外伝・短編集(仮題)   作:幻龍

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思いつきネタの後編です。


後編 終了

 リーシャ・バレンタイン。

 俺の目の前で気絶している女性の名であり、DBに対抗する兵器RAVEを造った人物。

 彼女は大魔導士ジークハルトの雷魔法を受けて気を失い目の前に倒れている。前世のミラージュコロイドを参考に、気配と姿を完全に消すDBを使用してジークハルトに気付かれず無事接触に成功したのだ。

 

「これも運命。許せ」

 

 俺はサイレンサーの付いた銃を彼女の眉間に銃口当て引き金を引いた。

 彼女は眉間を撃たれて即死。念の為脈を確認するがどうやら完全に死んでいる様だ。

 銃弾で始末すると魔道精霊が暴走する可能性もあったが、それは彼女が魔道精霊を持っていると自覚している場合。証拠にジークハルトの魔法を受けても暴走等していないし、意識がなければ感情で暴走する危険性はない。

 

「平行世界が生まれてから続く因縁もこれで終わりだ。安らかに眠れ」

 

 俺は物言わぬリーシャに手を合わせる。

 彼女の遺体を回収して誰もいない場所で火葬を行う。

 灰を地面に埋めて墓を造る。

 

「DCが一度崩壊するまで後僅か……。ここからはシンクレアの争奪戦に力を注ぐ」

 

 DBワープロードを使いこの場から去るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 リーシャを始末して時が少し進んだ。

 RAVEマスターであるハルはリーシャ関連以外は俺の頭の中にある原作知識通りに行動していた。

 問題は守るべき女の子であるリーシャがいないので、色々と問題に対処できない場面もあったが先回りして第三者を装ったりする等成長フラグをへし折るなど苦労したが概ね予定通りだ。

 そして、DCがキング自らの手によって崩壊し、闇の権力争いが開始され、同時にDCの残党が六祈将軍を中心に復活を遂げるべく、水面下で活動を活発化させている。

 尤も六祈将軍の連中に対しては、お前達の組織は崩壊したのだから素直に諦めろよと思ったが、他の闇の組織とぶつかってくれれば漁夫の利を狙えるので放置しておくことにした。

 

「まずは、シンクレアを入手して他の連中に差をつける」

 

 最初の目標に選んだのは鬼族の王オウガと鬼神の連中だ。

 理由はシンクレア持ちで居場所が判明していることと、単純に相性がいいからである。

 ラストフィジックスは全ての物理無効という強力無比で厄介な能力だが、魔法等物理以外の攻撃は防げない。

 つまり俺が持つマザー(シンクレア)のディストーションを防げない。金術も同様だ。物理攻撃でない以上ディストーションを無力化することはできない。

 

「気配と姿を消してワープロードで潜入。そこで問答無用にシンクレアの力で要塞ごと消滅させる」

 

 ワープロードと俺が持つシンクレアの力を組み合わせた奇襲はまさに敵対する者にとって悪夢の一言だ。

 長年の修行の結果、大都市を軽く消滅させるだけのディストーションを容易に放てる様になり、この奇襲攻撃を実行できるようになったのである。

 

「では、行くか」

 

 ワープロードを使い鬼神の基地であるリバー・サリーに潜入。一応この基地シルバーレイをコピーしておく。後々役に立つかもしれないからな。

 オウガのいる場所へと息を潜めて接近。オウガが中にいることを確認した後ディストーションを放った。

 オウガと近くにいた鬼神の参謀長であるゴブは何が起こったのか理解できず消滅する。

 

「海水が入って来たか!」

 

 この基地は海底にあるので、当然ディストーションで破壊してできた傷跡から海水が入り込んできた。

 俺は闇の音速剣で素早く移動し部屋にあったラストフィジックスを回収、ワープロードでこの場を離脱する。

 

「案外あっさりうまくいったな」

 

 手に持っているラストフィジックスを見ながら呟く。

 オウガは他のシンクレアの主より隙が多いからある意味当然だが、やっぱり決め手は相性だろう。

 しばらく海を眺めていると海水が膨張して火山が噴火したように水が打ち上げられる。そして、海面から要塞から逃げて来たと思われる鬼共が出てきた。

 

「そ、それは総長が持っていたDB!? 貴様の仕業か!」

 

 鬼共は自分が持っているラストフィジックスを見て、今回の騒動の原因が自分であると理解したらしい。

 鬼共は全員が雄たけびを上げ激高しながら襲い掛かって来る。

 

「消えろ」

 

