ソロモンはノアにある自室で書物を読んでいた。無音の部屋に通信の着信音が響き、そこで漸く定時報告の時間になっている事に気が付いた。ソロモンは書物を置き、テーブルの上に置いてある通信機を叩いた。そこに現れたクリアから報告を聞き、最後に興味深い事を聞いた。
「ほぅ……聖女殿が俺と話したいと?」
『ハッ。話の内容は不明ですが、殿下と直接話をしたいと』
「なるほど……良いだろう。対談に応じよう。彼女は今そこに?」
『いえ、今は被害が出た街の瓦礫の撤去作業に負傷者の手当てなどに動いています』
「そうか。分かった。では、話はこちらで済ませておくからお前は作業を継続せよ」
『かしこまりました』
通信が切れた瞬間、ソロモンは指をパチリと鳴らした。それと同時に被災した瓦礫が粒子に変わり、その粒子が建物に集まり元の姿を取り戻した。そして切ったり折れたりといった単純な怪我が治っていった。流石に複雑な怪我をしている者は即座には治らなかったが、それでも鎮痛剤を打たれたかのように安らかな顔になっていた。
それを確認すると、指を軽く振った。それと同時に自室に転移魔法の魔法陣が現れ、魔法陣が光った次の瞬間にはそこにジャンヌ・ダルクが立っていた。急激な事態の変化に混乱していた彼女だったが、目の前にいるソロモンの姿に総て納得した。
「ソロモン王、いきなりこのような事をするのはお止めください。皆、混乱してしまいます」
「まぁ、そう言うな。話をする上で邪魔な障害を排除しただけだ。何かしらの心残りがあっては、話に集中することが出来ないだろう?」
「それはそうですが……」
「それと、王呼びは禁止だ。あと敬語もな。君と話をするのはただの俺だ。君の話しやすい喋り方をしてくれ。そちらの方が俺も気が楽だからな」
「……分かりました。では、ソロモンとお呼びします。私のことはどうぞ、ジャンヌとお呼びください」
「ああ、それで構わない。……茶を二人、いや三人分用意してくれ」
『かしこまりました、殿下』
ジャンヌの切り替えの早さに気を良くしたのか、ソロモンは笑みを浮かべていた。通信機を起動し、茶の用意をさせるとジャンヌを対面に座るように促した。ジャンヌもソロモンの言葉に従い、対面のソファに座り込んだ。あまりの感触の良さに驚いたが、まっすぐにソロモンを見つめた。
「俺には時間があるが、君の時間はそう多くないだろうからな。単刀直入に訊こう。一体、何の話かな?」
「その前に、一つよろしいでしょうか?」
「ふむ、聞こう」
「私は恐らくこれからあなたに失礼な事を言ってしまうかもしれません。それでも、私は答えを聞かなければなりません。どうか、私の無礼をお許しください」
「まだ犯してもいない事を態々責め立てる気はない。それに、この話し合いはただのソロモンとただのジャンヌの話だ。無礼も失礼もない。気を害する事はあるかもしれんが、別にそれを口実に何かをしたりはしないさ」
「ありがとう。最初の質問ですが、あなたは正史の私を知っているのですか?」
「ほう?中々興味深い話だな。まずは何故、俺が正史の君を知っていると思ったのかを聞かせてもらおうか」
「天剣の方々から聞きました。あなたは私を特別視していると。天剣の方々に援護させるほど、私のことを評価しているという事も」
「それはそうだろう。今回の戦火において、君の存在は酷く重要な存在だ。あの国は国王が斃れたとしても、君がいれば立て直す事ができる。君は、あの国の国民たちにとって希望の星なのだからな」
「……私はそこまで特別な存在ではありませんよ」
「そんな事はない。少なくとも、兵士たちにとってはそうだ。君という存在が、彼らを鼓舞していたからこそサーヴァントを前にしても戦う事が出来ていた。それはまさしく、英雄の行いだ。それは胸を張るべき事だろう?」
「いいえ、そんな事はありません。事実、私は多くの方々の命を犠牲にして戦火を長引かせただけと言われた事もあります。私の言葉が、私の行動が、彼らを殺したと言われても仕方ないのです」
