オブリビオンゲート 異世界龍 彼の地にて 斯く集えし   作:ArAnEl

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ええ、皆さまの言いたいことはわかっております。

『おせーよ!』

すみません!亀投稿どころかナメクジ投稿より酷くて!


クロアカシロ

どれくらい時間が経っただろうか。

 

アルドゥインは最後の切り札(スゥームの支配)を破られ、考えるのをやめた。

 

スゥームを逆に支配され、もはや自身の存在意義を見失った。

 

元の世界(スカイリム)で初めて肉体を切り裂かれ、敗北した時は痛みや恐怖というものを知ることができた。

 

だが今回はどうだ。

 

もう何も感じない。

 

概念という物を超越した存在が、今肉塊となろうとしている。

 

抵抗しようにもこやつ(異形のドヴァキン)の前に無意味と感じた。

 

スゥームを完全に奪われた今、肉体は再生しない。

 

痛いか痛くないかで言えば確かに痛い。

 

しかしこの痛みさえも実は錯覚ではないか、と思うほど気が遠く感じた。

 

 

(うむ、首を切り裂かれたか……?)

 

 

もはや今自分の存在そのものが錯覚ではないかと疑い始めてる。

 

もともと、世界にドヴァ()として、生物を超越した概念として存在した。

 

しかしありとあらゆるものが我に効かなかった。

 

その時も我は存在していた、と言えるだろうか。

 

我の火で、氷で、雷で、身体で相手を蹂躙し、破壊して喰らった。

 

だが相手の攻撃はあの日までは一切効かなかった。

 

(我は、一体何なのだ……何者なのだ……そして、なぜ我はそもそも生まれてきたのだ?)

 

 

生死をさまようとき、走馬灯というものが脳裏に浮かぶことがあるが、これは脳が必死に過去から打開策を探しているという説がある。

 

アルドゥインが走馬灯を見ているのか、それともその知能ゆえに哲学に達してしまったのか。

 

 

「さて、そろそろ終わりにしようか?」

 

 

散々弄んだドヴァキンは、トドメを刺そうとある物を出した。

 

拳一つ分より気持ち長めの柄に、二又のフォークを。

 

そう、フォークである。

重要なので2回言った

 

 

「この何の変哲も無いフォークで、君を倒すという屈辱を与えてあげるよ。そしてその後は……じゅる」

 

 

ドヴァキンは恍惚な表情を浮かべ口元のよだれを拭く。

 

 

(我を食うつもりか……)

 

 

世界を喰らうつもりがジョール(定命者)に食われるなどとんだお笑い種だとアルドゥインは思った。

 

 

(ふむ、我は一体どんな味がするのか。そして食われても意識は保てるのか?それはそれで興味深いな)

 

 

賢者モードもいいところ、もはや大賢者モードである。

 

 

「なんだ、反応がないなんてつまらないね。でも今度こそ食われてくれよ。また煙になって消えたりなんかするなよ!」

 

 

そう言い放ち、フォークを高く振り上げた。

 

なんの変哲もないとか行ってた割に、絶対付呪(エンチャント)してあるだろうと突っ込みいれたくなるオーラを放っていたが。

 

 

(なんか雲が赤黒いな……)

 

 

死の間際、アルドゥインはすごくどうでも良いことを思った。

 

 

「ギャァァァァァアアッ!?」

 

 

突然空から真紅の落雷がピンポイントでフォークに落ちた。

 

もちろん、ドヴァキンは黒こげになった。

 

 

「ハア、ハア……間に合った……」

 

 

無気力ながらも、アルドゥインは声の主の方向に瞳だけを向ける。

 

 

「どこかで聞いたことある声と思えば…。お主、それが真の姿か?」

 

 

そこにはアルドゥインとほぼ同じ大きさ、しかし対をなすように純白を基調としながらも、目と口は真っ赤な龍がいた。

 

彼の世界の猛者(ハンター)たちは彼女をこう呼ぶ。

 

