オブリビオンゲート 異世界龍 彼の地にて 斯く集えし   作:ArAnEl

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今のところ簡単に計算すたところ、完結までに100話超えちゃう気がしてます。

実はラストの構想は出来てたりする。


つるぺたはステータス

つるぺたはステータス

 

 

アルドゥインは辺り一面を見渡せるほどの高山の山頂に止まっていた。

 

しかしかつて彼がいた世界(スカイリム)における最高峰の山、『世界のノド』には足元にも及ばない。そのため、山頂にいるのにも関わらず雪のが積もった形跡もこれから積もる様子もない。

 

 

(やはり山頂にいると思い出すな、あの日々を)

 

 

かつて彼を中心とした同族が世界を制した時代、奴隷の定命者どもが反旗を翻し時代、山頂で3人の強敵と戦ったこと、異次元に送られたこと、時代を超えて復活したこと、そして1人の龍の魂を持った定命者と戦ったこと……そしてそいつには勝てなかったこと。あの山(世界のノド)を思い出すと自然と共に思い浮かぶ。

 

かつて彼が世界の支配者になったときはその山の山頂でスゥームを発すれば世界の隅々までその声は届いた。

 

この山でもそれは可能だろうか?

 

山は遥かに小さいが、それを有り余って補うほどの力は既にある。

 

しかし彼は試さない。理由は特にない。それを行う気分ではない。それに、この未知の世界では何があるか分からない。もしかしたらこの世界のドヴァキンがいるか、現れるかもしれない。そのためにも力を温存したい。そして何よりも大きな理由が目の前にある。

 

 

「久しぶりね、ワールドイーター」

 

 

禍々しい悪魔のような鎧を身に纏った女声の何かが後ろから現れる。

 

 

「別に会いたくなかったが、久しぶりだな」

 

「ふーん、珍しく貴方から呼び出したかと思えば相変わらずね。用件は何かしら?」

 

「もっと魂が必要だ」

 

「あら、あんだけ魂を喰らってまだ足りないの?でもそういう貪欲さは嫌いじゃないわ」

 

「つべこべ言わずどうにかしろ。殺戮だけでは効率が悪い。我の力を温存しながら魂を回収する方法ないのか?」

 

「あら、とんだ欲張りさんだこと」

 

「貴様の魂から回収してもよいのか」

 

 

アルドゥインは少し苛立っているようだ。しかしそのテイドラは嘲笑うかのように答える。

 

 

「別に構わないわ。でもどっち道私は貴方が回収した魂からまた復活するから意味はないわ」

 

「ぐぬぬ……」

 

「まあいいわ。ちょうど試したいことがあるから少し待っていなさい」

 

「なんだそれは」

 

「秘密よ」

 

「ふん。魂さえ回収できれば問題ないわい。だがかなり必要だ」

 

「分かっているわ。でもそんな膨大な量どうするの?」

 

「何も答えない貴様に答えるわけがなかろう」

 

「ふふ、そうね。お互いのプライバシーね。ではまた」

 

 

そう言い残すとデイドラは転移空間を召喚して去る。

 

 

「……貴様らデイドラに絶対言うわけなかろう」

 

 

そう言って彼は目の前のその巨大な残骸に目を向ける。

 

 

***

 

 

駐屯地に着いてからはそれは色々と大変だった。

 

物品返納、書類作成、申請その他いろいろたくさん。

 

ピニャたちは柳田たちが対応するからいいとして、問題はこいつだ。

 

 

「なんだ?俺の顔になんかついてるか?」

 

 

こいつは犬として扱うのか、人として扱うのか、それとも別の何かか。

 

一応今晩はいいとして、今後のどうするべきか考えなくてはならない。上司に相談したら案の定伊丹たちが初めて会った時と同じ反応であったが。

 

 

「まあいっか、今日はもう飯食って寝よ。今度できることは今度だ」

 

「おめー俺に関係することすっぽかすつもりだな。まあいいけど」

 

「何か食うか?」

 

「え、何かくれんのか?おめーいいやつだな、やっぱり」

 

 

と1人と1匹(?)は自衛隊の緑の缶詰を開けて食べるのであった。

 

 

「やっぱどこの世界も軍隊の飯はそんなうまくねーな。でもこれはかなりうまいほうだな」

 

「褒めてるのやら褒めてないのやら。ところでバルバス、君は……」

 

 

伊丹の言葉はドアのノックで遮られる。開けてみるとすごく疲れたレレイが眠たそうに立っていた。

 

 

「伊丹、キャンプまで送って……疲れた」

 

「そういわれてもな、こんな時間だし。ここで寝ていったらどうだ?部屋はあるぜ」

 

 

レレイはウンウンと頷くと眠りの世界へ旅立った。

 

 

「じゃあ俺も寝るかな。お休みー伊丹」

 

 

バルバスもその場に包まると眠り始めた。完全に犬である。

 

伊丹は別の空き部屋のベットを準備してレレイを寝かす。改めてみるとレレイは本当に可愛らしい容姿をしている。

 

別に普通の意味で可愛らしいである。誤解されがちだがオタクだからと言ってロリコンでもないし、つるぺたが大好きなわけでもない。でも嫌いではないが。むしろボンキュボンのボインボインよりはいいと思ってる。いやいや、俺は紳士だ、別にレレイのことをそんな目で見ることなど絶対にない。

 

などといろいろ考えていたら溜まっていた疲れがどっと降りてきて急に睡魔が襲う。力がフッと抜けると、顔面が何やら柔らかいものにダイブしてしまった。

 

いや、レレイはそんな柔らかいものを持っているはずはない。だってつるぺただもの。しかしそのぺったんこが視界の目の前にある。そう、目の前だ。

 

 

(まずい……これはまずいぞ……)

 

