それはまさしく神々の戦いという言葉が相応しかった。ソーンの魔術や魔法という領域を超えた絶技、アルトリアの頂上の鎗とそれを十全に振るう技量。その戦いは他者の追随を赦さないほどに激烈な物だった。互いに一秒たりとも同じ場所に存在せず、己の力をぶつけ続けた。
「これは精霊との戦いではない『――――承認、ランスロット』」
「甘い」
アルトリアの持つ聖鎗に施された十三の拘束。それを解除する暇をソーンは与えないし、解除したとしてもそれはソーンを上回る事を決して意味しない。何故なら、ソーンもアルトリアもお互いに本領を発揮する訳にはいかないからだ。
神の権能を揮う領域に立つ者がぶつかる時、その場所は何もない場所でなくてはならない。少なく見積っても半径数百キロは無人の領域でなくてはならないのだ。全力を発揮するには二人の立っている場所はあまりにも人に近すぎた。目の前の相手を殺す前に守るべき相手が死んでは本末転倒だ。
だからこそ、互いに全力を発揮する事ができない。ソーンとアルトリアの間に力量の差はほぼ存在しないと言って良い。だからこそ、外部の要因が彼らの勝敗を左右する。そして現在、事態はソーンの有利に働いていた。
「勝負だ!騎士王!」
「邪魔です、斬滅女帝。貴女如きでは私の相手にはならない」
「それは、どうかな!?」
レヴィのバルフィニカスとアルトリアの聖鎗が衝突する。その衝撃によっていとも容易く地面は砕け、アルトリアが体勢を崩す……かと思いきや、アルトリアの騎乗する愛馬ドゥン・スタリオンは何もない空気を駆け、驚くレヴィをアルトリアは聖鎗を振り下ろす事で地面に向けて叩き落とした。
叩き落としたレヴィを一瞥する事もなく、聖鎗を突き出しシュテルの砲撃を散らした。そして聖鎗を構え、一気に突き出した。すると、鎗の形をした暴風がシュテルを襲う。シュテルは防御陣を展開する事で耐えるが、それによって身体が硬直している間にアルトリアは距離を詰め、防御陣に聖鎗を突き刺す。すると、みるみる防御陣が聖鎗によって貫かれ始めた。
あと一歩で完全に貫かれそうになった瞬間、天空から闇の剣がアルトリアに向かってきた。それを見た瞬間、防御陣から聖鎗を引き抜いて振り回す事で破壊した。そして、ドゥン・スタリオンの手綱を引き、ドゥン・スタリオンの後ろ脚で蹴りあげさせ防御陣を破壊しながらシュテルを吹き飛ばした。
地面が壊れた衝撃によって上がっていた土煙を風によって吹き飛ばした瞬間、いつの間にか出来ていた雲から落雷がアルトリアに向かってきた。しかし、その自然現象ですらアルトリアの前では通用しない。鎗を雲の方に構えながら、アルトリアはただ呟いた。
「聖鎗よ、果てを語れ――――」
その言葉と共に聖鎗から光が生まれ、落雷を引き裂きつつ雲を吹き飛ばした。星々の光を受け、輝く姿はまさしくソーンと同じく選定者に選ばれた王に相応しい威光だった。その最早どう言葉にすれば良いのか分からないほどの美しさを前に、ディアーチェたちの憎しみはより増していく。
アルトリアはディアーチェたちの事を一切見ていない。ただ迫りくる脅威に対応しているだけで、その視線は常にソロモンに集中している。アルトリアからすれば、今のディアーチェたち程度では視線を向ける必要すらないのだ。たとえ、本来の実力を取り戻そうとも、彼女たちでは相手にならない。神器を持っていれば話は別だったかもしれないが、それは言っても詮無き事だろう。
「……やはり、そういう事か。アルトリア、お前は蘇った訳じゃない。英霊としてこの世に召喚されたんだな」
散発的な攻撃しかしていなかったソーンはアルトリアの霊核を調べていた。竜の心臓を保有するが故に、アルトリアの対魔力能力は強力だ。しかし、どれだけの対魔力を持とうとも、魔力に関する事では誰も魔導の王を凌駕する事は叶わない。
