バカとテストとウチの弟   作:グラン

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ついにオリジナルストーリーに突入!!
野球が大好きな作者はテンションが高めですよ!
ではでは本編へどうぞ


夏の高校野球編
第八十一問 夏の高校野球始まる


  SIDE 優子

 

 

もうすぐ夏の高校野球の大会が始まる

みんながグラウンドで練習する中、アタシは教室のノートパソコンを使って他校のデータを調べている

 

 

「フムフム・・・『守りの青千商業』に『足の韋駄工業』、それに『王者・星凰学園』か・・・強敵が多いわね・・・あ、この選手、打率が8割以上だわ。要チェックね」

 

 

春の大会のデータを確認しつつ、要注意人物をまとめてプリントアウト

 

 

「しっかし、こうやってみると海人君ってやっぱりすごいのね。4種類も変化球を投げる投手なんて他にいないじゃない」

 

 

他校の投手が投げる変化球の種類はせいぜい2種類、海人君の球種はその倍

なるほど・・・雑誌で注目される理由もわかるわね

 

 

「で、こっちが王者・星凰学園のエース、新藤君ね」

 

 

新藤秀一・・・海人君と1、2を争う名投手でアタシ達と同じ二年生

 

 

「球種は・・・あれ?フォークだけ?」

 

 

どういうことかしら?これが大会ナンバーワン投手?

これなら海人君の方が凄そうに見えるけど・・・

情報が抜けているのかしら・・・

 

 

「っと、もうこんな時間。そろそろあの練習狂(海人君)を止めなくちゃ。どうせまた休憩時間を無視して練習しているに決まってるんだから」

 

 

アタシは調べたデータをパソコンに保存して教室を後にした

これなら明日の放課後に予定してるミーティングには間に合いそうね

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE 海人

 

 

今日は夏の高校野球の対戦票が決まる日だ

僕達は抽選に向かった部長が戻ってくると同時に練習を切り上げ、ミーティングを開始した

 

 

「ウチはシード校なので二回戦からやな」

 

「そうだね。えっと・・・一回戦の豪界高校と秀英学院の勝者とだね」

 

「秀英学院?聞いたことねえな・・・常村、知ってるか?」

 

「いや、俺も聞いたことが無い」

 

 

どうやら先輩たちも知らないようだ

 

 

「秀英学院は一昨年まで女子高で、野球部ができたのは最近。公式戦に出るのは今回が初めてです。それと、豪界高校は四番と五番の選手が打率が高くて要注意人物です」

 

 

僕達がそう話していると、優子さんが話に入ってきた

 

 

「優子さん、なんでそんなに詳しいの?」

 

「一応、アタシなりに色々調べてみたの。役に立てばいいんだけど・・・」

 

 

そう言って優子さんは紙の束を差し出す

受け取ってそれを確認してみると、各チームの要注意人物と注意点、春の大会の成績などが細かくプリントアウトされていた

 

 

「凄い・・・こんな情報、一体どうやって・・・」

 

「成績は地区大会のベスト8の分はインターネットのサイトに残っていたわ。それ以外の高校の分はわからないけどね。他にも動画サイトにいくつか映像が残っていたからそれもチェックしたわ」

 

「充分だ。これがあればだいぶやりやすくなる」

 

「ありがとう優子さん」

 

「お、お礼なんて・・・あ、アタシはマネージャーとしての仕事を果たしただけよ」

 

 

僕と智也君がお礼を言うと優子さんは顔を赤くし、モジモジしている

うーん・・・やっぱり可愛いなぁ・・・

 

 

(・・・とか思ってんだろうな)

 

(島田の奴、投手のくせにすぐに顔に出るからな・・・)

 

 

っと、見惚れてる場合じゃない。今はミーティング中だ

 

 

「まぁおそらくウチの相手は豪界高校になるだろうな」

 

「あ、あと、この高校の特徴は、バントをしないわ。全員がフルスイングでホームラン狙いよ」

 

「そんな情報まで・・・」

 

「攻撃型のチームか・・・となると海人に先発させるしかないな。できれば温存したかったんだが・・・」

 

「夏川に投げさせる気か?冗談きついぜ。そんなことしたら一回コールドで負けちまう」

 

「んだとコラ」

 

 

常村先輩の冗談に夏川先輩が怒る

あ、ちなみに100点取られても一回コールドなんてないからね?

