バカとテストとウチの弟   作:グラン

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今回はほとんどが優子と海人のお話

若干スランプ気味ですが何とか更新できましたw


第百五十九問 恋に落ちて

『木下さん、色々とありがとう』

 

『いいのよ。気にしないで』

 

 

質問攻めを終え、二人になった海人は優子にお礼を言う

言葉が分からず困っていた海人だったが、優子が咄嗟に英語で質問してみると海人はスラスラと答え、英語ならわかると言う事が発覚

優子も英語は得意科目だったので、クラスメイトの質問を優子が通訳するという形で何とかやり過ごしたのだ

 

 

『でも、日本語が喋れないと不便よね』

 

『う、うん・・・』

 

 

困まった表情を浮かべる海人

 

 

『よし、それじゃあしばらくアタシが通訳をするわ』

 

 

決心した表情でそう言い放つ優子

 

 

『え?でも・・・迷惑じゃ・・・』

 

『遠慮しないの。困った時はお互い様よ。島田君は日常生活がしやすくなる。アタシは英会話の練習になる。ほら、お互いにメリットがあるじゃない。それともアタシが通訳じゃ不満?』

 

『そ、そんなことないです!』

 

『じゃあ決まりね』

 

 

優子は強引に決定した

そこには彼女なりの思惑があった

 

 

(ふふ、言葉のわからない帰国子女の面倒を見る優等生。利用するようで悪いけど、教師への点数稼ぎをさせてもらうわ)

 

 

心の中で腹黒い事を考える優子だった

 

それから二人は一緒にいることが多くなった

授業の時も優子は海人のフォローをしたり、休憩時間には日本語の勉強に付き合った

 

優子は海人の事を利用するだけのつもりだった

しかし、いつの間にか一緒にいるのが当たり前になり、気がつくと彼を目で追ったり、彼が風邪で欠席した日は少し寂しかったり・・・

思えば彼女はこの時から海人の事が好きだったのかもしれない・・・が

 

 

(ん~島田君がいないと何かつまんないのよね。何でかしら?)

 

 

彼女は自分の気持ちに鈍感すぎた

そんな日々がしばらく経ったある日・・・

 

 

「島田君もだいぶ日本語が喋れるようになったわね」

 

「はい。木下さんのせいデス♪」

 

「・・・意味は分かるけど、その日本語の使い方は違うわ」

 

「?」

 

「・・・ま、いっか」

 

 

まぁ細かい点はボチボチ直せばいいやと思い、それ以上は言わなかった

 

 

「さて、次は移動教室・・・きゃ!」

 

 

海人と並んで歩いていた優子だが、話をしながら歩いていたため前方不注意となり、階段を踏み外して落ちそうになる

 

 

「あ、危ない!!」

 

 

海人は慌てて優子の腕を引っ張り、抱きしめる・・・はずだったのだが、勢い余って海人が下敷きになる形になってしまった

 

 

「いてて・・・ん?」

 

 

海人は何か柔らかいものを握っていることに気付く

それが優子の胸だと気付くまでの時間およそ三秒

 

 

「島田君!!」

 

「ひっ、ご、ごめんなs・・」

 

「大丈夫!?怪我は無い!?」

 

「・・・え?あ、うん。大丈夫」

 

「そう、よかった・・・」

 

 

てっきり怒られると思った海人は優子の言葉に気圧されつつ大丈夫と答える

それを聞いた優子は安堵のため息を漏らした

 

 

「あ、あの・・・怒ってナイ?」

 

「助けてもらっておいて怒るわけないでしょ。それに今のは私の不注意。島田君が引き上げてくれなかったら大怪我してたかもしれないわ。助けてくれてありがとね、島田君♪」

 

「う、うん」

 

 

満面の笑みで海人にお礼を言う優子

その笑顔を見た海人は・・・恋に落ちた

 

それから数日が経過したある日の昼休み

海人は優子を含む数人の友人と食事を取っていた

 

 

「そういえばみんなは好きな人とかいる?」

 

 

定番の話題『恋バナ』

一人の女子生徒がそう言った

 

 

「わ、私は・・その・・・他校の生徒ですけど、お付き合いしてる人が・・・」

 

