バカとテストとウチの弟   作:グラン

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対戦相手紹介

名前:明智昌幸

黒縁メガネをかけたいかにもガリ勉って感じの生徒
全国トップクラスの偏差値の秀英学院の首席で天才プログラマーとしても活動している
自らが作成した野球シュミレーションプログラムに対戦相手のデータを入力し弱点や対処法を調べ、それを戦闘スタイルとしている



第八十二問 知将VS知将

  SIDE 優子

 

 

さて、今日はいよいよウチのチームの初戦だ

相手チームの選手が言っていた『海人君対策』については北条君に言うと『俺に考えがある』って言ってたけどどうするつもりなのかしら?

・・・ん?あれは

 

 

「秀吉?」

 

「あ、姉上。こ、こんなところで何をしておるのじゃ?」

 

「何って試合の準備よ。マネージャーなんだから当たり前でしょ?それよりアンタこそこんなところでどうしたのよ?それにその格好は?」

 

 

秀吉の格好は学ランに鉢巻と言ったどう見ても応援団の服装だ

でも・・・この子なんでこんなにオドオドしてるのかしら?

怪しいわね・・・

 

 

「あ、ちょっと君。聞きたいことがあるんだけど」

 

「ん?あ、木下さん」

 

 

アタシは近くにいた別の応援団?の生徒に声をかける

すると秀吉はあたふたと明らかに動揺した表情を見せる

・・・ますます怪しい

 

 

「君たちは応援団?暑いのに大変ねぇ」

 

「まぁFクラスは応援に強制参加だから仕方ないですよ」

 

「す、須川よ。そろそろ会場の方に行かなねばならんじゃろう」

 

 

やけにこの場を早く離れたそうな秀吉

っていうかFクラスは強制参加だったんだ

でもそれなら別に隠す必要はないような・・・

 

 

「でも、吉井君や美波はともかく姫路さんは体が弱いし、ちょっときついんじゃない?」

 

「あ、アイツらは普通に観客席で応援ですよ。応援団をやっているのは俺達みたいに赤点取った生徒だけです」

 

 

・・・ほう?

 

 

「ひ・で・よ・し?お姉ちゃんアンタが赤点取ったなんて一言も聞いてないんだけどなぁ?」

 

「あああああ姉上こここれには深いわけが・・・」

 

 

やけにオドオドしてると思ったらこの子、赤点取ったことを隠していたのね

 

 

「須川君だっけ?応援頑張ってね」

 

「は、はい!」

 

(秀吉、帰ったら覚えてなさいよ)

 

(・・・今日がワシの命日かもしれんのう・・・)

 

 

アタシは須川君に『笑顔で』そう言いベンチへと移動した

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE 明智

 

 

いよいよ試合開始だ

先攻は文月学園

投手の島田だけでなく、打撃力もかなり強力なチームだ

だが・・・お前らのデータはすでに俺の頭の中だ

 

 

『一番、センター野村君』

 

 

コイツは唯一の一年生レギュラー

足の速さはチーム一。転がせば内野安打の俊足だ

だがつけ入る隙がないわけじゃない

まずは外角に高速スライダー

 

 

「ストライーク!!」

 

 

外角ギリギリいっぱい

今日はこいつも調子が良さそうだな

野村は予想通り一球目を見逃す

こいつは一球目はかなりの高確率で球筋を見る

そして打てそうにないと判断したらこれまたかなりの高確率でセーフティーバントをする

普通は奴の足があれば楽々セーフだろう

だが、バントするとわかっていれば対処するのはたやすい

 

 

「なっ!?」

 

 

野村は予想通りバントをし、それを投球と同時に突っ込んでいたサードが処理

一塁に投げて楽々アウト

 

 

『二番、ライト大村君』

 

 

コイツはたいしたことない

野村が塁に出る事前提の送りバントの達人

だが、自身がセーフになるほどの脚力は無い

普通に勝負で充分だ

 

 

「ストライーク!バッターアウト!」

 

 

軽々三振を取って次は・・・

 

 

『三番、ショート夏川君』

 

 

『鉄壁の二遊間』の異名を持つ守備力の高い選手

打力もあって足も速い、かなり優秀な選手だ

だが・・・お前のデータもインプット済だ

コイツの唯一の弱点、それは選球眼の悪さだ

となれば狙うべきは・・・ストライクからわずかに外れるボール球だ

コースは打者から最も見えにくい外角低め

 

 

「くっ!」

 

 

狙い通りボール球に手を出した夏川はボテボテのセカンドゴロを打ってスリーアウトチェンジ

計算通りだ

 

 

「調子は良さそうだな」

 

「ええ、すべて俺の計算通りですよ」

 

 

俺はベンチで監督とそんな会話を交わす

 

 

「向こうの投手は・・・やはり島田じゃないな」

 

「島田は温存でしょうね。その為に演劇部に協力してもらったんですから」

 

「で?あれは誰だ?」

 

「向こうの一年の藤本ですね。おそらくこれが初登板のはずです」

 

「なかなか大胆な事をしてくるな」

 

「そうでもないですよ。メリットはたくさんあります。まず経験の浅い一年生に経験を積ませることができますし、エースの島田を温存できる。そして去年投げていた夏川を使わなかったのは『鉄壁の二遊間』を壊したくなかったってところでしょう。文月学園は守備力も高いチームですから打たせて取るつもりでしょうね」

 

