バカとテストとウチの弟   作:グラン

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今回は太郎丸勇大さんから頂いたネタの一つを書かせていただきます


第百三十九問 幼児化 前編

「これで終わりだな。坂本」

 

「ち、ちくしょおおおおおお!!」

 

『戦争終了、今回の模擬試召戦争もAクラスの勝利です』

 

 

教室に雄二の声が鳴り響いた

 

 

 

「そうかい。今回もAクラスの勝利かい。まぁ当然と言えば当然さね」

 

「ええ、Aクラスには模範的な優等生が揃っていますから」

 

「これも高橋先生の教育の賜物ですね」

 

 

『いやあぁぁぁぁ!!』

 

 

「?何事さね?」

 

 

学園長、高橋、竹原がAクラスを覗きこむ

 

 

「来ないで!!」

 

「なんで逃げるんだい島田さん!!僕はただあの時のように君に殴られたいだけだと言うのに!!」

 

「気持ち悪い!!」(バキッ!)

 

「ゴフッ・・・あぁ・・・いい♪もっとだ!もっと殴ってよ!踏みつけてよ!ゴミ虫を見るような目で僕を見下してよ!」

 

「もういやぁぁぁぁ!!」

 

 

「「「・・・」」」

 

 

「吉井!俺の筋肉を見ろぉ!!」

 

「・・・僕にどうしろと言うのさ?」

 

「・・・雄二、愛してる」

 

「は、離せ!」

 

「えへへ、康太君」(ピラッ)

 

「・・・(ブシャアアア)」

 

「亮君だいしゅき~♪」

 

「俺もだよ。美穂♪」

 

「海人君!校門で話してたあの女の人は誰なの!?」

 

「み、道を聞かれただけだよ・・・」

 

 

「・・・誰が模範的な優等生だって?」

 

「・・・前言を撤回します」

 

 

頭を抱え溜息を吐く高橋だった

 

 

   ※お昼休み※

 

 

「・・・酷い目にあったわ。アキも何で助けてくれないのよ!」

 

「ごめん。僕も『一緒に筋肉を鍛えよう!』とか暑苦しい人に捕まってて・・・」

 

「大変じゃったのう」

 

「全く、Aクラスにはまともな人はいないわけ?」

 

「む、聞き捨てならないわね。あいつらが異常なだけよ」

 

「いや、アンタも海人と修羅場を繰り広げていたでしょうが」

 

 

優子は反論するが、美波にバッサリ切り捨てられる

 

 

「そういえば海人はどうしたのじゃ?」

 

「購買に飲み物を買いに行ったわよ」

 

「水筒のお茶は部活の時に飲み干しちゃったんだってさ」

 

「全く、言ってくれればウチの分を分けたのに」

 

 

 

  ※一方その頃※

 

 

「思ったより混んでたなぁ。すっかり遅くなっちゃった」

 

 

海人はペットボトルのお茶を手に早足で屋上へと急ぐ

と、その時

 

 

「きゃ!」

 

 

角を曲がったところで一人の女子生徒とぶつかってしまった

 

 

「ご、ごめんなさい!大丈夫ですか!?」

 

 

尻餅をついている女子生徒に手を差しのべる

 

 

「・・・幸せ」

 

「え?」

 

「あ、いや、なんでもないわ。私なら平気よ。ありがとう島田君」

 

「すいませんでした」

 

「前を見てなかったのは私も同じだし、お互い様よ。気にしないで。はい、これ」

 

 

そう言って女子生徒は海人にペットボトルを差し出す

どうやらぶつかった拍子に落としたようだ

 

 

「ありがとうございます。それじゃあ失礼します」

 

 

海人は頭を下げてその場を後にした

 

 

「優しい人だったなぁ。上級生かな?」

 

 

そんなことを考えながら屋上へと急ぐのだった

 

 

 

 

 

「ふふ、うまくいったわね」

 

 

海人の背中を見送る女子生徒

その手には、海人に手渡したものと同じペットボトルが握られていた

 

 

 

  ※数分後、屋上にて※

 

 

「海人?なんか顔色が悪いわよ。大丈夫?」

 

「う、うん。大丈夫だよ」

 

(なんだろう?身体が熱い・・・熱でもあるのかなぁ?)

 

「ちょっと海人君、ホントに大丈夫?」

 

「へーきへーき。ほら、そろそろ教室に・・・」

 

 

そう言って立ち上がろうとした海人だったが、その場に崩れ落ち、倒れてしまう

 

 

「か、海人!?」

 

「海人君!?どうし・・・熱っ、酷い熱じゃない!!」

 

「け、煙が出ておるのじゃ!」

 

「あ、暑い・・・苦しい・・・」

 

 

苦しそうに胸を抑える海人

身体からは煙が出てきて視界を遮られた

 

 

「ぐ・・アアアアァァァァ!!」

 

「海人!!」

 

「美波、退いて!」

 

 

明久は自分の来ていた上着を脱ぎ、バサバサと仰いで煙を退けた

するとそこには・・・

 

 

「かい・・と・・・?」

 

 

小学生低学年位の子供がブカブカの文月学園の制服を着て倒れていた

 

 

 

  ※保健室へ※

 

 

「信じがたいですが・・・この子は本当に島田ちゃんなのですかー?」

 

「見た目は子供の頃の海人です。たしかに煙で身体が縮むところを直接見たわけじゃないですけど間違いないと思います」

 

 