どこまでも自分の頑張りを否定するジャンヌに、ソロモンは呆れた表情を浮かべながら運ばれてきた茶を飲んだ。
「律義な事だ。そんな事を気にしていても致し方がないだろうに。そもそも、戦争だぞ?兵士が死ぬのは当然だ。人が死ぬのは当然だ。人に生きていて欲しいから、国を渡す?売国奴どころではないだろう、それは」
「しかし、人の死を嘆くのは人として当然の理屈でしょう?」
「そうかもしれんな。しかし、国を背負うという事の重みを知らん言葉だよそれは。国を背負うという事は、命を背負うという事だ。一度は王となった観点から言えば、君のやった事は間違っていない。他国に蹂躙される国というのは何時だって惨めな物だからな」
「……やはり王様が言うと言葉の重みが違いますね。話を戻しましょう。あなたは私が戦場で戦う前から注目していた、と天剣の方々から聞きました。それはどういう事ですか?」
「それはそうだ。注目しない筈がない。
「抑止……?なんですか、それは?」
「文字通り、世界全体に対する抑止力の事さ。次元世界毎に抑止の方向性というのは異なっているが、おおよその方向性は一致している。それは、世界の存続だ。滅ぶ要因を排除し、世界を存続させる。それこそが、抑止力という存在の意志」
「そんな存在が、私を……?」
「そうだ。だからこそ、君という存在は大変興味深い。古今東西において、抑止力が後押しした人間など見た事もない。俺ですら、抑止力は敵にも近しい存在だったぐらいだ。そんな存在が力を貸す存在を注目しない訳がないだろう?」
「それが……私に注目した理由ですか?」
「きっかけは、そうだな。しかし、抑止の後押しもその人間の意志がなければ何の意味もない。総てはジャンヌ、君の意志があればこそだ。世界を、国を、人々を救うという意志は君だけの物だ。それは大事にするが良い。それは、万人には決して持ち得ない物なんだからな」
「そんな事はありません。私のしたことは他の方にだってできる事です」
「否。それはあり得ない。君は少々、抑止という存在を侮りすぎだな。抑止の後押しを受ける存在はそんじょそこらの人間でもできるような事をする人間じゃない。その人間にしか出来ないと、抑止力が定めた人間だからこそ抑止は君に力を貸しているんだ。もう少し、自分に自信を持つ事だな」
「パパ~?誰かいるの?」
ソロモンの言葉に考え込んでいると、ノックの音もなく開いた扉の先にいた少女が入って来た。ジャンヌが見た事のないその少女は部屋に客人がいる事に気付いた。出て行こうか考えていると、ソロモンが手招きしていたのでそのまま部屋に入った。
「ジャンヌ、不要かもしれんが紹介しておこう。この娘はリーナ。リーナ・A・アクィナス。俺の娘だよ。リーナ、この人は以前に言った聖女殿だ。挨拶をしておきなさい」
「初めまして!リーナ・A・アクィナスです!パパがお世話になっています!」
「い、いえ、こちらこそソロモン…殿には大変お世話になっています。よろしくお願いしますね、リーナさん」
「パパ、どうして聖女様がここにいるの?」
「ちょっとした話し合いさ。さぁ、まずは座ってお茶でも飲みなさい」
「は~い」
ジャンヌはそこでもう一人分用意されたお茶がリーナの為の物なのだと知る。そして、美味しそうにお茶を楽しんでいるリーナを見た後にソロモンを見た。ソロモンはリーナを優しげな視線で見つめ、リーナもそれを分かった上で楽しんでいた。ジャンヌはそのあり方から一種の家族の形を見た。
「ソロモン…殿、リーナさんはお子様という事ですが、奥様がいらっしゃるのですか?」
「いいや?俺に妻はいないよ」
「え?しかし、それでは辻褄が」
「つかないだろうな、辻褄は。一人で子供を作る事など俺には出来ないし、神だってそんな事はしない。するなら二人生み出すだろうしな。しかし、この世にはあるだろう?人の手もなく、神の手でもなく、別のアプローチで生命を作り出す方法が」
