バカとテストとウチの弟   作:グラン

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第七十七問 優しい人ほど怒ると怖い

  SIDE 優子

 

 

学校を終えたアタシは、北条君から借りた野球のルールブックを読んでいる(海人の持っている物はドイツ語だったので読めなかった)

マネージャーをやるからには最低限のルール位覚えないとね

 

 

「姉上、お茶がはいったぞい」

 

「あ、うん、ありがとー」

 

 

秀吉が入れてくれたお茶を飲みながら一息つく

 

 

「部活の方はどうじゃ?」

 

「そうねぇ・・・部活って言ってもアタシがやってるのは備品と部費の管理と海人君の見張り位だからね。でもまぁ見ていて楽しいわよ」

 

 

海人君や北条君にはいろいろとお世話になってるし、できる限り力になってあげたいしね

それに間近で見る野球はテレビなんかとは違って迫力があるし、選手たちの楽しそうな姿を見ているとこっちまで楽しくなってくる

そういえば・・・北条君が『木下がマネージャーをしてから海人のやる気が上がった』って言ってたけど、なんでかしら?

まぁ力になれたのならいいけど

 

 

「それより姉上、いつまでもルールブックばかり読んでいてよいのかの?」

 

「?なによ?文句ある?元々、『暇なら部活でもしてみてはどうかの?』って言ったのはあんたじゃない。それに今日は部活が休みなんだから他にできることなんてないし」

 

「・・・なぜ部活が休みなのかわかっておるのかの?」

 

「そんなの期末テスト直前だからに決まって・・・」

 

 

ん?

・・・キマツ・・・テスト・・・?

アタシはギギギと音を立てながらカレンダーを見る

・・・テスト4日前・・・

ここ数日、考え事とルールブックを読んでばかりで全く勉強していない

・・・終わった・・・

 

 

  ※翌日※

 

 

「はぁ・・・」

 

 

どうしよう・・・

得意の文系はともかく、理数系は所々わからないところが多い

こうやって考えてみると北条君や海人君ってすごいわよね

部活で忙しいのに学業もAクラス並みだなんて・・・

 

 

「・・・ん?メール?秀吉からだ」

 

 

携帯が震えてるのに気付き、開いてみると、秀吉からのメールが着ていた

余談だが、秀吉の携帯は連絡が取れなくて不便だからアタシが無理矢理買わせたものだ

っと、それよりも内容は・・・

 

 

『今日、みんなで勉強会をするのじゃが、姉上も一緒にどうじゃ?』

 

 

ふむ・・・ちょうどいいかもしれない

誰かに教えるのは自分にとっても復習になるし、海人君と美波は数学が得意だから教わることもあるだろう

アタシは秀吉にメールを返し、再び机に向かった

 

 

  ※放課後※

 

 

「姉上、こっちじゃ」

 

 

『校門前で待っている』というメールを受けてそこに向かうと、秀吉と吉井君、それに島田姉弟が待っていた

 

 

「思ったより少ないのね。坂本君や土屋君、姫路さんも一緒だと思ったわ」

 

「雄二君は霧島さんが拉致。康太君は工藤さんとどこかに行って、姫路さんはわからないけど『先約があるんです♪』って嬉しそうにどこかに行ったよ」

 

 

代表も愛子も積極的ね

姫路さんは・・・嬉しそうってことは多分北条君のところね

 

 

  ※一方その頃※

 

 

「うぅ・・・試合前なんに何で勉強なんてせなあかんねや・・・」←ほぼFクラス並み

 

「全くッス、期末テストなんてなくなればいいんッス」←一年生で学年最下位

 

「やかましい!お前ら赤点なんて取ってみろ!試合に出さないからな」←勉強に付き合わされている学年二位

 

「まぁまぁ落ち着いてください。私もお手伝いしますから(北条君と一緒・・・幸せですぅ♪)」←手伝いにきたピンクのウサギ

 

 

  ※優子、予想的中※

 

 

  再び優子SIDE 

 

 

「ところでどこで勉強するの?」

 

「ウチの家よ。この人数なら入れると思うわ」

 

「うん。まぁ五人だけなら大丈夫でしょ」

 

 

どうやら島田家でやるらしい

 

 

「ちなみにそこが僕の・い・・え・・・」

 

 

?吉井君の様子がおかしい

ん?アパートの前に女の人が立っている

なんかこっちを見ているような・・・

あっ、こっちに近づいてきた

 

 

「アキ君!」

 

 

アキ君?吉井君の事かしら?

