バカとテストとウチの弟   作:グラン

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最近、僕がここで投稿していることを知っている友人から質問されました

『智也の過去編は無いのか?』・・・と

有ります!が、それを書いてしまうと色々とネタバレしてしまうのです!
なので智也の過去編はかなり先になります
ご了承ください


第五十七問 捨てないで!

  SIDE 美波

 

 

「アキ!待って!待ってってば!」

 

「何?っていうかなんでついてくるの?」

 

 

そう言ったアキの目は今までに見たこともないような冷たいものだった

 

 

「なんでって・・・別にいいじゃない!ウチはアキの彼女なんだから・・・」

 

「彼女?よく言えるね?僕の事なんてサンドバックにしか思ってないくせに」

 

「そ、そんなこと・・・」

 

「もういいよ。別れよう」

 

「え・・・な、なんで!」

 

「なんで?殴られたくないからに決まってるでしょ。僕はもっと優しい女の子と付き合うから。じゃあね。さようなら」

 

「ま、待って!」

 

 

ウチはアキを追いかけようとしたけど、なぜか足が動かない

と、そこにFクラスのいつものメンバーの姿が・・・

 

 

「み、みんな!お願い!アキを止めて!」

 

「お前が悪い。諦めろ」

 

「見損なったのじゃ」

 

「美波ちゃんが悪いんですよ」

 

「・・・自業自得」

 

 

そう言ってみんなは私に背を向けて歩き出した

 

 

「そんな・・・ま、待ってよ!ウチが悪かったから!もう絶対暴力振るったりしないから!だからお願い!行かないで!」

 

 

ウチはそう叫んだ

すると、向こうから誰かが近づいてきた

それは・・・

 

 

「か、海人・・・」

 

 

海人は優しいからウチが反省してるのを見て戻ってきてくれた

そう思った・・・・が・・・

 

 

「姉さんなんか大っ嫌いだ」

 

 

冷たい目でそう言い放った

 

 

「いや・・・・いやああああああああ!!」

 

 

 

 

 

 

「・・・ハッ!」

 

 

気がつくとさっきまでの光景は無く、ウチはベッドで目を覚ました

ここは・・・そうだ、ウチは保健室で横になって・・・

じゃあさっきのは夢?

 

 

「よ、よかった・・・」

 

 

とはいえまだ安心できない

早くアキに謝らないと・・・

でも・・・電話には出てくれなかったし、メールも送ったけど未だに返信無し

きっとまだ怒っているんだ

当然よね。今までさんざん酷い事してきたんだから

こうなったら直接謝るしかないけど・・・

 

 

「・・・怖い・・・怖いよ・・・」

 

 

もしも拒絶されたら・・・もし別れようって言われたら・・・

そんなことになったらウチは・・・

 

 

「・・・ん?」

 

 

ウチは折りたたんで置いておいたリボンの下に折りたたまれた紙が置いてある事に気付いた

それを手に取り、開くと・・・そこには一言

 

『大切な話があるから起きたら声を掛けて   明久』

 

・・・もう・・・おしまいだ・・・

大切な話・・・間違いない別れ話だ・・・

きっとアキはウチに愛想尽かせちゃったんだ

 

 

「でも・・・せめて最後に・・・」

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE 明久

 

 

結局、美波と話せないまま夜になってしまった

自習が終わった後、もう一度保健室に行ったけど、そこには美波の姿はなかった

手紙がなくなっていたから多分読んでくれたと思うんだけど・・・

 

 

「まだ顔を会わせづらいのかな?」

 

「おい明久、もう消灯時間だ。電気消すぞ」

 

「あ、うん・・・って、あれ?海人は?」

 

「今日も向こうで寝るそうだ。まぁ今はそっとしておいてやれ」

 

「そうだね・・・」

 

 

こうして二日目が終了

僕達は眠りについた

 

 

 

 

 

 

「・・・キ・・・・アキ」

 

「う・・・ん・・・」

 

 

誰かに呼ばれた

そんな気がして僕は目を開けた

するとそこには・・・

 

 

「み、美波!?なんでここに・・・ムグッ!」

 

 

僕に馬乗りになっている美波に驚きの声をあげると、美波は自分の口を僕の口に重ねて塞いだ

これはいわゆるキス・・・別名、接吻だ

それにしても・・・たしかに声を掛けてとは言ったけど、まさかこんな真夜中に来るとは思わなかった・・・

 

 

「・・・アキ・・・」

 

 

美波は口を離し、服を脱ぎ始め・・・って!!

