オブリビオンゲート 異世界龍 彼の地にて 斯く集えし 作:ArAnEl
アンヘル
別世界(ドラッグ・オン・ドラグーン)の最強と言われる主人公側のドラゴン。真のヒロインとも言われている。
ちなみに諸事情により自衛隊との相性は最悪。
いいか、「dodエンディング」で検索するなよ!
ちなみに、「ニーア・オートマタ」というゲームの原点作品である。
いいな、「ニーアエンディング」でも検索するなよ!
特地、アルナス駐屯地
本土でのいざこざからしばらく経った。首相が変わったり、装備に調整が入ったり、増員増強その他もろもろ。
そしてまずピニャの念願の交渉が開始されたことである。日本からは外務省の菅原を中心とした一段が派遣され、少しずつ接触を増加させている。
他にも、ピニャの騎士団を始めとして多くの日本語研修生がアルヌスを訪れていた。彼らの吸収力はなかなか素晴らしく、今後は意思疎通に大いに活躍してくれるかと思う。
また、特地駐屯地における避難民の生活の目処も立ち、自給自足の生活ができるようになった。
そのため、供給力を補うため隊内店舗(PX)の規模も増えた訳だが、それを見た特地各地の商人がこれを機にニホンの製品を手に入れようとやって来、それに対応できるように店舗を拡大し、と言った感じで発展した。
結果、アルヌスは街にまで発展した。
しかしながら、変わったことと言えば良いことばかりではなかった。
***
「黒川さん!負傷者よ、よろしく!」
「はい、わかりました」
黒川陸曹は衛生隊の支援をしていた。今までは隊員に大きな怪我はなく、せいぜい訓練中や不慮の事故によるちょっとした怪我や、病気がほとんどであった。あと時々カウセリング。
しかしここ最近は違う。確実とは言えないものの、戦闘による負傷者らしき者が増えている。今まで帝国や盗賊と戦って大怪我した人もいない。
あったのは漆黒龍に遭遇してほどほどの怪我をした
そしてここ最近多いのが……
「ぐぁぁあ!足がっ!」
足にひどい火傷を負った隊員が担架で運ばれてくる。
「一体どうしたのですか」
黒川は付き添いで来た隊員に尋ねる。
「我々第2偵察隊が行動中、彼が地雷のようなものを踏んだらしいのです」
「地雷?この中世のような世界に?」
「地雷というか、なんというか……それに一番近いものだと思います。何か踏んだのかはわかりませんが、いきなり爆発が起きたので」
自分たちの言う地雷ではなくとも、何らかのトラップであると判断する。
「一体誰の仕業なのでしょう……」
「腕が!俺の腕が!」
今度は腕に凍傷を負った特地の自衛隊に雇われた傭兵(日本側ではあくまでも警備員という立ち位置)が運び込まれた。
***
一方、同時刻の作戦室では。
伊丹は聞きたくもない会議に参加させられていた。
「よって、現在帝国の他にも高度な戦闘力を保持する武装集団がいることが考えられます」
幹部の1人がスライドショーによる報告を終える。
「ふむ、よからぬ噂を聞いだが、最近今まで親しかった村民のいた地域で、隊員たちが恐れられたり、石を投げられたと報告があるが?」
狭間陸将は全ての幹部に対して尋ねる。
「我々隊員が不祥事を起こしたという報告はありませんし、ありえません。あのイラクですら起こしたこともないので」
と1人が答える。
「伊丹2尉」
「え?え……私ですか!?」
突然の指名に驚く伊丹。何で俺?と言った感じである。
「君はこの件についてどう思う?率直に答えていいぞ」
「えー、何と言いますか。もしかしたら帝国が我々自衛隊の仕業に見せかけるために、変装して攻撃しているとか?」
幹部たちは危惧したことが起きてしまったと頭を抱える。
類似例ならベトナム戦争、アフガン戦争、イラク戦争など、圧倒的有利な相手に対するゲリラ戦などがある。
ゲリラ戦は不意打ち的な戦術という認識であるが、掘り下げればそれ以上に深い戦術だと分かる。
敵と民が手を取り合うのを阻害し、民の敵意を敵に向けさせればこちらは兵力強化、相手がもし民を攻撃すればさらなる憎悪を生み出し、世論、正当性はこちらを味方する。
