バカとテストとウチの弟   作:グラン

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ここからは高校一年の時のお話(原作の一年前)

※一部原作と相違点があります※
原作を読んでいる方ならすぐに気付くかと・・・


高校入学編
第百五十八問 入学式


今日は文月学園の入学式

 

 

「姉上、そろそろ行くのじゃ」

 

「わかってるわ。行ってきます」

 

「行ってきますなのじゃ」

 

 

木下優子、秀吉の姉弟は二人揃って学園へと向かう

 

 

「いよいよ入学式か・・・アンタはどうせ演劇部に入るんでしょ?」

 

「うむ、楽しみなのじゃ。そういう姉上は部活には入らぬのか?」

 

「特に入りたい部も無いのよね」

 

「ならばいっそ新しく作ると言うのはどうじゃ?」

 

「たとえば?」

 

「腐女子b・・・あ、姉上、ワシの関節はそっちには曲がらな・・・」

 

 

失言した秀吉に制裁を加える優子

 

 

「全く・・・学校では優等生を演じるって決めてるんだから変な事言わないでよね」

 

「す、すまぬのじゃ」

 

 

二人がこの学園に進学した理由

秀吉は演劇部に入るため・・・と、表向きには言っているが、本当は大好きな姉と同じ高校に行きたいという理由だ

一方、優子はこの学園で主席を取る事

大学進学や就職は今の所考えていないが、世間から試験召喚システムの試験校として注目されているこの文月学園で主席を取っておけば選択肢は広がると考えているのだが・・・

 

 

「そううまくはいかないか・・・」

 

 

学園に着いて真っ先に向かったのは上限無しの入学試験で上位50人の成績が貼り出された掲示板

優子の結果は5位

 

 

「アタシより上にいるのは・・・北条智也、霧島翔子、姫路瑞希、久保利光か・・・」

 

「惜しかったのう姉上」

 

「そうね。でもそこまで差は広くないみたいだし、次こそは勝ってみせるわ」

 

 

そう言って二人はクラス分けを見に行く

 

 

「アタシはEクラスね」

 

「ワシはDクラスなのじゃ」

 

「・・・なんかアンタの方が上みたいでムカつくわね」

 

 

少しイラッとする優子

一年の時のクラス分けは成績順ではない為、DでもEでも関係ないのだが、あまり気分はよくないらしい

 

 

「まぁよいではないか、Aの姉上にとってEは憧れであろう」

 

「?・・・!!」

 

 

ニヤリと笑いながらそう言う秀吉

秀吉の発言の意味が分からず首を傾げていた優子だが、秀吉の視線が自分の胸にいっていることに気付く

 

 

「秀吉!!」

 

「では、ワシは先に行くのじゃ」

 

「待ちなさい!・・・帰ったら覚えてなさいよ・・・」

 

 

逃げるように去って行く秀吉とその背中を見ながらボソッと呟く優子

ここにいても仕方ないと優子も教室へ移動した

その後、体育館に移動し、普通?の入学式が行われ、教室に戻ってきた生徒たちは自己紹介を行っていた

 

 

「木下優子。趣味は読書です。よろしくお願いします」

 

 

自己紹介の方法は前に出て黒板に名前を書いて一言というシンプルなものだった

 

 

「佐藤美穂です。よろしくお願いします」

 

(あ、たしかアタシのちょっと下の順位の子だ。成績にあまり差が無かったから要注意ね)

 

 

自分と成績の近い人物をチェックしながら自己紹介を聞く優子

 

 

(1位から4位の生徒はこのクラスじゃないみたいね)

 

 

名簿を見ながらそんなことを考える優子

 

 

「シマダ、カイトです。ヨロしくおねがいシマス」

 

「ん?」

 

 

片言の日本語を聞き、黒板の方に視線を向ける優子

そこには小柄な男の子が立っていた

 

 

(へぇ・・・可愛い子ね。・・・『受け』ね)

 

 

BL思考で海人を見る優子

 

 

