オブリビオンゲート 異世界龍 彼の地にて 斯く集えし   作:ArAnEl

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本当にお久しぶりでございます。

正直のところ、早く終わらせたいというのもあります。小説って思ったより難しいので。しかし、皆様が読まれてる限り、終わるまで続けます。




龍壊

時期不明、タムリエル

 

 

「……」

 

 

一人の若者が石に腰を下ろし、沈みゆく夕日を見つめる。

 

 

「つまらないな……」

 

 

そう思ったは何度目だろうか。

 

全種族の男女に生まれ変わり、ありとあらゆるギルドに所属しては最高位まで上り詰めて得た称号や二つ名は数知れず。

狩った龍の数はドラゴン装備一式が無数に作れるほど。

 

帝国(インペリアル)側についた。反乱軍(ストームクローク)にもついた。どちらにもつかなかったこともあれば、両方潰したこともある。それどころか全ギルドさえ潰したこともある。

 

しかし世界の結果に大きな変化はなかった。

 

だから試してみた。

 

上級王や皇帝を殺害した。そして自分が皇帝となってみた。

 

養子ではなく、実子を設けて子孫繁栄させてみたり、数多くの愛人や妾に囲まれ、多くの女をたぶらかし、数多の男を籠絡してみた。

 

シロディールから戦線布告された時は国ごと滅ぼした。

 

タムリエル全土を統一してみた。

 

そしてその次には吸血鬼軍団を率いて人類を滅ぼしたかと思えば、人狼となり単独で吸血鬼を滅ぼしてみたりもした。

 

そしてこの世に存在するはずのない禁忌の装具(MODアーティファクト)をもって世界を変えようと試みた。

 

しかし、何も大きな変化はない。

 

まるで自分の努力は所詮世界という大きな川の流れの中の一雫の水(個人)のように。

 

虚しかった。

 

全てやり尽くした自分の存在意義を疑った。

 

 

だから壊した。

 

 

世界の全てを。

 

 

第2の世界を喰らいし者(アルドゥイン)として恐怖の対象となり、どれだけの時間が経過しただろうか。

 

いや、そんなことどうでも良い。もう恐怖する者などこの世にいないのだから。

 

 

「それにしてもすごい量ね。全部貴方がやったの?」

 

 

ふと後ろから声がした。

 

生き残りか?そんなはずはないのだが。と思いながら振り向く。

 

 

そこには死体の海に足場を探しながら近づいてくる全身デイドラ装備の女がいた。

 

 

「デイドラに興味はない。どうせ殺しても数百年後には生き返るのだろ。心臓も十分すぎるほどある」

 

 

抜きかけた剣を鞘に収め、再度腰を下ろす。

 

 

「貴方、次はどうするつもり?」

 

「別に何も。また世界を壊すだけ、もう何回壊したか覚えていない」

 

「1397643回ね」

 

「数えていたのか、デイドラらしいな。で、何用だ?」

 

「貴方は寿命を全うして平穏に暮らすことは考えなかったのかしら?」

 

「そんなのごめんだな。死んだ瞬間エイドラやデイドラの眷属か使徒のどにされるのだろう?そんなのごめんだな。私は私だ」

 

「そんな貴方に良い話があるのだけど」

 

「どうせデイドラの考えることはまともなものがないが、聞くだけ聞こうか」

 

「どうせ破壊するなら、異世界を破壊したいと思わない?」

 

「……ニルンとは別のか?」

 

「ええ、貴方さえ良ければ招待するわ」

 

「……一体何を企んでいるのやら。まあどうせデイドラの考えはおもしろそうだから、とかだろうな」

 

「半分当たりよ。で、どうするの?」

 

「当たり前のことを聞くな。とっとと案内してもらおうか」

 

「ええ、ではようこそ。地球へ」

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

アルドゥインはボロボロになっていた。

 

そう、文字通りボロボロ。

 

身体に傷一つ付くはずのない、死の概念を持たない彼の身体のあちこちから、肉眼では確認できないほどの小さな日々と、そこから漏れる薄い黒い煙のようなものが漏れていた。

 

そのため、周囲は黒い霧のような状態であった。

 

 

「ムフフ〜、流石にこれだけ喰らえば君でも無理かな?」

 

 

ドヴァキンは不敵の笑みを浮かべる。全く余裕であった。

 

 

「くそ、何故だっ!?」

 

 