そしてそれが長期化すれば相手の精神力は磨耗していき、戦意を喪失させることもできる。
「早急に対策が必要ですな」
「しかし、情報が足りませんな。一応遠距離写真はありませんが、不鮮明ですし、緑の鎧に緑の塗料を肌に塗っているのでわかりづらい状況です」
と幹部たちが色々と議論しあう。そして気づけばなぜか皆の目線が伊丹の方に集中する。
「え?私ですか?」
***
その夜、アルヌス露店屋台で1人のモブ男が後ろ回し蹴りで吹っ飛ばされていた。
「あたいの尻はね、安くないよっ!」
みんな大好きうさ耳姐さん、ウェイトレスのデリラのヴォーリアバニーの殺人級キックが炸裂したようだ。不幸中の幸い、死人は出てない。
「よぉ、デリラ。いくら払ったら触らしてくれるんだい?」
とひょっこり
「イ、イタミの旦那。嫌だぁ、もうっ!」
とデリラは先ほどの
といろいろあって伊丹たちは席に着く。
「伊丹2尉、最近大変そうですね。目の下に隈ができていらっしゃいますわよ」
「黒川、君も人のこと言えないよ。で、話ってのは?」
伊丹も黒川も最近の不測事態であまり寝れていないようだ。
「もちろんテュカのことですわ。いつまで放っておくのですか?」
当の本人は何だか探し物をしているような様子である。
「テュカぁ!何をしてるのぉ?」
「う、うん、ちょっとね……」
「誰か探してるのぉ?ひょとしてぇ、男だったりしてぇ?」
「違う違う……」
そしてテュカは苦笑しながら屋台を去ってしまった。
「……ご覧の通り、毎日この時間帯になるといるはずもない人を探し始めるのです」
「でも無理矢理現実を認識させる必要、あるのかしらぁ?」
「あるに決まってます」
ロゥリィの問いに黒川は少し強めに答える。
「こういう時はしっかりと現実を受け止めて前へと前進しなければなりませんわ」
といった感じのことを延々とと黒川は説明する。
「なあ、黒川。お前が言った通り俺たちがよってたかってテュカを取り囲んで、みんなでお前の父親は死んだんだといいか聞かせて現実を認めさせたとしよう。そうしたらどうなる?」
「どうなると言われましても、それは父親の死を受けてしばらくは悲しみに暮れるかもしれませんが、それを乗り越えて生きていきますわ」
「じゃあ聞くが、テュカは悲しみを受け止めきれると思うか?今は現実と妄想の狭間で生きてるが、現実を突きつけることで耐えきれずに、『あっち』の方向に行ってしまわないと言いきれるか?」
まさかいつも
「そ、それは……」
黒川も返す言葉が見つからなかった。
「テュカの『こころ』について知ってるほど俺たちはテュカを知ってるか?それにこの不安定な地域でいつまでもテュカに寄り添うことはできるとは限らない」
「つまり、このままにしておけとおっしゃるのですね?」
「ああ、そうだ。最後まで責任を持てないなら余計なことをするな。余計にこじれるだせだ」
「わかりました。私は明日早いのでこれで失礼します」
黒川は少し苛立った様子で席を立つ。
レレイはバルパスのお散歩、桑原曹長は黒川を送って行くといって結局残ったのは伊丹とロゥリィだった。
「飲みなさいよぉ、お馬鹿さぁん」
そして2人でビールを飲み始める。そして2人はお互いいろいろな話をしたり、からかったりしてそれなりに楽しい時間を過ごした。
「なんだここは?ガキに酒を飲ますのか。それとそこの男、
彼女、ダークエルフの女性が現れるまでは。
***
「ちくしょう……私の子供が……」
特地の古代龍、炎龍ことヨルイナールは無気力になりながら空を舞っていた。どうやら仔龍に何かあったようだ。
「一体ここはなんなのだ。ここが神の国なのか!?」
とレッドドラゴンことアンヘル。
「「…………ん?」」
気がつくとヨルイナールの隣にアンヘルがいた。アンヘルからしたら異世界に放り出されたたらそこにヨルイナールがいただけなのだが。
「なんだお前は!?」
「貴様こそ誰だ!?」
一気に戦闘態勢に入る2龍。
先手を打ったのはヨルイナールだ。まず最大火力の火炎放射をお見舞いすりる。
しかしアンヘルはそれを難なく、まるで物理法則を無視するように回避する。
(なっ!?)
