バカとテストとウチの弟   作:グラン

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久々にBクラスのあの男?が登場!
修羅場が発生


第八十七問 最速の男

  SIDE 雄二

 

 

誰か・・・助けてくれ・・・

海人達が戦っているまさに今、こちらでも戦いが始まっていた

 

 

「もう、坂本君ったら、アタシを無視しないでよね♪」

 

 

俺の隣で気色悪い声で迫ってくるのは・・・尾賀間稔二(♂)だ

すっかり忘れていたがこいつは強化合宿の前に俺にラブレターを送ってきやがったんだった

まぁ忘れてなくても当然無視するけどな

 

 

「・・・雄二から離れて」

 

 

逆隣りで殺気を出しているのは俺の幼馴染の霧島翔子だ

さっきからこの二人の言い争いで全然試合に集中できねぇ・・・

 

 

「あらぁ?別にあなたは坂本君と付き合ってるわけじゃないんでしょ?だったら別にいいじゃない」

 

「・・・私は雄二が好き」

 

「アタシだって好きよ」

 

「・・・アナタも雄二も男。恋愛は成立しない」

 

「恋愛は自由よ。オランダやスペインでは同性婚だって認められているんだから」

 

「・・・ここは日本。それにたとえ同性婚が認められたって雄二は渡さない」

 

「アタシだって負けないわよ。成績が良くてちょっと可愛いからっていい気にならない事ね」

 

 

・・・もう勘弁してくれ

 

 

「っていうかお前、根本の仲間じゃなかったのかよ?こっちにいていいのか?」

 

「根本君より坂本君の方がタイプだしね♪それに・・・ちょっともう根本君のやり方にはついていけないって感じね」

 

 

こいつ・・・変態ではあるが悪い奴ではないのかも・・・

 

 

「それより坂本君、こんなところで汗かくよりアタシとホテルで汗を・・・」

 

「誰が行くか!!」

 

 

・・・生理的には受け付けないがな・・・

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE 海人

 

 

「島田、落ち着いて行けよ~!」

 

「バックには俺らがおるで~」

 

 

後ろからみんなの声が聞こえる

頼もしいかぎりだ

さてと、早速要注意人物の多岐君の打順だ

足が速いわけだからそれを生かしたバッティングをしてくるはず

打ち上げたら意味がない

なら最も可能性が高いのは・・・セーフティバントだ

そんなことを考えていると智也君からサインが出る

えっと・・・外角高めギリギリにストレートか

なるほどね

智也君もバントを警戒しているんだ

高めは打ち上げやすいからね

僕は振りかぶって指示通りに投げた

すると多岐君はバントの構えをするがすぐにバットを引っ込めた

 

 

『ボール!!』

 

 

む・・・少し逸れたか・・・

 

 

(気にするな。次はこれだ)

 

 

同じコースからストライクになるカットボール

そして指示通りに投げる

よし!狙い通り!

・・・が

 

「もらった!」

 

 

多岐君はバント・・・ではなく、バットを真上から下へまるで斧のように振り下ろした

打球はワンバウンドして高く上がった

 

 

「くっ、落ちてけえへん!!」

 

「英雄!投げるな!」

 

 

英雄君が捕球した頃には多岐君は一塁を駆け抜けていた

なんて打ち方だ・・・少しでもタイミングが狂えば空振りなのに

よほど自信があるのか・・・

 

 

(ごめん智也君)

 

(いや、コースもキレも完璧だった。俺の采配ミスだ。それより気持ちを切り替えていくぞ)

 

(うん)

 

 

よし、気を取り直して次のバッターだ

 

 

『二番セカンド岸川君』

 

 

よし、勝負・・・の前に一塁に牽制球っと

 

 

『セーフ!』

 

 

ダメか・・

やっぱり速いなぁ・・・

多分走ってくる

 

 

(大丈夫だ海人。俺に任せろ)

 

(うん、わかったよ)

 

 

北条君からのアイコンタクトを受けて僕はクイックで投げた

すると案の定、多岐君は盗塁を狙い走り出した

 

 

(速いな・・・普通に捕ったら間に合わない)

 

 

すると北条君は捕球前に立ち上がり、すでに投球できる体勢をとる

そして補給すると同時に流れるような動きでセカンドに投げた

 

 

「な、なに!?」

 

『アウト!!』

 

 

見事に盗塁を防止

多岐君は未だ信じられないようで呆然と立ち尽くす

 

 

「海人、ナイス投球だ。少しでも逸れていたら間に合わなかった」

 

「えへへ、北条君もナイス送球だよ」

 

 

よーし、この調子で無得点で抑えるぞ

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE 多岐

 

 

「どんまい」

 

「多岐が二塁で刺されるなんて初めて見たぞ」

 

「・・・面目ねえ」

 

 

チームメイトに励まされつつ俺はベンチに座る

今のは完全に俺の負けだ

右足に力が入ったところで投手に視線を向けられ、牽制球が来ると思ってスタートが遅れた

いや、それでも間に合うと思っていたんだ

しかしあの捕手、あんな捕り方、よっぽど捕球に自信がないとできないぞ

万が一逸らせば三塁まで走られる

北条智也・・・頭脳だけの頭でっかちかと思っていたが、キャッチャーとしてもなかなか優秀だ

 

 