しかし、ソーンの力を持ってしてもアルトリアの力を精査するのは多少の時間が必要だった。そのために少しの間攻撃の手をディアーチェたちに任せたのだ。彼女たちの力がアルトリアには届かない事を知りつつ、それでも彼女たちの実力を信じて。
「……流石は我が盟友。この短時間で私を解き明かしました」
「元々、お前が生身の肉体を持って蘇った訳ではない事は理解していた。小手調べ程度とはいえ、お前の聖鎗―――――
アルトリアの保有する聖鎗、ロンゴミニアドは別名『世界の柱』。遥か昔に存在していた神代と現代とを繋ぐ嵐の錨であり、その本領を発揮すれば世界一つを滅ぼす事すら可能だ。ソーンが保有していた鎗と魔導書と同じく、アルトリアの本領を発揮させるために用意された鎗――――それこそが、ロンゴミニアドなのだ。
本来は放たれれば終わりという代物だ。それが大量の魔力を使ったとはいえ、防ぎきれた時点でアルトリアが本来の実力を発揮できていない事は明白だった。だからこそ、ソーンはアルトリアを調べた。その結果、アルトリアがどういう状態なのかを理解した。
「英霊召喚。この世界には存在しない概念だ。お前の主はどうやってお前を呼び出したんだ?」
「私は魔術師ではありません。そのような事が分かる筈もないでしょう?」
「自信満々に言うな。確かに、お前は俺の知っている中で最も優れた剣士であり槍兵だ。けれど、この世界においてお前の知名度はほぼ皆無に等しい。それならばもっと別にいたと思うんだがな。お前の主が何を考えているのかは知らないが、選択は正しいとは言い切れないだろうな」
「随分と私のことを理解しているようだが。私とてお前の事は分かっているよ、ソーン」
「だろうな。俺がお前の事を理解しているように、お前もまた俺の事を理解しているんだろう。無駄だとは思うが一応訊いておこう。お前は俺の何を分かっているんだ?」
「お前の身体、その脆弱性について」
ソーンは予想通りとも言える答えに微笑を浮かべた。しかし、ディアーチェたちはアルトリアの言っている事が分からなかった。ソロモンの身体の一体どこが脆弱なのか、彼女たちには理解しきれないからだ。ソーンの全力を眼にした事のない彼女たちには分かる筈がないのだ。
「お前の桁違いの魔力。それは私の聖剣や聖鎗と同じく、星の力と同等かそれ以上の代物だ。だが、それを揮うために必要な耐久力が今のお前にはない。精々、昨日の太陽ぐらいが限界なのだろう?それ以上お前が魔力を使った攻撃を行えば、必ずお前の肉体は砕ける。従来の力を発揮すれば、お前の肉体は完全に消滅する。それぐらい、今の貴様の肉体は脆弱だ。違うか?」
「いいや、まったくもって正解だ。お前の私見は何も間違っていない。確かに、お前の言う通りだ。俺の身体は酷く脆弱で、もう少し時間をかけて肉体の成長を待った方が正解だったんだろう。究極的に言えば、この星を見捨ててお前の主も滅んだあとに指輪を回収した方が正しいんだろう。しかし、それは俺が嫌なんだ」
「何故?お前の言う通り、主はこの星を滅ぼすという願いさえ叶えばお前に指輪を還しても良いと思っている。あと少しなのだ。その少しすらお前は待てないのか?」
「待てないな。俺はあの家族と約束をした。この星を救う、その一助となると。ならば、俺はその約束を守らなければならない。『これから』を見据える者が救われなければ、それは嘘だ。『終わり』しか見ていない人間の願いを叶えるほど、俺はお人好しではない」
「……ふっ。なるほど、実にあなたらしい事だ。しかし、私も主の願いを叶える義務があるのだ。彼女に召喚されたサーヴァントとして、そして同盟者に恥じぬ者であるために」