アルドゥインは吠える。

自身にスゥームで修復するも、漏れた霧は元に戻らなかった。力が弱まってるあたり、もしかしたら力の源かもしれない。

 

 

「いかに君が概念的存在だとしても、君は()()に存在するんだよ。例えそれが死の概念持たない()()だとしても、ものとして存在してるのだよ」

 

「しかし何故貴様に我を破壊する術を持っている。ドラゴンレンドも使わず!」

 

「今から説明するから黙れよ。僕が日本とかあちらの世界にいる間、伊達に遊んでいた訳ではないよ。つまらない義務教育やらしながら、誰にもバレないようにウザい奴は葬ったりしたけどさ。

新しい世界は制約が多いからつまらないところも多かったけど、ニルンでは考えられないような知識が沢山あった。

そして何周もすれば、世界中の知識を得ることができた。虚数、シュレディンガーの猫……物として存在しないが、理念として存在するもの、それをいとも証明していた。

そしてこれを組み合わせた結果……」

 

 

そして懐から黒い不定形の剣のようなものを取り出す。

 

 

「僕が作り出した神器(アーティファクト)、『世界を喰らいし者(アルドゥイン)』」

 

「なっ!?」

 

 

その剣から漂うオーラは、正にアルドゥイン彼自身と同じだった。

 

 

「君を殺すことができるのは、君自身という最適解を得た。こいつを完成させるために、君に死んでもらいたい」

 

「ほざけ!そんなやすやす死んでたまるかぁ!!」

 

「だから死ねって言ってるんだよぉぉ!」

 

Dinok () Ko(超える) Daan(絶望)

 

 

突如地面から無数の白い霊気が現れた。

 

 

「!?」

 

 

ドヴァキンは一瞬攻撃をためらう。

 

辺り一面がヒト種、獣、龍種、そして触手などの異形の霊気で埋め尽くされた。そしてそれらがドヴァキンを引きずり込もうとした。

 

アルドゥインがオブリビオンに幽閉されていた間、独自に編み出したスゥームを放った。

 

 

「貴様を直接にオブリビオンの領域に送ってやるわ!」

 

「とうとうデイドラの力に堕ちたか、アルドゥイン!」

 

 

ドヴァキンは嗤う。

 

 

「貴様に言われたくはないわぁ!とっとと地獄(オブリビオン)に落ちろぉぉ!」

 

 

それでもドヴァキンは嗤いながら避けて近づこうとした。

 

 

「こんなの楽勝さ……わっ!?なんだこれぇ!?」

 

 

触手の霊気に触れた瞬間、身体が粘液に絡まれ、動けなくなった。そしてみるみる引き摺り込まれて行く。

 

 

「フフフ、流石に体内の九割強の魂を消費しただけはあるな。そのまま死ねえぇ!」

 

「く、こんなもので!?」

 

 

そしてドヴァキンは飲み込まれて行く。

 

そして同時に霊体は消える。

 

 

「ふー、ふー……やったのか?」

 

 

しばらく何も起きなかった。

 

そしてアルドゥインは胸をなでおろすように呟く。

 

 

「レル・パ・スゥーム……」

 

 

そしてホッとする。

 

 

「やられるわけないだろう」

 

 

しかしそれも束の間。突如地面が割れて彼が、生ける屍の龍とともに飛び出す。

 

 

「くっ、流石に無理か……って誰だ、そやつは」

 

 

アルドゥインは生ける屍の龍を指す。

 

 

「ア、アルドゥイン様!?」

 

「誰だ貴様?」

 

「え……」

 

 

どうも相当ショックを受けたようだ。

 

 

「こいつはダーネヴィール。僕がソウルケルンで出会った、かわいそうなやつだよ。アイディールマスターの罠にハマってずっと閉じ込められていたのさ。知り合いじゃなかったのか?」

 

 

ドヴァキンが補足する。

 

 

「……」

 

 

アルドゥインは必死に思い出す。

 

 

〜遥か昔、龍戦争時代〜

 

「おいアルドゥインよ、聞いたか?」

 

「なんだ?」

 

 

若かりし頃のアルドゥインとパーサーナックスが()()していた。

 

 

「どっかのめんどくさがりのドヴァ(ダーネヴィール)がアンデッドの軍団作ろうと失敗して幽閉されたらしいぞ、次元の狭間(ソウルケルン)に」

 

「それ、うけるなw」

 

 

