バカとテストとウチの弟   作:グラン

205 / 213
試合の後日談


第二百一問 親睦会

試合の翌日

親睦会ということで星凰、文月両校の生徒はみんなで会場を貸し切ってバーベキューをすることとなった

これには野球部員以外の一般生徒も希望者は参加できるとの事で多くの生徒が参加していた

 

 

「はい!こっち焼けたよ!」

 

「こっちもだ!さぁ!どんどん喰えよ!」

 

 

気合を入れて肉や野菜を焼くFFF団員達

彼らもお祭りごとは好きなようで雑用だというのに楽しそうだった

ちなみにそれを見たAクラス女子たちは・・・

 

 

「Fクラスの子って馬鹿だけどちょっといいかも♪」

 

「いざって時に頼りになるし優しいし」

 

「私、この間痴漢に遭ってたところを助けてもらって・・・」

 

「私もしつこいナンパに付き纏われてたところを・・・」

 

「むむっ、亮君はダメだからね!」

 

 

F男子の株価急上昇

女の子は下心の無い善意に弱いのだ

 

まぁそれはさておき他の場所では・・・

 

 

「島田は途中で交代したから無効だ!やっぱり新藤の方が上だ!」

 

「ハッ!野球はチーム戦だよ!そんなことも知らないのかい!?この耄碌ジジイ!」

 

「なんだとこの妖怪ババア!」

 

 

両学園長は醜い争いをしていた

 

 

「学園長は相変わらずだなぁ・・・」

 

「ホントよね」

 

 

海人と優子は二人のやり取りを見ながらそう呟く

 

 

「島田君」

 

「あ、新藤君」

 

「今回は俺達の完敗だ。でも次は負けないぞ」

 

「うーん。でもこっち結局、武蔵丸君には打たれっぱなしだったし、新藤君の高速フォークは誰も打てなかったし、いまいち勝った気がしないんだよね」

 

「何言ってんだ。過程はどうあれ結果は2対1。君達が勝って俺達が負けた。それを言うなら夏の大会の時のあのホームランだってそうさ。俺はあれで勝ったなんて思ってないよ」

 

「じゃあ、勝負はまだついてないってことだね」

 

「そうだ。俺達の勝負はまだまだこれからだぞ」

 

「せやで。次は俺があのフォークを打ってやるんや!」

 

 

新藤と海人が話していると智也と英雄が話に乱入

 

 

「しかし、あんな隠し玉があるとは思わなかったぞ。一体いつの間に・・・」

 

「ん?指先の力を鍛えるために砲丸とかダンベルとかを指に挟んでいたら自然に・・・」

 

「アホか。普通出来ん」

 

「じゃあ俺天才?」

 

「はぁ・・・バカと天才は紙一重か」

 

「新藤君はバカなんやなぁ。天才って言うのは俺のような・・・」

 

「お前はバカの代表格だ」

 

「なんやと!?」

 

「じゃあ問題だ。鎌倉幕府を開いた人物は?」

 

「「徳川家康」」

 

 

堂々と間違えるバカ二人

 

 

「源頼朝だ。このバカども」

 

「「くっ、引っ掛けとは卑怯な」」

 

「何も引っ掛けとらんわ」

 

「・・・行こうか、優子さん」

 

「そ、そうね」

 

 

 

 

苦笑いを浮かべつつその場を立ち去る海人と優子

 

 

「よっ、海人に木下姉。ちゃんと喰ってるか?」

 

「あ、雄二君、翔子さん」

 

 

雄二とばったり遭遇

隣には当然のように翔子もいる

 

 

「・・・二人とも、昨日はお疲れ様」

 

「もう疲れはとれたのか?」

 

「うん。一晩寝たら全部吹っ飛んだよ」

 

「そうでしょうね。私のメールを無視して寝落ちしてたんですものね」

 

「うぐっ・・・ごめんなさい」

 

 

ジト目でそう言う優子に海人はシュンとなって謝る

 

 

「ハハッ、まぁそう虐めてやるなよ」

 

「冗談よ」

 

 

クスッと笑いそう言う優子

 

 

「それはそうと・・・アレはなんとかならんのか?」

 

 

雄二が指差した先には・・・

 

 

『それでね。そこで海人がビシッと三振を取ってね』

 

『いや、美波・・・僕も一緒に試合を見ていたから知ってるからね』

 

 

嬉しそうに海人の活躍を話す美波とそれを聞いている明久

 

 

「・・・アイツは選手より嬉しそうだな」

 

「・・・美波はブラコン」

 

「きっと海人君の活躍が嬉しくて仕方ないのね」

 

「昨日も家で凄くテンションが高かったよ。両親と葉月と一緒になって大騒ぎでさ」

 

 

苦笑いでそう言う海人

疲れによる寝落ちの原因の一端はそこにもあるようだ

 

その後も二人(主に海人は)複数の生徒から声を掛けられ、それに対して笑顔で対応していた

 

 

「姉上」

 

「秀吉、どうかしたの?」

 

「どうかしたの?じゃないじゃろう。よく見るのじゃ」

 

 

秀吉が指差した先には星凰の選手たちと会話をしている海人

・・・に、熱い視線を向けている女子生徒

 

 

「わかったかの?いくら海人と姉上が付き合っておるのが周知の事実とはいえ、海人ほどの将来有望な優良物件を欲しがる女子はいくらでもおるのじゃ。それとも姉上は海人が他の女子と付き合うことになってもよいのかの?」

 

「そ、それはダメ!!」

 

「ならばほれ、遠くから見守っておる場合ではないじゃろう?」

 

 

秀吉に背中を押され、海人に近づく優子

 

 

「ん?優子さん、どうしたの?」

 

「あ、えっと・・・」

 

 

口籠る優子

海人に非があるわけではないので、何と言えばいいのかわからないのだ

 

 

「ちょっと顔が赤いね?もしかして疲れちゃった?ちょっと抜けようか」

 

「う、うん」

 

 

海人は優子の手を掴んで人気のない所に移動する

 

 

「気づくのが遅れてごめん。彼女の異変に気付けないなんて・・・恋人失格だね」

 

「そ、そんなことないわ!アタシの方こそ、せっかくの親睦会に水を差すようなことしてゴメン」

 

「そんなの気にしないで、優子さんの身体の方が数倍大事なんだからさ」

 

 

優子の身体を気遣う海人

 

 

(海人君はやっぱり優しい。アタシの最高の恋人だわ。アタシはたとえどんな男が言い寄って来ても断る自信がある。だって海人君よりいい男なんてこの世にいるわけないんだもの。でも・・・)

 

 

優子は顔を曇らせる

醜い嫉妬心だということはわかっている

海人が浮気するような男じゃないこともわかっている

それでも優子は不安を隠しきれなかった

 

 

「優子さん?どうかした?」

 

「ううん。なんでもない」

 

 

こうして親睦会は幕を閉じた

優子の心に蟠りを残して・・・

 




おやおや?優子さんが不安になっているようですよ?
これは早く解決しなくては・・・

次回も頑張ります

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。