる心臓を抉り取り、念を入れて頭を潰した筈だ。それなのに何故、貴殿……いや、貴様は生きている?」

 

「分かりきっている質問をするとは、あなたらしくもないな。昔は動揺など微塵も起こさなかったあなたが、そうまで動揺しているとは……蘇るのもまた一興だな」

 

「……やはり、そういう事なのだな。どうか外れていてくれれば、と思ったのだがな……」

 

「それは無理だろう。あなたの予想が外れた事など無い事を、残念ながら私は知っているからな。しかし、よくぞ耐えてくれた。小手調べ程度とはいえ(・・・・・・・・・・)、耐え切れなければどうした物かと考えていたからな」

 

「……アレで、小手調べ?」

 

 アミティエは恐怖した。あんな物、自然災害と何も変わらない。人の領域ではどうしようもない事だ。少なくとも、アミティエにはどうする事も出来ないほどの猛威だった。もし、あの攻撃が自分たちを呑み込むだけに飽き足らず、そのまま直進すれば――――家にいる父母にも被害が出てしまう。それだけは避けなければならない。

 自分が死ぬ事も恐れず、アミティエは武器を取ろうとした。しかし、その前にソロモンがアミティエの肩に手を当てた。その温もりは、恐怖に支配されていたアミティエの心をじんわりと解いた。そしてアミティエやキリエたちを守るようにソロモンは前に出た。

 

「あまりそうやって人を揶揄う物ではないぞ、騎士王。お前の選定者の癖でも移ったのか?」

 

「マーリンのか?そうかもしれない……と、言いたいところだが。それは違う。今のは私は本来の私とその真反対――――オルタナティブの中間に立つ者。それ故に、思考がちぐはぐになってしまう事があるのだよ。どうか許してくれ、偉大なる我が同盟者」

 

「許すも許さぬもない。我らの時は、この命が燃え尽きた瞬間に止まったのだ。新たな命を始めんと抗う貴様にとっても、そして新たな命を始めた俺にとっても、過去の因縁はもはや関係のないものだろう」

 

「関係のない物……か。では、教えてほしい。新たな命を始めたあなたは今、幸せか?」

 

「幸せかどうかを今の俺が論ずる事など不可能だ。何故なら、幸せとは過ぎ去った時間を振り返った時、人が思う事であるからだ。だが、あえて言うなら……幸せとは言えんだろうな。目覚めて以来、天剣どもにジェイルの娘たちは俺の監視をしてるし、俺が動けば騒ぎだすしな」

 

「いえ、殿下はもっと事前に報告をして下さい。事前に言って下されれば、我々も騒がずに済みますので」

 

「お前らは俺の親か何かか。……ともかく、俺はもはや王ではない。人を救う事も、人を導く事も、俺の役割ではない。かつて、お前が同盟者と呼んだソロモンはどこにもいない。ここにいるのはただのソロモンだ」

 

「ただのソロモン、か。羨ましい事だ。生身の肉体を持って蘇り、あなたも変わったようですね。その変化は最後まで生き抜いてから死んだからなのしょうね。私とはまったく違うのですね」

 

「騎士王、俺は……」

 

「何も言うな、ソロモン。今の私とあなたは敵同士。今回はただの顔見せにすぎません。次に相対した時、その時には全力でぶつかり合いましょう。……今のあなたがどれほどの力を揮う事ができるのかは置いておきますが」

 

 その言葉と共に、その場に暴風が吹きすさび全員の眼を晦ませた。そして次に目を開いた時、騎士王の姿はなくなっていた。ソロモンは先ほどまでアーサー王のいた場所を少しの間見つめた後、アミティエたちに視線を向けた。その視線に、どこか寂しげな物をアミティエとキリエは感じた。

 

「今は態勢を整えたい。俺としてもエグザミア――――ユーリを見ておきたい。そちらの本拠に連れていって貰えないだろうか?アミティエ殿」

 

「アミタ、今は引くべきだ。今の装備ではあの王と相対するには不安が大きい。ソロモン様は間違いなく、我々の力となって下さるはずだ。ユーリも会いたがるだろうしな」

 

「そうそう!殿下がいれば絶対に負けないからね!」

 

「そうですね。我々もソロモン様とはもっと落ち着いた場所で語り合いたい物です」

 

「……お姉ちゃん、ここは連れて行った方が良いんじゃない?」

 

「……そうですね。では、私たちについて来てもらえますか?えーっと、ソロモン様」

 

「そこの三人は様付けをしているが、貴女まで様付けする必要はない。呼び捨てでもさん付けでも好きに呼んで下さい」

 

「分かりました。では、ソロモンさんと呼ばせていただきますね。私のことはアミタと呼んでください」

 

「分かったよ、アミタ殿「アミタ、でよろしくお願いしますね?」了解、アミタ。よろしく頼む……が、移動する時間が勿体ないのでな。時間短縮をさせて貰おう」

 

 ソロモンは指を鳴らし、転移魔法陣を展開した。そして展開された魔法陣によって移動した先にはアミティエ――――アミタたちの本拠地、グランツ研究所があった。気楽に展開された転移魔法に唖然としながらもソロモンを見たアミタとキリエに、ソロモンは笑いかけるのだった。


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