 

美穂が頬を赤く染めながらそう言う

ちなみにこれは彼女が須川に出会う前のお話だ

 

 

「へぇ、佐藤さんは恋愛経験豊富なのね」

 

「そ、そんなことは・・・そういう木下さんはどうなんですか?」

 

 

美穂がそう言うと海人はピクリと聞き耳を立てる

 

 

(((わかりやすいなぁ)))

 

 

一緒に食事を取っている生徒全員が心の中でそう思った

 

 

「アタシは特にそう言うのはいないかな」

 

「ふーん・・・島田君は?」

 

「ふぇ!?え、えっと・・・僕は・・・」

 

 

動揺した海人はチラっと優子の方を見る

 

 

(((ほんっと、わかりやすいなぁ)))

 

 

海人と目が合った優子は・・・

 

 

「・・・もしかして、アタシ・・・」

 

(ビクッ!)

 

「・・・の、知ってる子?」

 

「「「「・・・はぁ・・・」」」」

 

「え?なんでみんな溜息をつくの?」

 

 

首を傾げる優子

 

 

「で、どうなの?アタシでよかったら相談に乗るし、必要なら協力するわ」

 

「え、えっと・・・」

 

 

海人は困っている

それもそのはず、本人に相談なんて出来るはずもない

 

 

「ま、まぁまぁ木下さん。そんなにこんな大勢の前じゃあ海人君も言えないよ」

 

「あ、そうね。ごめんなさい。気になっちゃってつい・・・」

 

(へぇ・・・気になるか・・・これは案外、脈ありなんじゃ・・)

 

 

二人の様子を見ながらそんなことを考えるクラスメイト達

そしてその光景を物陰から見ていた人物が一人

 

 

『海人・・・仲の良い友達が出来ていたのね・・・』

 

 

海人の姉、美波である

 

 

『葉月も学校で友達が出来てるみたいだし・・・ドイツに帰りたいって思ってるのは私だけ・・・私さえ我慢すれば二人は楽しく学園生活を送れるんだ・・・私さえ我慢すれば・・・』

 

 

未だクラスに馴染めていない美波はそう思い、静かにその場を後にした

 

 

『それにしてもあの女の子。後ろ姿しか見えなかったけど、どっかで見たことあるような・・・?』

 

※美波と秀吉はクラスメイトです※

 

 

 

 

 

  ※雄二君と康太君※

 

 

「ふぅ、すっかり島田の奴に懐かれちまったな」

 

 

だいぶ日本語を覚えてきた海人は雄二にも積極的に話しかけてくるようになった

最初はめんどくさがっていた雄二だが、子供の様に無邪気に話しかけてくる海人のペースに次第に流されていた

 

 

「・・・ま、悪い気はしないけどよ」←ツンデレ

 

 

そんなことを考えていた帰り道、物陰に隠れる一人の小柄な男を発見

 

 

(何してんだ?アイツ)

 

「・・・来る」

 

「?」

 

 

男がそう言った直後、突風が巻き起こる

 

 

「「「「きゃああああ!!」」」」

 

「・・・見えた!白!ピンク!水色!縞々!」

 

(・・・あほらし、さっさと帰r・・・)

 

「あ、あの人!今、こっちを見てたわ!覗きよ!」

 

(あーあ、見つかってら。パンツの色なんて口に出したりするから)

 

「あそこの赤い髪のデカい人よ!」

 

「は?」

 

 

雄二は女子生徒が自分の方を指差していることに気付く

 

 

「ちょ、ちょっと待て!今のは俺じゃなくてそっちのチビが言っ・・って、いねぇ!」

 

 

雄二が指差した先にはすでに男の姿は無かった

翌日、雄二には『元神童、悪鬼羅刹』の他に『覗き魔』の二つ名が追加された

 

 

(あのチビ・・・次見つけたら殺す)

 

 

これが雄二と康太の出会いだった

 




優子のスキル『鈍感』が久々に発動!
そして楽しそうにクラスメイトと会話する海人を眺める美波
安心した反面、寂しそうな表情を浮かべる彼女
その寂しさを埋めるのは明久?それとも・・・

次回も頑張ります

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