バカとテストとウチの弟   作:グラン

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・・・うん。うまく纏まらないw


第百四十七問 秀吉君と美春さん

「はぁ・・・ワシはどうしてしまったのじゃ・・・?」

 

 

部活を終え、家へと帰る秀吉

先日の一件以来、ことあるごとに美春の顔が頭をよぎっていた

結果、授業中も部活中も集中できない

 

 

「む?あれは・・・」

 

 

そんなことを考えているとスーパーから出てくる美春を発見

声を掛けようとしたが・・・

 

 

(あ、あれは宮野)

 

 

一緒に宮野が出てくるところを見て咄嗟に隠れる

 

 

(なぜワシは隠れておるのじゃ?)

 

 

自分で自分の行動の理由が分からずモヤモヤする秀吉

 

 

(もしやデートなのかの?)

 

冷静に考えればデートでスーパーに行くのはおかしいのだが、秀吉はそんなことには気付かない

二人で同じ方向に歩いていく姿を見てモヤモヤは膨れ上がっていく

 

 

「一体なんなのじゃ・・・この気持ちは・・・」

 

 

二人に見つからぬよう自宅へと帰っていく秀吉だった

 

 

  ※※※

 

 

「美春としたことが、ケチャップの発注を忘れるとは迂闊でしたわ。付き合わせてしまってすいません」

 

「気にしないで。これも仕事さ。それにタイムセールのおかげで業者に頼むより安く済んで結果オーライだよ」

 

 

発注し忘れたケチャップを買いに来ただけの二人だった

 

 

  ※※※

 

 

「ただいまなのじゃ」

 

「おかえりなさい」

 

「おかえり、秀吉君」

 

「む、義兄上、来ておったのか」

 

「だ、だから義兄上って呼ぶのはまだ早いってば」

 

 

顔を赤くしてワタワタとする海人

 

 

「・・・秀吉、何かあった?」

 

「な、なにがじゃ?」

 

「いや、元気が無いと思ってね。いつものポーカーフェイスも崩れてるし、何かあったの?」

 

「・・・実は・・・」

 

 

秀吉はこのままこの感情を抱え込むくらいならと、二人に相談することにした

 

 

「・・・と、いうわけなのじゃ」

 

「なるほどね。話はわかったわ」

 

 

話を聞いた優子はまるで面白いおもちゃを見つけたかのような笑みを浮かべる

 

 

「ふふ、秀吉君は鈍感だね~」

 

「ホントよね。鈍すぎだわ」

 

「・・・」←この二人にだけは言われたくないと思っている

 

「率直に言うわ。その感情は・・・嫉妬よ!」

 

「しっ・・と?ま、待つのじゃ姉上。それではまるでワシが清水のことを・・・」

 

 

そこまで言って秀吉は言葉に詰まる

事あるごとに美春の事を考えているのは事実

ふと見せる笑顔に目を引かれているのも事実

そして・・・先ほど、宮野と一緒にいるところを見て不快だったのも事実

 

 

「ワシは・・清水が好きなのか・・・?」

 

 

自身の恋心を自覚した秀吉

 

 

「ワシは・・・どうすれば・・・」

 

「それはアンタ自身が決めることよ。告白するのか、それとも告白せずに清水さんが他の人と付き合うのを見守るのか・・・アタシはアンタがどの選択肢を選んでも応援するわ。じっくり考えなさい」

 

 

  ※翌日※

 

 

(・・・眠れなかったのじゃ)

 

 

考え過ぎて一睡もしていない秀吉

フラフラしながら校内を歩く

 

 

(もう素直に認めるのじゃ。ワシは・・・清水が好きじゃ。しかし少し前まで姉上が好きだった。想いが叶わなかったから次の女・・・そんないい加減な考えでいいのじゃろうか?)

 

 

「「はぁ・・・」」

 

 

溜息をつきながらベンチに腰掛ける秀吉

 

 

「「・・・ん?」」

 

「君は木下君」

 

「お主は久保ではないか」

 

 

隣で同じように溜息をつく久保の存在に気付いた

 

 

「何かあったのかい?溜息なんてついて・・・」

 

「お主こそ」

 

「まぁね。もしよかったら互いに悩みを話してみないかい?少しは気が楽になるかもしれないし」

 

「そうじゃの。ワシもちょうど相談相手が欲しかったところじゃ。ではお先にどうぞなのじゃ」

 

 

久保の提案に乗る秀吉

 

 

「実は・・・中林さんの事が好きになったみたいなんだ」

 

