オブリビオンゲート 異世界龍 彼の地にて 斯く集えし   作:ArAnEl

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こちらのダークエルフはエr......じゃなくて綺麗ですね。あちらの世界(スカイリム)も見習って欲しいものです。

あと最近主が出てなくて読者の皆様はご不満がおおいようです。申し訳ありません。

「グフフ、我の下僕が増えてるな」


地揺れ

 

「……ということが昨晩あってだな」

 

『ハハハ、笑えねーな。笑うけど』

 

 

伊丹が現在受話器で話しているのは、現在本土に戻っている一応の友人、加藤である。ヤオというダークエルフが現れたこと、ロゥリィがなぜか不機嫌になり、自分を幼女にお酒を飲ましてムフフなことをしようとする変態としてヤオによって制裁を加えられそうになったこと、などを話していた。

 

 

『で、何で俺にそんなこと話すの?』

 

「まあ、後半はあんまし関係ないけど、テュカのことでな……」

 

『何だ、ちゃっかり心配してるじゃないか。部下思いだな。で、なんで俺?』

 

「なんでって、心当たりあると思うけど……」

 

『……元精神病患者で悪かったね。でも精神病を一括りにしては欲しくないな』

 

「いや、別にそういうわけではないけど、なんか参考にならないかなあ、と思って」

 

『そいつは残念。聞く相手を間違えたな。俺は心を壊すのなら得意だけど。自分の心を壊すぐらいだし(笑)』

 

 

伊丹は早々に聞く相手を間違えたなと後悔する。こんなのにテュカを診せたらテュカは完璧に壊れてしまう。

 

 

『まあ冗談はさておき、今のテュカを見れるのはお前しかいないよ。せいぜい頑張っておくれ』

 

「他人事だな、ホント」

 

『梨紗さんにもいわれたぞ、母親に会うように言ってくれって』

 

「余計なお世話だ」

 

『俺は伝えたからな。仕事頑張ってねー』

 

 

相手から電話が切れる。伊丹はあまり成果がなかったので大きな溜息を吐く。

 

 

「隊長、何してんですか。早くしないと置いていきますよ!」

 

「悪りぃ。今行く」

 

 

伊丹は今日の仕事、日本からの外務省官僚が特地における外交活動に必要な資金、土産品、特産品などの高級品を運び出すことだ。離陸準備の整ったチヌークに伊丹たちは搭乗すると、チヌークは轟音を立てて離陸する。

 

 

***

 

 

「ええい!放せ!貴様らそれでも男か!?」

 

 

数名の自衛官警務隊に抑えられているのは、例のダークエルフ、ヤオ・ハー・ディッシ。

 

なぜ彼女が抑えられているのかというと、迷彩服の自衛官を見た瞬間剣を抜いて突きつけ、「総大将を出せ!」とか言ったが、そんなのがまだ語学力の乏しい隊員に伝わるわけもなく頭のおかしい人として抑えられていたわけである。これがアメリカなら問答無用射殺ものである。

 

というわけでは緊急で通訳としてレレイも呼び出され、取り調べをすることとなった。

 

 

「ええい、貴様らは女一人相手に拘束具をつけてよってたかって複数で拷問するつもりだな!?く、いっそ殺せ!いや、やっぱり殺すのはやめてくれ。身体を屈服させても心は負けん!と言ってる」

 

 

レレイは相変わらず無表情で淡々と通訳する。取り調べる隊員はどこでそんな言葉覚えたの?という表情で困ってしまった。

 

 

「よくも我々の村を滅ぼし、一族郎等皆殺しにするつもりか!?炎龍を撃退したと聞いて最初はなかなかのものと思ったが、見損なったぞ!とも言ってる」

 

「レレイさん、それは確かですか?」

 

「通訳に間違いはないはず」

 

「ちょっと待ってくださいね」

 

 

隊員は幹部に耳元に囁くように何かを告げると、幹部は一旦外に出る。そしてしばらくして狭間陸将と共に戻ってきた。

 

 

「今日はヤオさん。私はここの統括をしている狭間というものです」

 

「来たな、総大将め!今こそ我ら一族の仇を討ってやる!しかしこの拘束具をつけるとは、貴様はもしや私の身体を弄ぶつもりだな!?と言ってる」

 

 

どうしてこうなった?と狭間は目に手を当てて考え込む。てかレレイさんその無表情で通訳するのなかなか怖いんですけどね、と狭間は少し思うのであった。

 

 

「ヤオさん、貴方は恐らく誤解しています」

 