 

 

「ねぇ海人君、あの人知り合い?」

 

「あ、うん。あの人は・・・」

 

「・・・何しに来たの?」

 

 

海人君の言葉に被せるように吉井君が女の人に向かってそう言った

普段の吉井君からは想像もできないような表情に冷たい目

 

 

「よく顔を出せたね?あれだけの事をしておいて」

 

「あ、そ、それは・・・」

 

 

どうやら女の人は吉井君の知り合いのようだが、仲が良いようには見えない

だって・・・吉井君の表情が憎悪に満ち溢れているから

 

 

「あ、アキ君、姉さんは・・・」

 

「姉貴面するなよ!もうアンタとは縁を切ったんだ!!顔も見たくない!帰ってよ!!」

 

 

どうやらこの人は吉井君のお姉さんらしい

でも・・・なんで吉井君はこんなに怒っているの?

正直言って怖い・・・

優しい人ほど怒ると怖いって言うけど、まさにそんな状況だ

気付けばアタシは海人君にしがみついて震えていた

 

 

「あ、アキ兄さん、落ち着いて」

 

「アキ、もうウチは気にしてないから」

 

 

海人君と美波が止めに入る

どうやらこの姉弟喧嘩には美波が絡んでいるらしい

 

 

「・・・ごめん。今日はやっぱり帰るね」

 

「あ、アキ君!」

 

 

そう言うと明久君はお姉さんの声を無視してアパートに入って行ってしまった

 

 

「あ、玲さん!アキはその・・・きっと意地になってるだけで・・・」

 

「・・・いえ、全部私が悪いんです。美波さんにも酷い事をしてしまいましたね。ごめんなさい」

 

「い、いえ!気にしないでください!」

 

「美波さん、海人君、それにそちらのお友達の方もアキ君と仲良くしてあげてくださいね。それでは・・・」

 

 

そう言って明久君のお姉さん(玲さんだっけ?)は去って行った

 

 

「優子さん、大丈夫?」

 

 

あ、そういえばアタシ、海人君にしがみついていたんだった

 

 

「あ、うん。平気よ。ちょっとビックリしただけ」

 

 

そう言ってアタシは海人君から離れる

 

 

「一体何があったのじゃ?明久があれほど怒るところなんてワシは見た事ないぞい」

 

「・・・そうね。家に着いたら話すわ」

 

 

そう言ってアタシ達は歩き出す

周りを見渡すと今の騒ぎで近所の人が集まってきている

早くこの場を離れた方がよさそうだ

そして歩くこと数分、美波の家に到着

 

 

「お姉ちゃん、お帰りなさいです!」

 

「ただいま葉月」

 

 

美波と海人君の妹の葉月ちゃんが勢いよく美波に抱き着いた

ホント、仲が良いわね

 

 

「今日はお友達と勉強するからね」

 

「分身の術です!」

 

 

・・・アタシと秀吉の事を言ってるのかしら?

 

 

「違うわよアタシは姉の優子、こっちは弟の秀吉、双子の姉弟よ」

 

「お兄ちゃんとお姉ちゃんと一緒ですか?」

 

「そうそう」

 

「?そういえばお兄ちゃんは一緒じゃないですか?」

 

 

・・・え?

振り向くと確かにそこには海人君の姿は無かった

 




玲が明久に嫌われている理由とは・・・?
もうなんとなくわかった人もいるでしょうが、ネタバレはらめぇ!!ww
海人が姿を消した理由・・・
これもわかった人はいるでしょうが、ネタバレは・・・(以下略)

次回も頑張ります

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