バカとテストとウチの弟   作:グラン

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保健室に運び込まれた海人
はたして無事なのか・・・?



第三十八問 なんで相談してくれないのよ!

  SIDE 優子

 

 

海人君を保健室に運んで数分後、保険の先生が出てきた

 

 

「先生、海人は!?」

 

「大丈夫、あちこち傷ついているけど骨には異常はないみたいだし、見た目ほどじゃないわ。でも打ち身がちょっと酷いみたいだからしばらくは安静にしてね。帰るまでベッドは使ってていいからね」

 

 

そう言って先生は去って行った

 

 

「よかったわね島田さん」

 

「うん」

 

「一安心じゃな」

 

 

そう言ってアタシ達は安堵の溜息をついた

 

 

「おい明久!」

 

「あれ?雄二?どうしたの?ってかあいつらは?」

 

「ムッツリーニに任せてきた。それよりなにボケッとしてんだよ!?」

 

「??何って・・・?」

 

「試合だよ試合!今から四回戦だろうが!」

 

「ああっ!そうだった!ゴメン!じゃあまた後で!」

 

 

そう言って吉井君と坂本君は走り去って・・・

・・・ん?試合・・・?

 

 

「ああっ!!」

 

「ど、どうしたのじゃ!?」

 

「アタシの試合・・・もう終わってる」

 

「そういえばウチの試合も終わってるわね・・・ってことは・・・」

 

「「不戦敗・・・」」

 

 

落ち込むアタシと島田さん

 

 

「うぅ、代表、怒ってるかなぁ・・・」

 

「ま、まぁ霧島さんにはウチからも説明するから」

 

「それに霧島には悪いが好都合じゃ。なんせ雄二と明久が優勝しないと海人が退学に・・・」

 

「木下!」

 

「っ!!」

 

 

島田さんの叫びに秀吉は口が滑ったと言わんばかりの表情を浮かべる

それよりも・・・今、なんて言った?

海人君が・・・退学・・・

まぁそれは・・・

 

 

「ひ~で~よ~し?お姉ちゃん、ちょぉぉぉと、教えてほしいことがあるんだけどな~」

 

 

秀吉の身体に聞くことにしよう

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE 海人

 

 

「う・・ん・・・」

 

 

ここは・・・保健室?

なんで僕は保健室で寝て・・・!!

思い出した!姉さんと優子さんは!?

 

 

「うぐっ!」

 

 

起き上ろうとすると脇腹に痛みが・・・

あの不良に殴られた傷かな?

そう思い、脇腹の辺りに視線を向けると・・・

 

 

「すぅ・・・すぅ・・・」

 

 

ベットにもたれて寝ている姉さんの姿が・・・

良かった・・・無事だったんだ

姉さんが無事ということはおそらく優子さんも無事だろう

 

 

「ん・・・」

 

 

そんなことを考えていると姉さんが目を覚ました

 

 

「おはよう姉さん」

 

「ん・・・おはよ・・・って!?海人!?目を覚ましたのね!よかった・・・」

 

 

そう言って涙を零す姉さん

 

 

(ガラッ)

 

「あっ、海人君!もう大丈夫なの!?」

 

 

優子さんが保健室に入ってきた

良かった、やっぱり優子さんも無事だったんだ

 

 

「僕が気絶した後、どうなったの?」

 

「アキ達が助けに来てくれて不良たちをやっつけてくれたのよ」

 

 

そっか、アキ兄さんたちが助けてくれたのか・・・

やっぱりみんな凄いな

それに比べて僕は・・・

 

 

「?どうしたのよ?元気がないわね」

 

「うん・・・ちょっと情けなくてさ。結局僕は何もできなくて・・・」

 

「なに言ってるのよ?海人君もアタシ達を助けてくれたじゃない」

 

「?助けたのはアキ兄さんたち・・・」

 

「もちろん吉井君達もだけど、もし海人君が居なかったら吉井君達の助けは間に合わなかったし、アタシ達はもっと酷いことをされていた。それこそ取り返しのつかないことになるところだったのよ。海人君は殴られて痛くて苦しくて逃げ出したいはずなのに、アタシ達を助けるために逃げずにあいつらにからアタシ達を守ってくれたじゃない。ありがとうね、海人君」

 

 