「誤解だと!?そんな言葉で私を騙すつもりか!?」

 

「いいえ。恐らく貴方は『緑の人』に襲われたのでしょう。実は我々もそう呼ばれてますが、異なる者だと思います」

 

 

そして鮮明ではないが、特地の人からしたらあまりにも高度すぎる絵、写真を見せる。そこには緑の鎧、剣、やメイスなどの武器を持ち、緑の肌の戦士のようなものが写っていた。そう、ヤオのダークエルフの里を襲った者たちだ。その写真と狭間や近くの隊員を見比べる。

 

写真を見る。顔を上げて見比べる。

 

の繰り返しを行うこと数回。

 

そしてしばらく顔が下を向いたままになる。

 

そしてゆっくりと上げるときには褐色肌にも関わらず、恥ずかしさで顔に赤みがかかってるのが分かる。そして涙目。

 

 

「申し訳なぃぃぃいいっ!と言ってる」

 

 

どうやらレレイは顔こそ表現不足だが、通訳時のトーンにはなぜか表現豊かである。

 

 

「ああ、これは一族の恥だ。このままでは帰れぬ。しかも総大将にこんな無礼を……いっそこの身を捧げて……」

 

「レレイさん、独り言まで訳しなくてもよいですから……」

 

「わかった」

 

 

狭間陸将はやれやれ、と誤解も解けたのでその場を去ろうと立つといきなりヤオは立ち上がる。

 

 

「待ってくれ!お願いがある!我々の部族を救ってくれ、頼む!」

 

 

***

 

 

「で、殿下……お許しを……」

 

 

真っ白な肌、真っ赤な目に兎の耳のヴォーリアバニーのテューレは床上で力なくうつ伏せになっていた。

 

 

「ふん。その程度か。この程度で気を失っては俺を満足させることはできんぞ。お前の同胞の運命は、お前がどれだけ頑張るかにかかっているからな」

 

 

その男、皇帝の第一子、ゾルザル・エル・カエサルは立ち上がると召使いか持参した衣に着替える。

 

 

「俺はこれから出かける。精々精進することだな」

 

 

そう言って召使い共々部屋を後にする。

 

 

「……」

 

「彼、いい趣味してるわね」

 

 

無言でゾルザルの背を見送るテューレに、部屋の奥から声をかける者がいた。

 

 

「そう?で次は貴女がやってみては?」

 

「遠慮するわ。私は人間共の営みには興味はない。あるのは血と叫びと絶望よ」

 

 

テューレはその言葉を聞くと不敵な笑みを浮かべる。

 

 

「貴方の方がよほどいい趣味してるわ。デイドラ……」

 

 

その頃とある場所でピニャを中心に日本側と帝国側(穏健派)が宴会をにていろいろ交渉や交流などを行って、ピニャたちが賠償金の高さに目を回したり、ゾルザルが踏み込んだ頃には日本側はいなかったなどは、また別のお話。

 

 

***

 

 

場所は変わって帝都の貧民街、『悪所』。

 

どんな場所かと一言で言えば無法地帯。知ってる人なら雰囲気は世紀末世界(フォールアウト)やどっかのモヒカンが「ヒャッハー」と叫んでいそうな場所である。一応そちらよりはマシかもしれない。ぶっちゃけ我々の世界の貧困の無法地帯とそう変わらない。

 

そんな場所に第5偵察隊が拠点を建ててしまったのである。理由は簡単に、あまり目ただないし、多少変なことしても帝国の目を欺けるから。

 

無論、こちらでいうその場所を仕切っているマフィア的な者がちょっかいを出すが、結果は惨敗。部下はミンチにされた挙句拠点は更地にされ、路頭を迷った結果日々の恨みを晴らされて一家もろとも息の根を止められてしまった。

 

第5偵察隊はどこの某漫画のロシア軍出身のマフィアだ、と思いたくなるほどだ。

 

こんな感じで他の連中からも一目置かれ、一応事務所的なものができた。その後、その他の部隊もこちらに配属されたりした。

 

黒川も後にここに臨時配属され、こちらの夜のお仕事をする女性のケアや調査を行っていた。

 

 

そんなある夜、その女性一人(背中に翼を生やしてるが)のミザリィが数人の仲間を連れてやってきた。雰囲気はからして緊急事態だとわかる。

 

 

「こんな夜遅くにどうしたのですか?」

 

「私らはあんたらがここで何をしようとしているのかは薄々気づいていたよ。それでも知らんふりするのがここでの長生きのコツだったけど、そうも言ってられなくなってね」

 

