バカとテストとウチの弟   作:グラン

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スランプ気味ですがなんとか更新
書きたいネタを詰め込んだら、無理矢理な展開になっちまった・・・


第百二十六問 復讐

翔子と瑞希が学園にて合流したその頃、美波達は指定された場所に到着していた

 

 

「不気味な所だな」

 

「ここは数年前に廃院になった病院さね」

 

 

ボロボロの大きな廃屋を見上げる一同

学園長の話によると、交通の便が良い場所に移転となったためこの建物は現在使われていないそうだ

 

 

「ん?お、おい!アレを見ろ!」

 

 

雄二が何かを見つけ指を指し、一同もそちらに視線を向ける

するとそこには・・・

 

 

「白の普通車!!」

 

「レンタカーじゃないな・・・盗難車か?」

 

(・・・あの車は・・・)

 

「?学園長、どうしましたか?」

 

「・・・いや、何でもないさね。それより早く行くよ」

 

 

学園長は何かを考えるような素振りを見せるが、話を強引に打ち切り、建物の中に入った

 

 

『やあよく来たね』

 

入った瞬間、スピーカーから声が聞こえる

 

 

『おや?一人減っているね?怖気づいて逃げたかな?まぁいいや。さぁ僕は上にいるよ。早く昇っておいで』

 

 

「・・・どう考えても罠だな。ここは慎重に・・・「かいとぉぉぉぉぉ!!」・・・って言ってる傍からアイツは!!」

 

「み、美波!待って!危険だよ!」

 

 

雄二の言葉を無視して、美波は叫びながら階段を昇る

その後を明久達も追いかける

そして階段を昇った先の部屋の中にいたのは柱に縛られている海人

 

 

「か、海人!!」

 

 

それを見た美波はいち早く海人の元に駆け付けるが・・・

その途中、何かに足を捕られ転倒、その直後、上から鳥籠のような鋼鉄製の檻が降ってきて美波は捕らえられてしまった

 

 

「み、美波!!」

 

『・・・自分で作っておいてなんだが、よくそんな単純な罠に引っかかるね』

 

 

美波の足には縄が絡まっていた

その縄は簡単に取れたものの、檻を自力でどけるのは無理のようだ

 

 

『おっと、君たちも動くなよ。爆弾の解除方法も、その檻の外し方も知っているのは僕だけだ』

 

「約束は守ったんだから海人君を解放して!!」

 

『まぁ落ち着きたまえ。僕はそっちの学園長に話があるんだ』

 

 

そう言ってピエロは学園長に視線を向ける

 

 

「いい加減そのふざけた仮面と口調をやめたらどうだい・・・竹原」

 

「おやおや、気付いていましたか」

 

「下にマイカ―を置いておいて何を白々しい」

 

 

そんな会話を交わす二人

 

 

「な、なんでこんなことをするんですか!!教師なのに生徒を拉致するなんて・・・」

 

「教師なのに・・か。その言葉、隣にいる学園長に言ってやるんだな」

 

「え?」

 

 

そう言うと背後に設置されていた大型のディスプレイに一人の女子生徒が映し出された

中学生位の笑顔でピースしている女の子

明るく活発そうな、彼らの中では愛子に近い印象の少女だ

 

 

「この子の名前を言ってみろ。知らないとは言わないよな?藤堂カヲル!」

 

「・・・芹沢・・・さやか」

 

 

学園長は辛そうな表情でそう言う

 

 

「それがなんだっていうのよ!!関係ないじゃない!」

 

「大アリさ。彼女は三年前に死んだ。そして彼女を殺したのはそこにいる似非教師なんだからな!!」

 

 

学園長を睨み付ける竹原

学園長は何も言わない

 

 

「それだけじゃないさ。彼女の旧姓は竹原・・・そうさ、さやかは私の娘だ!!」

 

 

怒りの表情で叫ぶ竹原に一同は言葉を失い何も言えない

 

 

「仕事一筋だった僕は妻と別れ、娘ともろくに会えない生活を過ごしていた。毎週さやかから届く手紙だけが生きがいだったんだ」

 

 

竹原は目を閉じて何かを思い出すようにそう言う

 

 

「だが、ある日を境にさやかからの手紙は途絶えた。成績が悪かったから補習で忙しいのだろうと思っていたが、何週間経っても彼女の手紙は届かない。不安に思った私は家へと向かった。娘と会うことは禁止されていたが、さやかの安否さえ確認できればそれでよかった」

