バカとテストとウチの弟   作:グラン

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智也は意外と・・・


第二十九問 お人好し?

  SIDE 雄二

 

 

「提案なんだが・・・俺達Aクラスと組むつもりはないか?」

 

 

北条がそんな提案をしてきた

どういうことだ?

俺達と組んで何のメリットがある?

 

 

「俺達はメイド喫茶をやることになったわけだが・・・料理ができる人間が少なすぎてな・・・そっちから何人か料理のできる奴を貸してほしいんだ。代わりにこちらからは接客できる女子を貸し出そうというわけだ」

 

「なるほどな・・・互いにメリットのある一時的なトレードというわけか・・・」

 

 

確かにウチのクラスの奴ら(姫路を除く)は、なぜか料理ができる奴が多いからな

何人か抜けても支障はない

俺達にとっても好都合な条件だ

 

 

「そんなこと勝手にしてもいいの?」

 

「先生に聞いたら両クラスの代表の了承があれば構わないらしい。ちなみにウチの代表は二つの返事でOKを出した」

 

 

まぁ、あいつはそうだろうな・・・

 

 

「でもウチのクラスの出し物はコスプレ喫茶だよ?見世物になるみたいで女の子は嫌がるんじゃない?」

 

「それがな・・・『可愛い服を着れる』って言って、むしろノリノリなんだ」

 

「ん?ってことはお前ら、ウチの出し物がコスプレ喫茶だってことを知っていたのか?」

 

「さっき工藤がここに来ただろ?あいつに聞いた」

 

「ああ、そういえばいつの間にか話し合いの輪の中に入っていて・・・『絶対にシュークリームをメニューに入れるべきだ!』って騒いでいたな」

 

「・・・すまん、迷惑をかけたな。後でミッチリとお説教をしておく」

 

 

うんざりしたような表情を浮かべる北条

その様子だと相当振り回されているようだな

 

 

「まぁいい、聞いた限りだとこっちにメリットが多そうだしな。その提案を飲ませてもらおう」

 

「わかった。代表もさぞ喜ぶことだろう」

 

 

翔子が来ると面倒なんだが・・・

・・・まぁこの際仕方ねえか・・・

 

 

「交渉成立だな。それはさておき・・・海人」

 

「え、えっと・・・何かな智也君?な、なんでそんなに怖い顔をして僕の肩を掴むのかな・・・?」

 

「なぜ退学処分の事を黙っていた?」

 

「え、えっと・・・そ、それには深い訳が・・・」

 

「ほぅ?じゃあその深い訳とやらを部室でしっかり聞かせてもらおうじゃないか」(ズルズル)

 

「ま、待って!智也君!オハナシは・・・オハナシだけは・・・」(ガラッ、バタン)

 

 

海人が北条に引き摺られていった

あの怯えよう・・・そんなに怖いのか・・・?

ん?

 

 

「姫路?どうし・・・」

 

「ごめんなさいごめんなさいもう薬品入れたりしませんごめんなさい」

 

 

こっちはこっちでトラウマが発動しているし・・・

・・・あいつは怒らせん方がよさそうだな・・・

にしても・・・

 

 

「あいつは・・・案外お人好しみたいだな」

 

「?どういうこと?」

 

 

明久が隣で首を傾げている

 

 

「考えても見ろ。これはたかが学園祭だぞ。凝った物を作るわけじゃないんだ。別に料理ができなくてもレシピ通りに作れば誰にでも作れる。わざわざウチのクラスから人手を借りる必要なんてない」

 

「言われてみれば・・・じゃあなんで?」

 

「多分、海人の為だろうな。最悪の事態を想定して最後になるかもしれない学園祭を成功させたいんだろう。それと、さっき話した俺達が召喚大会で抜ける分の負担を減らすって目的も追加されただろうな」

 

「やっぱり北条君は優しいです」

 

 

いつの間にか復活した姫路が隣で嬉しそうに呟いていた

 

 

  SIDE OUT

 

  NO SIDE

 

 

「全くお前はいつもいつも一人で抱えて・・・ガミガミクドクド」

 

「・・・誰か助けて・・・」←説教開始から三時間正座中

 

 

その後、野球部の練習が終わるまで海人への説教は続いた

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE 海人

 

☆翌日☆

 

 

「うぅ・・・恥ずかしいよぅ・・・」

 

 

僕達は康太君が作った衣装の試着を行っている

ナース服やドレスのような服から、アニメのキャラのような服まで、多数取り揃えられていた

昨日から一日でこの量って・・・この人、何者?

で、僕は・・・なぜか中学時代の姉さんの制服を着せられていた

大切な事だからもう一度言うよ?『姉さんの』制服

つまり女物だよ・・・

 

 

「姉さん・・・もう許して・・・恥ずかしいよぅ・・・」

 

「ダーメ♪ウチに隠し事していた罰なんだから」

 

 

姉さんは楽しそうに僕を着せ替え人形にしている

 

 

「・・・いい」(パシャパシャ)

 

 

康太君は僕達の写真を撮っている

ちなみにだが、ウチのクラスには衣装を買う予算は無い

その為、衣装の生地代は康太君の自腹だ

その代わり交換条件として写真の撮影と販売を許可することになったのだ

その為、露出の多い衣装はほとんど無い

 

 

「・・・このメンバーなら余裕で元をとれる」

 

 

かなりの出費と手間が掛かったはずなのに、康太君は満足そうだ

 

 

「これが美波の中学時代の制服か・・・そうだ、美波も着てみてよ。ちょっと見てみたいし・・・」

 

「うーん、残念だけど、この制服、もうウチには小さくて着れないのよね・・・ハッ!しまった!」

 

「・・・どうせ僕は成長してませんよーだ」(いじいじ)

 

「か、海人!?違うの!今のは言葉のあやで・・・別に海人の方が小さいとか、成長していないとか、幼児体型とかそんなつもりじゃ・・・」

 

「うわーん!!」

 

「止めを刺しやがった・・・」

 

「あ、あはは・・・」

 

 

姉さんとアキ兄さんはオロオロして、姫路さんと雄二君は乾いた笑みを浮かべている

ぐすん・・・これから成長するんだもん・・・

 

 

「失礼するぞ・・・て、なんだこの状況は?」

 

 

入ってきた智也君がこのカオスな状況を見て呆れたような表情をする

 

 

「よぅ、どうかしたのか?」

 

「こっちで使っていない机と椅子を持ってきたぞ、さすがに卓袱台じゃ接客できないだろ?」

 

「ああ、何から何まですまないな」

 

「気にするな・・・と、あれは海人か?ふ、良く似合っているじゃないか」

 

「嬉しくない!!」

 

「むー・・・」

 

 

そう言いながら智也君はクスクスと笑う

隣で姫路さんが面白くなさそうな表情を浮かべ、衣装をいくつか持ってどこかに行ってしまった

 

 

「それより、こっちに応援に来るAクラスの生徒を呼ぶから見られたくないなら着替えた方がいいんじゃないか?」

 

 

その言葉を聞いた瞬間、僕は着替えを持って教室を出た

 

 

『あ、あの、北条君、この衣装どうですか?』

 

『ん?まぁいいんじゃないか?』

 

 

背後でそんな会話が聞こえたが気にすることなく更衣室に急いだ

 




さて、清涼祭はどうなるんでしょうね~?
誰かが裏で何かを企んでいる
明久達はそれを止められるのか・・・

次回も頑張ります

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