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE 優子

 

 

今日は秀英学院対豪界高校の試合の日だ

アタシは観客席でビデオカメラを持って偵察に来ていた

みんなにはそこまでしなくていいと言われたけど、できることは全部やっておきたいし、やるからには勝ちたい

怠けて情報不足で負けなんて絶対嫌だもんね

 

 

「しっかし暑いわね~当日はドリンクを大目に持って行った方がよさそうね」

 

「木下先輩。いくらマネージャーだからってわざわざここまでしなくてもいいんですよ?こんな日差しの強い場所、女の子には酷なんじゃ・・・」

 

 

一緒に来ていた一年生がアタシに話しかけてきた

なにか問題が起こらないようにと、一年生が2人ついて来てくれたのだ

次戦以降も交代で誰かがついて来てくれるらしい

 

 

「日傘持ってきてるから平気よ。それに、試合をするのが選手ならそれを支えるのがアタシ達の仕事よ。やっぱりやるからには勝ちたいじゃない」

 

 

アタシが彼らに向かってそう言うと・・・

 

 

(木下先輩って真面目なんだな。優しいし・・・)

 

(しっかりしていて頼りになるし、海人先輩が惚れるのもわかるな・・・)

 

((・・・これで鈍感でさえなければな・・・))

 

 

溜息をついた

なにかしら?すごく失礼なことを言われている気がするわ

 

 

「あら?秀英学院が先制したわね」

 

「豪界高校は『取られたら取り返す』がモットーの攻撃のチームですからね。元々守備は大したことないんです」

 

 

なるほど・・・それならこっちにもつけ入る隙はありそうね

 

 

  ※一時間後※

 

 

「・・・まさかこんな結果になるなんてね」

 

「予想外ですね」

 

 

アタシ達は得点票を見ながらそう呟く

 

『秀英学院 2-0 豪界高校』

 

 

「まさかあの攻撃特化チームを0点で抑えるなんて・・・」

 

「偵察に来た甲斐があったわね」

 

 

さて、早速戻って報告しなくちゃ

本当は他の試合も見ていくつもりだったけど、ここは一刻も早く戻って対策をたてなくちゃね

 

 

「っと、ちょっとトイレに行ってくるからカメラ持っててくれる?」

 

「あ、はい。わかりました」

 

 

アタシは二人にビデオカメラを預けてトイレに向かう

そしてトイレから出ようとしたその時・・・

 

 

「次は文月学園か・・・」

 

「エースの島田だっけ。あいつは厄介だよな」

 

 

先程試合をしていた秀英学院の生徒が話をしているのが見えた

ウチの学園の話をしていたこともあって、アタシはとっさに隠れてしまった

 

 

「まぁ問題ねえよ。キャプテンは島田から点を取る策があるって言ってたからな」

 

 

・・・え?

今、なんて言った?

海人君から点が取れる?まさか・・・

いやでもありえない話じゃない

確か秀英学院には『ビジネスパソコン科』があったはず

アタシみたいにパソコンでデータを調べたのなら有名人の海人君のデータなんて山ほどあるはず

とにかく偶然とはいえこれはいい情報を貰ったわ

アタシは彼らに見つからないようにその場を離れた

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE ???

 

 

「行ったか?」

 

「ああ」

 

「『演劇部』の皆さんどうもご苦労様です」

 

 

文月の女がいなくなったのを確認して俺は先ほどまで話していた二人の元に近づく

そう、全ては演技

偵察に制服で来るなんてまだまだ甘いな

彼女が近づいてきたのを見計らってユニフォームを着た演劇部の生徒に事前に頼んでおいたセリフを言ってもらったのだ

なぜ、そんなことをしたのか?

それは・・・どんな策を持ってもこの戦力で島田から確実に点を取ることは不可能という結論に至ったからだ

ならばどうする?答えは簡単。出てこられたら打てないなら出れないようにすればいい

 

 

「これで本当に大丈夫なのか?」

 

「ええ、向こうのブレイン、北条智也は常に最善策を取ってきますからね。島田が解析されている危険性と後の事を考えて温存したいという気持ちで奴は島田を出せません」

 

 

まぁ万が一出てきても、あれだけの事を言われれば投手なら何か自分の投球フォームに癖があるんじゃないかと心配になってくる

そうすれば本来の投球ができず、勝手に崩れるだろう

 

 

「ま、『知将』の称号がふさわしいのは北条智也ではなくこの俺、明智昌幸だと世間にわからせてやりますよ」

 




敵の罠に嵌ってしまった優子
はたして試合はどうなるのか?

次回も頑張ります

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