そう言って優子さんは僕の手を握った

ちょっと照れくさいな・・・

そして・・・

 

 

(ミシミシミシ・・・)

 

 

その握る手にだんだん力が入って・・・

・・・あれ?おかしいな?だんだん痛くなってきたよ

 

 

「それはそうと・・・退学処分ってなにかしら?」

 

「な、なんでそれを!?」

 

 

姉さんの方に視線を向けると、姉さんはバツの悪そうな顔をして違う方向に視線を向けた

その視線の先には・・・ぐるぐる巻きになっている秀吉君が保健室の隅に転がっていた

オッケー。状況は理解した・・・が、解決策が見つからない

 

 

「なんで相談してくれないのよ!?アタシはそんなに信用できない!?」

 

「ち、違うよ!その・・・あの事件のことで責任を感じるんじゃないかと思って・・・」

 

「当たり前でしょ!全部アタシのせいなのに海人君が退学なんて・・・しかも、もし吉井君と坂本君のペアとアタシ達が当たって、アタシ達が倒したら、結果的にはアタシが海人君を学園から追い出すことになるのよ!そんなことになったら・・・アタシはこの先どうすればいいのよ・・・」

 

 

そこまで言ったところで優子さんは泣き出してしまった

 

 

「優子さん・・・その・・・ごめん。優子さんのことを考えてるつもりで自分の希望を押し付けてるだけだった。優子さんの気持ちとか、全然考えていなかった。本当にごめんなさい」

 

 

僕はそう言って優子さんに頭を下げた

 

 

「ぐすっ・・・二度目はないからね」

 

 

優子さんはそう言って許してくれた

 

 

(ガラッ)

 

「・・・優子、ここにいた」

 

 

保健室のドアが開いて霧島さんが入ってきた

 

 

「代表!その・・・大会すっぽかしてごめんなさい!」

 

「・・・事情は雄二から聞いた。気にしなくていい」

 

「でも、あんなに如月グランドパークのチケットを欲しがってたのに・・・」

 

「・・・どっちにしろ優勝は雄二と吉井がしなくちゃいけなかったからチケットは手に入らない。それと優子は勘違いしてる」

 

「へ?」

 

「・・・私は負けてない。四回戦でBクラスの世古と緋堂を倒して準決勝進出」

 

 

・・・はい?

Bクラスの生徒相手に二対一で勝利・・・?

 

 

「「「えええええええっ!?」」」

 

「・・・いえい」

 

 

霧島さんは微笑みながらピースした

 

 

「一体どうやって・・・」

 

「・・・北条の真似をしてみた」

 

「智也君の?」

 

「・・・そう、相手の動き、思考、攻撃パターンを全て覚えた」

 

 

いやいやいや!さらっと凄いこと言ってるよ!?

・・・僕達、もうAクラスには勝てないんじゃないかな・・・

・・・ん?待てよ

 

 

「え、えっと・・・僕達は・・・『不戦敗よ』・・・ですよね~」

 

 

まぁ仕方ないか

後はアキ兄さんと雄二君に任せることにしよう

 

 

(ガラッ)

 

 

「みんな揃ってるな?」

 

「お兄ちゃん!!」

 

「海人君、美波ちゃん、木下さん、大丈夫ですか!?」

 

 

智也君と葉月と姫路さんが入ってきて、葉月は勢いよく僕に抱き着いてきた

 

 

「海人、怪我の方は大丈夫か?」

 

「うん、ちょっと体の節々が痛むけど、平気だよ」

 

 

智也君はそうかと呟きながら次の言葉を口にする

 

 

「今回の件の真相を説明する。悪いが隣の部屋に集めってくれないか?」

 

「?それならさっき木下さんに話したけど・・・」

 

「いや、お前らも知らされていない事だ。それを本人の口から説明させる。吉井と坂本はその人物を呼びに行っている」

 

 

そう言うと智也君は隣の部屋に移動、僕達もそれに続いた

 

 

「だ、誰か・・・ワシの縄を解いてほしいのじゃ・・・」

 

 

・・・ぐるぐる巻きにされたままの秀吉君を置き去りにしたまま・・・

 




翔子は負けていなかった
人並み外れた記憶力により見事勝利!

次回は真相が明らかに・・・
明久と雄二が呼びに行った人物とは・・・?

次回も頑張ります

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