「なるほどな。そこまでわかっているなら対策はあるのか?」

 

「まぁ藤本は初登板ですし、データは少ないですよ。中学時代のデータは見ましたが大した選手ではなさそうです」

 

 

こっちは他校と違ってホームランを打てるような選手はいない

打撃も守備も平凡だ

だが・・・弱者には弱者なりの戦い方ってものがあるんですよ

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE 明久

 

 

「ちょっとそこの豚野郎。なぜお兄様は投げていないんですの?」

 

「多分温存しているんだろう。この先も連戦になるからな。北条らしい選択だが・・・」

 

「あの一年生で大丈夫かな?あ、また打たれた」

 

「ガッチガチに固まってるわね」

 

「・・・緊張している?」

 

「おそらく公式戦で初登板なんだろう。さっきから北条の構えたところに一球も投げれていない」

 

 

ちなみにこの場にムッツリーニと秀吉はいない

代わりに清水さんと霧島さんがいる

秀吉は赤点を取ったらしく応援団へ

ムッツリーニは新聞部の依頼で写真撮影をしている

まぁどうせ八割くらいチアガールの写真なんだろうけど・・・

そういえば・・・秀吉が別行動と聞いたとき、清水さんの表情が曇ったような・・・

 

 

「それにしても・・・」

 

「アキ?なにチアガールの方をジロジロ見てるのよ」

 

「豚野郎!お姉様というものがありながら!」

 

「ち、違っ!そうじゃなくてウチにチア部なんてあったかなぁ?と思って・・・」

 

 

僕がチアの方に視線を移すと美波が不機嫌そうにこっちを睨む

海人が出場していないから美波の機嫌が悪い

 

 

「あの、よろしければお茶をどうぞ」

 

「え?あ、ありがとう」

 

 

一人のチアの女の子が人数分のお茶を紙コップに入れて持ってきてくれた

 

 

「君たちってチア部の子?ウチにチア部なんてあったっけ?」

 

「チア部ではありませんよ。私たちは・・・島田海人君のファンクラブです!」

 

「え?あれ全員!?」

 

 

パッと見で50人、いや70人はいるような・・・

 

 

「いえいえ、3割くらいは北条智也君のファンクラブの子ですよ」

 

 

それを聞いた瞬間、姫路さんが・・・

 

 

「あの!あなたはどっちのファンなんですか!?」

 

 

凄い勢いで喰いついてきた

 

 

「わ、わたしは・・・その・・・海人君の・・・」

 

 

顔を赤くしながらそう答えると、姫路さんはホッと胸を撫で下ろす

っていうかアレの七割が海人のファン!?

やっぱり海人ってモテるんだなぁ

 

 

「さすがウチの海人ね♪」

 

 

美波の機嫌もすっかり戻ったようだ

 

 

「あれ?でも海人が告白されたって話はあんまり聞かないけど・・・」

 

「ああ、そりゃあそうですよ。だって・・・海人君の好きな人が木下さんだってことくらい見ていればわかるじゃないですか」

 

 

・・・海人、君の想いはどうやら全校規模で筒抜けのようだよ?

気付いてないのは木下さん本人だけか・・・

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE 優子

 

 

「「クシュン!」」

 

「お二人とも風邪ッスか?」

 

「かなぁ?」

 

「うーん。誰かに噂をされている気がするんだけど・・・」

 

 

『四番サード中島君』

 

 

「英雄君、頑張ってね」

 

「まかせとき!」

 

 

あれから2失点したものの何とかスリーアウトを取り今度はこっちの攻撃

中島君は二年生でありながら四番を任されている強打者

これはかなり期待できるわね

 

 

(中島英雄・・・こいつに関しては対応のしようが無い。俺が開発した『野球シュミレーションプログラム』でデータを入力し、こいつを抑えられる確率を検索したところわずか3%だった。となれば・・・)

 

 

キャッチャーが立ち上がる

あれは・・・

 

 

「敬遠?」

 

「英雄君、かなり警戒されているね」

 

 

『ボール!フォアボール!』

 

 

(これでいい、こいつと勝負は危険すぎる)

 

 

『五番セカンド常村君』

 

 

「クソッ!舐めやがって・・・」

 

 

そう言いながら打席に入る常村先輩

 

 

(くくっ!熱くなってるな。これなら冷静な判断はできまい)

 

 

「くっ!」

 

 

常村先輩は内角の直球を詰まらせショートゴロ

それがゲッツーになり中島君もアウトでツーアウト

 

 

「常村の奴、頭に血が昇ってボール球を打たされたな」

 

 

夏川先輩がそう呟く

どうやら今の球はボール球だったようだ

 

 

『六番キャッチャー北条君』

 

 

次は北条君だが、彼は一打席目は見にまわることが多く、ヒットを打つことは少ない

この打席もあまり期待はできないだろう

 

 

「まぁ智也君が何の収穫も無く戻ってくるとは思えないけどね」

 

 

隣で海人君がそう呟く

北条君はカットして粘りつつ情報を集めているようだ

・・・ん?そういえばさっきからあの人・・・

 

 

「ストライーク!バッターアウト!」

 

 

北条君もアウトになりスリーアウトチェンジ

それよりも、さっき気になった『あの人』の行動について伝えなくちゃ

 

 

「北条君、海人君。気のせいかもしれないんだけど・・・」

 




はたして優子が気付いたこととは・・・?

次回も頑張ります

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