バカとテストとウチの弟   作:グラン

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騙された優子と美波の運命は・・・?


第三十六問 姉さんに手を出すな

  SIDE 美波

 

 

ウチと木下さんは今、変な連中に連れられ、海辺の近くに来ている

どうやら使われていない倉庫のようだ

そして不良の一人がドアを開ける

この中に海人が・・・

 

 

「さて、着いたぞ」

 

 

中に入り、周りを見渡すが海人の姿は無い

 

 

「海人はどこよ!さっさと返しなさい!」

 

「安心しろ、すぐに来るさ・・・お前らを助けにな!」

 

 

・・・え?

 

 

「ど、どういうことよ!?」

 

「・・・騙された・・・ってわけね」

 

「ほぅ?馬鹿クラスの生徒って聞いていたがそっちの嬢ちゃんは頭の回転が速いじゃねえか」

 

 

木下さんの呟きに不良の一人が関心したような声をあげる

つまり・・・海人は最初から拉致なんてされてなかった・・・?

 

 

「騙したのね!?」

 

「ああそうさ。話に聞いた通り、弟の事になると冷静な判断ができなくなるらしいな」

 

「標的は召喚大会に出ているFクラスの生徒。恨みはねえが金の為だ。お前の弟にはサンドバックになってもらうぜ!」

 

 

・・・金の為・・・?

こいつら・・・誰かに雇われている?

ハッ!それよりも・・・

 

 

「くっ!木下さん!逃げるわよ!」

 

「逃がすわけねえだろ!」

 

 

ウチは木下さんの手を引いて逃げ出そうとしたが、こいつらがそれを許すはずもなく、出口に立ちふさがる

 

 

「ったく、悪い子にはオシオキが必要だな」

 

「きゃぁああ!」

 

「島田さん!」

 

 

ウチは不良に髪の毛を掴まれ、そのまま倉庫の奥まで引き摺られていき投げ飛ばされた

 

 

「島田さん!大丈夫!?」

 

 

木下さんが駆け寄ってきてウチを抱きかかえる

 

 

「へへ、良く見れば二人とも可愛い顔してるじゃねえか・・・ちょっとくらい楽しんでもいいよなぁ?」

 

 

不良の一人が下品な笑みを浮かべながら近づいてくる

 

 

「後にしろ・・・本命が来たぞ」

 

 

不良がそう言うと同時にドアが開き、そこには海人の姿が・・・

 

 

「姉さんと秀吉君を返せ!・・・?」

 

 

海人が驚いたような表情を浮かべる

おそらく木下(弟)がいると聞いたのに木下(姉)が捕まっているから混乱しているんだろう

って、それどころじゃない!

 

 

「海人!来ちゃダメよ!」

 

「そうよ!今すぐ逃げて!」

 

 

ウチと木下さんは海人に向かって叫んだ

でも・・・

 

 

「おっと、逃げるんじゃねえぞ!抵抗もするな。さもないと・・・」

 

 

そう言ってウチの顔にナイフを突きつけてきた

 

 

「海人!ウチのことはいいから逃げて!」

 

 

そう叫ぶがウチにはわかっていた

海人は優しすぎるから・・・誰かを見捨てて逃げるなんてことはできない

 

 

「・・・どうすればいい?」

 

「そうだな・・・手を後ろに組んでそこを動くな」

 

 

海人は男の言われるがままに手を後ろに組んだ

 

 

「よし、良く出来まし・・・たっ!」

 

「ぐっ!」

 

 

そして男が海人の腹を殴り、海人は地面に倒れ込む

 

 

「海人!」

 

「海人君!」

 

「おっと、暴れるんじゃねえ!」

 

 

ウチと木下さんは海人に駆け寄ろうとしたが、男に羽交い絞めにされた

 

 

「くっ!離して!」

 

「そうはいかねえな。お前ら!やっちまえ」

 

 

リーダー格の男がそう言うと二人の男が海人に近づいて殴る、蹴る、踏みつけるなどの暴行を加え始めた

 

 

「お願い!もうやめて!海人が死んじゃう!」

 

「アンタ達!無抵抗の人相手に卑怯よ!」

 

