バカとテストとウチの弟   作:グラン

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海人と部員たちとの出会いのお話
ちょっと短めです


第百六十二問 部員たちとの出会い

野球を続けることを決意した翌日

 

 

「へぇ、島田君、野球部に入りたいんだ?」

 

「う、うん」

 

「いいんじゃないかしら?だいぶ日本語も上手になってきたし、やりたいことはどんどんやってみた方がいいわ」

 

「おはようございます。二人で何を話してるんですか?」

 

 

海人と優子が話していると佐藤が話に入ってきた

 

 

「あれ?サトウさん、髪切ったんですカ?」

 

「うん。どうかな?」

 

「似合ってマス」

 

「あれ?でも確か彼氏が長い髪が好きって・・・」

 

「いいんです!あんな奴!!」

 

「「は、はい・・・」」

 

 

急に大声でそう言う佐藤に二人は驚く

 

 

(佐藤さん、何があったのかな?)

 

(わからないわ。でも何かあったのは間違いないし、これ以上は触れないようにしましょ)

 

(うん)

 

 

ヒソヒソと話す二人

 

 

「そ、それより、島田君が野球部に入ろうと思うんだって」

 

「島田君、野球をするんですか?運動ができる男の子ってカッコイイですよね。・・・それにひきかえあの男は・・・」

 

「「あ、あはは」

 

 

何かを思い出したかのように黒いオーラを出す佐藤

それを見て二人は苦笑いをするのだった

 

そして放課後

 

 

「あ、島田君。今から野球部に?」

 

「はい」

 

「ついて行ってあげれたらよかったんだけど、今日はどうしても外せない用事があるの。ごめんね」

 

「だいジョぶデス」

 

「ならいいけど・・・頑張ってね」

 

未だ細かな点が片言だが、伝わらないほど酷くはないので、まぁこれなら大丈夫かなと思い、優子は海人を送り出す

 

 

(緊張するなぁ・・・上手くやっていけるかな・・・?)

 

 

海人は野球部の部室に向かって歩き出す

そして部室の前に到着

そしてドアを開け、中にいる男の子に向かって優子に教えてもらったセリフを言う

 

 

「アノ・・・入部希望なンでスけど・・・」

 

「自分、可愛いなぁ~俺と付き会わへん?」

 

 

一瞬、きょとんとした男の子(英雄)だが、すぐに笑顔で海人を口説く

 

 

「え?あ、えっと・・・」

 

「あはは、すまんすまん。冗談や。女マネやな?よっしゃ、キャプテンには俺の方から言うといたるわ」

 

 

オドオドする海人を見て、急に口説かれて困っていると勘違いした英雄だが、実際には・・・

 

 

(え?え?この人、何て言ってるんだろう?ジョマネってなんだろ?)

 

 

英雄の言葉を理解していなかったのだ

日本語にだいぶ慣れた海人だが、関西弁のような方言を聞き取れるほどではなかったのだ

 

 

「よろしくな」

 

「あ、はい。よろしくお願イしマス」

 

 

これが海人と英雄の出会いだった

 

 

「あ、キャプテン。この子、女マネ希望らしいで」

 

「お、そうか。よろしくな」

 

「はい。よろしくお願イしマス」

 

 

ジャージに着替えた海人はキャプテンに頭を下げる

 

 

「じゃあさっそくで悪いが、使用済みのタオルの洗濯、新しいタオルを出して、ドリンクの準備を頼む」

 

「わかりまシタ」

 

 

『タオル』や『ドリンク』という単語、キャプテンのジェスチャーでやることを理解した海人は使用済みのタオルを持って洗濯機のまで移動

そして新しいタオルを部室に持って入り、今度はドリンクを取りに行こうと部室を出ようとすると・・・

 

 

「おっと」

 

「わわっ」

 

 

入れ違いで部室に入ってきた二人組にぶつかり尻餅をついた

 

 

「ご、ごめんなサイ」

 

「ん、見かけない顔だな。ああ、お前が中島が言ってた女マネか」

 

「悪かったな。大丈夫か?」

 

 

そう言ってソフトモヒカンの男が手を差し伸べる

 

 

「ありがとゴザマス」

 

 

海人はその手を取り立ち上がる

 

 

「ん?」

 

「じゃあ僕はドリンク取ってきマス」

 

「あ、ああ」

 

 

海人はそそくさと部室を後にする

 

 

「どうしたよ常村。ぼーっとして。あの子に惚れたか?神崎にちくるぞ」

 

「ち、ちげーよ!・・・夏川、ちょっと手出せ」

 

「あん?」

 

 

そう言って常村は夏川の右手を握る

 

 

「・・・俺にそっちの趣味はねえぞ」

 

「ちげーって言ってんだろ!・・・あの子の手、お前の手によく似たマメがあったんだ」

 

「マメ?ってことはあの子は野球経験者か?」

 

「なんでそんな子がこの学校に?」

 

「さぁな」

 

 

夏川と常村は首を傾げるのだった

そして練習は始まり、数時間後

 

 

「よし、今日の練習はここまで」

 

「「「「お疲れさまでした」」」」

 

(最後まで参加できなかったな・・・まぁ新入りだし、仕方ないか)

 

 

そんなことを考えつつ、海人は後片付けを始める

 

 

「手伝おうか?」

 

「ダイジョブです。ゆっくり休んでくだサイ」

 

「お、おう」

 

 

海人が笑顔でそう言うと、部員数人は頬を赤くして去って行った

そして数分後・・・

 

 

(ふぅ、やっと終わった。やっぱり手伝ってもらえばよかったかな)

 

 

周りを見渡す海人

 

 

(もう誰もいないな・・まだ明るいしちょっとだけ・・・)

 

 

海人は鞄からグローブを取り出し、ボールを一球だけ手にして壁に向かって投げ始めた

壁あてをしばらく続けて満足したのか、海人は学校を後にした

それから数日が経ったが、マネージャー希望と勘違いされている海人は未だに練習に参加できずにいた

 

 

(いつになったら参加させてもらえるんだろう?)

 

 

いつも通り壁あてを始めながら海人はそんなことを考える

と、その時・・・

 

 

「おい」

 

「ひゃわ!!」

 

 

突然声を掛けられ、海人は驚いて変な声をあげる

 

 

「ご、ごめんなさい!すぐ片付けマス」

 

「落ち着け、俺は部員じゃない」

 

 

海人は男の子の方を見ると、たしかに部活では見かけない顔だった

 

 

「驚かせるつもりはなかったんだ。ただ・・・」

 

「?」

 

「肩が下がってきている。フォームも少し乱れてきているし、そろそろやめた方がいいんじゃないかと思って声をかけたんだ」

 

「あ、はい。えっと・・・」

 

「ああ、自己紹介がまだだったな。北条智也だ」

 

 

これが、近い未来バッテリーを組む二人の出会いだった

 




英雄、智也、常夏コンビとの出会いでした

次回も頑張ります

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