 俺はディストーションを鬼共に放ち大半を消滅させる。

 鬼共はこの惨状に恐怖したのか顔が真っ青になっており、慌てて逃亡を図るも、闇の双竜の氷と炎で追撃し処理していく。

 鬼共が襲ってこなくなったのを確認した後、ワープロードを使いササベルク大陸から隠れ家がある街へと帰還する。だが、予定外の事が起こった。何と戻った場所に六祈将軍(ディープ・スノーを除く)の連中が待ち伏せしていたのだ。

 俺は連中に情報は与えていないのに拠点がばれたことに少し驚いたが、シンクレアで連中のDBを自壊させて、悠々と始末した。ジェガンとレイナは剣で急所を貫き、べリアルとユリウスはディストーションで彼等がいた空間ごと消滅させた。

 ハジャは無限の魔力のカラクリが破られたので、形勢不利を悟ったのか空を飛んで逃走を試みたようが、闇の真空剣で真っ二つにした後、動けないジェガンとレイナと共にディストーションを使い消滅させた。

 

「何とかなったな」

 

 厄介ごとが一つなくなったので安堵した。

 これでDCは再び壊滅したも同然だ。

 俺はDCのトップになる気はないし、頭がいなくなったから自然に消滅していくだろう。

 ちなみにジェガンの側にいたジュリアはそのまま飛び去っていった。レットの元にでも向かったかな。レイヴの竜人は鼻が効くらしいし。

 

 

 

 

 

「俺の勝ちだな。ハードナー。シンクレアの力を過信したな」

「金髪の悪魔……。てめぇ……よくも俺様の邪魔をしてくれたな!?」

 

 レイヴマスター達が他のシンクレアの主を打倒した所を狙ってシンクレアを奪取することを続けた(アスラの持つシンクレアは奴の元に行ったら献上された)。

 そして、最後のシンクレアを持つハードナーが、魔界でエンドレスと融合するべく儀式を行う場所に予め潜入しておき、レットが奴に敗れた後ハードナーに戦いを仕掛けた。

 

 ハードナーはアナスタシスの力を過信して、俺から他のシンクレアを奪ってやると宣言したが、ネオ・デカログスを使いヒット&ウェイで攻撃する俺を捕らえきれず、再生能力の限界がきてしまい敗北した。

 

「うるさい。お前は邪魔だから消えろ」

「がぁ!?」

 

 ハードナーを祭壇から蹴り落とし、近くにいたルナールを闇の真空剣で同じ場所に落とす。

 これから起こることに水を差されたくないからだ。

 

 全てのシンクレアが揃ったのでエンドレスがこの場に現れ、次元崩壊のDB《エンドレス》が完成した。

 エンドレスを自分の胸元に吊るした直後、レイヴマスター達が祭壇にやって来た。

 

「お前はドリューのシンクレアを奪っていった奴!? ここで何をしていたんだ!」

「レイヴマスターか。一足遅かったな。ハードナーは俺がきっちりと倒してやったぞ」

 

 俺の言葉にハルは驚いた表情を浮かべる。

 自分が苦戦したハードナーをあっさりと倒したのだから驚くの無理はないか。

 

「俺は目的を達したからこれで失礼させてもらおう。この勝負ダークブリングマスターである俺の勝ちだ」

「何だと!? どういう意味だ!」

 

 俺はハルの言葉を無視してそのまま魔界から人間界に帰還した。

 そして、エンドレスを使用した。すると世界にメモリーダストが広がっていき、全ての記憶を忘却させながら世界を崩壊させていく。

 

「レイヴマスター達がここに来るのが早いか、エンドレスが大崩壊で平行世界を消し去るのが先か……競争だな」

 

 レイヴマスター達は恐らく間に合わないだろうし、例え間に合ったとしても聖剣レイヴェルトもない、リーシャがいない以上レイヴを一つの完全な形に戻すことも不可能だから俺の勝ちは揺らがない。

 

 案の定レイヴマスター達は間に合わず平行世界は消滅した。

 俺は現行世界に到達し、完全融合を果たしたエンドレスの力を使い現行世界を再生させ、創造神として君臨した後波乱に満ちた人生を閉じるのであった。




最初は長編の物語を予定していましたが、主人公の性格を考えるとこうなってしまいました。
 シンクレア(ディストーション)+気配と姿を消すDB+ワープロードのコンボは最強。ダークブリングマスターだからできる反則技だなと書いていて思いました。
 手段を選ばなければ原作でもルシアの勝ちだと思います。そもそもエンドレスは世界的には悪ではありませんし、DBの魔力に取りつかれるという設定がありますが、寧ろ逆なのでは? と考えています。DBという強大な力を得たために心が歪むのでは? と解釈できなくもありませんし……。

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