 

 

「み、美波!何をしてんのさ!」

 

「・・・お願いアキ。ウチを抱いて」

 

 

下着姿になった美波はうるんだ瞳で僕を見ながらそう言い放った

か、可愛い・・・理性が飛びそうだ・・・

 

 

「そうよね・・・ウチの顔なんてもう見たくないわよね・・・でもお願い!初めては大好きなアキに捧げたいの。お別れする前にせめて一回だけ・・・ウチを抱いて。それでウチは諦めて・・・」

 

「美波?さっきから何を言って・・・」

 

 

さっきからなんか話が噛み合ってないな・・・

そんなことを考えていると美波は今度はポロポロと涙を流し始めた

 

 

「・・・やっぱり・・・やっぱりやだ!ウチと一緒じゃあアキが幸せになれないのはわかってる!もうウチにはアキに愛してもらう資格がない事もわかってる!でも・・・それでもウチはアキが好き!捨てられたくない!別れたくないよ・・・」

 

「み、美波!?落ち着いて!一体何の話をしてるの!?」

 

「う・・ん・・・うるさいぞ明久。さっきから何を騒いで・・・って、ウオッ!何で島田がここに!?しかもなんで下着姿なんだ!?」

 

「な、何事じゃ!?」

 

「・・・眠れない・・・」

 

 

僕達のやり取りでみんなが起きてしまった

 

 

「うわあああああん!!やだよぉ!!アキィィィ!!捨てないでぇぇぇ!!」

 

「ちょ、ちょっと美波!?声が大きいって!!」

 

「し、島田!何があったが知らんがとにかく落ち着け!こんなとこ、他の奴に見られたら・・・」

 

 

僕達は必死に大泣きしている美波をあやして・・・

 

 

「うるさいぞお前ら!!一体何を騒いで・・・」

 

 

・・・いると、鉄人がドアを開け固まった

ここで今の状況を説明しよう

僕達は四人がかりで泣いている美波をあやしているわけだが、肝心の美波は下着姿

この光景を第三者が見るとどう見えるか?

 

 

「貴様ら・・・女子を無理矢理連れ込んで襲うとは何事か!!」

 

 

・・・こう見えるわけだ

 

 

「「「「誤解だぁぁぁ!!」」」」

 

 

 

※しばらくおまちください※

 

 

 

数分後、僕達の頭上に再びタンコブが出来上がっている

今日は随分と拳骨を喰らう日だなぁ・・・

 

 

「全く、そういうことなら早く言わないか」

 

 

・・・言う前に殴りかかって来たくせに・・・

ちなみに美波は未だクスンクスンと泣いている

(もちろんもう服は着てるよ)

 

 

「島田姉。恋愛をしていれば喧嘩もするだろうし嫉妬することもあるだろう。だが、相手の意見も聞かずに暴力はよくない。わかるな?」

 

「・・・はい」

 

 

それがたった今相手の意見を聞かずに暴力を振るった人間の言葉か?

 

 

「暴力ではない。これは教育だ」

 

 

・・・横暴だ

 

 

「とにかく今日はもう遅いから早く寝ろ。島田も早く部屋に戻れ」

 

「はい。あの・・・アキ・・・」

 

「ん?」

 

「・・・今まで、暴力を振るって本当にごめんなさい」

 

「もういいよ。それより早く海人と仲直りしなくちゃね。僕も協力するからさ」

 

「うん。ありがとアキ。おやすみなさい」

 

「おやすみ」

 

 

そう言って僕は美波を見送った

さて、明日は二人を仲直りさせるための策を考えなくちゃ

だって僕は、仲良く笑い合っている美波と海人を見るのが好きなんだから

 




今週末はちょっと旅に出てきます
故に投稿が少し遅れる&感想への返信が遅れるかもしれません
予めご了承ください

次回も頑張ります

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