 

ミザリィは後ろで小さく怯えていたハーピィの女性を紹介する。

 

 

「この子はテュワル。この子の話を聞いて私たちを助けて欲しいんだ」

 

「お願いです。助けてください」

 

 

その女性は何かに大変怯えたように黒川にしがみつく。

 

 

「えっと、ちょっと状況が読めないのですが……」

 

「ああっ、まどろっこしいね!私らを助けてくれたらあんたらに協力すると言ってるのさ!」

 

「分かりました、ちょっと待ってください。責任者を読んで……」

 

「……っ!!来るっ!」

 

「「「っ!?」」」

 

 

***

 

 

「うぐ……」

 

 

ヨルイナールはまるで永遠の眠りから覚めたような気分だった。全身が重く感じる。

 

 

「……どうやら、暫く気を失ってはいたようだな」

 

「いいや、お前は死んでいたぞ」

 

 

声の方向に振り向くと、主たる漆黒龍、アルドゥインが宙に浮いてヨルイナールを見下す形で見ていた。

 

 

「やれやれ、まさかと思ったがまた死ぬとはな……余計な力を使わせおって」

 

「主殿、すまぬ!私のためなんぞに……あと一つ報告しなければならぬことが……」

 

「レッドドラゴンのことだろう?奴がこの世界に来たときから察知しておったわ。案ずるな、奴は我が捕らえる」

 

「……すまぬ、余計なことをした……」

 

「構わん。既に必要分の力は貯めた。その余りをお前に使ったに過ぎん。それに、これからさらに面白いことが起こる予定だ」

 

 

アルドゥインは笑いこそしなかったが、何か不気味な笑みを浮かべたような気配した。ヨルイナールはそのオーラにただならぬものを感じた。

 

 

「お前は子どもたちを取り返しに行くがよい。我はまだ一仕事あるからな。近々、戦闘を行う予定だ。隈なく準備せよ。次は死ぬなよ」

 

 

そう言い残すとアルドゥインは反転して飛び去る。

 

 

「……死んで蘇ったからだろうか。拘束魔法が解けている」

 

 

ヨルイナールもすぐに翼を羽ばたかせて自分の巣に戻ろうと空へ浮かぶ。

 

 

***

 

 

「震源、帝都の北東の氷雪山脈付近、マグニチュード7.5と判明しました」

 

「でかいな……今遠征中の隊員に影響がなければいいが……」

 

 

狭間は作戦室にのモニターに映るデータや地図とにらめっこしていた。

 

 

「というわけだ、ヤオさん、申し訳ないが、貴方の部族への偵察は延期をせざるを得ない」

 

「そ、そんな!」

 

 

柳田の言葉にヤオをへなへな、と膝をつく。

 

実は自衛隊は正体不明武装集団、通称『緑の人』又は『緑のゲリラ』の偵察を兼ねて少数を派遣することを立案していた。

 

エルベ藩という領地であるがため、軍隊とも言える自衛隊を送ることに外交的問題があるため躊躇っていたが、偵察のための少数なら、ということで考えはしていた。戦闘を行わなくとも、何らかの情報が必要だと考えたのだ。

 

しかし立案が固まりそうなときになってこのざまである。大規模地震が起きてしまったので、他の作戦も一部中断せざるをえなくなってしまったのだ。

 

 

「狭間陸将、航空自衛隊の航空偵察隊からの震源地の写真ができました」

 

「うむ、ここか」

 

 

雪に覆われた山であるため、特に目立ったものはない。はずであった。

 

 

「ん?この赤っぽいものはなんだ?」

 

 

見ると写真の山の麓に何か赤っぽい太い線が見える。写真ではイモムシのおおきさだが、スケール換算すると60〜70メートルだと分かった。

 

 

「これより鮮明なものはないのか?」

 

「申し訳ございません。それが限界です」

 

「ふむ、なんだろうな。岩のようだが……」

 

「分析官によりますと、おそらく山に亀裂が入り、山の肌が露出したか、或いは鉱脈が隆起したのだろうということです」

 

 

隊員の一人が答える。

 

 

「ふむ、何ともないものならそれでよいが……」

 

 

不吉な予感がしたが、考えすぎだろうと狭間は頭のモヤを振り払う。

 

そして今後の方針等を各隊に指示するのであった。




最近グタグタ感があることを指摘されまして、全くその通りだと痛快しております。この場を借りてお詫びいたします。これからは焦らずに作成していきたいと思います。

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