「・・・ほぅ」

 

「でも、僕は君も知っているだろうけど、吉井君の事が好きだった。想いが叶わなかったから次の女。そんないい加減な気持ちでいいのだろうか?」

 

(!!ワシと同じ・・)

 

 

久保が自分と同じ悩みを持っていることに驚く秀吉

 

 

「しかも僕は彼女の想いを知っている。自分に好意が向けられていることを知ったうえで告白なんてズルイんじゃないか?そう考えると告白にも踏み切れず、どうすればいいのかわからないんだ」

 

「・・・ズルくてもいいのではないかの?」

 

「え?」

 

 

久保の言葉を聞いた秀吉はそう答える

 

 

「ズルイと思ってもそれでもお主は中林の事を諦められないのじゃろう?お主は真面目過ぎるのじゃ。正々堂々というのも悪くないが、なりふり構わず想いを伝えると言うのも良いと思うのじゃ」

 

(・・・なんじゃ・・・ワシも・・・答えが出ておるのではないか・・・)

 

「・・・そうだね。どうやら僕は頭が固くなりすぎていたようだ」

 

 

スッキリとした表情の久保

 

 

「さて、木下君の悩みは何なんだい?」

 

「ワシも同じ悩みじゃった。じゃが、もう解決したのじゃ」

 

「そうかい・・・じゃあお互い頑張ろう」

 

「うむ」

 

 

そう言って去って行く久保

 

 

「・・・とは言ったものの、どうするかのう・・・(ピトッ♪)ひゃわっ!!な、なんじゃ!?」

 

「ふふ、こんにちわですわ秀吉君」

 

「し、清水!?」

 

 

頬に冷たい物が当たり、慌てて後ろを振り向くとそこには缶ジュースを手に悪戯っぽい笑みを浮かべる美春の姿があった

 

 

「な、なぜこんなところに!?」

 

「優子さんに秀吉君の元気が無いと聞いて様子を見に来たのですわ」

 

(姉上ぇぇぇぇ!!!)

 

 

優子の仕業と聞き、心の中で叫ぶ秀吉

もちろん優子に悪意はなく、秀吉と美春は互いに好意を持っていることを知っているのできっかけを作ろうとしただけである

 

 

「悩みがあるなら美春が相談に乗りますわ」

 

(相談と言われてものう・・・想いを寄せておる相手に相談できるわけがないのじゃ)

 

 

秀吉は美春からジュースを受け取りながらそんなことを考える

 

 

(しかしこれは千載一遇のチャンスなのじゃ。ここで男らしく告白するのじゃ!)

 

 

決心する秀吉。美春は隣に腰掛け、ジュースを飲んでいる

 

 

「清水、好き・・・な人はおるかの?」

 

「ブゥゥゥゥ!!」

 

 

秀吉の言葉に美春は口に含んでいたジュースを盛大に噴出した

 

 

「ケホッケホッ・・・い、いきなり何ですの!?」

 

(うぅ・・・やっぱり無理なのじゃ・・・じゃが、ここで退くのは男らしくないのじゃ)

 

「清水」

 

「は、はい」

 

 

真面目な表情の秀吉

緊張気味の美春

 

 

「ワシは・・・お主が好きなのじゃ」

 

「・・・?」←理解できていない

 

「・・・!!」←正気に戻った

 

(カァァァ)←顔を真っ赤にして口をパクパクさせている

 

「で、でも、秀吉君は優子さんの事が・・・」

 

「・・・好きじゃった。じゃが、いつの間にか清水の事が気になるようになっておったのじゃ。気付いたのは清水が宮野に仕事を紹介したときじゃ。そして先日、二人でスーパーから出てくるところを見たとき、胸が締め付けられるように苦しかったのじゃ」

 

 

美春に理由を説明する秀吉

 

 

「・・・美春」

 

「え?」

 

「清水ではありません。美春と呼んでください・・・恋人なのですから」

 

「そ、それじゃあ・・・」

 

「はい。美春も秀吉君の事が好きですわ。不束者ですが、よろしくお願いします」

 

 

秀吉に向かって笑顔で返す美春

 

 

  ※一方その頃※

 

 

(キスはしないわね。ヘタレ弟め)

 

(優子さん、やっぱり盗み見なんてよくないよ)

 

 

海人と優子は校舎の影からその様子を見ていたのだった

 




カップル成立おめでとう!

次週はちょっと旅行に出かけるのでお休みします
次回の投稿は再来週の月曜日(予定)

次回も頑張ります

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