外伝・短編集(仮題)   作:幻龍

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当初は本編の方に載せる予定でしたが、色々と検討した結果、ネタとしてこっちに投稿することにしました。

サブタイトル通りBADENDになった場合です。


うちはサスケに転生しました。これより生き残りと一族復興を目指して頑張ります if end
if BADEND


 第四次忍界大戦が終わった数ヶ月後の火の国辺境。

 

 そこには任務を完了して帰国しようとしたうちはサスケが、突如現れた襲撃者を片っ端から始末していた。

 

「これで終わりか……。だが、次に大人数で襲われたら一環の終わりだな」

 

 任務終わりによる疲労とほぼ尽きかけたチャクラ量。更に襲撃者が使用したと思われる特別な毒を受けたせいで、柱間細胞適合者特有の回復力が上手く機能せず、サスケは満身創痍になっていた。

 

「まさか、俺を始末する為だけに火影に黙って他里や他国を巻き込むとは……。御意見番や根の連中の愚かさを見誤っていたのかもしれんな」

 

 サスケは自分が始末し、既に事切れて転がっている霧の暗部や岩隠れの忍達を眺めながらそう呟く。

 

 当初は何故襲撃されるのか分からず、写輪眼で根の暗部から情報を引き出したら、今回の件は御意見番と里の上層部、根の暗部が仕組んだものだと白状したのである。

 

「連中の保身と第四次忍界大戦に対する他里の忍へのガス抜きの為の生贄……。――所詮うちはは信用できないということか……」

 

 サスケは里に対して恨みや復讐心はあるが、それを抑え込んで働いてきた。――だが、その結果訪れたこの最悪な結末に、己の不甲斐なさを自嘲するしかなかった。

 ダンゾウが消え、御意見番も失脚したから暫くは大丈夫だろう――そうした楽観的な考えが生まれ、警戒を緩めた結果が、今の絶望的な状況である。

 

「さて、これから如何するべきか……!?」

 

 サスケはこれから如何するか思案しようしたが、それは中断される。

 

 草陰から突如黒い蛇? の様な物が出てきて――サスケに対して襲い掛かってきた。

 

 サスケは刀でそれらを切り払う――斬られた黒い蛇? はそのまま四散して黒い液体の様な撒き散らす。

 

「この匂い……。――墨だと? ――鳥獣戯画の術か!」

 

 サスケは瞬時にこの術を理解し、敵の気配を感知して位置を把握――複数いたが輪廻写輪眼で分身体を看破して、本体を万象天引の術で容赦なく引き寄せる。

 

「っ!?」

 

「やはり根の忍か……。――消えろ!」

 

 不可視の引力に引き寄せられた暗部の面を被った忍――原作ではサイというコードネームを与えられた同年代の忍に対して、サスケは容赦なく千鳥を放つ。

 それに対して根の忍は急に己がサスケに対して引き寄せられていることに混乱し、千鳥に対処することができず――呆気なく急所を雷を纏った手刀に切り裂かれ、口から血を吐いて地に倒れる。

 

「呆気な過ぎる……。まさか!?」

 

 サスケは咄嗟にその場から離れようとしたが、暗部の忍の身体が膨張して大爆発を起こした。

 

 サスケは何とかその爆発を躱すが、瞬身の術を使用した為チャクラが更に減ってしまう。

 

「自爆……。何とか助かったがもうチャクラが限界に近い……。――それに里へ帰ってもただでは済まないはずだしな……」

 

 サスケは大木を背もたれにして座り、己の人生の限界を悟る。

 

 この場を潜り抜けても、今回の黒幕が自分を見逃すとは思えない。御意見番や他里が相手では里優先のカカシでは強く出れない。今回の件について自分に対して口を閉じ、耐えるように要請してくるだろう。

 

 それだけならまだ良いが、根本的な対策を適当な理由をつけて取らず、永遠に事あるごとに命を狙われ続ける立場を、無自覚に一生強要してくる可能性が高い。

 

「潮時か……。――この術を使う時がこんなに早く来るとは思わなかったが、このまま里に帰還してジリ貧になるよりは賭ける価値はあるか……」

 

 そして、こういう万が一の時の為に備えて、大蛇丸の研究データや穢土転生等を基に開発した術――天・輪廻転生術の使用時と判断し、サスケは印を組み術を発動させた。

 

「もし、この世界に戻って来ることがあるのなら……。――必ず、仕返ししてやるからな」

 

 うちはサスケはそう最後に言い残し、光の粒子となってその場から消滅した。

 

 

 

 

 木の葉にうちはサスケ行方不明の報が入り、木の葉は軽く混乱することになった。

 

 六代目火影で師匠でもあったカカシは、サスケ程の手練れがやられたことに疑問に思い、無論調査を命じたが、手掛かりが殆どない上、任務を完了したこと以外、証拠が全く見つからなかったので、一週間後には予算や人員の関係上捜査を打ち切る。

 

 それに対してナルト等同期は納得せず、カカシに直談判したが里の復興等の優先すべきことがあると諭されると、彼等は里の決定を渋々受け入れるしかなかった。

 

 ナルト達が火影室が出て行った後、カカシは暗部から入ってきた別の報告書に目を通す。

 

「まさか、こんなことになっていたとはね……。――済まないサスケ。だらしない先生で……」

 

 うちはサスケの行方について――実はカカシは真実を掴んでいたが、余りにも関与した人数が多すぎて、この件を公開すれば里間の融和ムードに罅が入ると考え、己の心を殺して今回の件を闇に葬ることにしたのである(サスケに対して心の中で何度も謝罪しながら)。

 

「二度とこんなことがないように、根の暗部は再教育を施す。御意見番の2人に関しては今回の件を使って勝手なことをしないよう釘をさすしかないな……。まずは他里との意見調整からだけどね……」

 

 隠居しても里の一定の影響力を持つ御意見番に対して、どうやって話を持っていくか考えながら、カカシは取り敢えず他里に対して、今回の件について話し合いの場を持ちたい――という書簡を送る手筈を整えることにするのであった。

 

 

 

 

 カカシが色々と政治のことで動いている頃、裏ではサスケの関係者は彼が消えたことを知り、彼から生前頼まれていた事後処理に奔走し、彼が研究していた物は全て破棄され、彼の財産を手に入れようと画策した者達は梯子を外されることになる。

 サスケの財産の一部であるこの研究資料は、サスケが親しくしていたとある商人からカカシに送られ、木の葉の発展に寄与することになる。それによって後年火影を引退したカカシは益々後悔する羽目になったが、今更事件の真実を公表する訳にもいかず、この件に関しては自分の胸の内にしまっておくことにした。

 そして、うちはサスケのことは数年後、木の葉里で彼と親しかった者達以外からは忘れ去られ、第四次忍界大戦の立役者・うちは最後の生き残りということだけが資料に記されて、うちはの歴史は一旦幕を降ろすことになった。


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