「……まさか。そういう、事なのですか?」
「まぁ、想像した通りだ。この娘は様々な英雄や王の優性遺伝子を用いて造られたクローン……最も、大半の遺伝子は役に立たんがな」
「それは、どういう意味ですか?」
「言っただろう?様々な英雄や王の遺伝子を使っていると。使われた遺伝子の一つは、俺だ。そして俺は、世界に名だたる王だ。そんな存在の遺伝子を使っていて、数多の有象無象の遺伝子が生きられると思うか?」
答えは否だ。魔導の王としての遺伝子は他の英雄や王の存在を認めない。
だからこそ、ソロモンの遺伝子によってほぼ総ての遺伝子は駆逐された。それはソロモンが現界していた事も大きいが、何よりも完全から不完全への劣化でしかない。既に満たされている一にゴチャゴチャと付加する事は、決して良い結果を生まないという証明だった。
「まぁ、その所為でリーナの身体は非常に不安定だ。俺が王としてあった頃の力など、ただの人間が受け止めきれるものか。早晩、身体が崩壊して死ぬのがオチだ……が、仮にも俺の遺伝子を使って生まれた娘だ。見捨てる訳にはいかない。自立できるまでは面倒を見ようと思ってな」
「それで、父親役を?」
「役とか言うな。たとえ、俺の遺伝子を使おうが、リーナは俺とは違う。選抜者ではなく、民を率いる王でもない。ただこの瞬間を生きているだけの生命に過ぎない。それを否定する事が正しい訳がない。如何なる手段で生まれようと、人は人だ。そして人である以上、俺が否定する意味は欠片もない」
「……そういうあなたは天剣の方々からは人扱いをされていない。それはどうお考えなのですか?」
「…………」
「彼らにとって、あなたは象徴でしかない。あなたという存在を崇め敬っていますが、それは盲目の信仰でしかない。あなたは、それで良いのですか?」
「……私はあの人たち嫌い。っていうか、ナンバーズ以外の人達は皆嫌い」
「リーナ?」
「だって、皆パパの事なんて興味ないんだもん。パパがどういう事を考えているかとかは私にだって分かんないよ。だって、パパは私より物知りで私より全然強くて、私が想像できない時間を生きてるんだもん。でも、だからこそ、パパの事を知りたいって思ってる。
でも、あの人たちは違う。神話越しにしかパパを見てない。昔のパパの姿しか見てないんだ。本当はパパがどういう人間かなんて欠片も興味ないんだもん。パパは天上の存在だって信じ込んる。……本当に、馬鹿みたい」
「リーナさん……」
リーナの不満そうな表情にジャンヌは何とも言えぬ表情を浮かべた。心の底から不満ですと言わんばかりのリーナに苦笑を浮かべつつ、ソロモンはリーナの髪に触れた。リーナの不満はソロモンが了承した上で言わずにいた物でもあったからだ。
「……そうだな。良くも悪くも、神話や宗教の影響が強すぎたんだ。だからこそ、あいつらは今の俺を見る事ができない。俺は昔、そういう存在としてある事を心掛けたからな」
「……どういう事?」
「俺にとって、王とは民草の総てを……いや、世界そのものを背負う存在でなくてはならない。文字通り、神の如くその世界総てを支配する存在でなくてはならない。してはならない事以外で不可能などあってはいけない。だからこそ、俺は戦場で不敗を誇り、自分の治める国家で足りないという事を許さなかった。文字通り、全知全能の神と名乗れるだけの力を揮い続けた」
「パパ……」
「それを間違いだとは思わない。高貴な血を持っている訳でもなく、何かの功績を持っていた訳でもなく、世界に名を馳せる賢者であった訳でもない。そんな俺が世界にその名を知らしめるためには必要だったんだ。誰も寄せ付けない力が、誰にも届き得ない地平に立つための力が。だからこそ、俺はそうしなければならなかった」
