バカとテストとウチの弟   作:グラン

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今回は番外編だよ


番外編 バレンタイン

「・・・姉上・・・ワシはもう我慢の限界なのじゃ・・・」

 

「ま、待って秀吉!」

 

「いーや、もう無理なのじゃ」

 

「お願い!アンタに見捨てられたらアタシ・・・」

 

「ワシは・・・もう三食チョコの生活なんて嫌なのじゃあああああ!!」

 

 

今日はバレンタイン三日前

木下家ではここ数日、朝昼晩と主食がチョコになっていた

 

 

「そもそも!海人なら何を渡しても喜ぶからそこまでこだわる必要はないのじゃ!!」

 

「そ、それはそうかもしれないけど・・・せっかくなら美味しいものを渡したいじゃない」

 

 

顔を赤くしてモジモジしながらそう言う優子

 

 

「む・・・しかし、これは作り過ぎなのじゃ」

 

 

若干シスコンの秀吉は姉の可愛らしい仕草にそれ以上責めることができなくなり、作り過ぎを指摘する

 

 

「その・・・いろんなメーカーのチョコを溶かしてミックスしてみてたらだんだん楽しくなってきてつい・・・」

 

「はぁ・・・塩味の効いた物が食べたいのじゃ・・・」

 

「ああ、それなら・・・はい。塩チョコ」

 

「チョコから離れろと言っておるのじゃああああ!!」

 

 

木下家に秀吉の叫び声が鳴り響いた

 

 

  ※そしてバレンタイン当日※

 

 

「それじゃあ行ってくるわね」

 

「うむ、いってらっしゃいなのじゃ」

 

 

優子を送り出す秀吉

行き先はもちろん海人の家

 

 

「ふぅ、しばらくチョコは見たくないのじゃ」

 

 

バレンタイン当日を迎え、チョコ地獄から解放され、ほっとする秀吉

と、その時・・・

 

 

(ピンポーン)

 

「む?誰じゃ?」

 

 

玄関を開ける秀吉

するとそこには・・・

 

 

「ひ、秀吉君。ハッピーバレンタイン♪」

 

 

頬を赤く染めモジモジした様子の美春が立っていた

 

 

「お、おはようなのじゃ美春。これはワシにかの?」

 

「え、ええ。その・・・貰ってくれますか?」

 

「もちろんなのじゃ。大切に食べるのじゃ」

 

 

秀吉は笑顔でそう返し、美春は家の手伝いがあるからと去って行った

 

 

「・・・とりあえず牛乳を買ってくるのじゃ」

 

 

美春に貰ったチョコを冷蔵庫にしまい、急ぎ足でコンビニに向かう秀吉だった

 

 

 

  ※明久の場合※

 

 

「はいアキ。チョコレートよ」

 

「明久お兄ちゃん。どうぞです!」

 

「二人ともわざわざありがとう」

 

 

明久は美波と葉月からチョコを受け取る

 

 

「玲さんは今日はお仕事?」

 

「うん。朝早くに出て行ったよ」

 

「そうなんだ。あ、あのさ。ちょっとだけ上がってっていい?」

 

「?別にいいけど、どうかしたの?」

 

「多分、今頃家には優子が来てるだろうからちょっと気を効かせようかと思ってね♪」

 

「ああそういうこと。どうぞ」

 

 

納得した明久は二人を招き入れ、三人でゲームをして休日を過ごすのだった

 

 

 

  ※英雄の場合※

 

 

(そわそわ)

 

「・・・」

 

(そわそわそわ)

 

「・・・」

 

(そわそわそわそわ)

 

「だぁーもう!鬱陶しい!!わかったわよ!あげるわよ!」

 

「よっしゃあああ!!チョコやぁあああ!!」

 

「うっさい!い、言っておくけど、味にあまり自信は無いわよ」

 

「何言ってんねん。俺が愛する友香の作ってくれたものに文句言うわけないやろ」

 

「英雄・・・」

 

「愛してるで」

 

「・・・バカ」

 

 

二人の周りには甘い空間が広がっていた

 

 

 

  ※康太の場合※

 

 

「はい、康太君。ハッピーバレンタイン♪」

 

「・・・ああ」

 

「むぅ、相変わらず無表情だなぁ・・・まぁいいや。冷たいうちに食べて」

 

「・・・これは・・・エクレアか?」

 

「うん。シュークリームは好きだからよく作るからね。自信はあるよ」

 

「・・・美味い」

 

「そっか、よかった。あ、康太君。口の横にクリームついてるよ」

 

 

そう指摘され、愛子から目を離したその時・・・

 

 

(チュ♪)

 

「えへへ、チョコの味だ」

 

(ブシャアアア)

 

「きゃああ!!康太君!しっかり!」

 

 

不意打ちのキスに興奮した康太は鼻血を出すのだった

 

 

 

  ※雄二の場合※

 

 

「・・・雄二、これ。チョコレート」

 

「あ、ああ。ありがとよ」

 

 

翔子からは貰えると期待していた雄二は翔子が家に来た直後からソワソワしていた

 

 

「・・・自信作」

 

「変な薬は入れてないだろうな?」

 

「・・・入れてない。だって・・・もう必要ないから」

 

「そ、そうだな」

 

 

翔子の笑顔にドキッとしながら返事をする雄二だった

 

 

 

  ※智也の場合※

 

 

「智也君。これ、貰ってくれますか?」

 

「ああ、ありがとう」

 

 

市販品である事に気付いた智也は快く受け取る

 

 

「本当は手作りが良かったんですけど・・・作っていたら何故か鍋が溶けちゃって・・・」

 

「・・・お前には一度料理を一から教える必要があるな・・・」

 

 

姫路の問題発言に頭を抱える智也だった

 

 

 

  ※海人の場合※

 

 

「はい。海人君。ハッピーバレンタインよ」

 

「うわぁ・・・ありがとう優子さん」

 

 

嬉しそうにチョコを受け取る海人

 

 

「今、お茶でも入れ・・・(ゴッ!)・・痛っ!」

 

「きゃああ!!」

 

 

机の角に小指をぶつけた海人は優子を巻き込んで倒れ込む

 

 

「痛たた・・・ご、ごめん優子さん。大丈b・・・」

 

「だ、大丈夫y・・・!!」

 

 

なんということでしょう

海人の手は優子の胸をしっかりと掴んでいるではありませんか

なんともベタなラッキースケベである

 

フリーズする二人

今、ここには海人と優子の二人しかいない

押し倒されている優子は頬を赤くしながら、静かに目を閉じ、何かを期待している

二人の顔の距離が一センチ、また一センチと縮んでいき、そして・・・

二人の唇は重なった

 

 

「ふふ、海人君といると、こういうことが本当に多いわよね」

 

「うぐっ、ご、ごめんなさい」

 

「別に責めているわけじゃないわよ。あ、アタシは海人君が望むなら何をされたって平気なんだし・・・」

 

 

モジモジしながらそう言う優子

顔は真っ赤。恥ずかしいなら言わなきゃいいのにね

 

 

「でも!アタシ以外の女の子にこんなことしちゃダメなんだからね!」

 

「は、はい。気をつけます」

 

「よろしい」

 

 

フフッと笑いあう二人だった

 




あまぁぁぁぁい!!
甘々な恋人同士の会話でした

次回も頑張ります

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