 

祖龍ミラボレアス(ミラルーツ)

 

 

「痛いじゃないか。おお、また新しい龍だ、コレクションにしたい!」

 

 

黒こげのドヴァキンはもうほぼ元どおり……

否、そもそも焦げて()()()()()()()()()()()()()

 

 

「く、やはりダメか……アルドゥイン、何をやっておる、早く逃げんか!」

 

「……なぜ我が逃げなければならんのだ?」

 

「お主、正気か!?」

 

 

アルドゥインは意地でもプライドでも、退かぬ媚びぬ省みぬでもなく、純粋になぜ自分が逃げなければならないのか、疑問に思っていた。

 

 

(くっ、大放心などしおってバカが!)

 

 

アルドゥインは大放心中、若しくは大賢者モードになっていた。

 

何もする気力が起きないのか、その場でふらふらしている。キャラ崩壊ものである。

 

 

「おのれぇ、計画が台無しじゃあ!」

 

 

ミラルーツにとって唯一の救いは彼女の主な攻撃が赤い雷撃であったこと。

 

威力、速さそして正確さが文字通り神の領域に達するほどの代物であったため、ドヴァキンの『時止め』や『幽体化』のスゥームを唱える前に直撃し、『デイドラ神器の盾(スペルブレイカー)』すら貫通してダメージを与えることができた。

 

が、ダメージを与えるだけであり、肝心の『やり直し(セーブ・リロード)』が防げないため、表現は奇妙だが文字通り()()()()()近づいてくる。

 

 

(くっ、足止めだけでも十分だった……アルドゥインが正常であればだがっ!)

 

「痛いねぇ……でもその何倍の痛みを君に与えられると思うと、興奮するよ……ぐはっ!?」

 

 

ドヴァキンは狂気の眼差しと笑みを浮かべながら近づいては落雷で木っ端微塵になる。

 

と思ったら次の瞬間には何事もなかったかのようにいた。

 

 

それを繰り返す。

 

 

「〜〜〜!!」

 

 

ルーツは声にならない叫びを上げる。

 

 

喉元を切られた。

 

 

元々赤かった胸元が自らの血潮で真紅に染められてゆく。真っ赤な口元に劣らないほど鮮やかな真紅の色に。

 

 

「さあ終わりだよ!」

 

(無念、ここまでか!?)

 

 

ミラルーツは覚悟して目を閉じた。

 

 

しかし一向に待てど何も起きなかった。

 

それとも痛みを感じないほどに全てが終わっていたのか。

 

 

恐る恐る、目を開いてみる。

 

 

ミラルーツは取り敢えず安堵した。首が少なくとも繋がっていることを。

 

そして辺りを見渡すが、奴はどこにもいなかった。

 

否、自分たちが別の場所に転移していた。

 

そして周りにはいきなり転移したミラルーツとアルドゥインに驚くヨルイナールなどのドラゴンたちがいた。

 

 

「アルドゥイン様!」

 

 

ヨルイナールは近寄って精神的満身創痍のアルドゥインを介抱する。

 

相変わらず意識はここにあらず、と言った感じだが。

 

 

「白き龍よ、感謝する」

 

 

アンヘルが礼を言う。

 

 

「いや……」

 

 

ミラルーツはアルドゥインを見て思った。

 

 

(むしろ助けられたのは私の方だ……)

 

 

「アルドゥイン様、どうしたのですか!?」

 

「……」

 

「む、アルドゥインの様子がいつも以上におかしいぞ?」

 

「ちょっとアンヘル、アルドゥイン様がいつもおかしいみたいなこと言わないでよ。……時々おかしいのは認めるけど」

 

 

ヨルイナールは最後の言葉だけは聞こえないように小声で言った。

 

 

アルドゥインは相変わらず無気力で目が虚ろだった。ヨルイナールの方を見るが、見すかすように焦点が合ってない。

 

 