「そうだな・・・お前らの態度次第じゃ考えてやってもいいぜ」

 

 

リーダー格の男が暴行を加えている男達に待ったをかける

 

 

「お前らが俺達を楽しませてくれるなら考えてやってもいい」

 

 

そう言ってイヤらしい笑みを浮かべている

何をしようとしているのか、嫌でもわかってしまった

正直言って怖い・・・でも・・・

 

 

「わかった。ウチがアンタ達の言うことを聞く。だから海人を・・・」

 

「くくっ、優しいお姉ちゃんだねぇ。いいだろう。じゃあそこの女!」

 

 

そう言って男は木下さんを指差した

 

 

「お姉ちゃんの服を脱がせろ」

 

「なっ!?そんなことできるわけないでしょ!」

 

「そうか、なら・・・」

 

「待って!木下さん、いいからやって」

 

「でも・・・」

 

「お願い」

 

 

ウチがそう言うと木下さんは指先を震わせながらウチの服に手をかけた

男たちはニヤニヤしながら眺めている

そして・・・木下さんの手によって脱がされ、ウチは下着姿になった

恥ずかしい・・・

こんな格好、アキにだって見せたことないのに・・・

 

 

「もう・・・いいでしょ!海人君を返して!」

 

「そうだな・・・それじゃ、そろそろ再開するか。お前ら・・・島田海人の腕をへし折れ」

 

「なっ!?」

 

「ちょっと!約束が違うわよ!」

 

「俺は『考えてやってもいい』と言ったんだ。解放してやるなんて言ってねえ」

 

 

こいつら・・・最初から海人を返すつもりなんてなかったんだ・・・

男が鉄パイプを持って海人の前に立った

ちょっと・・・嘘でしょ・・・こいつら本気で海人の腕を・・・?

そんなことされたら・・・海人は野球ができなくなっちゃう

そしたら海人は・・・また『あの時』みたいに・・・笑わなく・・・

 

 

「いや・・・いやぁあああああ!!!やめてやめてやめて!!!お願い!何でもするからやめて!海人から野球を奪わないで!」

 

「なんでもする・・・か。お姉ちゃんにそこまで言われちゃあ仕方ねえな」

 

 

男は鉄パイプを降ろしてこっちに近づいてくる

 

 

「ちょっと、島田さんに何をする気よ!?」

 

 

木下さんがウチを庇うように前に出る

 

 

「木下さん、ウチは大丈夫だから、下がってて」

 

「で、でも・・・」

 

 

これでいい

ごめんね、アキ・・・

ウチの初めて・・・アキにあげられなくなっちゃった・・・

そんなことを考えていたその時・・・

 

 

「ん?」

 

 

男が足を止め下を見ている

その視線を追うと・・・海人が男のズボンの裾を掴んでいる

 

 

「二人に・・・手を・・・出すな!」

 

 

息切れして、ボロボロで・・・それでも男の足にしがみついていた

 

 

「へぇ・・・いい度胸じゃねえか。腕、へし折られてえのか?」

 

「かっこいいねぇ。お前みたいなやつ見ると、泣かせたくなるんだよな」

 

「ほら、『二人を自由にしていいから僕を助けて』って言ってみろよ。そしたらお前は助けてやるよ」

 

 

男どもが海人にそういうが・・・

 

 

「・・・姉さんと優子さんを・・・離せ!」

 

 

海人がそんなこと言うはずがない

 

 

「ちっ!だったらてめえの腕へし折ってやらぁ!無様に泣き叫べ!」

 

「「やめてぇぇぇぇ!!」」

 

 

鉄パイプは振り上げられ、ウチと木下さんの叫びが倉庫に鳴り響いた

ウチは思わず目を閉じた

しかし・・・いつまでたっても海人の悲鳴は聞こえない

恐る恐る目を開けるとそこには・・・ウチの恋人、吉井明久が怒りの表情で鉄パイプを受け止めていた

 




キレた明久・・・不良たちに死亡フラグが成立

余談ですが、不良たちの人数は、美波たちを抑えつけているのが二人、海人をボコボコにしているのが三人、リーダー格の男が一人、計六人です

次回も頑張ります

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