何人であろうとも、彼には届かないと。そういう伝説を作る必要があったとソロモンは語る。王であるならば世界の総てを統べ、世界の総てを統べるのなら世界を背負い、世界を背負うなら不可能などあってはならない。信条でしない事を除き、出来ない事などあってはならない。そういう存在に――――神にならなければならない。
生前、ソロモンは本気でそう信じていた。だからこそ、そうあるように振る舞った。それに対して、後悔した事など一度もない。そうでなければ、王と名乗る資格すらないのだと本気で信じていた。とあるきっかけがあるまで、ソロモンはそれを疑う事はなかったのだ。
「あいつらはそういう俺の愚行の煽りを受けただけに過ぎない。敢えて言えば、あいつらとて被害者に過ぎないのだ。そんな連中を責めるほど、俺は狭量ではないつもりだよ。俺を見ろ、等と言うつもりはない。俺自身を偽るつもりは欠片もないがな」
「あなたは……本当にそれで良いんですか?周りの人間があなたの事をちゃんと見ていなくても」
「構わんさ。それに、俺の事を案じる者は既にいる。ならば、周りの連中がどう思うが知った事ではあるまい?俺は俺の役割を果たすだけだよ」
リーナの頭を撫でながら、ソロモンはそう言い切った。ソロモン自身に迷いなどない。ソロモンと対等であれた存在などいないこの世界で、ソロモンは自らが果たすべき役割をこなす。それがソロモンが肉体を持って現界した理由なのだから、それをこなす事に迷う訳がない。
「それに、君の要件とはそれではないだろう?若人が態々疑問の答えを求めて訪ねてきたんだ。その質問に答える事ぐらいはしようじゃないか」
「……黒の聖女が、彼女が言っていたんです。『世界に奪われたから、世界に復讐する』と。そして、言ったんです。彼女は正史の私の成れの果てだと」
「なるほど。まぁ、そういう事なんだろうな。
「忘れない?」
「ああ。
「絶対に忘れない……それは」
「そう、途轍もなく大変な事だ。なにせ、それは何も出来なかった屈辱を忘れないという事だからな。死して尚、忘れる事のない屈辱とそれを晴らそうとする信念。それがどれほどの物か、お前に想像がつくか?」
「……いいえ、私には分かりません。しかし、それを赦して良い筈がないのです。たとえ、どれだけの苦しみを味わったとしても、それを赦さなければならない。そうでなければ、終わりのない戦いが続いていく。そこで失われていく人命を、見過ごすことは出来ません」
「誰もがお前のように思えれば、戦いなどなくなっている。しかし、そう思えるなら最初から復讐などしていない。連中はただ燃やし尽くすだけだ。己を害した総てをただ、己の胸の内に宿る焔の赴くままに。たとえ、その焔が自分すら燃やし尽くすとしてもな」
「……自分が死ぬって分かってても止まれないの?」
「そうだ。連中は止まれない。無駄だと分かっていても、こんな事をしても意味がないと分かっていても、復讐の焔が消える事はない。それは最早使命と言っても相違ない領域にある事だからな」
「……悲しいね」
「それが
「パパもそうなの?何かに復讐したいと思った事があるの?」
「……ないさ。俺は誰かに復讐しようと思った事はない。俺は意図的にそこまで想う相手を作らないように立ちまわってきたからな。そんな感情を抱くような相手はいなかったよ」
リーナの言葉にソロモンは少しだけ感情を揺らがせた。と言っても、誰の眼にも止まらないほんの一瞬の出来事であったために知られる事はなかった。リーナの頭を強めの力で撫でた後、ジャンヌに視線を戻した。
「察するに、正史の自分の末路を知りたいと言ったところか?態々、自分の終わりを知りたいとは物好きだな」
「……そうなのかもしれません。しかし、私は知らなくてはならないと思うんです。彼女がそう思った理由を。その復讐の起源を知らなくてはならない。そうでなければ、私は彼女と向き合う事もできないでしょう」
「そうか……では、右手を出して貰えるか?」
「えっと……どうしてですか?」