 

どうやら自分はレレイのお腹を枕にしてしまったらしい。ぺったんこを枕にするよりは遥かにマシだが、結構まずい。しかしもう力も入らない。そしてその眼福の平原(ぺったんこ)の光景はじょじょに消えて行った。

 

 

***

 

 

「じゅんけーん」

 

「隊長、それうちら(海自)のやり方です」

 

「あ、そうだった。陸自はてんけーんなのかな?」

 

「さあ、自分に言われましても」

 

 

当直の腕章を巻いた迷彩服を着た隊員がライトを持って辺りを確認している。

 

 

「任務に帰ったとたんこれだよ。休みぐらいくれ……」

 

「まあもうそろそろ休みですし、がんばりましょうよ、隊長」

 

「そうだな……異常なーし」

 

 

と2人は点検をしていく。

 

 

「異常な……」

 

「おいおい、こっちは寝てんだ。ノックぐらいしろや」

 

「あ、すみません」

 

 

とドアをゆっくり閉める。

 

 

「隊長、しゃべる犬がいた場合は異常ですか?」

 

「うん?そう言われてもね……めんどくさいからしゃべる犬くらいいいんじゃない」

 

「ソウデスヨネー」

 

 

棒読みである。何を見たのやら。

 

 

「じゃこっちは俺やるからそっちよろ」

 

「了解です」

 

 

そして隣の部屋を開ける。そしてすぐに占める。

 

 

「どうしたんですか?」

 

「イザョウナーシ」

 

「隊長、棒読みです。しかも言えてない」

 

「イジョウネーシ」

 

「いや、隊長あんたが異常だよ。一体何を見たんです……」

 

 

扉に手をかけたが、隊長が開けるのを阻止する。

 

 

「異常梨」

 

「いや、隊長。もうこれ何か隠してますよね?てかなんだがイントネーションがおかしいですよ?」

 

「上司が異常なしって言ってんだから異常ネーヨ!いいから次行こ!次!」

 

「隊長!襟!襟引っ張らないで!」

 

 

そして2人は闇の中に消えていく。

 

 

***

 

 

食堂にて

 

 

幸い、誰にも昨日のことは見られてはないようだ。レレイは引き続き仕事にそのまま行った。昨晩飯をまともに食ってないから朝食がうまく感じる。しかし、彼の登場で一変する。

 

 

「前の席、よろしいですか?」

「……なんだあんたか。加藤1尉、また偉くなっちゃって」

 

「いや、昇級遅いの君だからね?俺はぶっちゃけ普通の速さだからね?」

 

 

階級は違えど同年齢の同期生である。組織は異なるが。

 

 

「なんだ、つれねーな。久しぶりに友人が来たっていうのに」

 

「誰が友人だ。しかも久しぶりって数日前に会ったろ?」

 

「え、いつ?」

 

 

もうさすがとしか言いようがない。

ごく自然に、しかも誤魔化しもなく平然と嘘をつく。事情を知っていなければ本当に記憶にないか知らないかとおもうぐらいである。

 

 

「もう、そういうことにしておいてくれ」

 

 

伊丹はため息をつくとちらっと加藤の胸を見る。

 

 

「お前空挺取ったんだな。いつものグライガーバッチどこ行った?」

 

「なんのこと?」

 

「…………」

 

「冗談だよ、そんな顔するな。てかグライガーバッチて呼ぶな。なんか可愛いじゃないか」

 

 

グライガーバッチ。伊丹が勝手につけた名前だが、理由はコウモリとサソリをくっつけたような徽章だからだ。

 

海上自衛隊の中でも秘匿性の高い部隊、特別警備隊(SBU)のみが許される徽章である。

 

 

「まあ、まだこの部隊に俺たちが配属されたこと知らない人が多いからな。あまり口にはできねーんだ。察してくれ」

 

 

だろうなと伊丹は思う。これもすんなり納得できるのも似たもの同士だからだろう。

 

 

「ところで奥さん元気?」

 

「なんでお前が気にするんだ」

 

「だって、伊丹と同じオタフレ(オタク仲間)だからだよ」

 

「まあ元気だよ。これだけど」

 

 

と伊丹は左手を見せる。

 

 

「あ……うん。すまんね」

 

「別に悪いことがあったわけではないから気にしなくていいよ」

 

「まあ、それならいいんだが。そうそう、これ渡すんだった」

 

「何だこれ?」

 

 

小さいメモ帳だった。

 

 

「国会答弁参加するんだろ、攻略本だよ。ま、お守り程度だ」

 

「ふーん。じゃあ貰っておく」

 

「あ、あと前回のお願いよろしくな」

 

「前回?」

 

「ほら、この前の同じ職場で俺が言い残したじゃないか」

 

 

伊丹は思い出そうとする。

 

 

「5年前のあれ?お前言い切る前に多量出血かなんかで気を失ってたけど」

 

「あれま。そうだったのか」

 

「どうせ女の子紹介してとかでしょ?」

 

「よくわかってらっしゃる」

 

「お断りだ」

 

「えー、いいのかなあ?」

 

 

加藤は何やら含みのある笑みを浮かべる。

 

 

「少女……」

 

「?」

 

「つるぺた」

 

「!?」

 

「お腹……」

 

「ちょ……!」

 

「枕……」

 

「待て!それ以上言うな!」

 

「このロリk……」

 

「わかった!わかったから!それ以上言うな!」

 

 

2人は小声で言ってるので問題はないだろう。

 

 

「んじゃよろしく〜」

 

 

加藤は愉快そうに笑って席を後にする。

 

伊丹は深いため息をつく。

 

そしてニヤリと口元を緩める。

 

 

「計画通り……」

 




自衛隊の(異常な)日常でお送りしました。

もちろん全部妄想だよ。

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