アルトリアの身体から嵐の如く魔力が放出される。放出された地面を打ち砕き、嵐の王に恥じぬ威光を発揮する。そうたとえ本領を発揮する事ができなかろうと、彼女が世界に選ばれた王であるという事実は変わらないのだ。その実力は決して本領を発揮できない程度で損なわれるほど安い物ではない。
ソーンもその事は理解している。たとえ、その力を完全に発揮する事ができずとも、彼女は強い。しかし、それはソーンとて同じこと。肉体が脆弱な物であろうと、砕けることを前提にすれば戦えない訳ではない。ソーンはそんな従来はあり得ない戦闘を可能とするだけの魔力がある。ならば、後は胆力の話だ。
「聖鎗、抜錨――――」
アルトリアはロンゴミニアドを高々と掲げる。それと同時に鎗が高速で回転し、それによって竜巻の如き暴風がロンゴミニアドを覆っていく。ロンゴミニアドが保有する本来の実力を発揮させるための真名解放。騎士王ではなく嵐の王としての威光を発揮するように、ロンゴミニアドは従来と違う力を発揮する。
「ソロモン様、これは……」
「そう来るか……全員回避行動を取れ。神器なしのお前たちに耐え切れるような物ではない。外側から攻撃して少しでも良いから、あの宝具を削り取れ。さもなくば……あの研究所が吹き飛ぶぞ」
ロンゴミニアドの進路方向にはグランツ研究所があった。少しは距離があるが、あの暴風の前では何の安心も出来ない。間違いなく、その程度の距離は確実に埋めてくる。あんな攻撃を受ければ、間違いなく研究所諸共グランツ一家を殺す事など容易いだろう。それを許す訳にはいかない。
「集え、星光――――我に仇名す総てを蹂躙せよ」
「突き立て!喰らえ!十三の牙!『
ソーンの魔力と周囲に散らばる残留魔力を利用した集束砲とロンゴミニアドの竜巻の如き暴風が激突する。互いの力が激突し、地面が耐え切れずに壊れていく。ディアーチェたちは何とかソロモンの力になろうとするが、竜巻はまったくその威力を損なわない。どころか、互いにその魔力を取り込む事で被害は拡散していく。
しかし、流石と言うべきはソーンの技術だった。ロンゴミニアドの魔力と激突しながらも、それによって散っていく魔力を再び集束砲に注ぎ込むことで宝具の衝突に対応していた。このままであれば、間違いなくロンゴミニアドの攻撃にも耐えきれるだろう。そう、
「はぁぁぁぁぁぁぁッ!」
「アミタ!?何故ここに……!」
「関係ない人がこの星を救うために戦っているのに、私たちが戦わなくて良い訳がありません!私だって、少しはお力に……!」
「……鬱陶しいぞ、人間!」
周囲を飛び回り、効かないとはいえ攻撃してくるアミタの存在を鬱陶しく感じたのか、魔力放出でアミタに攻撃を仕掛けた。それによって生まれた隙を突き、アルトリアの立っていた地面を集束砲によって吹き飛ばした。宝具発動のために踏ん張っていたアルトリアだったが、地面が砕けた事で体勢が崩れ槍の穂先が空中にずれた。その隙に転移でアミタを回収したソーンは次の瞬間、眼を見開いた。
「甘いぞ、魔王。この程度でどうにかなるほど、私は甘くない!」
砕けた地面を蹴りつけ、ドゥン・スタリオンが跳躍した。そのまま墜ちるのかと思いきや、ドゥン・スタリオンは空を駆けあがっていく。アルトリアは湖の精霊から加護を受け、水上を走る能力を持っている。それを利用する事で、空中に限定的に水の壁を作って跳躍していたのだ。
「地に増え、都市を作り、海を渡り、空を割いた。聖鎗よ、果てを語れ!『
そして雲よりも上の領域まで至ると、そのまま駆けあがって行った時と同様に、けれど落下速度も加味された聖鎗がソーンとアミタに向かう。ソーンは再び集束砲を叩きこむが、聖鎗の突撃の前には意味をなさなかった。ソーンはそれを確認すると、転移魔法で回避を試みる。しかし、転移魔法を構築する事ができなかった。それどころか、空を飛んでいたディアーチェたちも落下し始めた。
