東方錬金録   作:水無月幽

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プロローグ 銀斗という青年
プロローグ 人殺し


「~♪」

午後3時15分、俺はイヤホンを耳にさし再び帰路についた。そして俺が後にしたその場所には・・・

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・    

完全に燃え尽きた肉塊が転がっていた。

 ~数十分前~

「・・・なんでこんな役回りをさせられなきゃいけないんだよ・・・」

俺は愚痴をこぼしながら頼まれたものをコンビニで買い、帰路についていた。

                              ・・・

「てか、なんでこんなもん買わなきゃいけねえんだよ、それぐらい作れるだろ・・・」

そういって俺は手に持っているビニール袋を見る。その中にはコーラが二本入っていた。一本は俺の分、もう一本はあの人の分だ。       

「ったく、しかもおごりとかほんと最悪。まあ、悪戯した俺も悪いんだが」

俺は自嘲気味に笑う。そして帰った後にすることを考えながら歩いていると

「キャーー!」

悲鳴が聞こえた。近いようだったので俺は直行した。そして俺がそこについたとき

「へへ・・・」

気持ち悪い声を出しながら見た目からしてチンピラの男は黒髪の少女に迫っていた。

「っ!」

ふと俺の頭では、ある映像がフラッシュバックした。

そして気が付くと俺はビニール袋を投げ捨て、その男の襟をつかんでいた。

「・・・どういうつもりだ餓鬼!?」

「・・・うるせんだよ、この外道が」

「なめてんのかゴラァ!」

そう叫んだ矢先、男は殴りかかってきた。それはあまりにも単純すぎてよけるのは簡単だった。

「こんぐらい、生ぬるすぎるんだよ・・・!」

そう言い、俺は男を見据える。男の足は少しではあるが震えていた。

「お、おい!お前ら!こ、こいつを殺しちまえ!」

その言葉と同時に後ろから十数人の人が襲い掛かってくる。

「・・・殺すなって言葉、そんな軽々しく口にしてんじゃねーよ」

そう言った矢先、俺は自分の横に紫の炎を出現させ、それを後ろへ放り投げた。

「熱っ!」

その言葉が聞こえる。後ろを振り返ると炎が引火したのかその男が来ている服に引火したのか、服から紫色の炎が燃え上っていた。

「ひっ!」」

後ろの奴が悲鳴を上げる。それと同時に後ずさりもした。しかし俺は無表情でもっと多くの紫色の炎を作り出し、そいつらに放り投げた。そいつらは一斉に逃げ出したものの、炎の方が早く、ほぼ全員に引火した。

「死ねえええええええええ!」

その直後、背後から先ほどこいつらを呼んだ男が鉄パイプを振り上げてきた。しかし、

「・・・黙っとけ」

俺は鉄パイプを受け止めた。直後その鉄パイプの先端は変形し、数本のナイフとなった。そして俺はそれを手に持ち、男を串刺しにした。血しぶきがかかったが俺は動じなかった。しかし男の後ろにいた少女は肩をガタガタと震わせ、血まみれの俺と男を交互に見ていた。俺はその少女に向かっていった。少女はビクッと体を震わせ、座りながら後ずさりしていた。それも当然だろう、なんせ俺はこの少女の目の前で何人もの人を殺したのだから。そして少女の背中は壁につきもう下がれなくなっていた。眼には涙がたまっていた。

「こ、来ないで・・・」

少女は小さな声でそう呟いた。しかしその声に反して俺は迫る。そして少女の前に立ち・・・

彼女に触れた。

「ひっ!」

彼女がもう一度小さな悲鳴を上げた。しかし俺は気にせず、集中するために目をつぶった。

        ・・・・・・・・・・・

すると俺の手には緑色の液体が入ったビンが出現した。そして俺はそれを少女の前に差し出した。

「・・・これを飲んだら少しは楽になれるよ。」

しかし彼女は首を横に振り、拒絶反応を示した。当然だろう。なんせ俺はこの少女の目の前で何人もの人を殺した言わば殺人魔だ。そんなやつが差し出したものなんて誰もが怪しむだろう。だが、この薬の効果を受けてもらわないとこちらとしても困るのである。よって俺は

「そうか、なら・・・少し冷たいかも知れないけど我慢してね」

そう言って彼女の頭に薬品をかけた。突然の行動に行動が遅れた彼女はその薬品をもろにかぶり、その直後、その場で倒れた。

「・・・さて、この子が起きる前に処理しちまうか」

そう言って俺はまた紫色の炎を出現させる。そして炎を先ほど刺殺した男の下に放り出した。そしてその炎は死体を燃やしそこらに転がっているものと変わらない肉塊と変貌させた。

「あとはプラスチックだけなんだが・・・」

俺はあたりを見渡す。しかしプラスチックと思われる物質はなくため息を漏らした。

「…しゃーない。もったいないがコーラのペットボトルで代用するか」

俺は投げ捨てたビニール袋の中からコーラを一本取り出し、中身を捨てた。そして俺はまた集中するために目をつぶった。そして俺が目は開けるとそこには・・・大きなビニール袋がペットボトルがあったはずの場所にあった。そして俺はその中に肉塊を入れ始めた。そしてすべてを入れ終わると、ビニール袋はパンパンになっていたが外から見ても肉塊が入っているとは到底思えなかった。

そして俺は服を裏返し、その場から少女をその場所に放置したまま背を向き、出口へと歩き出した。




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