「やはりこれしか方法はないか……」

 

 

ミラルーツは力を振り絞ってアルドゥインの前に立つ。

 

 

「……」

 

 

意識が集中してないとは言え、流石は世界を喰らいし者(ワールド・イーター)、その風格だけで圧倒されそうになる。

 

 

「……御免!」

 

 

なんとミラルーツはアルドゥインの喉元に食らいついた。

 

 

「き、貴様何してる!?」

 

 

ヨルイナール驚愕した。

 

 

「……」

 

 

アルドゥインは特に反応は示さなかった。

あたかも咬まれてすらいないように。

 

しかし、不死身で例外を除いてありとあらゆる干渉を受け付けないはずのアルドゥインの身体に異状が生じた。

 

咬まれた場所から、黒い霧状の何かがスプレーのように噴き出できた。

 

 

「「!?」」

 

 

ヨルイナールとアンヘルはさらに驚きに満ちた表情になる。

 

さらに、亀裂の入った水タンクの如く、アルドゥインの鱗の隙間、眼孔、翼、とあちこちから同様に噴き出た。

 

そして突如一斉に止まったかと思うと……

 

 

崩れた

 

 

アルドゥィンの身体は糸の切れた人形の如く、否、シャンデリアの如く崩れた。

 

地面に堕ちると同時に身体は鱗、角や爪、そして各部位(パーツ)ごとに分解してしまった。

 

 

「……不謹慎ながらも、我は美しいと思ってしまった」

 

「いえ、私もよ……」

 

 

アンヘルとヨルイナールは不謹慎と思いつつも、アルドゥィンが崩壊する様子を、美しいと思ってしまった。

 

分解されたパーツは、どれも純粋な透明であった。

 

しかしあまりにも透明すぎたゆえに、地面に接した途端に虹色状に輝いてる。

 

 

「なるほど、アルドゥィン殿は外殻は透明だったのか」

 

「そして中身が純粋な漆黒……はっ!?ということは中身(本体)はどこへ!?」

 

 

ヨルイナールが我に返ったように辺りを見渡す。

 

 

「……案ずるな、彼には少し来てもらわなければならない場所があってな……」

 

 

今にも死に絶えそうな声でミラルーツが答えた。

 

 

「ワシも限界じゃ……しばらく留守にするが、必ずアルドゥィンは戻す。奴が嫌と言ってもな。その間、彼らを……置いておく……」

 

 

そう言ってミラルーツは光の粒子になって消えてしまった。

 

 

「あやつも、ドラゴンの創造主の一種なのだろうか」

 

 

アンヘルは思いにふけていた。

 

 

「それはそうと……彼らってあいつら?」

 

 

ヨルイナールが指した先にはバルファルク(戦闘機)バゼルギウス(爆撃機)がいた。

 

 

(……主人さま以上に変な龍を押し付けられたもんだ)

 

 

アンヘルはため息をついた。

 

 

 

 

 

その頃、かなり遠くの場所で例の異能ドヴァキンはかなり機嫌が悪かった。

 

 

「ちっ、またあの野郎逃げやがったか……」

 

 

ドヴァキンはアルドゥィンが気配を消したのをはっきりと感じたようだ。

しかし、すぐに不気味な笑みへと変わる。

 

 

「まあいい、この世界も飽きてきた頃だし、リセット(滅ぼす)かあ?」

 

 

***

 

「あ……」

「げっ!?」

「ん?」

「……」

 

 

「どうした加藤、いきなり止まって?」

 

「いや、何でもない……一瞬、頭痛がしただけだ」

 

 

伊丹は加藤が一瞬顔を歪めたのを見逃さなかった。

 

ちなみに、一同(ピニャ、栗林、黒川含む)は昼食のため長テーブルで集まっていた。

 

 

「あん!?」

 

 

ただそれよりも悶えるロゥリィの方が気になった。

 

 

「いいわぁ……この感覚よ、戦士の魂が私を通じて主神のところへ送られていくぅ〜」

 