「移動魔法の制限……指輪を使ったか!仕方がない――――ヘルメス・トリスメギストス!」
これによって回避の選択肢はなくなった。今から回避するために動くよりも聖鎗が直撃する方が早い。そう判断したソーンは三層によって構築された防御術式を展開した。錬金術、天体学、降霊術の三つを利用した防御障壁。その防御障壁の前には数少ない例外を除けば、ありとあらゆる必殺を無効化せしめる。
「その程度で……この私を、止められると思うなぁ――――っ!」
対するアルトリアは真正面からロンゴミニアドを防御障壁に叩きこんだ。本来であれば、それは何の意味もない徒労だ。しかし、アルトリアは必ずや勝利を手に入れなければならない。でなければ、自分の主は、
「く、そ、がぁっ!」
ありとあらゆる攻撃を遮断する絶対の防御能力を誇る
ソーンはこの攻撃を防ぎきれないと判断し、傍にいたアミタを筋線維の一本一本に強化魔法を注ぎ込んだ左腕で投げ飛ばした。ソーンに手を伸ばしていたアミダを無視し、障壁にギリギリまで魔力を注ぎ込んだ。しかし、その健闘虚しく、防御障壁は破られソロモンのいたところには巨大なクレーターが生まれた。
アルトリアが鎗を掲げると、その穂先にはちぎられた誰かの左腕が掲げられていた。良くも悪くもその左腕が誰の物なのか分からないほど、彼女らは耄碌していなかった。アミタは助けに来ておきながら助けられた自分の不甲斐なさに血が出るほど歯を食いしばり、ディアーチェたちはその思考を復習の一色に染め上げられた。
流石のアルトリアも先ほどの障壁を突破するのは消費が伴ったのか、身体から魔力の粒子が出るほどには疲労していた。しかし、その事ですら彼女にとってはどうでも良かった。彼女は静かにロンゴミニアドの穂先にある左腕を取った。アルトリアはそれを寂しげに見つめながら、その肉を喰らった。
その光景は異様とも言うべき物だった。古来、超常の生物の血肉を喰らう事でその身に取り込むという風習はあった。しかし、彼女は英霊だ。その肉体は精霊と同じ物と化し、ソロモンの血肉を喰らったところで何も得られる物はない。その光景の意味を、その場にいる誰もが理解する事ができなくなってしまっていた。
いや、本当は分かっていたのかもしれない。けれど、それを認めたくなかったのだ。それを認めてしまえば、きっとこの胸に燻っている感情を抑えてはいられなくなる。アミタはそう思ってしまったからこそ、アルトリアが左腕の血肉の総てをたいらげるまで、ただ黙って見つめている事しか出来なかった。
「あなたは、どうして……」
「……さぁ、どうしてなのだろうな。私にもどうしてなのか、分からないのだよ。お前には分かるか?どうして、私がこんな事をしたのか」
あぁ、この人はきっととても不器用な人間なのだと、アミタは思った。自分がどうしてそんな事をしたいと思ったのか、理解するような経験はなかったのだろう。きっと彼女は人を■した事がなかったのだ。より明確に言えば、全体の人ではなくたった一人を選んだ事がないのだ。だから、彼女は
「分からないんですか?本当に、あなたは今自分が持っている感情を、理解する事が出来ないんですか!?」
「何を、言っている?私が、持っている、感情……?」
「いいえ、分からない筈がない!あなただって本当は分かっているんでしょう!?分かっているのに、分かりたくないから、理解したくないから!分からないフリをしているんでしょう!?」
「お前は……何を言っている。一体、何を言っているんだ!?」
「あなたがあの人を、ソロモンさんを殺して!本当に何も思っていないなら!涙なんて流す訳ないでしょう!?」