アンヘルはヨルイナールよる小さめであるが、その体格から空中戦に特化した身体だとヨルイナールは推測する。
「おのれ!我を攻撃するなど万死に値するわ!」
そして火球を吐き出す。
しかし速度はそれほどなかったので、ヨルイナールは回避できると判断した。それが命取りだった。
「バカな!?回避したはずなのに!」
回避された火球は弧を描いて油断していたヨルイナールの背中を直撃した。幸い、硬い鱗の多い背中で、彼女が炎龍であったことが火の特性をある程度打ち消した。それでも、表面の硬い鱗は吹き飛ばされ、守られていた肉が露わになった。
(なんという威力だ……同じところにもう一発当たれば危ない……)
ヨルイナールはアンヘルの動きを観察する。追撃はないようだ。
「ふん、我と近種の炎龍か。しかしこの世界の炎龍は思ったほど脅威ではないな。もしやと思ったが大丈夫だろう。念のために、殺っておくかのう」
アンヘルが追撃準備した瞬間をヨルイナールは見逃さなかった。
わずかに上位の位置にいたヨルイナールは急降下してスピードをつけて滑空した。
アンヘルも急な移動に驚き、十分な威力のないまま火球を放つ。
ホーミングミサイルのようにヨルイナールを追うが、ヨルイナールの方が僅かに速度で勝っていた。
位置エネルギーと質量エネルギーを一気に転換してアンヘルの背後へ回り込み、その勢いをもって喰らいかかる。そしてそのまま遠心力をもってアンヘルと空中で絡むと地面へと急降下して行った。
地響きとともにクレーターが生じる。
偶然かそれとも意図的か。アンヘルが地面に叩きつけられる形で落下した。
「おのれ!」
「私も黙って死ぬわけにはいかないんだよ!」
ヨルイナールは渾身の力を込めてアンヘルに食らいつく。アンヘルは叫ぶ。
しかし、運命の神はヨルイナールに微笑まなかった。
先ほどからホーミングしていた火球が今ヨルイナールの背中に当たる。しかも先ほどの肉の露わになったところだ。
「うぐ……ちくしょう……」
ヨルイナールの噛む力が弱まり、アンヘルはすぐに空中に逃れる。
「うぬぅ、油断したいたとはいえここまでやるとは。念には念を押して殺してやる」
アンヘルは火球を貯める。それと同時に瀕死のヨルイナールの周りに魔法陣のようなものが現れる。
(まさか……こいつは……)
アンヘルの火球が放たれる。しかし放たれると同時にその火球は四方八方に分裂する。
(
分裂した火球は囲むようにヨルイナールに向かってゆく。
***
「はあ、はあ……早くこの傷を癒さぬば……」
アンヘルはそう言って飛び去る。
(
鱗がぼろぼろになったヨルイナールはそのまま力尽きた。
龍達が擬人化してたらヨルイナールの鎧がぼろぼろにされてもっと面白かっただろうに。
ヨルイナール「なんか言ったか?」
すみません