オブリビオンゲート 異世界龍 彼の地にて 斯く集えし 作:ArAnEl
ピニャ殿下には是非とも「アルゴニアンの侍女」(スカイリムに存在する薄い本)を読んで頂きたい。というかいっその事読ませるか。クロスオーバーてステキ!
3日ほど眠って妙なことに気づいた。
我は何もしてないにも関わらず、魂が補充されるのだ。
今までは我が殺した分だけ補充された。しかし、この3日間霊体で過ごしたので明らかである。うっかり小動物を殺してしまうようなことなど絶対にありえん。
にも関わらず、微力ながら少しずつ魂の量が増えているのだ。
これは我が考えるに、デイドラどもが関与しているだろう。
まあ、だいたい奴らがしたいことは予想がつくな。しかし、我は今まで通りのことをするまでよ。
破壊、殺戮、蹂躙……
我はこの衝動や行動については当たり前だと思っている。疑問は湧かないのか、とかつての同志に言われたことがある。
しかし我にとってそんなもの愚の骨頂。我がしたいようにする、なぜならそのように我らは作られているからだ。
あの忌まわしい『巻物』にも世界は我によって破壊されると予言されているではないか。
そのためなら我は何度でも破壊してやろう。
そしてもう一つ、気づいたことがある。
我の周りを様々な龍が共に飛んでいた。
大きさが小さめなところ、翼竜だろう。ちょっと違うやつもいるが。数にして10程度。
意図は何だろうか。我をとって食おうというわけではないようだ。
まあ良い。まだ霊体化が解けるのに時間がかかる。その時こやつらの意図を問い詰めるか。
***
一方、アルヌス駐屯地では避難民のある程度の受け入れの目処がたって数日が経った。つまり難民キャンプができたのだ。
避難民が自活もできるよう支援し、今後の意思疎通のためにもこまめな交流も行われるようになった。
特にレレイは覚えが早く、簡単な単語、数字程度なら日本語でもできるようになった。さすが魔法少女。
そりにより、各人の年齢がわかった。
レレイは15歳で、この地では成人らしい。(そこの紳士諸君、合法とか言わない)
テュカはエルフなので165歳らしい。さすがエルフ。(ロリBBAなんて言うんじゃないよ、エルフの世界ではまだきっと少女なんだよ!)
エムロイの使徒、ロゥリィは……とにかくずっとずっと、テュカより年上らしい。まあ女性に年齢聞くもんじゃないですし……
ところであら不思議、いつの間にかゴスロリ装束に変わってる。ご都合主義って怖いね(ホントはワガママ言って日本のゴスロリ衣装取り寄せて手直ししたらしい)
ところで、全体としてはうまくいってるものの、少し問題も見つかったようである。
「伊丹2尉、どうもテュカの様子がおかしいのですわ」
黒川陸曹は上官である伊丹にテュカについて相談していた。
どうやらテュカは食料、衣類を要求する際は必ず2人分、衣類に至っては片方は男物を要求するようである。
「うーん、そう言われてもねえ。まだ精神科医もいないし……俺も後で色々と話してみるよ」
エルフの習慣か、死者を弔う儀式か、それともやはり精神的な問題かなど論じられたが、結局専門家もいないので今回は保留となった。意思疎通がまだうまくいかないのも大きな原因かもしれない。
とりあえず、今日はまず基地外に設置した難民キャンプの様子を見に行くことになった。
人員、武器装具等の確認及び準備を行い、必要な物を車両へと搭載していった。
「パンツァーファウストだけじゃ心細いっすね……」
倉田陸曹は
「その件な、実はダメ元で頼んでみたのよ、
近くにいた伊丹は部下の愚痴に答える。
「おお、俺スティンガー撃ってみたいっす。あのステルスゲームみたいに」
「そしたら、何て言われたと思う?んな高価なものだせるか!だとさ」
「一体上は俺たちの命なんだと思ってるんですかね……」
これだから自衛隊は、と2人はため息を漏らした。
***
なんだかんだ言って難民キャンプに着き、まず状況を確認する。
何か不足はないか、どれくらいなら自活できるか、そして彼らに提供した仕事、翼竜の鱗及び爪集めである。
アルヌスの戦い以来、人の埋葬は急ピッチで終わらせたものの、研究のため残しておいたものの不要になった翼竜の残骸が放置されたままなので、好きなようにさせていたのだ。
そこで、彼らが集めたものを魔導師カトーやレレイが査定を行い、売れそうな物だけを選別する。そしてこれを売れば資金源になると考えたのだ。
かと言ってそこらへんに売るわけにはいかない。
なのでできれば大規模店かつ信頼のあるところが望ましい。そんなコネ普通の一般市民にあるわけないのだが、あら不思議、カトー先生の知り合いがまさにそんな人だった。ご都合主義様々ですな。
ということで伊丹一同にテュカ、レレイ、ロゥリィが一緒に行くことになった。
レレイは通訳、案内。テュカはまあ心配だから。ロゥリィは行きたいだからだとか。細かいところはまあいいか。
***
目的地はテッサリア街道を左、ロマリア山麓にあるイタリカの街。
桑原曹長が地図やコンパスを使っていたところ、レレイはそのあまりにも緻密な地図に大変興味を示した。
そりゃ中世の技術で作った地図と比べたら現代の地図はまさに神器レベルなのだ。そう考えるとコロンブスとマゼランって凄かったんだなあ、としみじみ思う。地球人なめんなよ。
桑原曹長はレレイを我が子を見るような気分で色々と教えた。
「鬼軍曹と呼ばれたおやっさんが、可愛い女の子相手に相好を崩しちゃってまぁ」
倉田はバックミラーに映るかつての自分の教官の姿を見てボソッとつぶやいた。
実は彼、一般曹候補学生のときに『ハイポート走』という銃を胸の前に抱えて走ることをさせられて結構根にもつている。
ちなみに、上位版にヘルポート、デスポート、砲ポートというものがあるらしいが、作者は詳しく知らないし、知りたくもない。
そんな中、イタリカの街の近くで車両の右の遠くから煙が確認された。
レレイに聞いてみたが、どうやら火事かもしれないが、それにしては大きすぎるとのこと。
「周囲への警戒を厳にして、街へ近づくぞ。特に対空警戒を怠るな」
伊丹の指示に各人は警戒を高める。
「血の臭い」
ロゥリィは伊丹と倉田の間から身を乗り出すとなんとも言えない妖艶な笑みを浮かべるのであった。
次回、イタリカ攻防戦
アルドゥイン「我の出番だ……」
霊体化解けてませんが。
アルドゥイン「なんと!?」