「ロゥリィ、だめだ!そんな薄い本に出てくるような表情したら!」

 

「じゃあヨウジがこの気持ち収めてぇ……」

 

「やめろー!」

 

 

伊丹一同がまたコントみたいなことを始めたが、加藤、ジゼル、セラーナは何か察したかのように無表情だった。

 

 

「カトウ、まずいぜ……」

 

「ああ、だが問題はない。計画に変更もない」

 

加藤は表情を変えずに言い放つ。

 

 

伊丹たちが把握した内容を要約すると以下の通り。

 

・一つの支配者、或いは管理者、アルドゥィン

・新帝国とジパングによる2つの国家による連立体制(または同盟)

・代表者は新帝国からヒト種と亜人から各1名(現在、ピニャと未定)と、ジパングから1名(草加拓海)の計3人を予定

・軍は旧帝国と亜人からなる人材を加藤の指導の下、近代化中

・目に見える目的はこちらの世界の人間をあちらの世界(地球)と対等にやり合えるだけの能力を持たせること

 

 

「加藤、一つ言いたいことがある」

 

「どうぞ」

 

「お前が今やってることは、本心か?」

 

「ん?どういう事かな」

 

「実は……」

 

 

伊丹はシェオゴラスたちと異空間における話し合いについて簡単に説明した。

 

 

「つまり、()()()()()によって俺、または一同はこのように裏切っていると?」

 

「そうだ。だからお前は悪くない。もし必要なら帰ってこれるよう手助けを……」

 

「伊丹、本当にそう思うか?」

 

「え?」

 

「例えば、もし今回みたいに他国に特殊作戦を展開し、臨時政府樹立を目的とした作戦がかなり昔からあったとしたら?」

 

「お前、一体何を言って……」

 

「もし、それを実行する部隊が、あるとしたら?」

 

「……」

 

「いつから日本にはそんな部隊が存在しないと()()していた?」

 

 

伊丹は全てを悟った。加藤は決して見えざる手(デイドラ)によって操られたり、個人の思いつきによるテロ行為を起こしたわけではないということを。

 

そして加藤は驚愕する伊丹に表情を見て笑みを浮かべた。

 

「もう隠しても仕方ないしな。

そう、この、他国を乗っ取る、または反政府を樹立して内戦に持ち込む、というコンセプトは古来より存在する。

そしてその作戦を実行するために某国の意向で設立されたのが、Specialized Asymmetric Warfare Unit(特殊非対称戦部隊)

通称SAW(ソウ)だ。

まあ早い話、我々は特殊部隊、工作員、ゲリコマのようなものだ」

 

 

思い空気が流れ、沈黙が漂う。

 

 

同時に、メイドたちがデザートの用意を始めた。

 

 

「ねぇヨウジィ、こいつが言ってることの半分理解できないのだけどぉ?」

 

 

ロゥリィが説明を求める。

 

 

「あとで分かりやすく説明するから……加藤、その某国ってどこだよ?」

 

「まあまあ、慌てるな。そしてもう一つ、かつて俺も所属していたさらに改良されたのが、Wartime Annihilation Specialist(戦時殲滅特殊隊)

通称WAS(ワズ)

奴らの目的は……」

 

 

加藤の言葉が止まった。

 

なるほど理由は即座に理解できた。

 

皿に載ってるのがケーキじゃなくて手榴弾だもの。

 

しかも全員分。

 

 

手榴弾が視界の中心にある中で、視界の片隅にほんの一瞬だけ見えた。

 

 

メイドの手首に『WAS』という刺青が。




そういやモンハンワールド、アイスボーン出ましたね。

ウィッチャーのコラボできたから、スカイリムのコラボ出ないかなあ、ドラゴンボーンだけに。

補足

独自設定として、アルドゥィン様は本体があの黒い煙(スカイリム本編の最期で見せたあれ)で、外殻は透明としてます。

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