バカとテストとウチの弟   作:グラン

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お泊りではお約束の覗き騒動ネタですよ



第百九十三問 覗き発生!犯人は彼?前編

合宿二日目の練習を終え、その日の夜

 

 

「同じ失敗は二度と繰り返さないわよ!!」

 

「?優子?誰に言ってるの?」

 

 

お風呂場の前で優子は声高々に言う

現在の時間は七時半

今回は間違いなく女子の入浴時間だ

 

 

「あー・・・気持ちいい」

 

「気持ちいいですっ!」

 

「ウチの学園の合宿所って凄いんだね」

 

 

途中参加で昨日いなかった玉野がそう呟く

 

 

「強化合宿の時といい、やたらと凝ってるよね」

 

「学園長は宣伝とか名前を売るためにはお金を惜しまない人だからね~」

 

「・・・それに今回は特別」

 

「だね。これだけ大事になってるんだもんね」

 

 

星凰学園との再戦

ネット上だけではなく、テレビや新聞まで取り上げ始めている注目の一戦

勝つにせよ負けるにせよ、不様な試合はできない

 

 

「それで、実際の所どうなの?」

 

「そうね・・・上達はしているけど・・・」

 

「星凰とウチじゃまず人数が違い過ぎます。ウチがたった18人に対して、星凰は100人近く」

 

「じゃあ勝てないってこと?」

 

「そうは言いません。部員が何人いようが、試合に参加するのは9人。ベンチを含めても18人ですから。不利なのは間違いないですけど、戦略次第では十分対抗できると思います」

 

「智也君の手腕が試されるわけですね」

 

 

瑞希がそう言うと、玉野は、ん?という表情をする

 

 

「『智也君』?ねえ、もしかして姫路さんって・・・」

 

「あぁ、玉野さんは知らないんだっけ?瑞希は北条と付き合ってるのよ」

 

「えええええぇぇぇぇ!!!!」

 

「いや、驚き過ぎでしょ?」

 

「だってあの北条君だよ?告白を片っ端から断ってホモ疑惑まで上がってきたあの北条君だよ!?」

 

「玉野さん・・・それ、北条には言わない方がいいわよ」

 

 

玉野の発言に若干引きながら美波はそう言った

と、その時!

 

 

「誰!?」

 

 

突然、友香が叫んだ!

 

 

「ど、どうしたんですの!?」

 

「そこ!!誰かいる!!」

 

 

友香が露天風呂の外の草陰を指差す

すると・・・

 

 

(ガサガサ!!)

 

 

何かが動き、逃げ出した

 

 

「待て!!」

 

「あ、真琴ちゃん!ダメ!」

 

 

真琴が飛び出して後を追う・・・が

 

 

  ※数分後※

 

 

「・・・痛い」

 

「山道を裸足で走ったら痛いに決まってるでしょ」

 

 

道が悪く、追跡は出来なかったようだが、幸い怪我はしていないようだ

 

 

「・・・全裸で追跡はスルーなんだ・・・」

 

 

友香が苦笑いでそう呟く

 

 

「さっきのは一体誰だったんだろう?」

 

「そうよ。もし盗撮なんかされてたら・・・」

 

 

顔を青くする女子一同(真琴以外)

もし写真や動画に残されていたら自身の裸が流出するわけだから当然と言えば当然だろう

 

 

「何としても犯人を見つけるわよ!!」

 

「・・・あまり疑いたくないけど・・・」

 

 

優子はそこまで言って口籠る

ここは文月学園の合宿所

夜遅い時間に大声を出しても問題ないように人里離れた場所に作られている

つまり・・・

 

 

「部員、もしくはアキたちの中に犯人がいる?」

 

 

優子は何も言わず、首を縦に振った

 

 

「とりあえず、片っ端から聞いて見ましょ。まずは・・・」

 

 

  ※数分後※

 

 

「と、言うわけで連れてきたわ」

 

「むー!!むー!!」

 

 

テーブルの上で大の字で拘束されている秀吉

人はこれを拉致という

 

 

「あ、あの。優子さん。その・・・あまり乱暴なことは・・・」

 

「大丈夫よ美春。ちょっと話を聞くだけだから。さぁ秀吉。白状しなさい」

 

 

口を塞いでいたタオルを外しながらそう言う優子

 

 

「な、何の話なのじゃ!?ワシが何をしたというのじゃ!?」

 

「シラを切るつもりね。なら・・・」

 

 

そう言って優子は『秀吉用』と書かれた羽箒を鞄から取り出した

・・・読者の皆様はこの後の展開がもうお分かりだろう

 

 

「あっはっはっはっは・・・あ、姉上!!わきの下はダメなのじゃ・・あははははは!!!」

 

 

    ※さらに数分後※

 

 

「酷い濡れ衣なのじゃ!!」

 

 

プンプンと怒りながらそう言う秀吉

 

 

「ワシらは部屋でトランプをしておったのじゃ。明久も雄二もムッツリーニも部屋から出ておらぬ」

 

「そう・・・」

 

「ごめんなさい秀吉君」

 

「あ、いや、美春が謝ることでは・・・それよりも、美春の入浴を覗いた輩がいるとなると放っておくわけにはいかぬ。さっそくワシらも犯人探しに協力するのじゃ」

 

 

そう言って秀吉は明久達に事情を伝えるため、部屋を出て行った

 

 

「となるとあとは部員か・・・」

 

「みなさん、どうしたんですかー?先ほど、叫び声が聞こえましたが・・・」

 

「あ、勝亦先生、実は・・・」

 

 

事情を説明する一同

 

 

「事情はわかりました・・・こっちに来てくださいー」

 

 

そう言って勝亦が案内した先は・・・

 

 

「警備室?」

 

「こんなのあったんだ」

 

「ここで監視カメラの映像を確認しましょう。カメラの位置は正面玄関と非常口、階段と正門と裏門の前ですよー」

 

「でもそれじゃあ窓から出入りしていたら・・・」

 

「じゃあ窓を開けて見てくださいー」

 

 

言われるがままに優子は窓を開ける

 

 

「あ、あれ?この網戸、開かない」

 

「ここは山が近いですから、虫が多いんです。なので網戸は開けないように固定しているんですよーまぁ玄関からトカゲなんかはたまに入ってきますけどねー」

 

 

それを聞いて優子は朝の事を思いだし顔を赤くする

つまり窓からの出入りは不可能

 

 

「でもそれと覗き魔と何の関係が・・・」

 

「露天風呂の外から覗いたんですよねー?だったら犯人は外に出ているはずですよー」

 

 

ハッとする一同

そして監視カメラを確認し始める

 

 

「えっと、7時20分、全員宿舎に戻ってきたね」

 

 

愛子が名簿を見てチェックする

 

 

「7時半・・・ちょうどアタシ達が入浴し始めた頃ね」

 

「でも誰も出ないね」

 

 

監視カメラを見ても誰一人宿舎から出ていない

 

 

「やっぱり外部犯なのかしら?先生、時間を遡って・・・」

 

「!!待って!!誰かが正面玄関に・・・」

 

「本当!?ってことはコイツが犯人ね!」

 

 

一同はカメラの映像に注目

そして・・・目を見開いた

 

 

「う、そ・・・」

 

「そんな・・・」

 

「これって・・・」

 

「・・・海人・・・君?」

 

 

監視カメラに写っていたのは・・・文月学園野球部のエース

そして、優子の恋人の・・・島田海人だった

 




犯人はまさかの海人!?
それとも・・・

次回も頑張ります

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