そんな談話で森の一つ吹き飛ばしてしまった二頭であった。

 

 

〜〜〜

 

 

「あー、風の噂で聞いたがどうやらマヌケなドヴァらしいな」

 

「酷い!」

 

「うるさい。Yol(火炎)!」

 

「フギャァァア!」

 

 

そしてダーネヴィールは消えてしまった。

 

 

「なんだやはり雑魚か」

 

「まあ、でも彼から教えてもらったスゥームを唱えればまた呼び出せるけどね」

 

「……ふん、ある意味不死身か。気に食わんな」

 

「そう、こんな感じでさ。Dur(呪い) Neh(決して) Viir(瀕死)!」

 

 

しかし、何も起きなかった。

 

 

「……あれ?」

 

 

そしてもう一度試すが、結果は同じだった。

 

 

Fus Ro Dah(ゆるぎなき力)Fus()! Fus()……」

 

「……」

 

 

アルドゥインはほくそ笑んだ。

 

そして、ドヴァキンはようやく状況を理解した。

 

 

「アルドゥイン……貴様何をした?」

 

 

精一杯余裕をかまそうと歪んだ笑みを浮かべつつも、どこか引きつっていた。冷や汗すらかいてる。

 

 

Rel(支配) Pah(全て) Thu’um(龍語)……今の貴様なら、我が唱えたスゥームの意味を分かるな?」

 

「……初めて聞くシャウトだね。全てのスゥームを支配下に置く、つまり君以外スゥームを使えなくなると?」

 

「ご名答。短い間だが、スゥームはこの世界で我しか使用を許されない」

 

「ハハ……そんなチートシャウトいつ唱えたのさ……」

 

「貴様が冥界から抜け出そうとする前だ」

 

「まさか、あの触手やら無数の霊体は、囮だったということか。霊力の半分以上使ってまで!?」

 

「うるさいな。時間稼ぎしようとムダだ。ここで貴様には死んでもらう」

 

「なあ、ちょっと……取り引き……」

 

Nahlot(黙れ)Dir(死ね)!」

 

 

そしてドヴァキンの頭部を噛み付いて左右に勢いよく振ると、残りの下の部分がちぎれて地面に堕ちる。

 

そして口の中の物は噛み砕いて飲み込む。

 

 

「やったか!?」

 

 

特に何も起きなかった。

 

 

「勝った、勝ったぁぁあ!」

 

 

アルドゥインの雄叫びは特地の裏側まで聞こえたという。

 

 

***

 

 

会議を始めると宣言したものの、各人が好き勝手やるので始まる気配は一切なかった。

 

 

「貴様の知識を我に明け渡し、我の眷属にならぬか?されば知識の宝庫をさずけるぞ?」

 

「断る」

 

 

ハルメアス・モラが眷属の気持ち悪いクリーチャー(シーカー)を通じてレレイを勧誘するが、断られてしまう。

 

 

「バルバス、今日こそ息の根とめてやるわぁ!」

 

「おい、ロリBBA嬢ちゃん、そのでかい斧を降ろすんだ!しかも悔恨の斧と同じ効果付きじゃねーか!やめろ!死ぬ!死ぬからやめて!」

 

 

お約束の涙の再開。

 

 

「よおあんた、酒は飲める口かい?」

 

「少しなら……」

 

「じゃあ勝負しようぜ、男なら断るのは無しだぜ」

 

「えー……」

 

 

どこぞの日本とかいう国の上司に絡まれるように伊丹はハイテンションなデイドラ(サングイン)に絡まれる。

 

 

「お前の炎龍に一矢報いた雄姿、見ておったぞ。狩る者に対して一撃を放つとは、なかなか見ごたえがあったぞ」

 

「えへへ……そ、そうかな?」

 

 

半透明のシカ(ハーシーン)に褒められて赤面するテュカ。

 

 

「この世界のダークエルフは、褐色なのか。

タムリエルのよりも良い肌に身体つきだ」

 

「ちょ、この身は伊丹殿の……ンッ!?」

 

 

アズラに身体のあちこちを触られるヤオ。

 

 

「セラーナよ、我に身を委ねれば更なる力を与えるぞ?」

 

「モラグ・バル様、日本ではそれをセクシャル・ハラスメント、通称セクハラと仰せられるそうですわよ?そもそも、霊体で何ができるのですか?」

 

 

