バカとテストとウチの弟   作:グラン

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『倭人様』から提案頂いたネタで心と体の入れ替わりをお送りします
今回は短めです



第百四十二問 僕と彼女が入れ替わり 前編

平日の早朝、いつもと同じように海人達は朝練に励んでいた

その様子を見守る優子は考え事をしていた

前回の幼児化事件以来、海人との関係は良好、優子も浮気を疑うことは無くなり、仲良く健全な男女交際をしていた

 

しかし、優子には心には不安があった

彼女である優子から見ても海人は成績優秀、運動神経抜群、ルックスも良いし、性格も温厚。非の打ちどころのない人物だ ←(優子の評価です)

それに対して自分はどうだろうか?

ズボラで音痴、スタイルもあまりよくない ←(優子の自己評価です)

 

そんな自分と海人は釣り合っているのだろうか?

自分より可愛い子なんてたくさんいる

もしそんな子に告白されたら・・・

それでも海人は自分を好きでいてくれるだろうか?

優子も海人が彼女を蔑ろにするそんな薄情な人間だとは思っていない

だが・・・それでも不安になってしまうのが人間と言うものだろう

 

 

「危ない!!」

 

「へ?」

 

 

考え事をしている優子

叫び声に顔をあげると打球が優子に向かって飛んできている

当たる、そう思って思わず目を閉じる

 

 

「優子さん!」

 

 

間一髪のところで海人が優子に飛びつき打球を回避・・・が

 

 

(ゴンッ!!)

 

 

勢い余ってお互いの頭がぶつかった

そして海人が優子を押し倒すような形で倒れ込んだ

 

 

「だ、大丈夫かいな!?」

 

 

慌ててメンバーが駆け寄る

 

 

「いたた・・・ごめんね海人君ちょっとぼんやりし・・て・・」

 

 

そこまで言いかけて固まった

なぜなら・・・優子の目の前に倒れている人物は・・・木下優子本人だったのだから

 

 

「え?ええ?ええええええぇぇぇぇ!?」

 

 

  ※数分後※

 

 

「・・・で、本当に二人の身体が入れ替わったのか?」

 

「う、うん」←優子の身体の海人

 

「まだ信じられないけど・・・」←海人の身体の優子

 

 

氷でぶつけたところを冷やしながら二人はそう言う

 

 

「信じがたい話だな・・・海人、このサインは?」

 

「え?えっと・・・スクイズ警戒だよね」

 

 

智也の質問に優子の姿の海人が答える

 

 

「ほんじゃ木下さんにも質問や。スリーサイズは?」

 

「えっと上から・・・って!言うわけないでしょ!」

 

「ちっ!引っかからんやったか・・・」

 

 

優子(外見は海人)は顔を真っ赤にして怒る

と、そこに・・・

 

 

「・・・英雄君?人の彼女になにセクハラしてんのかな?」

 

 

海人(外見は優子)が青筋を浮かべ英雄の肩を掴む

 

 

「か、海人さん。落ち着くんや。話し合おうやないか。話せばわかる」

 

「大丈夫。僕は冷静だよ。優子さん、携帯借りるね」

 

 

そう言って海人は優子の携帯を取り出し、どこかに電話を掛ける

そして・・・

 

 

「助けて友香!!中島君に襲われる!!」

 

「海人さぁぁぁん!?なんてことを言っちゃってるんですかぁ!?」

 

 

英雄は顔を真っ青にし慌てふためく

 

 

「お、俺が悪かったで!せやから・・・(ポンッ)・・・ゆ、友香・・・さん、いつからそこに?」

 

「さて、いつかしらねぇ?」

 

「こ、これには深い訳が・・・」

 

「話ならあっちの焼却炉で聞くわ」

 

「燃やす気か!?俺をこんがり焼きあげる気なんか!?」

 

 

冷たい目でそう言い放つ友香に英雄が慌てる

 

 

「ち、違うんや友香!俺は木下さんを襲う気なんてあらへん!俺は・・・海人にスリーサイズを聞いただけなんや!!」

 

「・・・」

 

 

中島英雄がログアウト(強制退場)しました

 

 

「バカは放っておいて・・・さて、どうしたもんかな・・・」

 

「とりあえず授業が始まっちゃうし、このままいくしかないんじゃない?」

 

「そうだね。じゃあ着替えて・・・」

 

 

そう言った瞬間、海人と優子は固まった

この入れ替わった状態で着替えるということは・・・

 

 

「ゆ、優子さん・・・」

 

「し、仕方ないわよ・・・でも、あんまりジロジロ見ちゃダメだからね!」

 

「う、うん」

 

 

二人とも顔を真っ赤にして海人は女子更衣室へ、優子は部室へと着替えに向かう

 

 

  ※数分後※

 

 

「お、おまたせ」

 

「う、うん」

 

 

着替えを終えた二人が合流

二人の表情は言うまでもなく真っ赤である

 

 

「とりあえず教室に行くぞ。今後どうするかは昼休みに考えよう」

 

「うん。そうだね」

 

「わかったわ」

 

 

そう言って各自教室に・・・

 

 

「待て待て木下、お前がこっちに来てどうする?」

 

「へ?あ、そっか」

 

 

いつもの癖でAクラスに向かおうとする優子を智也が止める

 

 

「僕、Aクラスの授業内容についていけるかな?」

 

「今日は古典は無いし、大丈夫だと思うわよ」

 

「そっか、じゃあ一安心だね」

 

 

安堵してAクラスに向かう海人

そして教室に入ったその時・・・

 

 

「優子♪おっはよー!」

 

「あ、うん。おはよう」

 

「ん?なんか元気無いね?海人君と喧嘩でもした?」

 

「そ、そんなことない・・・わよ。ちょっと疲れてるだけ」

 

「・・・優子、おはよう」

 

「あ、霧s・・・代表、おはよう」

 

「・・・?優子、何かあった?」

 

「優子は疲れてんだって。だからいつもの本も読んでないみたいだよ」

 

「?いつもの本?」

 

「ほら、いっつも読んでる応急処置とかストレッチとかの本だよ。優子もすっかりマネージャーっぽくなったよね」

 

(優子さん・・・いっつもそんなことまで勉強してたんだ・・・)

 

 

優子の努力を知り、海人は感心するのだった

 

 

  ※一方その頃Fクラスでは※

 

 

(話しかけられて海人君っぽく対応したけど、よく考えたら別に隠す必要はなかったわね)

 

 

優子はそんなことを考えつつ世界史のノートを開く

 

 

(へぇ・・・きっちりノートは取ってるのね、纏め方もわかりやすい。・・・あっ!ふふっ、『状態』が『状熊』になってる。こっそり直しておいてあげよっと)

 

 

誤字を見つけ、まだ漢字は苦手なんだなぁと思いつつそれを修正

 

 

(それにひきかえ・・・)

 

「ZZzz・・・」←秀吉

 

(あのバカ・・・元の身体に戻ったらお説教よ)

 

 

授業中に居眠りをしている秀吉を見てお説教することを心に決める優子なのだった

 




二人はお互いの影ながらの努力を知って感心しているようです
次回はハプニングが続出!?
海人と優子は無事元の身体に戻れるのか?

次回も頑張ります

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