 

 

そして今度は涙を流し始める竹原

 

 

「しかし、そこで聞いたのはさやかの死亡の報告。そして元妻も後を追うように自殺したそうだ。わかるか?娘を奪われたこの怒りが。葬儀にすら呼ばれず、成長したさやかの顔も見ることができなかったこの悲しみが。貴様にわかるか!?藤堂カヲル!!」

 

 

怒りに狂った表情で学園長に怒鳴りつける竹原

 

 

「で、でも、それを学園長がやったとは・・・」

 

「後日、警察がやってきて私に話を聞きにきたんだ。その時にさやかの遺体から大量の薬物が検出されたと言われたんだ。その薬物は一般人が入手できるようなものではないとのことだ。その時、私はさやかの手紙のことを思い出したんだ。警察が帰った後、読み直してみるとそのうちの何通かに書かれてあった『藤堂先生』『研究所』という単語。早急に調べたところ、さやかの学校の社会見学で藤堂カヲルの研究所に行っていたことがわかったんだ。おまけにさやかがその研究所に何度も出入りしているところは目撃されている。藤堂が科学者だってことは君たちも知っているだろう?」

 

「ま、まさか・・・」

 

「そうさ!!この女はさやかを新薬の実験動物にして殺したんだ!!副作用がどんなものかどうかも分からないような危険な薬物をだ!その日から私は貴様への復讐だけを考えて三年間生きてきたのだ!!」

 

「・・・アンタの言い分はわかった。だが、それならこの子達は関係ない!殺すのはアタシ一人にしな!」

 

「黙れ!!殺してやる!!貴様も貴様に加担するこいつらも一人残らず殺してやる!!」

 

 

そう言って竹原は手元のパソコンを操作し爆弾の時間を残り3分にしてしまった

 

 

「これで終わりだ!!」

 

「は、ハッタリだ!!だってそれじゃあお前も死んじゃうじゃないか!」

 

 

明久がそう言うが・・・

 

 

「それがどうした?私は藤堂さえ殺せればそれでいい。ククッハハハッ、さやか。すぐに私もそっちに行くよ」

 

 

竹原は狂ったように笑いながらそう言うのだった

 

 

「くっ!美波!!」

 

 

明久は美波の閉じ込められている檻を外そうとするが入り口は無く、重量が重すぎてビクともしない

 

 

「アキ!ウチの事はいいから早く海人を!」

 

「そんな・・・そうだ!爆弾を解除すれば・・・」

 

 

明久は爆弾を止めようとする

彼はよくドラマなんかであるように配線を切れば止まると思っていたのだ

だが・・・

 

 

「タッチパネル!?」

 

「無駄だ!それは四桁のパスワードを入れなければ決して止まらない。なんなら適当に入れてみるといい。ただし、一度でも間違えば即爆発だがな!!」

 

「クソッ!!答えろ!パスワードは何だ!!」

 

 

明久は竹原に殴りかかるが、自爆覚悟の竹原が答えるはずもない

一方その頃、雄二はどこかに電話を掛けていた

 

 

「・・・元気でな、翔子」

 

『雄二!?待って!!ゆうj・・・』

 

 

会話を交わしたのち、そう言って携帯を切る雄二

 

 

「彼女にお別れかい?」

 

「別に彼女じゃねえよ」

 

「アンタは逃げれるんだから逃げればいいじゃないかい」

 

「アイツら見捨ててどんな顔して生きてくんだよ。第一、ババアを殺すことが目的のくせに出入り口の封鎖すらしてねえんだぞ?外に罠があるに決まってるじゃねえか」

 

「じゃりガキ」

 

「なんだババア」

 

「巻き込んですまなかったね」

 

「・・・」

 

 

すでに諦めムードの雄二と学園長

しかし、優子はまだ諦めていなかった

 

 

「海人君!すぐに外してあげるからね!」

 

「ゆ、優子さん!!何やってんのさ!?早く逃げて!」

 

「これを解いたらすぐに逃げるわよ!クッ、変な縛り方して・・・」

 

「違うよ!僕の事はいいから優子さんだけでも・・」

 

「ああもう、暴れるんじゃないわよ!解きにくいでしょ!」

 

 

問答無用と言わんばかりに優子は海人の縄を解こうとする

海人は爆弾に視線を移す

残り時間はあと1分

仮に優子に縄を解いてもらっても逃げるのは不可能だ

 