「何……?」
その時、アルトリアは初めて自分の頬が濡れている事に気付いた。どうして、何故、そんな思考が頭の中をぐるぐると回っていく。理解する事の出来ない感情に胸を支配されていく。防御障壁を破られた一瞬、ソーンが自分に何かをしたのかとすら考えた瞬間、アルトリアの頬に衝撃が奔った。目の前にはアルトリアと同じく涙を流すアミタがいた。
アミタの手で地面に引きずり落とされ、襟を掴まれる。自分はどうしてこんな力もないただの小娘に、何もすることが出来ないのかと考えた。アミタを吹き飛ばそうとするが、魔力が足りていないのか身体を動かす事ができない。アルトリアは再び頬を叩かれ、アミタを見上げた。
「私を、見ろっ!」
「……………………っ」
「どうしてあなたは目を逸らすんですか?目の前にある現実から、自分の中にある意思から、自分自身から!どうして、貴女は自分を認めることが出来ないんですか!?」
「お前は……」
「アーサー・ペンドラゴン!あなたは私だって知ってる、次元世界の王様なんでしょう?本当に自分の民を愛していた王様なんでしょう?そんなあなたがどうして自分の想いを認められないんですか?」
「私のことを、知っている?」
「知っています。知っていますとも!あなたは絵本にも出てくるような英雄です。皆が幸せになる事を願い、その為に戦い、果てには化け物に成り果てても人々の平和を願った優しい王様。あなたの事を知らない人なんていません。それぐらい、貴女は凄い事をしたんです!」
そんな馬鹿な。自分が存命だった頃、そんな絵本が世に出回っているなどという話は聞いていない。ならば、自分の死後か?では、誰が?アルトリアは女神と成り果て、人々を救済しようとしたところをソロモンに討たれた。ソロモンという絶対の王を褒め称えるなら、寧ろアルトリアは貶され貶められて当然の存在だ。だと言うのに、目の前の少女に優しい王様などと……そこまで思考が行った瞬間、アルトリアは一つの可能性に気付いた。
いるではないか。生前アルトリアに優しい王様だと、そう言った者が。その者の言葉に自分はどこか恥ずかしく感じたものの、それでも嬉しく思った。アルトリアの治世を褒めてくれた者が確かにいたではないか。
「まさか……ソーン。あの人が……」
「あなたはどうして、貴女が彼の事を好きだったと認められないんですか……?」
アミタのその言葉にアルトリアは頭を金鎚で殴られたような衝撃を受けた。アミタの言葉はアルトリアにとって、青天の霹靂とも呼べる代物だったからだ。
「私が、彼の事を……好きだった……?馬鹿な、そんな馬鹿な事があるものか!私と彼は――――」
「ソロモン王とアーサー王は互いを認め合った盟友だったと聞いています。あなたたちがどういう時間を過ごしたのか、私には分かりません。けれど、貴女がソロモンさんを凄く信頼していた事は知っています。あなたはソロモンさんの事が本当は好きだったんじゃないですか?
それでも、互いに王様だから。そうやって線引きをしていたんじゃないですか?さっき、貴女がソロモンさんの左腕を食べたのは少しでも彼の一部が欲しいと思ったからじゃないんですか?」
「私、は……」
「あなたは、本当は彼を愛していたんじゃないんですか――――?」
「黙れ……黙れ、人間!」
その瞬間、アルトリアを中心に嵐が巻き起こる。その風に耐え切れず、アミタは吹き飛ばされた。しかし、吹き飛ばされたアミタを抱き留める人物がいた。その人物はアミタを受け止めながら笑っていた。
「やぁ、大丈夫か?アミタさん」
「ソロモンさん?」
「そうだよ。待たせたな、アルトリア。第二、いや、第三ラウンドを始めよう」
威風堂々とした姿で再びソロモンはアルトリアの前に立ちはだかるのだった。