以上のように、カオスを超えてもはやシュールとも言える状況にハーディがとうとう痺れを切らす。

 

 

「会議か何か知りませんけど、まだ始めないのですか!?」

 

 

テーブルを叩くと真っ二つに折れると、粉々になった。

 

 

(怖えぇ……)

 

 

ハーディが初めて見せる怒りの表情に伊丹は涙目になりそうになる。

 

 

「やれやれ、もったいない」

 

 

そう言い、シェオゴラスが指を鳴らすとテーブルと食事は元どおりになる。

 

 

「あらすみません。私のマスターの友人達はいつもこんな感じですので気にしないでください」

 

「何その態度!?こちらは世界を侵食されてピリピリしてるのですよ!」

 

「おおー、そうだった、異世界を侵攻ちゅだった。その話し合いをするのを忘れていた。こりゃ参った」

 

 

シェオゴラスはハハハ、と高らかに笑う。もはや会議ではなくコントである。

 

 

「道理で……やはり貴方達が侵略してるのですね」

 

 

ハーディは怒りを抑えて丁寧に話すが、頬がプルプルと震えている。結構ガチギレのようだ。

 

 

「んで、各自の成果の方はどうだ?」

 

 

シェオゴラスが問うと、まずハルメアス・モラが答える。

 

 

「我の眷属(オストガロア)がアルドゥインに倒されてしまったな。誠に残念であるが、今ここにいる定命の少女を誘っておるところだ」

 

「だから私は眷属にはならない」

 

 

レレイはきっぱりと断る。

 

 

「ふむふむ、モラよ、お前はとりあえずリタイアだな。ところで、よくよく見たら全員揃ってないが、このまま進んでよいか?」

 

「マラキャス様は眷属(イケメンオーク)が滅びたため、もう興味はないとのことです。

メリディア様はアンデッドが少ないと見たのか、あまり興味はないそうで欠席です。

ヴァーミルナ様はそもそもシェオゴラス様に会いたくないようで……」

 

 

デイドラ装備の女が報告する。

 

 

「わかったわかった、もうよい。これ以上は話が進まん。では次に……」

 

「報告だけなら私たちは必要ないでしょ!?そろそろ私たちを読んだ理由を教えてくれませんか!?」

 

 

ハーディがまた切れる。

 

空気が震えており、ロゥリィですら怖じ気る。しかしデイドラロードと眷属達は眉ひとつ動かさない。

それどころか「どうした。何故にそんなに怒る?」といった表情だ。

 

 

「短気な異世界の女神だな。嫌いではないぞ、腸で首を絞めてやりたいぐらいにな。まあ確かに、お前たちを呼んだわけも話すか」

 

 

シェオゴラスの言葉に伊丹たちは唾を飲み込む。

 

 

「理由なんて無いさ」

 

「「「へ?」」」

 

「理由なんて無いさ。大事なことなので2回言うぞ」

 

「そんな理由ですか!?」

 

 

ハーディの怒りの限界は既に超えていた。ドラゴ●ボールで言うなら多分スーパーサ●ヤ人スリーあたりと伊丹は思った。

 

 

「まあ、あとは何となく呼びたかったから、だな。お前たちと話したかったというのもある」

 

「滅ぼしますよ!?」

 

「まあそれができるならな。所詮定命の者(人間)から神に成り上がった存在などたかが知れてる。まあ、タロスは少し別だが」

 

 

四つ腕の鬼(メエルーズ・デイゴン)が言い終わると同時に何か爆発物が顔面を直撃したが、ピンピンしていた。

 

 

「まあ悪くない。死んだところで数百年後には蘇るが」

 

「くっ……」

 

 

ハーディは悔しそうに唇を噛む。

 

 

「あの、一ついいですか?」

 

 

伊丹が恐る恐る手を挙げる。

 

 

「何だ、顔の平たい人間?」

 

「もしお話したいとの理由でしたら、会議の後でも良いので、色々とお話できたら……とか思ったりしてます、はい……」

 

「ちょっとヨウジィ、もっとシャキッとしなさいよ、唯一の男なんだから!」

 

 

ロゥリィに都合よく男であることを利用される。ロゥリィも内心少しビビってるようだ。

 

 

「お前は面白い奴だな!お前みたいなやつの肺で風船を作ってやりたいくらいだ!」

 

「それは遠慮します……」

 

「そうだな、とりあえず我々の成果を聞いてからでも遅くないと思うぞ。そこにはお前たちが知りたがってるヒントや答えがあるかもしれないしな!」

 

