バカとテストとウチの弟   作:グラン

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優子が考えた落ち込む海人を励ますための策とは・・・
まぁサブタイトルでバレバレですねww


第九十六問 旅行に行こう!

  SIDE 海人

 

 

・・・どうしてこうなった?

僕は今・・・マイクロバスの中にいる

理由は姉さんに『みんなで旅行に行くわよ』と言われたからだ

正直、気分が乗らないので断りたかったが、葉月に『お兄ちゃん、行かないですか?』と泣き出しそうな顔で言われ、断れなかった

 

 

「おーどうしたんや海人!テンション低いやん」

 

「そう言う英雄君はテンション高いね」

 

「まぁたまにはいいだろう。気分転換も必要だ」

 

 

僕の言葉に近くにいた智也君が答える

英雄君の場合、たまにじゃない気もするけど・・・

でもなんか智也君もちょっとテンション高いみたいだ(見た目は普段と変わらないけどなんとなくわかる)

ちなみにこのバスに乗っているのはFクラスのいつものメンバーとAクラスの優子さん、工藤さん、霧島さん、智也君、それに英雄君と小山さんと清水さんと葉月だ

そして車を運転しているのがアキ兄さんのお姉さんの玲さんだ

 

 

「それにしても姉さん、こんなに大きい車運転できたんだね」

 

「ふふ、アキ君、これを見てください」

 

「ん?免許証?あ、凄い!全部埋まってる!大型二輪に大型特殊、けん引まで・・・」

 

「資格はいくつ持っていても損はないですからね」

 

「ホント、料理と一般常識以外はハイスペックだね」

 

「アキ君、窓から投げ捨てますよ?」

 

「すいませんでした!」

 

 

玲さんに土下座するアキ兄さん

 

 

「大きいお車です!」

 

「葉月ちゃん、走り回ったら危ないですわ」

 

「葉月、大人しくしてなきゃダメでしょ」

 

「・・・雄二、温泉一緒に入ろう?」

 

「お、お前は何を言ってんだ!?」

 

「ムッツリーニ君、ボク達も一緒に入ろうか?」

 

「・・・興味ない」(ボタボタ・・)

 

「あの・・・私、クッキーを焼いて来て・・・」

 

「・・・これ、ものすごい異臭がするんだけど?」

 

 

みんな、楽しそうだなぁ・・・

 

 

「隣、いいかしら?」

 

「え?あ、うん」

 

 

そんなことを考えていると優子さんが隣にやってきた

 

 

「せっかくの旅行だってのに、なに辛気臭い顔してんのよ」

 

「あ、うん。ごめん」

 

「・・・ま、気持ちはわかるけど、せっかく遊びに来たんだからパーっと遊びましょ」

 

「・・・うん。そうだね」

 

 

・・・とは言ったものの、やっぱり遊ぶ気にはならないなぁ・・・

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE 明久

 

 

旅館についた僕達は水着に着替え、近くの海水浴場に来ている

えっと、海人は・・・あ、いたいた

 

 

「さて、手筈通りに行くぞ」

 

「うん」

 

「了解や」

 

 

よし、行くぞ!

 

 

「「「海人、ナンパしに行こうぜ!」」」

 

 

海と言えばやっぱりナンパだよね

勘違いしないでね

これは浮気ではなく海人を元気づけるための作戦なんだ

決してやましい気持ちは・・・・・・・無い

 

 

「え?あ、僕はいいや。頑張ってね」

 

 

・・・あっさり失敗

 

 

「やっぱりダメか」

 

「心ここにあらずって感じやな」

 

「だね」

 

 

いつもの海人なら『アキ兄さんには姉さんがいるんだからダメだよ』と言うはずだ

おそらく今僕が言った言葉は全く頭に入っていないだろう

 

 

「精神的にかなり参ってるみたいだな」

 

「このままじゃ危険だね」

 

 

この時、僕達は気付いていなかった

 

 

「アキ?」

 

「ユウジ?」

 

「ヒデオ?」

 

「「「ナニヲシテイルノカナ?」」」

 

 

・・・海人の精神より僕達の命の方がよっぽど危険だということに・・・

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE 海人

 

 

『『『ぎゃああああああ!!』』』

 

 

「ん?」

 

 

今何か聞こえたような・・・気のせいかな?

 

 

「海人君」

 

 

それにしても・・・僕はこんなところで遊んでいていいのかな?

 

 

「海人君!」

 

 

先輩たちの努力を全部無駄にして・・・

 

 

「海人君ってば!」

 

 

でも、先輩たちにどんな顔をして会えばいいのか・・・

 

 

(プチン)

 

「えい!」

 

「痛っ!何するのさ」

 

「だってずっと呼んでるのに無視するんだもん」

 

「え?ホントに?ごめん」

 

 

どうやら考え事に集中し過ぎて気付かなかったようだ

こんなこと前にもあった気がするなぁ

反省しなくちゃ

 

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・で?」

 

「え?」

 

「同級生の女の子の水着姿見て一言も無し?」

 

「あっ!えっと、凄く似合ってるよ。可愛いよ」

 

「ふん。そんな取ってつけたような感想はいりませんよーだ」

 

「ほ、本当だってば」

 

(な、なんなのこの捨てられた子犬のような目は・・・もっと虐めた・・・ゲフンゲフン)

 

「ま、まぁいいわ。ほら、一緒に遊びましょ」

 

「あ、いや、僕は・・・」

 

「なに?やっぱり似合ってるとか可愛いとか言うのは嘘だったの?」

 

「嘘じゃないよ」

 

「じゃあその可愛い女の子が誘ってるんだから断らないで素直に遊びなさい」

 

「わ、わかったよ」

 

 

僕は優子さんに引き摺られて海の方へと歩いて行った

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE 秀吉

 

 

「作戦通りじゃな」

 

「びっくりするほど弟君のシナリオ通りだね」

 

「うむ、主人公を励ますのはヒロインの役目。これは王道なのじゃ。そして海人のような草食系男子は多少強引にいけば断れないのじゃ」

 

「・・・さすが演劇部」

 

 

それに、姉上もまんざらではないようじゃったしのう

・・・む?

 

 

『しょ、翔子!海でスタンガンはやめ・・・』

 

『美波!僕の関節はそっちには曲がらな・・・』

 

『友香、そっちはあかん!俺はホンマに泳げな・・・』

 

 

・・・ワシは何も見てないのじゃ

 




秀吉のシナリオ通り、優子と二人きりになりました
さて、優子はどのようにして海人を励ますのか?
そして明久達は無事に旅を楽しめるのか?

次回も頑張ります

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