「神話上、俺の千里眼は総てを見通すと書かれているがそれは違う。俺は未来を見る時には何かのきっかけを必要とする。何もなしで未来視を起動させるというのは難しい。それも特定の個人の未来に関してはな。だから、個人の未来を見る場合はその人物、或いは関係する何かを持っている必要があるんだ」
この場合、ソロモンが使うのは未来視の魔眼ではないが、難易度的には同じ物だったので説明は省いた。個人の時間軸を視る魔眼など本来は誰にも使えないが、ソロモンはインチキをして視る事ができる。ただ、原理は難解に過ぎるために説明する気は欠片もない。
そう言われては、とジャンヌは右手を差し出した。ソロモンは壊れ物を扱うように右手を握った。その瞬間、ジャンヌは自分が久しく男性に触れた事がない事を思い出した。咄嗟に右手を引こうとした瞬間、ソロモンの両眼が蒼色に輝いているのが見えた。
大空のように澄んでいるのに、深海のように重い色。ソロモンの時間の積み重ねを証明しているかのように、その瞳から重さを感じ取っていた。その輝きはジャンヌから思考能力を奪いとり、ただその瞳に釘付けにさせた。その輝きが消えても尚、呆然しているジャンヌにソロモンは首を傾げたが、話を進めるために右手を叩いた。そうして漸くジャンヌは意識を取り戻した。
そして、ソロモンは語った。正史の彼女の末路を。聖女ジャンヌ・ダルクが辿る筈だった未来と、その未来の果てに待つ彼女の最後。それを傍らで聞いていたリーナは黒の聖女の行動が納得できてしまった。関係ないと知ってはいても、その憤怒をぶつけずにはいられない筈だと。だからこそ、ジャンヌの言葉が信じられなかった。
「……それでも、私は彼らを恨む事はしないでしょう。彼女は止めなくてはなりません」
「しかし、黒の聖女の行動は世間一般から見れば当たり前の事だ。彼女の行動は君の境遇を知れば誰もが思う事だ。そうじゃないか?」
「……確かに、あなたの言う通りなのでしょう。しかし、私はそれでも彼らに復讐心など抱けない。怒ろうとも思いません。善であると信じた彼らが私のことを悪と称し、悪を倒す事を喜んだというのは悲しい事です。それでも、それでも私は彼らを赦したいと思うのです」
「それは何故?」
「人の運命は色鮮やかで、残酷なほどに様々です。無意味な生と同じくらい無意味な死があり――――意味ある生と同じくらい、意味ある死がある。私は未来でどうなるか分かっていたから動いていた訳ではありません。どうなるか分かっているから動き、分かっているから動かない。そんな物は――――人間ではない」
「…………」
「私はその時その時を自分が信じた道に向けてひた走っているだけなのです。それに……『明日は明日の風が吹く』。そうではありませんか?」
ジャンヌは自分の行ってきた道に後悔していない。それは正史であろうが、この時間軸であろうが同じ事。彼女はただ自分が信じる道を進んできただけなのだ。その結果としてどうなろうが、それは自分の責任なのだと割り切っている。そんな彼女の姿に、ソロモンは納得と歓喜を覚えた。
彼女の姿を見た瞬間から気になっていた。何故、抑止力が彼女に協力するのか?彼女がこの世界の歴史において重要な存在だからか?それとも、彼女の存在が特異点を生み出すからか?いいや、どれも違う。彼女の存在が、その精神性が多くの人間に影響を与えるからだ。
「……素晴らしい。素晴らしいな、ジャンヌ・ダルク。そう思える人間は本当に少ない。君という命に祝福あれ。そう素直に思うよ」
「……ありがとうございます。色々とお世話になりました。私はすぐに戻らなければ」
「まぁ、待て。急ぐのは結構だが、過程を楽しむ事も重要だぞ?今回で言えば……茶ぐらい最後まで楽しんでいけ。多少語らう時間ぐらいはあるだろう?」
そう言いながらカップを掲げるソロモンに苦笑を浮かべつつ、少しだけ上げていた腰を再び下ろして語らいの時間を楽しむのだった。
~ソロモンと作者によるQ&Aコーナー~
「最近、お気に入り登録者の数が減る事に快感を覚えつつあるという末期症状作者ことシュトレンベルグです」