 

とりあえず、穏便に話が進みそうなので、安心した。

 

 

「ヨウジやるわねぇ!さすが口先と幸運だけはあるわぁ!」

 

「それ褒めてるのかあ?」

 

 

女性陣に褒められていると、胸元がすごくセクシーなお姉さん(ノクターナル)と目が合った。

 

 

「!?」

 

 

そしてウィンクをされる。

 

 

「お父さんどうしたの?顔赤いよ?」

 

「いや、なんでもないさ、ハハ……」

 

 

その様子をノクターナルは遠くから見つめる。

 

 

「可愛い坊や(30代のおっさん)だこと」

 

 

***

 

 

とりあえず、伊丹たちが聞いた内容をまとめると以下のようになった。

 

・アズラ:傍観のみ。

 

・ボエシア:どっかのヘタレバカ皇子(ぞゾルザル)を眷属としているが、ヘタレすぎて何もしないので嘆いている。

 

・クラヴィカス・ヴァイル:異世界同士を繋げた張本人。基本傍観、だけど伊丹たちに援助した。ぶっちゃけどちらに転んでもよい。

 

・ハルメアス・モラ:異世界のイカ(オストガロア)で侵攻を考えるものの、アルドゥインに倒される。新しい眷属にレレイを誘うが無理っぽい。

 

・ハーシーン:実は異世界龍(モンハン)を呼び寄せた。狩るか狩られるかの世界が見たいだけ。あとは傍観。

 

・マラキャス:イケメンオークの新たな聖地として送り込んだがアルドゥインに滅ぼされる。もう諦めた。

 

・メエルーズ・デイゴン:砦蟹(シェンガオレン)巨龍(ラオシャンロン)の侵攻を担当。惜しくもアルヌスを潰せず。

 

・メファーラ:とある人物たちを裏切るようにさし向ける。詳細は教えてくれなかった。

 

・メリディア:興味なし。不参加。

 

・モラグ・バル:まだ公開しないとのこと。いずれ何者かが「支配」するだろう、と。

 

・ナミラ:亜人たちがメファーラが目にかける者と協力関係になるよう誘導。

 

・ノクターナル:驚くことに、伊丹たちの運補正に関与していたのだとか。伊丹はお気に入りらしい。

 

・ペライト:不明。

 

・サングイン:飲み会と聞いて参加しただけ。

 

・ヴァーミルナ:嫌いな奴(シェオゴラス)がいるので不参加。

 

・シェオゴラス:そもそも異世界侵略の考案者

 

 

もはや理由がバラバラである。何がしたいのかさっぱり分からなかった。

 

 

(あれ、これってもしかして……)

 

 

伊丹は今までオタク知識をフル回転させ、分かってしまった。こういう明確な目的を持たない奴らの目的を……

 

 

「もしかして、皆さん……暇つぶしに侵略してますか?」

 

「おおー、素晴らしい!よくぞ分かったな!いやはや、さすがドラゴンボーンではないのに推理したな!素晴らしい!」

 

 

ハイテンション爺さん(シェオゴラス)が拍手しながら言う。

 

 

「暇つぶし、ですって……?」

 

「ああ、我々の世界で暇だったんでつい。あまりにも暇すぎてあそこにいる強●王(モラグ・バル)なんぞ現世にちょっかい出したら見事に返り討ちにあってな。あれは結構ウケたww」

 

「それを言うなー!」

 

「所詮は強●王か」

 

「貴様は破壊王のくせに先に負けているではないか!」

 

「あれはアカトッシュの加勢がなければ勝てたのだ!」

 

 

メエルーンズ・デイゴンが鼻で笑うと口論(物理)が生じる。

 

 

「まあこんな脳筋共はほっといて……」

 

 

シェオゴラスが奇妙な杖で2人を強制的に別次元(オブリビオン)に送還する。

 

 

「貴方たち、暇で他者に迷惑をかける人がどこにいるんですか!」

 

 

ハーディの怒りも虚しく、デイドラ陣営はまたも「なんで?」「別に悪いことじゃないよな?」「いいじゃない」という調子であった。

 

終いには「これだから定命者から成り上がった奴らは……」とため息をつかれる始末。

 

 

「信者獲得のために異世界への進出、聖戦、宗教戦争ではなく、暇だったからなんて……正気じゃないわ!」

 