「タッキー先輩お疲れ様です」

 

「おう、悪いな、先制点を取れなくてよ」

 

「いえ、まだまだこれからですよ。初回は先輩に助けられましたし。正直、一点くらいは覚悟していたんで・・・」

 

「で、次は四番の中島だが・・・『アレ』を使うんだろ?」

 

「はい。中島さんを打ち取るのは『アレ』じゃないと厳しいので・・・」

 

「ま、お前のアレは初見じゃ打てねえだろうからな。っと、結局三者凡退か。頼むぜ新田」

 

「任せてください」

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE 英雄

 

 

『四番サード中島君』

 

 

「よっしゃ、かっ飛ばしてくるで」

 

「頑張ってね英雄君」

 

 

海人の言葉を聞きながら俺は打席に向かう

 

 

『かっとばせーなっかじま!!』

 

 

やっぱええなぁ・・・この感じ

あの頃と同じや

ベンチには仲間がおる

正面には闘志を向ける投手がおる

そして観客席には・・・

 

 

「友香・・・」

 

 

俺の初恋の相手、小山友香がおる

いつだって俺の事を応援してくれて、親父が殺人で捕まって友達がいなくなった時も傍にいてくれた

根本に秘密がバレた時だって俺の事を守ってくれた

友香には感謝してもしきれへん

今ここで俺にできることはただ一つ

打って打って打ちまくって、チームを勝利に導くことだけや!

 

 

「行くで」

 

 

打席に入りバットを構える

ピッチャーは振りかぶって投げた

 

 

『ボール!』

 

 

外角低めギリギリに外れた

球速は140ってところか・・・

たしかに速いが、打てない球じゃない

そして二球目を投げた

!?遅い!?チェンジアップか!?

球速差で責める気やな

 

 

「そうはいかんで!」

 

 

俺は少し溜めてからバットを振る

タイミングはバッチリ

もらったで!!

 

 

「!?な、なに!?」

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE 優子

 

 

中島君がバットを振る・・・が

結果はボテボテのサードゴロ

 

 

「珍しいわね?中島君が打ち損じるなんて・・・」

 

「いや、気のせいかもしれないけど少し曲がったような・・・」

 

 

隣で海人君が呟く

ってことは海人君が投げているようなスローカーブってこと?

 

 

「英雄、さっきの球はなんだ?」

 

「・・・実物を見た事あるわけやないから絶対とは言い切れへんけど・・・おそらくナックルボールや」

 

「ナックル!?あのメジャーリーガーが投げてるっていうあの?」

 

「そ、そんなに凄い球なの?」

 

「現代の魔球と呼ばれている球だ。不規則な変化で打者はもちろん、キャッチャーすら軌道がわからないほどだ」

 

「俺の時は直球しか投げなかったくせに、舐めやがって・・・」

 

 

夏川先輩は悔しそうに呟く

 

 

「おそらく舐めているわけじゃないと思いますよ。アレを見てください」

 

 

北条君が指差す先は・・・外野?

 

 

「レフトとライトの位置が外側過ぎると思いませんか?」

 

「言われてみりゃたしかに・・・でもそれが・・・」

 

「まぁ見ていてください」

 

 

そんなことを話していると常村先輩が打った

打球は左中間を・・・抜けない!!

またしても多岐君のファインプレーだ

 

 

「あれですよ。多岐の機動力があるからライトとレフトの守備範囲が狭くなる。ようするにフェンスさえ越えなければアウトにする自信があるってことですよ」

 

 

なるほどね、なんとなくわかってきたわ

実際、今大会でホームランを打っているのは中島君だけだ

だからこそ中島くんのところで決め球を使ったのね

でも・・・

 

 

「でも、せっかくの決め球なんだからもっと多用したほうがいいんじゃ・・・」

 

「それはおそらく・・・木下、見て見ろ。これがナックルの握りだ」

 

「・・・なんか窮屈な握り方ね」

 

「ああ、そして投げる時に指を伸ばし、回転を抑えるのがこの球の投げ方だ。つまり、握力をかなり使う球なんだ」

 

「そっか!多用できないからここぞという場面でしか使えないってことね!」

 

「そういうことだ。っと、チェンジだな」

 

 

そう言ってみんなは守備に向かう

ちなみに北条君は今回は采配に専念するため打順は8番だ

今回の敵はかなり強敵ね

ホントに勝てるのかしら・・・

 

 

「心配し過ぎやで木下さん。大丈夫や。次こそは打ったる。友香が見とるんにかっこ悪いところ見せられへんからな」

 

「へ?ちょ、中島君?」

 

 

そう呟いて中島君は行ってしまった

どうしよう・・・教えた方がいいのかな?

友香は・・・今日は部活の試合で応援に来てないって・・・

・・・せっかくやる気になっているんだし、黙っておこう

 

 

 

  ※一方その頃※

 

 

「友香、調子いいね」

 

「ええ、アタシも負けてられないからね(英雄の試合、どうなったかな?)」

 




※バカテスト(頭の体操編)※


韋駄工業のスターティングメンバー

一番多岐
二番岸川
三番鷲尾
四番大島
五番真中
六番神谷
七番山崎
八番木谷
九番新田

このメンバーにはある法則がある
わかるかな?
正解者には何も無し!!ww


次回も頑張ります

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