「中々に楽しませてもらったソロモンだ」
シュ「はぁ~、本当に面白い話を書くって難しいよな」
ソ「創作者であれば誰もが抱く物だな、それは。地道にコツコツと努力するしかあるまい」
シュ「そりゃあそうなんだけどさ。面白くなってるのかなんて自分には分かんないし、モチベーションが上がんないんだよ」
ソ「そんなに急激に成長するなら誰も苦労する訳がないだろう。日々精進、この一言だろう。では質問に行くとしよう」
Q.シュトレンベルクさん、この小説を書こうと思った切っ掛けは何なのか教えてください。( ゚∀゚ )
ソ「ほれ、来たぞ。これはどうなんだ?」
シュ「え~?えっと、最初は魔力値がほぼ無限に近いあんたの劣化コピーを主人公にした作品を書こうとしてた。その時の名前は未定だけど。舞台はVivid時空で、しっちゃかめっちゃかする予定だった。ちなみにオチはない」
ソ「主人公最強物、という事か?」
シュ「まぁ、魔力量が多いだけで使っている技術は既存の物だけどね。アホみたいに強いから、戦わせる気は欠片もないけどね。そんな実力と拮抗する相手をポコポコ創りたくなかった、というか思い浮かばなかったし」
ソ「では今は?」
シュ「なんか書いてたらできた。以上」
Q.ソロモンを人ではなく物の認識か、かなり詳しいのはを飛ばしますけど、これって初代女帝や天剣達は許す案件なの、ソロモン?
ソ「怪しいところだが、連中も似たような所はあったからな。完全に怒る事も出来ないが許すのも難しいという微妙な案件だな。まぁ、一度ぶつかり合って納得するんじゃないか?分からんが」
シュ「許しきるのは難しいから六割殺しみたいな感じじゃない?」
Q.残りの指輪探しは聖杯探索後に、またやるの?
ソ「実は省いているんだが、指輪は現在エルトリアの分も含めて五つ。右手側は埋まっている」
シュ「要望次第ではその話を書いても良いんですが、今の事件解決までは書く気が起きないと思うので、終わった後でも良いから読みたいという方がいれば書こうかと」
『別会場にて』
「相変わらず仕事が終わらないディアーチェだ」
「徐々に進んではいるんだけどね。レヴィだよ」
「目に見えるだけまだマシ、と言ったところでしょう。シュテルです」
「前回に引き続きお呼ばれしました。アミタです」
ディ「ユーリはキリエと共にイリスの世話をしているのでいない。では質問へ」
Q.(今回の2番目にしたソロモン質問)……的な質問をソロモンさんにしたんですが、初代女帝の意見を教えてください。
ディ「なんだ?……許せる訳ではない。しかし、一方的に糾弾する事も難しかろう」
レ「王様は王様で、人間って言うのはちょっと違う気もするしねぇ……」
シュ「それを他人に察せられるようでは駄目でしょう。殿下ならば察してくださるかもしれません。しかし、異邦人に察せられるようでは罰は避けられないでしょう。半殺しにした上で王城から国境までダッシュ10本と言ったところでは?」
ディ「まぁ、それぐらいかもしれんな」
レ「それで良いんじゃない?不可抗力でもあるだろうけどね」
ア「(それはもう十分な厳罰なのでは……?)」
Q.最初(劇場版だよ!)のユーリの服って誰が作ったの?
ディアーチェはオカンイメージが強かったので、ここでは貴族って事を忘れてました。すみません、謝罪します。m(_ _;)m
ディ「許そう。で、ユーリの服か……誰だったか?」
レ「う~ん、あんまり覚えてないかな」
シュ「ユーリの服装は本の持ち主によって変わりますからこの場合……イリスの父親ではないですか?」
ア「え、えぇ……大丈夫だったんですか?」
シュ「少なくとも、ユーリの安全は保障しますよ。彼女の安全は私たちの至上の命題ですから」
ア「(イリスのお父さんは一体どんな目に……)」
Q.アミタさん…………ソロモンとのキスはどうでした?(・∀・)ニヤニヤ
ア「えっ!?え、えっと、それはその……秘密です!」