「と言われてもねえ……」

 

「私たち別に信者ら領土のような利益求めてるわけじゃないし……」

 

「ぶっちゃけ宗教戦争なんて人間が神々の名を口実に自分の利益のために人騙くらかして起こしてるみたいなもんだしな」

 

「うぐぐ……」

 

 

ハーディと彼らの温度差は氷とマグマほどの差はありそうだった。

 

そう、彼らは特地の世界を、チェスの盤程度にしか見ていない。

 

自分たちのお気に入りの駒を競うために異世界を使ってるだけ。

 

例えは悪いかもしれないが、彼らにとって所詮ゲームの世界でしかないような感覚であった。

 

だから異世界の神(ゲームのAI)に何を言われても気にしないように。

 

 

「いいわ、貴方たちが世界を壊そうというなら、こちらもただでは壊させないわ……」

 

「おめー何を言ってんだ?お前さんだって自分の世界が壊れていくところ見たがっていたくせによ」

 

「「「え!?」」」

 

 

バルバスの言葉に伊丹たちは一斉にハーディの方を注視する。

 

 

 

「だって、お前が日本とかいう異世界にそちらの門を繋いだのは、今の世界が気に入らねえからしたんだろ?」

 

 

バルバスの言葉に伊丹は思い出した。

 

そうだ、異世界が最初に繋がったのは、アルヌスと銀座。そしてそのとき、日本は多数の犠牲者を出した。その間接的な原因がまさか、目の前にいた。

 

 

「ち、違う!私は停滞した世界を変えるため、異世界との繋がりによって変化を見たかっただけであって……」

 

「要するに暇だったんだろ?日常がつまらなかったんだろ?」

 

 

ハーディがどんどん追い詰められているのを伊丹は感じた。神さまも追い詰められるとこんな表情するのかと思った。

 

 

「認めちまえよ。所詮あんたも俺たちも変わんねーよ。結果だけみれば、あんたも十分日本に迷惑かけたぜ」

 

「違う、私は違う、違う!ウワァァァア!」

 

 

バルバスの言葉がハーディの心に突き刺さる。

ハーディがまさかの号泣である。

最初は怒りがこみ上げてきたものの、なんだか少し可愛そうになってきた。

 

 

「自分が正しいとか、被害者だと勘違いしてるやつをぶちのめすのはスカッとするぜ。俺は変えるぜ。まあせいぜい頑張ってくれよ」

 

 

バルバスはオブリビオンへ帰還した。

 

 

「そうだな、そろそろお開きだな。お前たち、何か聞きたいこととかあれば今のうちに言っとけ!」

 

 

シェオゴラスが伊丹たちに声をかけた。

 

 

「え、じゃあお言葉に甘えて……あの、まずメファーラ様」

 

 

下半身蜘蛛の女性(?)に話しかける。

 

 

「何かしら」

 

「貴方は特定の人物たちを、裏切るように仕向けたと言ってましたが、それは私の近しい人ですか?」

 

「さあ、それは貴方が一番知ってるのでは?」

 

「……では、その働きかけは、絶対に拒めないものですか?」

 

「……それも、貴方が一番知っているはず。一つ言えるのなら、裏切りによって結果が良くなることも、あるということだけ教えてあげましょう」

 

「反英雄みたいなものか」

 

「そうね、貴方の知識の言葉を借りると。まあどう転ぶかは、それが醍醐味よ」

 

 

そう言ってメファーラも消える。

 

気がつくとほとんど居なくなっていた。

 

 

「坊や、私からの餞別よ」

 

「えっ?」

「「ええー!?」」

 

 

振り返り様にセクシーデイドラ(ノクターナル)の唇が伊丹の額に触れた。もちろん女性陣から悲鳴が聞こえた。

 

 

「では頑張りなさい」

「にしてもノクターナルお姉様、貴方ダメ男が好みなんて好きモノね」

「あらアズラ、ダメ男を頑張らせるのが私の仕事よ」

 

 

そう言い残してまたデイドラたちが消えてゆく。

 

 

「もしそなたが我の力を必要と感じたならば、我はいつでも歓迎するぞ。その時、この『黒の書』を開くがよい」

 

 

ハルメアス・モラも半ば押し売りのようにレレイに黒い本を数冊押し渡す。

 

見た目からしてやばそうな本だった。

 

 

結局、最後伊丹たちとシェオゴラスだけになった。

 