勝亦先生の言葉に美波はそう答える

ここまで一度も言っていなかったが、勝亦先生は保険医である

 

 

「たしかにどことなく面影はあるよね」

 

(・・・海人君、可愛い)

 

「むむ・・・しかし、こうなったからには何か原因があるはずですよー。心当たりはないですかー?」

 

 

勝亦先生の言葉に一同はこういったトラブルの原因の大半を占める『ある人物』の顔を思い浮かべた

 

 

「(ガラッ)失礼するよ。島田弟が倒れたって聞いて・・・ん?し、島田姉、なんでアタシの肩を掴むのさね?」

 

「海人に何をしたの!?今すぐ元に戻しなさい」

 

「み、美波、落ち着いて・・・」

 

 

学園長の両肩を掴みガクガクと揺さぶる美波とそれを止める明久

 

 

  ※数分後※

 

 

「全く・・・何でもかんでもアタシのせいにするんじゃないよ」

 

「・・・すいません」

 

 

美波は謝りはするもののまだ若干疑っている

 

 

「しかし本当に学園長じゃないんですか?」

 

「木下までアタシを疑うのかい・・・知らないよ。召喚システムは特に弄ってないし、だいたい、島田弟だけに影響が出てるっていうのもおかしいじゃないか」

 

 

学園長の言葉に一同はそう言われてみればと考え込む

 

 

「とにかく、調べてみるさね。放課後にアタシの知り合いの病院に連れて行ってやるさ。だからアンタ達はさっさと教室に戻りな」

 

「で、でも・・・」

 

「でもじゃないよ。アンタ達は授業があるだろう?病院には一緒に連れて行ってやるからここは勝亦先生に任せてさっさと行きな」

 

「うぅ・・・わかりました」

 

 

心配そうに海人の方を見つつ美波は渋々保健室を出る

他の一同もそれに続いて教室へと戻って行った

 

 

 

  ※数分後※

 

 

「う・・・ここは・・・?」

 

「あ、島田ちゃん。目が覚めましたかー?」

 

「勝亦先生?あれ?僕、なんで眠って・・・?」

 

「島田ちゃん、落ち着いてこれを見てください」

 

 

そう言って勝亦先生は鏡を手に取り海人の方を向ける

海人は鏡に映った自分の姿にきょとんとしながら手を動かしたり顔に手を当てたりしながらそれが自分である事を確認。そして・・・

 

 

「えええええええぇぇぇぇ!!!」

 

 

保健室に海人の絶叫が鳴り響いた

 

 

  ※更に数分後※

 

 

「落ち着きましたかー?」

 

「は、はい。なんとか・・・」

 

 

これでも飲んで落ち着くですよーとお茶を差し出し、海人はそれを受け取りゆっくりと飲む

 

 

「しかし・・・本当に島田ちゃんなんですねー。この学園の名前と自分のクラスを言えますかー?」

 

「え?えっと、文月学園でクラスは2-Fです」

 

「記憶に混乱はないみたいですね。じゃあこの問題は?」

 

「えっと・・・2√3です」

 

「学力も異常なし・・・見た目は子供、頭脳が大人。まるでコ○ン君みたいですねー」

 

 

勝亦は小学生ではわからない程度の問題を出してみるが、海人は難なく答えた

 

 

「とにかく、放課後に学園長が病院に連れて行ってくれるそうなので、それまでゆっくりしていてくださいねー。あと、騒ぎになるといけないのでなるべく保健室からは出ないでくださいねー」

 

「わかりました」

 

「あ、あと、凄く言いにくいのですが、島田ちゃんの身体は・・・」

 

 

何かを言いかけた勝亦が突然地面に崩れ落ちる

 

 

「勝亦先生!どうし・・・」

 

(え?な、なに?急に眠気が・・・)

 

 

海人は意識を手放した

 

 

 

 

「ふふ、うまくいったわ」

 

 

その直後、一人の女子生徒が保健室に入ってきた

それは、海人とぶつかった女子生徒だった

 

 

「即効性のある特製睡眠薬・・・効果は抜群ね。さて・・・」

 

 

そう言うと女子生徒は地面に倒れている勝亦には目もくれず、ベッドで寝ている海人の元へ一直線。そして・・・

 

 

「くんくん・・・すーはーすーはー・・・海人様の匂い・・・♪」

 

 

壁に掛けられている海人の制服の匂いを嗅ぎ始めた

 

 

「って!こんなことをしている場合じゃないわ!授業が終わる前に急がなくちゃ」

 

 

女子生徒は海人の布団を捲る

 

 

「は、裸ワイシャツ・・・」

 

 

海人の姿を見て鼻血を出しそうになるがグッと堪える

ちなみに大きめのワイシャツに勝亦の私服の短パンを履いているので裸ワイシャツではない

 

 

「ふふ、これで海人様は私の物♪」

 

 

女子生徒はニヤリと笑いながら海人を背負い、保健室を後にした

 

 

 

 

  ※おまけ※

 

 

(そわそわそわそわ)

 

(あぁ、海人が凄く心配なんだな・・・)

 

「それでは今日はコレで終わりだ。全員、気をつけて帰るように」

 

「美波、海人の所に・・・って、もういない!?」

 

 

明久が隣の席の美波に声をかけるが、そこにはすでに美波の姿はなかった

 




海人を狙う女の子(先輩)の登場です
彼女の正体と目的は・・・?

次回も頑張ります




PS、『女子生徒』の正体は『着物の人』じゃないですよ。オリキャラです

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