 

「・・・優子さん」

 

「今度は何よ!」

 

「大好きだよ」

 

「ふぇ!?」

 

 

突然の告白に顔を赤くして慌てる優子

 

 

「こんな時にゴメン。でも・・・もう言えなくなりそうだったから・・・一年の時からずっと優子さんの事が好きだった。だから・・・死んでほしくない。優子さんだけならまだ間に合うかもしれない。お願いだから早く逃げて」

 

 

海人は涙を流しながらそう言う

 

 

「ありがとう海人君。でもゴメン。やっぱり逃げられない」

 

「そんな・・・なんで・・・?」

 

「アタシも海人君が好きだからよ。だから海人君を見捨てられない。海人君がいない世界じゃ生きていけない。だからどうしても助けたかった。でも・・・もうダメね」

 

 

優子は爆弾に視線を移す

時間は残り30秒

 

 

「ねぇ・・・海人君。キス・・してもいい?」

 

「・・・うん」

 

 

そう言って二人は唇を重ねた

そして時間になり、爆弾は爆発・・・しなかった

 

 

「「「「「「へ?」」」」」」

 

 

全員がそんな声を上げた

爆弾は0:00:01で止まっている

そして視線は爆弾の傍にいる人物に集まった

 

 

「な・・・き、貴様!何をした!?何故爆発しない!?」

 

「・・・やっぱりね。娘を愛しているあなたならきっとパスワードは娘の誕生日にすると思ったよ」

 

「ぐっ、だ、だとしても!なんで貴様が娘の誕生日を知っているんだ!?」

 

「簡単な事だ。俺は芹沢さやか知っている。さやかは・・・俺の元恋人だ」

 

 

爆弾の傍に立つ人物

北条智也はそう言った

 

 

 

  ※一方その頃※

 

 

瑞希に事情を聞いた翔子はすぐさまタクシーを呼び、地図に記された場所へと移動しているのだが・・・

 

 

「・・・進まない」

 

「うーん、どうやら前の方で事故が起きたみたいですね。あ、止まってる間はメーターは動かないから安心してくださいね」

 

 

タクシーの運転手はそう言うが翔子にとってそんなことはどうでもよかった

雄二の安否が心配な彼女は一刻も動かないタクシーに苛立ちを感じていた

電話を掛けたいところだが、状況次第では雄二を危険にさらしてしまう為、それも出来ずにいた

と、その時

 

 

(pipipi)

 

 

着信音が鳴り響いた

液晶には『雄二』と表示されている

 

 

「・・・雄二!?無事なの!?みんなは!?」

 

 

普段の彼女からは考えられないような慌てた声

それだけ雄二の事が心配なのだ

 

 

『・・・電話に出てくれてよかったよ。最後にお前の声が聞きたくなってな』

 

「・・・最後!?最後って何!?」

 

 

『自分の声が聴きたい』と言うセリフも普段なら嬉しいはずなのに今は不安でしかなかった

 

 

『・・・元気でな、翔子』

 

「雄二!?待って!!雄二!!」

 

 

翔子の叫びも虚しく、電話は切られてしまった

 

 

「翔子ちゃん、坂本君は何て・・・?」

 

「・・・最後に・・・お前の声が聞けて良かった・・・って」

 

「最後って・・・そんなお別れみたいな・・・」

 

「!!」

 

(お別れ・・・?雄二と・・・お別れ?雄二が・・・いなくなる?イ・・・ヤだ・・・嫌だ嫌だ嫌だ嫌だイヤダイヤダイヤダイヤダ・・・・)

 

 

「翔子ちゃん!!」

 

「・・・瑞希?」

 

「まだ諦めちゃダメです!!私たちにできることはきっとあるはずです!!」

 

「・・・私が間違ってた。瑞希、ここから目的地まで1キロ位。走れる?」

 

「はい!心臓が張り裂けてもついていきます!」

 

「・・・わかった。すいません。ここでいいです。お代、置いておきます」

 

「そうかい?すまないね。それじゃ・・・って、お客さん!おつり!!」

 

「・・・いらない!!」

 

 

翔子は瑞希と共に目的地に向かって走り出した

 




学園長は悪?それとも・・・
そして智也の元カノ登場
さらにどさくさに紛れて優子に告白した海人
走る瑞希と翔子

はたしてどうなる!?

次回も頑張ります

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