 

「おお、もう終わりか!?みんな帰ってしまったではないか。お前も帰るか?帰りたい?帰りたいんだろお!?」

 

「ああ、帰らせてもらいたい。ただ、もう一つ聞きたい」

 

「いいぞ、答えられる範囲なら答えるぞ!今日は実に気分がいい。最高にハイ、ってやつだぁぁぁあ!」

 

(マオ)……いや、こちらでは何と呼ばれてるかしらないが、顔を自由に変え、驚異的な身体能力を持つ者に関して、何か情報があれば……」

 

「ああ!あのドヴァキンのことか!」

 

「知ってるのか?教えてもらいたい」

 

「知ってるも何も、こちらの世界の人間だったからな!ただ、こちらの世界の人間()()()だけだ。確かに、あやつは天才で最強だった。だがある時からかわりはててしまった。だから、詳しいことは分からん!もしかしたら今日不参加の奴らの誰かが関与してるかもしれないが」

 

「そうか、ありがとう。ただ、一部の疑問は解けたから大丈夫です」

 

「もしかしたら今日の参加者であまり詳細に教えてくれなかったデイドラが関与している可能性はあるな」

 

「わかった。ありがとうございます」

 

「いいさ。ところでセラーナ、お前はどうするつもりだ?今すぐ返せるぞ」

 

「すぐ帰りたいのは山々ですわ。しかしデイドラロードにお願いするとロクなことにならないのでご遠慮致しますわ」

 

「なんだつまらない奴め。ドーンガード(吸血鬼ハンター)要塞のど真ん中に送ってやろうと思っていたのに。まあ良い、お前たちを返さねば。元気でな!ニュー・シェオスに寄ることがあれば私を訪ねてくれ。イチゴのトルテをご馳走するぞ。一期一会の、トゥルットゥー!……まあ多分もう会うことはないが」

 

 

変なダジャレを言い残すと、伊丹たちの視界が真っ暗になった。

 

 

そしてまた孤独となったシェオゴラスは椅子に座る。

 

 

「そういえば、今日招待するの忘れていたような……ああ!そうだ!アイディール・マスターのこと忘れておった!」

 

 

***

 

 

「なぜだ!?なぜだ!?なぜだぁぁぁあ!!」

 

 

アルドゥインは地が裂けるかと思うほど叫び上げる。

 

 

「なぜ貴様がそれを知っている!?」

 

 

目の前には奴が立っていた。

 

異形のドヴァキン(マオ)が。

 

 

Rel(支配) Pah(全て) Thu’um(龍語)……すごく便利だね。ありがとう、感謝するよ」

 

「くそ、なぜ……なぜだ!なぜ我が()()()()使()()()()()()()()スゥームを知っている!?我しか知らない筈だ!」

 

 

スゥームを奪われたアルドゥインなどもやは普通のドラゴンでしかなかった。

 

ブレス等の攻撃はおろか、不死身も飛行も奪われ、そもそも身体を維持するのが精一杯だった。

 

 

「何故だか分からないかな?人間より頭のいいドヴァならわかると思ったんだけど。まあネタバラシでもするかな」

 

 

マオは不気味な笑みを浮かべる。

 

 

龍の突破(ドラゴン・ブレイク)って知ってるよね?」

 

 

龍の突破(ドラゴン・ブレイク)。時を司るエイドラ、アカトシュが乱れた世界軸を修正するため、同時間軸に起こり得ないことを発生させ辻褄を無理やり合わせる特殊能力(ご都合主義チート)

 

どういうことだ?

 

奴がドラゴン・ブレイクを使えるのか?

 

 

「まあ、確かに世間一般で知られるドラゴン・ブレイクは世界の修正のために使われるもの、だね。ただね、僕は気づいたんだ。ドラゴン・ブレイクは、使う者によって微妙に異なるということを」

 

 

まさか……

 

 

「そしてこの僕はアカトシュの加護を受けた者。そして僕は何度もやり直して今の僕がいる」

 

「貴様……」

 

「そう、僕のドラゴン・ブレイクは、『時間を巻き戻し、やり直す』ことだよ」

 

 




もう答えを言ってるようなもんですけど、ここのドヴァキンちゃんは黒檀の剣士もびっくりの廃人プレイヤー、MODマシマシ汚染データ出身です。
ああ、データの渦(バク)に消された私のドヴァキンちゃんは元気かな……

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