「島田君はドイツからの帰国子女でまだ日本に慣れてないそうなのでみなさん助けてあげてくださいね」

 

 

教師の言葉にみんなが納得した

が、その直後、周囲からクスクスと笑い声が聞こえた

優子は海人を見ていて気付かなかったが、よく見ると黒板の名前が『島田海入』になっている

 

 

(日本語に慣れて無いなら『人』と『入』を間違えるのも無理はない。でも、指摘もせずに笑うなんてちょっと酷いんじゃない・・)

 

 

海人は何が間違っているのかわからずオロオロしている

優子が指摘しようとしたその時・・・

 

 

(ダンっ!!)

 

 

後方から大きな音が聞こえた

 

 

「テメエら人のミスを影でコソコソ笑ってんじゃねえよ」

 

 

赤い髪の男子が低い声でそう言う

 

 

(えっと、あの席は・・・坂本雄二君か。へぇ、不良っぽいからこういうのに無関心かと思ったわ)

 

 

だが、今の雄二の発言でクラス中が静まり返る

空気が悪くなっている中、優子は席を立ち、前に出る

そして誤字を訂正する

 

 

「この文字はこう書くのよ。もっと早く気づいて指摘してあげるべきだったわ。ごめんなさいね」

 

 

優子は海人に笑顔でそう言うと席に戻った

その後は何事も無く自己紹介は終わった

担任の先生が連絡事項を告げ、教室から出ていくと、海人は雄二の元に向かう

 

 

「あ、アノ、サッキはアリガトウ」

 

「気にすんな。別にお前の為じゃない。俺は影でコソコソしてる奴が大っ嫌いなんだ」

 

 

ぶっきらぼうにそう言う雄二だが、海人が聞き取りやすいように言葉と言葉を区切って話している

 

 

(悪い奴じゃないのかもね)

 

 

二人のやり取りを見ながらそんなことを考える優子

 

 

「それより、フォローしたのはあの女の子だ。礼ならあの子に言った方がいいんじゃないか?」

 

「あ、うん」

 

 

雄二がそう言うと海人はテクテクと優子の方に歩いてきた

 

 

「あ、アノ・・・」

 

「島田君、さっきはごめん!」

 

「笑ったりして悪かったよ」

 

「ごめんなさい」

 

 

海人が優子に話しかけようとしたその時、数人の生徒が海人を取り囲むように謝罪し始めた

おそらく雄二が近くにいて話しかけにくかったのだろう

海人はさっきとは別の理由でオロオロしている

 

 

「ドイツってどんなところ?」

 

「趣味は何?」

 

「好きな食べ物は?」

 

「生まれはこっちなの?」

 

「彼氏とかいるの?」

 

 

質問攻めに合う海人

 

 

(明らかに困ってるわね・・・っていうか最後の奴、男相手に彼氏ってそう言う趣味なのかしら?是非詳しく話を・・・ゲフンゲフン)

 

 

妄想の世界に入りそうになった優子

 

 

「みんな落ち着いて、そんなに一気に質問しても島田君は答えられないでしょ?」

 

 

優子はパンパンと手を叩きながらクラスメイトを抑え込んだ

そして海人の方を見て・・・

 

 

「木下優子よ。よろしくね。島田君」

 

 

笑顔でそう言った

これが海人と優子の出会いだった

 

 

 

 

 

  ※おまけ 放課後の雄二※

 

 

「ふぅ・・・らしくないことをしちまったな・・・」

 

 

自己紹介の時の事を思いだしつつ下駄箱に向かう

 

 

「ん?」

 

 

そんな時、一人の男子生徒と目が合った

 

 

(なんだコイツ?なんで上着だけセーラー服なんだ?変態か?)

 

(目つきが悪い人だな・・・不良かな?)

 

((コイツとだけは関わるまい))

 

 

これが、バカ(明久)とバカ(雄二)の出会いだった

 




気付きましたか?そう、雄二と明久が別のクラスなのです!
これが物語にどう影響するのか?

次回も頑張ります

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