これにて日常編は終了
※朝練※
(じー)
「・・・」
※昼休み※
(じー)
「・・・」
※部活※
(じー)
「む・・・」
※翌日・部活動にて※
「「視線を感じる?」」
「ああ、どうも最近誰かに見られている気がするんだ」
智也は海人と英雄に相談をしていた
「考え過ぎ・・・ってことは智也に限ってないやろな~」
「もしかして根本の・・・?」
「いや、視線を感じるのは学園内でだけだ」
「警察に言った方が・・・」
「そうは言っても実害があるわけでもないし、見られてる『気がする』だけだからな。証拠が全くない」
「せやったら気を付けるくらいしか対策があらへんな」
「・・・そうだね。でも何かあったら言ってね」
「ああわかった」
そう言って海人はグラウンドへと歩いて行った
「・・・海人に言ったのは失敗だったな」
「せやな。海人は心配性やからな。・・・智也」
「ん?」
「・・・気をつけなあかんで」
「・・・ああ」
そう言いつつ二人も海人の後を追うのだった
※部活終了後※
智也は海人に『本当に大丈夫?』などと何度も心配されるのを『大丈夫』と説得し、自宅へと向かって帰っていた
(全く、海人の奴は心配性・・・)
そんなことを考えつつ歩いていると、智也は背後からの気配に気づく
(誰かいるな・・・足音から考えて一人か。根本絡みじゃなさそうだな。尾行が下手過ぎる)
冷静に分析しつつ、智也は曲がり角を曲がり、背後から追う者もその後をつける
・・・が
「おい」
「きゃ!!」
智也は待ち伏せしており、追ってきた人物は驚いて思わず声をあげる
(・・・女?)
「ここ最近ずっと俺を見ているよな?何の用d・・・」
そこまで言った智也は言葉をある事に気付いた
智也の後をつけていた女の顔に見覚えがあったのだ
「ご、ごめんなさい・・・智也お兄ちゃん」
「お前・・・・あやか・・・か?」
彼女の名前はあやか
智也と同じ施設で育った女の子だった
「う、うん。ひさしぶり」
「ああ、大きくなったな」
「そ、そうかな・・・」
「「・・・」」
会話は続かない二人
「それで?なんでこそこそと後をつけるような真似をしたんだ?」
「ご、ごめんなさい」
「あ、いや、怒ってるわけじゃないんだ。ただ、なんでこそこそしてたのか?なんで同じ学校にいるなら今まで会いに来なかったのか?その理由が知りたいんだ」
「その・・・私が会いに行ったら、智也お兄ちゃん、さやかお姉ちゃんの事を思いだして辛いんじゃないかって・・・そう思うと会いに行けなくて・・・でもやっぱりどうしてもお兄ちゃんの顔を一目見たくて・・・」
あやかはボロボロと涙を流しながらそう言う
「そっか、気を使わせていたんだな。ごめんな。でも俺はもう大丈夫だ。あやかに会えて嬉しいよ」
「う、うわぁぁあぁん!!智也お兄ちゃん!会いたかったよぉぉ!!」
あやかは智也に抱き着き泣き出してしまった
智也はそんなあやかを優しく抱きしめた
この時、彼は一人の少女がその様子を目撃していることに気がついていなかった
※一方その頃※
その日、瑞希は図書館にて、つい読書に夢中になり、帰りがすっかり遅くなってしまった
予想以上に人通りが少なく、怖がりながら自宅に向かっていたところ、智也を発見
声を掛けようとしたが、隣に知らない女の子がいることに気付き、とっさに隠れた
距離があるので会話は聞こえない
そしてその後、彼女が見たものは・・・智也に抱き着く彼女と・・・それを優しく受け止め抱きしめる智也の姿だった
ショックを受けた瑞希はそのままフラフラと歩き去ってしまった
「智也君・・・あの女の子と・・・」
瑞希も頭ではわかっている
智也が悪いわけじゃない
彼女が悪いわけでもない
彼女は智也に選ばれた
自分は智也に選ばれなかった
ただそれだけだ
智也の心の整理がつくまで待つ
たとえ智也が自分を選ばなくても構わない
かつて智也に向けて言ったその言葉に嘘は無い
でも・・・
(やっぱり・・・辛いです・・・)
頭でわかっていても受け入れられないのが人間というものだ
動揺している瑞希は気付いていなかった
瑞希の背後に・・・何者かが迫っていることを・・・
※人物紹介※
朝比奈あやか
活発なさやかとは正反対で物静かな女の子
父親から虐待を受けていた過去があり、乱暴な人は嫌い
普段はクールだが、困った時は助けてくれた智也の事を兄のように慕っていた
秀一、さやか、の事も兄、姉のように慕っており、特にさやかとは名前が似ていることをきっかけにすぐに仲良くなった
智也を追って文月学園に入ったものの、智也がさやかの事を思い出し、辛い思いをするかもとなかなか会いに行けなかった
だが、どうしても会いたくなり現在に至る