バカとテストとウチの弟   作:グラン

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順位に意外な変動が・・・


第六十三問 暗躍する影

  SIDE 海人

 

 

「はぁ・・はぁ・・・やっと倒せた・・・」

 

「ついムキになってだいぶタイムロスしちゃったね・・・」

 

 

あの後、猿を追いかけまわして、二人で囲んでボコボコにした

傍から見たら完全に動物虐待だ

結局、倒せたラッキーモンスターはメタル一匹だけ

感情的になっちゃいけないね

反省反省

 

 

「順位はどうなってるかな?」

 

「ちょっと待って、えっと・・・え!?」

 

 

?どうしたんだろう?

僕は工藤さん持っているタブレットPCを覗き込む

・・・ええっ!?

 

 

 

  ☆現在の順位☆

 

 

1位 75番(翔子&秀吉) 631P

 

2位 12番(智也&美波) 586P

 

3位 95番(明久&美春) 505P

 

4位  4番(雄二&友香) 496P

 

5位 100番(海人&愛子) 440P

8位 36番(優子&英雄) 303P

40位 131番(康太&瑞希) 220P

 

 

※()内の名前は読者にわかりやすく・・・以下略

 

 

 

「順位が落ちてる・・・」

 

「しかも3位の95番なんてさっきまで上位にいなかったはずだよね?」

 

 

上位10組くらいは何番だったのか覚えている

その中に95番なんてなかった

つまり、今のラッキーモンスターで追い上げてきたということだ

あの大量のマイナスモンスターを躱しながらプラスモンスターのみを倒す

そんな芸当ができるのは・・・

 

 

「アキ兄さん・・・」

 

 

観察処分者で召喚獣の扱いが学年一上手いアキ兄さんしかいない

しかしこんなに一気に追い上げてくるなんて・・・

もう一回この手のイベントがあったら追いつけなくなってしまう

 

 

「4番と36番のポイントが変わってないってことはやっぱりこの二組は戦死したみたいだね」

 

「だね~チャンスだけど、ここで焦ると僕達も戦死しちゃうし、無理しない程度に頑張ろう」

 

「そうだね」

 

 

そう言って、僕達は再び歩きだした

・・・と、工藤さんの足が止まった

 

 

「?どうしたの?」

 

「あれ・・・なんだろう?」

 

 

そう言う工藤さんの視線の先には・・・

 

 

「洞窟?」

 

「洞窟だね。でも、立入禁止って書いてるよ」

 

 

立入禁止の札が立てられた洞窟があった

明らかに怪しい

 

 

「もしかしたら何かのイベントの時に入れるようになるんじゃない?」

 

「なるほど・・・そうかもしれないね」

 

「じゃあこの場所は覚えておこう。きっと何かの役に立つだろうし・・・」

 

「そうだね・・・っと、それよりそろそろ戦場に戻らないと・・・」

 

 

そう言って僕達は今度こそ戦場に向かって歩き出した

 

 

  SIDE OUT

 

  NO SIDE

 

 

海人たちが洞窟の前を離れて数分後

一人の男がその場に姿を現す

そして男は岩場の陰に隠されたスイッチを押す

すると壁が動き、まるで洞窟なんて始めからなかったかように塞がった

 

 

「クククッ、下準備はコレで完璧。明日がテメエの命日だ。島田海人」

 

 

男はそう呟きながら下品な笑みを浮かべるのだった

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE 美波

 

 

「ラッキーモンスターを何体か倒せたものの・・・やっぱり霧島には届かないか・・・」

 

「・・・そうね・・・」

 

 

ウチが何体か紫のマイナスモンスターを倒してしまったせいであまりポイントを稼ぐことは出来なかった

 

 

「まぁあまり気にしすぎるな。まだ明日がある」

 

「うん」

 

 

現在一位は木下と霧島さん

一応、ウチ達の中の誰が勝っても海人と仲直りをさせてくれるということになっているけど・・・

出来る事なら自分の手でケリをつけたい

勝ってアキに謝って、海人と仲直りをしたい

 

 

「あれ?美波?」

 

「お姉様!」

 

 

そんなことを考えているとアキと美春にばったり出会った

この二人がペアだったのね

 

 

「美波達は、今、二位なんだね。僕達は三位だし、海人たちは五位だからきっと勝てるよ。大丈夫。僕が絶対に仲直りさせてあげるからね」

 

 

アキはやっぱり優しい

いままであれだけ酷い事をしてきたのに、それでもウチの為に頑張ってくれている

それに比べてウチはなんてバカなんだろう

小学校の時に海人に酷い事をして反省したのにまた同じことを繰り返して・・・

 

 

「?美波?どうしたの?」

 

「・・・ううん。ありがとね、アキ」

 

 

その後二人と別れ、ウチ達が向かった先は補充試験場

今日はもう残り時間が少ないので、残った時間を明日への下準備に使うことにしたのだ

 

 

「科目は・・・と・・・でいいな」

 

 

隣で北条が補充テストの科目を選ぶ

この勝負、本当に勝てるかな?

仮に勝ったとして、海人とちゃんと仲直りできるのかな?

今まで通り仲良く話とかできるのかな?

 

 

「そう深刻な顔をするな。確かに海人と工藤のペアは厄介だが、俺も負ける気はさらさらない」

 

「そうね・・・ありがとう」

 

 

ウチの表情を見て北条が声を掛けてくれたので、お礼を言う

海人や瑞希の言うとおり、北条って面倒見が良くて優しいのね

その後、補充テストを受けているうちに午後の部は終わった

 

 

  SIDE OUT

 

  NO SIDE

 

 

時刻は午前0時

一人の男が建物に潜入していた

特に貴重な物が置いてあるわけではない為、その建物には見張りはおろか鍵すらかかっていなかった

そして男は『100』と書かれた部屋のドアを開け中に入る

そして中に置いてあるタブレットPCを別の物とすり替え、部屋を出る

そして建物を出た後、ケータイを取り出し、誰かと連絡をとる

 

 

「俺だ。計画通り、島田海人のタブレットPCをすり替えたぜ」

 

『私としては島田海人より吉井や坂本を潰したいんだがね』

 

「まぁそう言うなよ。島田を潰したら次はそっちも手伝ってやるからよ。にしてもアンタも諦めが悪いなぁ。そんなに学園長の座が欲しいのか?」

 

『そんなものには興味はないよ。あれは常村と夏川を手伝わせるための口実に過ぎない。私の目的はただ一つ・・・・藤堂カオルへの復讐だけだ』

 




ようやく一日目が終了
何者かが海人を狙ってる!?
最後に現れた二人の男の正体は・・・

次回も頑張ります

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